【七つの鍵の物語 2 ぼっちな僕の異世界領地改革】  上野 文/屡那 ドラゴンノベルス

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飢えた民も枯れた大地も、狂った邪竜も――すべて救ってみせましょう!

人なし金なし資源なしの絶望領地を運営することになった少年クロード。
襲い来るテロリストを撃退し、名実ともに領主となった彼は、急速に領地を発展させつつ、諸悪の根源"邪竜ファヴニル"討伐に挑む!
異世界から召喚された侍の少女と人語を解す虎(?)の少女を仲間に加え、いざ決戦へ!
大逆転救済ファンタジー、第二弾が堂々登場!


何気に部活時代に瀬戸際ギリギリ崖っぷちの状況を切り盛りする経験はすでに足りていたのか、クロード。学校内のイザコザではなく、部員の親が引っかかった新興宗教絡みのトラブルだっただけに本気で一家離散や人死が出かねない危機だったと思われる。カルト教団の方に乗り込んで元凶ぶっ潰したという部長も大概高校生じゃねーけど、ほぼ新入部員だった所に部長から丸投げされて部員たちの家庭もメンタルも崩壊させずに守り通した実績は、クロードの資質を現しているのではないだろうか。
だからといって、財政も破綻し外交も社会体制もほぼ崩壊しきった領地を、それを破壊したクローディアス当人の悪名を引き継ぎながらなんとかしろ、というのは大概無理ゲーだと思ったのですが、最初に仲間になり、クロードが悪徳貴族当人ではない偽物だと気づいてくれた四人組と女執事となったソフィ、そしてメイドのレアが最初の助けとなり、そこからなんとか手蔓を引っ張ってきて立て直しに徐々に成功してきた。ところに、外国の息のかかったテロリストが攻めてきて、という展開だったんですよね。
そのテロリストたちも、元は貴族支配を打破するための社会革命を志した一党だった、にも関わらず現実を前に理想は破綻し、革命ではなく目の前の利益と欲望にかまけた暴力集団へと堕ちてしまった、という体の集団だったわけで。
内部では古参の革命闘士と後期加入の外国の手が入った山賊同然の面々が入り混じって、混迷を深めている。
ともあれ、襲われた側からするとテロリスト以外の何者でもなく、その襲撃が領民の一致団結を生んでくれたのだから、被害は大きかったけれど不幸中の幸いだったのか。
それでも、何だかんだと領主となったクロードに恨み骨髄の領民たちが素直に従ってくれたのって……実は、いつの間にかクロードが偽物だと知れ渡ってたからなんですよね。
人が変わりすぎ、というのもあるんだろうけれど、実際に身近で確かめた面々から情報が積極的に流出してたっぽいのだ。クロードが引き継いでからの献身的な働きという土台があってこそ、ではあるんだけれど、噂レベルの拡散ではなく表に出ないネットワークで情報が広がっていたようで、それをクロードが知らず自身の言動で証明していっていた、という感じなんですよね。
知らぬはクロード本人ばかりなり、という感じで。

それでも、途中からトントン拍子で話がうまいこと転がりだしたなあ、と思ったらこれ纏めに入っていたのか。今巻で打ち切りじゃないですか、やだもー。
レアの正体がいきなりバレたり、ラスボスのはずのファブニルが邪竜と化した過去が明らかになったと思ったら即座に対決の方向に舵が切られたり、無理ゲーから一転クロードにとって都合の良い展開がポンポンと放り込まれるようになったので、あれ?と違和感は感じていたのですが。
セイという女侍、というよりもこの娘個人的な武芸もさることながら、指揮官として際立った才能を持っていたので、姫将軍というべきか。そんな娘の異世界からの来訪とか、これも異世界から落ちてきた会話ができる知性あるトラのモンスターのアリス、と強力な仲間が加わったにも関わらず、二人に対して腰を据えたより良く仲良くなるエピソードもそれほど熟せないまま、話進んじゃいましたしねー。セイは特に元の世界では偶像として持ち上げられ、しかし主家滅亡を防げず失意のまま自刃したところで召喚され、という過程を辿っているからか、皆から持ち上げられ期待されその才能を頼まれて、という状態に対してかなり精神的な傷を持ってるようで、繊細な扱いが要される立ち位置だったんですよね。それを、セイに対してその才能を求めるのでも、価値を見出すのでもなく、友達という個人同士、一対一の人間関係を持って接しようとしたクロードに感じ入るところあって、とこれから色々と行程を踏んでいく導入編でもあったんですが、その矢先にまとめに入ってしまい、という感じだったのがまた残念無念。
ファブニルも、彼の抱えている鬱屈、人間への憎しみ、かつて大切だったものへの未練や愛情など、その内面は複雑に煮えたぎっていて、彼との対決はそれだけ彼との対話が多く費やされていくことになっただろうだけに、性急にゴールまで送り込まれてしまったのはこれもやはり勿体なかった。
また、肝心の部長以外の部員たちもお目見えできず、タイトルにもあった7つの鍵についても……、とまあ未練は多く残るものの、話としては終盤まとめに入って展開は早かったものの、非常に綺麗にまとめきったとも言える話のたたみ方ではあったので、これはこれで跡を濁さず丁寧に片をつけた、と感心するところだったんですよね。

幸い、小説家になろうではウェブ版がずっと連載続いているようなので、話も色々と変わっている部分も多いようですけれど、続きはこちらで読んでいきたいと思います。