ゆらゆらと揺れる海の彼方 3】 近藤信義/えびね 電撃文庫

どーも戦争の天才という単語が空回りしてる気がする。
どうしても天才という言葉には発想が常人とは決定的に違っているという印象があるだけに、多少上手い用兵を見せたところで名将というイメージは獲得できたとしても、天才と言われると違和感ばかりが募ってしまう。
正直、ここで戦争の天才と称されるジュラも神聖帝国の皇帝も、天才と言う言葉の持つイメージとは程遠い。お陰で妙に陳腐に思えてしまう。ヘタに天才なんて言葉使わなかったら、もう少し自然に読めたような気がするんだけど。

あと、作中で過去の戦争における戦力の逐次投入を批判する文章があるんだけど、私の目には今回の帝国軍の用兵こそ典型的な連携の取れてない戦力の逐次投入のように見えたんですけど……これって気のせい? 私の解釈が間違ってます? あまり自信ないけど、異様に変な気がする。
 新型海獣の投入にしても、不可視騎兵隊にしても、それぞれ一個ずつ投入してません? 単発で送り込むのはどうかと。結局最後まで動かさなかった近衛軍と一緒に一斉に投入したら、新型海獣の砲撃(信頼性に問題があるかもとのことなので、これは外すべきだろうけど。でもあの攻撃の特性を見ると、後衛から突撃中の味方軍を透過して敵軍に攻撃できるんですよね。敵軍が大混乱に陥った直後に打撃を加えられるとなると、尋常でなく効果的な兵器なんだけど)と不可視騎兵隊の迂回攻撃で混乱に陥ったジュラたちを容易に壊走させれそうなんですけど。新型海獣の攻撃は中途半端に一回やっただけでしかも正確な損害報告が本陣に届くまでの時間何もしてないし、幾ら奇襲が可能とはいえ突撃するしか能のない不可視騎兵隊を単独で突っ込ませるし……
 他にも、色々ちょっと待てと言いたくなるような主人公側に都合の良すぎる解釈や敵さんの行動があって、こりゃどうよ、という気分。
 例えば、帝国の女参謀が謀略の存在を疑って(どういう謀略かは分かってない)全軍の出陣を一日遅らせてるんだけど、これは何を根拠に一日という期日を設定したの? 皇帝軍に仕掛けられたかもしれない謀略を探り出せる、もしくは謀略を回避できる方策を立てられる、その目安が一日だったというのなら、それでいいけど、別に理由も無くて不安だったから一日だけ出陣を遅らせるというのは組織末端に負担を掛けるばかりで無意味どころか害悪も甚だしい。しかも、一日遅らせたせいで兵力が分散させられてるんだから、普通ならこの女参謀は大失態、それ相応の責任を取らないといけないはずなのに大したお咎めもなく皇帝さんからは励ましの言葉を掛けられて私頑張ります、ってちょっと待て待て。責任と取るべき人が責任を取らない、しかも身内だからという理由でのお目こぼしがまかり通るような組織は、既に末期的ですぞ(w
 よくまあこれで常勝無敗を続けてこれたものですわ。

 と、調子に乗って書いてるけど、的外れなこと喚いてたら恥ずかしいなあ。えらそうに言ってるわりに、自分の言ってることが正しいのか自信ありませんので、話半分でどうぞ。

 ともかく、面白くないわけじゃないんですけど、なんか微妙。キャラクターに魅力があるってわけでもないですしね。