とある魔術の禁書目録 3】  鎌池和馬/灰村キヨタカ  電撃文庫

 あかん、御坂妹、そのしゃべり方まだまだ修行がタリン。草上仁氏の傑作SF【スターハンドラー】のハンター氏がその手の説明口語で一線を画しているのでどうしても見劣ってしまいます。
 まあ、それはいいとして。

 前置きしておきますと、私、これ大好きっす。めっちゃ美味しいタイヤキのように。
でもね。幾ら美味しくても、タイヤキの頭に餡子が入ってなかったらなんか凄く物足りなくありませんか? 私のこの作品に対する印象はそんな感じ。重要な欠落、欠損が付きまとう。
なんだろうねー、この置いてけぼり感は。なんかおかしいのよ。なんか余裕が感じられないのよ。勢いがありすぎて、切羽詰ってる。もうちょっと、もうちょっと溜めが欲しい。話にちょっと立ち止まって周囲をグルリと見渡してみるだけのインターバルが欲しい。必殺の一撃を繰り出すためのチャージが欲しい。
なんか軽いんですよ、燃えるストーリーの割りに、猛る絶叫の迸りの割りに。手応えが。
インラインスケートで足元だけが先に行っちゃって上半身はおっとっとと仰け反りながらバランスを取っている、倒れはしてないんだけどちゃんと前傾姿勢でスピードをものに出来なかった。この本をスケートのブーツ、読者の自分をスケート履いてるヒトに例えるとそんな感じ。楽しいのは楽しいの。でも、きっと楽しめてきれてない。

これはあくまで主観なんですけどね。もうちょっと当麻の周辺を膨らませて欲しいんですわ。ビリビリちゃんとの平常時のコミュニケーションなかももうちょっと深く広く。急がずじっくりと、彼と彼女のバックグラウンドを描いて欲しかった。それが輝いていればいるほど、緊急時の非日常性、切羽詰った際の心意気、彼と彼女の絆が眩しくなるんだから。
平時を書けてないことはないんだけど、多分まだ自分にはそれじゃ物足らなかったんだと思う。
二巻もその傾向があったような気がする。急きすぎ、慌てすぎ。一巻はその点を非常に丹念に仕上げてたと思う。物語りも登場人物もヨーイ・ドンで駆け出すまでの準備を充分に取れていた。だから、インデックスの末路に対する面々の叫びは焔となって心を打った。
まあでもそこは好みか。書けていないわけではない。それで充分だと言うヒトが多いのかも知れにゃい。でも、私はもうちょい欲しかった。弦を引き絞ってほしかった。まあ好みっちゃあストライクゾーンど真ん中の作風雰囲気なんで、期待はしまくってます。次でも、次はどうするのかねえ。いい加減ヒロインキャラ増やすのも難しいでしょう。インデックスなんて今回チョビットしか出てないくらいだし。そろそろ単なる巻き込まれ型トラブルばかりともいかないだろうし。どうするのか楽しみではありますな。