-インフィニット・デンドログラム- 12.アイのカタチ】 海道左近/タイキ HJ文庫

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決闘都市ギデオンにて、愛闘祭という街を挙げての大きなお祭りが開かれることになった。アズライトからの依頼により、護衛をしつつ、参加することになったレイ。愛をモチーフにしたその祭で、様々な人々の恋模様が咲き乱れる中、ある意味最高のタイミングで監獄から出所してきた“狂王”ハンニャがついにフィガロと邂逅する―!!レイたちは無事祭りを成功させることはできるのか!?大人気VRMMOバトルファンタジー、恋は戦いの第12巻!!

そうか、これは「フィガロの結婚」だったのか! って、別に当該オペラの内容に符号した展開だった、ってわけじゃないのだけれど。
カップルで盛大に祝う大祭に、カップルを見ると大暴走するハンニャを放り込むってそりゃあある意味怪獣映画か無双系ゲームみたいなド派手なありさまになってしまって、それはそれで何気にギャグ時空なら見たくなるような大惨劇だったのですが、さすがに実現せず。
というか、思っていた以上にハンニャさん、理性的だったんですけど。普通に話通じる人じゃないか。まあ通じないときは通じないのですけれど、スイッチ入らない限りは穏当というのはわりとマシな方なんじゃないだろうか。
しかし、もっとハンニャとフィガロ、当人同士の感情的行き違い、或いは認識の差異によって拗れるのかと思ってたのですけれど、こんな外部からの余計なちょっかいがあるとは思わなかった。悪意ある作為によって、誤解が仕掛けられ暴走が誘導される。
これが当人同士の問題なら、余人が介在する余地はなかったんですけどね。てっきりフィガロはああいう人ですから、愛とか恋とかを字面以上に認識していなくて、必要以上に認識しまくっている愛の重いハンニャと、その誤差故に逆にうまくハマるのではないか、或いはフィガロが本当の愛という事象を認識してそこでようやく二人の間を隔てていた壁が取り払われるのでは、という方向性を想像してたんですよね。
ちょっと、フィガロという人をこれは見くびっていた、と言わざるを得ない。ってか、シュウ兄さんをはじめとして、みんな見縊ってただろ!
ある意味想像していた以上に純真で無垢な人柄だったと言えるのかもしれない、フィガロは。純真で純粋だからこそ、ハンニャの愛の重さに重量なんか感じずに、そのままあるがままに受け止められる人だったのだ。その重さこそを、純真が純真をかけ合わせるように好ましく思える人だったのだ。
愛を知らないなんてとんでもない、家族に誰よりも愛された彼は愛というものを誰よりも純粋に理解していて、そこに恋をかけ合わせれば女性を異性として愛することの素晴らしさを誰よりも体感出来る人だったのだ。
……フィガロってば、リアルだと心拍数あがると死んじゃうらしいけど、これ普通に死ぬんじゃね?
本気で大丈夫なんだろうか。思い出しドキドキだけで死にかけてたのに、当人目の前にしてドキドキせずにいられるんだろうか。

今回はやはりメインのフィガロとハンニャにスポットがあたっていたせいで、特にほかのカップルたちにも光があたって、という事はなかったのだけれど、一番普通にデートしてたのってネメシスとレイですよね。ファッションセンスがアレな上に暗黒騎士そのままな鎧姿でうろつくことを当たり前にしてしまっているレイのために、普段着を見繕おうとレイを引っ張って服屋を見て回ろうとするネメシスって、普通に彼女してますよねえ、これ。
アルター第二王女のエリちゃんと、迅羽が連れてきた黄河の第三王子のツァンロンとお見合いという運びになってましたけれど、このちびっ子カップルはお似合いなのでうまくいってほしいなあ。
何気に迅羽もテナガアシナガを取っ払ってちびっ子アピールしてましたけどw

しかし、AIたちはホントにトムさん以外は迷惑な人ばっかりだなあ。迷惑どころじゃなくアルターの人死がバンバン出る勢いなんでとんでもねー話なのだけれど、こうも作為だらけであれこれと手出しされると、遊戯派みたいな純粋にゲームとしてこの世界を楽しんでいる方としても、ゲームとして楽しめなくなるんじゃないだろうか。まあAIの意図なんかプレイヤーは知らないので、普通のイベントとして捉えるだけかもしれないけど、今回なんぞマスターのリアルでの人間関係にまで及びかねない悪意ある誘導だったわけですしね。トムさんが問題視するのもこれ無理からぬところだわな。
かといって、マスター至上主義のAIもあれはあれでどうかと思うし。今回に関しては、確かにこういう展開にならなかったら、果たしてフィガロが愛を告白できたかわからなかったかもしれないけれど、友人でもなんでも無い外部のAIが勝手に手を加えていいものか、という観点もあるだろうし。

それはそれとして、最近女化生先輩がリアルでもゲームでもオチ担当になってきてる気がするぞ。どちらでも残念な人、を極めてきてしまっているような。結果も残念なものを引き込んでしまっているし。特に今回は悪いこと考えて暗躍していたわけではなく、とばっちりで酷い目にあってましたし。まあ、小狡いというかセコい真似しようとしていた結果でもあるので、自業自得なのかもしれませんけどw
最初の方でビースリー先輩とアルター王族とで三すくみの関係とか言われてましたけれど、段々王族相手にも頭あがらなくなってきてませんか、これ?w

海道左近作品感想