【現実主義勇者の王国再建記 Ⅺ】 どぜう丸/ 冬ゆき オーバーラップ文庫

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国民の祝福を受けて戴冠式と婚礼の儀を終えたソーマ―その義妹であるトモエは今日、王立アカデミーの入学式へ向かっていた。正門をくぐり、学園生活の第一歩を踏み出したトモエを待ち受けていたのは―「っ!ねぇ、あれってもしかしてトモエ様じゃない!?」「元難民でありながら才を買われて前国王夫妻の養女に迎えられた…」「それってとんでもなく有能ってことよね」唯才令以降、階級主義から実力主義へ変わりゆく王立アカデミー。ソーマに直々に才を見抜かれたトモエは、多くの生徒達から注目を浴びて…!?革新的な異世界内政ファンタジー、第11巻!

この巻こそ、トモエちゃんが表紙じゃないのか、と思う所だけれど7巻ですでに表紙飾っているので再登場とは行かなかったのか。現状、二回表紙を飾っているのはリーシアだけですしねえ。
でも、それならヴェルザちゃんの方でも良かったと思うのだけれど。ルーシー、今回からのぽっと出でしたし。というか、この子ロロアのリスペクトはいいんだけれど自分からキャラ被せに行くのはどうなんだろう。ホントに被っちゃってるしw
ヴェルザちゃん、最初ちょっと混乱したのだけれどハルに助けられたダークエルフの子だったんですね。ってかキャラ全然違うじゃん! というのも結構大人びていて身長も高めだしダークエルフらしい身体能力の高さもあって、トモエちゃんの護衛役としてしっかりとした頼もしいお姉さん風になっていたものですから、いや誰!?と。
まあ、速攻でボロ出まくってたのですけどね。
同世代の子供たちの中に入ったら与えられた役もあって相応の振る舞いが出るものです。家族の前で子供然としていても、友達の前でもキャピキャピ子供子供してられないですしね、子供としても。
まあ、速攻で甘味の前でユルユルになってましたけど!
言うてしまえばトモエちゃんだって、年上のお兄さんお姉さんたちの前での振る舞いと、ユリガやイチハの前で見せ始めた年相応の顔は全然違いましたからね。
一方でトモエたちの前で打ち解けた顔を見せながらも、王女として仮想敵国に居るという意識を常に持っているユリガはそんなに態度や振る舞いは変わっていないだけに、彼女がまた違う一面側面を見せ始めたら、それは本格的にデレはじめた証左となるのかもしれません。

物語としては戴冠式を済ませて、次のシークエンスに向かう前の準備回とも言える所だったのですが、その分世界観の核心にガンガンと踏み込んでいった印象です。イチハくんの見せ場となる魔物研究のシンポジウムですけれど、以前のリザードマンの件などから生命としていびつであるのは伝わっていたのですが、ここまで徹底してキメラっぽいとは思わなかった。
これ、魔族と魔物って知性の有無どころではなく全く違う存在なんじゃなかろうか。ソーマが抱いた印象から見ても、獣人やエルフ側でしょうし。というか、魔物の存在自体想定外のイレギュラーという可能性も強いんだよなあ。
今の所、どんどんと魔族と争う必然性は状況が紐解かれるにつれて一つ一つ潰されていってる感じなので、もし戦争になるにしても種族の存亡を賭けた生存競争ではなくあくまで通常の国家同士の戦争紛争の範疇に収まりそうなのは安心材料なのでしょう。少なくとも、話が通じる相手ならソーマの分野でありますし、直接槍を交える接触点の遥か外側で誘導しまとめてしまえる、盤そのものを作ってしまえる為政者ですからね、ソーマは。
その意味でも、今回のおばけ祭り。魔族と接触する前に異形としての見た目に親しみを感じるように印象を刷り込む、一般庶民の感性のキャパシティを広げる狙いのソフトパワーによるアプローチは下準備にしても面白いんですよね。こういうところ、実にこの作品らしくて好きですわー。

しかし、今回は話が落ち着いていて国内の治世にスポットを当てていたせいか、余計にソーマの妃である嫁さんたち四人の働きっぷりがよく見えた気がします。というか、この奥さんたち奥に引っ込まずにそれぞれ仕事受け持って外に出て働いているので、なんか四人も奥さんいるにも関わらず共働き夫婦感が出ていてなんだか面白いです。リーシアとソーマがよく子供たち両親などに預けてあっちこっち出向いては、帰ってきてちゃんと子供の面倒見ている、という行動も共働き夫婦っぽいのでしょうけど。
それに、嫁さんみんなが外に出て自立して自分の仕事持ってるせいか、妃同士が仲が良くても自然発生的に生じてしまう閨閥争い、争いまで行かずともせめぎ合いみたいなのが一切見当たらないのも、この王族一家の面白いところですねえ。