EDGE〈4〉―檻のない虜囚

【EDGE 4.檻のない虜囚】  とみなが貴和/緋乃鹿六  講談社ホワイトハートX文庫

 EDGEだよ。完全に打ち切りなんだと思ってましたよ。3年4ヶ月ぶりの新作。3年4ヶ月ぶり……がんばれ、ろくごまるに!(/TДT)/
 いや、ろくご氏はいいんだ、EDGEです。私がまだ少女系レーベルでは『楽園の魔女たち』しか買っていなかった頃に手を出した作品です。三巻まとめて買ったんですが、その後ぷっつりと出なくなってしまったんですよね。それが今になって新作が出るとは。嬉しいなあ、もう。
 女性心理捜査官が主人公の、これはミステリーというよりサスペンスなんでしょうね。主に事件と犯人の背景や心理の解体に文章を費やしていますし。
 それこそ三年半近くという久しぶりにEDGEを読んだんですが、当時自分が抱いた印象より遥かにこの作品の完成度が高かったことに衝撃を受けました。真っ先に思い浮かんだのが、つい先日読んだ宮部みゆきの『模倣犯』。似た印象として宮部みゆきの一連の事件ものが浮かんでしまうほど、構成力といい心理描写といい余分なものがなく確固としている。少なくとも、最近たくさん出だした、いわゆる富士見ミステリーなどのライトノベル系ミステリーとは完全に一線を画した出来、隔絶してると言ってもいいかも。
 この三年半の間、講談社系ミステリーや宮部みゆき、富士見やスニーカーの軽いミステリーという経験を経て、ようやくこの作品の凄みが理解できた気がします。ほんと、この作品ってこんなにレベル高かったんだ、と今更のように愕然としてる次第。
 惜しむべきは、物理的な器の小ささ。このサイズの文庫での分量ではあまりにも物足りない。この人、講談社ノベルズなどの新書、もしくはいっそ単行本クラスのサイズで書くべきなんじゃなかろうか。とはいえ、キッチリとこのサイズに収めているのも確かなので、一概にはいえないのかもしれないけど。
 でも、間違いなく講談社ノベルズに進出しても遜色の無い実力を持ってるミステリ作家のは確か。って、私、いまいちミステリーという括りの出来不出来はわからないんで、自信ないんですけど(^^;

 今回の事件はこれまでの巨大な犯罪と違い、身近ともいえる動物虐待事件。この作品は、主人公たちとは別に事件前後の犯人の心理描写を丁寧に紡いでいくタイプなのですが、今回もその内面描写の精緻さに唸りながらも良く見る珍しくない型の犯人だな、と思って読み進めていたのですが、途中から思わぬ方向に転舵され、あっと言わされました。まさかさらにもう一歩、奥に本人も気づいていなかった心が隠されていたとは。なまじ心理が秩序正しく詳細に描かれていただけに、それが唯一の真実なのだと思い込まされてしまっていたようです。うむむ、こういうタイプなんだからこうなんだ、という決め付けは危険と指摘された気分。

 帯によると、今度マガジンZで漫画になるらしい。でも漫画だしなあ。と、著者ご本人のBlogを発見したので見てみると、篠田真由美氏の建築探偵の新作「失楽の街」は「EDGE」からインスパイアされたお話なのだとか。建築探偵は何冊かしか読んでないんだけど、ちょっと手にとってみようかしら。