ガンパレード・マーチ5121小隊九州撤退戦 上 (1)

【ガンパレード・マーチ 5121小隊 九州撤退戦(上)】 榊涼介/きむらじゅんこ  電撃ゲーム文庫

 うわあ、末期戦だ。隅から隅まで末期戦だ! 前からそうだったけど、これ戦争小説としてもかなりの良作なんじゃないだろうか。すごいすごい。
 ガンパレードマーチを知らなくてAGEの『マブラブ』を知っている方に説明すると、ほぼ『マブラブ・アンリミテッド』みたいな世界情勢です(いや、説明になってないって(笑)

 第二次世界大戦中に突如現れた黒い月。1945年、東京に核が落とされ日本の敗戦が決定した直後、欧州に出現した幻獣と呼ばれる謎の怪物たち。以後、人類は五十年近くに渡り幻獣との戦争を続け、21世紀を目前にしてユーラシア・アフリカ大陸のほぼ全土を喪失する。
 1998年、幻獣軍は遂に中国を飲み込み、九州上陸。自衛軍48万が迎え撃つも、幻獣軍は1400万の大軍を以って九州を蹂躙、自衛軍は30万以上の犠牲を出して大敗した。この破滅的危機に政府は徴兵年齢に達しない14〜17歳の少年兵を掻き集め、未訓練のまま熊本要塞へと送り込んだ。およそ十万の少年少女。本土決戦までの準備を整えるための捨て駒として。
 そして1999年、学兵によって編成された人型戦車『士魂号』を擁する新編5121小隊。この地獄の大釜に放り込まれた捨て駒に過ぎないはずだった少年少女たちの戦いが始まる…………。


 このあらすじ見ると、もう始まった当初から末期も末期、末期戦って感じですね(苦笑)
 本人たちはワイワイガヤガヤ学校と同じノリでやってるんで、暗い雰囲気がないからどうも忘れがちになってたんだけど。
 それでも熊本決戦編なんて整備の連中まで銃を持ち出して戦わなきゃならないような凄まじい戦闘描写を如何なく描いてたんで、戦場と日常の境が希薄な世界観を見事に描いてるって言っていいんでしょう、こういうのは。
 なんにしてもEGコンバットといい、こういう世界情勢って燃えるんだわ。
 熊本城決戦を経て幻獣軍の攻勢を凌ぎ切ったように見えたんで、展開をどう持っていくのかと思ったら、ここまで一気に情勢が悪化するとは。九州放棄ですか。
 指揮系統の大混乱、状況もわからないまま連発される死守命令、士気喪失による戦線崩壊、モラルの低下。押し寄せる敵を背後に、同士撃ちも含めた撤退手段の奪い合い。
 どれほど精強な兵士でも士気を喪失すれば有象無象と化してしまい、抵抗もろくに出来ずに敵に蹂躙されていくという悲惨な状況がこれでもかと描かれてる。まさに末期戦、戦争末期の様相。
 5121小隊も中央の権力闘争の余波で隊長の善行と整備班長原素子が本土に半ば誘拐同然に召還され、支柱のいない状態で不安と恐怖に皆情緒不安定になりながら、破滅的な状況の中を泳いでいきます。終盤の森さんの叫びなんか、恥も外聞もないけど本音以外のなにものでもない訴えで、これが響くんだ。誰だって英雄になるより生き残りたい。それでも、どこかのだれかのために戦わないといけないときがある。まさにガンパレードマーチ――突撃行進歌にある「どこかのだれかの未来のために」舞と厚志の会話はキました。