チキチキのわ〜る烈風伝!! 7.ジェイドブレイカー】  嬉野秋彦/せたのりやす  ファミ通文庫

思えば嬉野秋彦にのめり込んだのは、スニーカー文庫から発刊されていた「チキチキ美少女神仙伝」、つまりこのチキチキのわーるシリーズの前身に当たる作品でした。
軽薄な文章に特に尖がったものもない内容、それなのに作中の端々にさり気なく紛れている識、何故か惹きつけられてやまない不思議な魅力、そんな嬉野秋彦という作家の特徴をこのチキチキシリーズが一番凝縮したような作品だったように思います。

スニーカーからファミ通に移る間のブランクを含めて8年。最終巻は、敵に捕まり洗脳された挙句に敵に回ってしまった喧嘩友達ならぬ片思いの仙女麗芳を助けるために一生懸命に頑張る鳳月くん、という昨今王道すぎてとんと見なくなってしまったくらい王道な展開で。
それがもう、なんとも燃えるというか嬉しいというか。
はっきりいって登場当初は頭も腕も背丈も足りなくて、声も顔も女みたいで、新米破軍星君のくせに気位ばっかり高くて、オマケにしょっちゅうドツキ合いの喧嘩をしてる麗芳のことを本当は好きな癖に絶対認めようとせず、そのくせチラチラと横目で見るように気にしてばかりのヘタレなお子様でしかなかった鳳月くんが、はっきりと麗芳のことが好きだから絶対に助けるんだ、と言い切って文字通り血を流しながら頑張る姿が、もう抱きしめてやりたいくらい健気でいとおしくて。
やっぱり男の子はこうでないと。周囲の状況がそれを許さなくても、好きな女の子を助けるためにはなんだってするという王道、やっぱり素晴らしいんですよ、王道は。

嬉野さんってどの作品でも殆ど恋愛話は絡めないんだけど、これは例外だったのかな。
ラストも素晴らしかった。大団円というわけにはいかなかったものの、立場ではなく男を貫き通した本当にカッコいい、素敵なエンドでした。

あー、チキチキも終わりか〜〜。
残念といえば残念でしたけど、すっげー大満足。

巻末のせた氏のオマケ絵も最高でしたw