echo −夜、踊る羊たち−】 枯野瑛/謎古ゆき  ファミ通文庫

正直駆け足過ぎる面もある、山ちゃんを除いて、店長代理も綾香も笹井も描写量がいささか物足らなかったようにも思う。妹との交流も少なすぎて、彼女がどんな風に主人公に惹かれていったのかが今ひとつ分からない。
はっきりいって短所ばかりが目立つ作品だ。
それでも。
ビリビリってきた。
ヤバいくらいうなじから背筋にかけて電撃が走った。

参った。私、この話めちゃくちゃ好きだわ。

最後まで灯雪の内面描写を排したのは正解だったと思う。ふと見せる表情、誰ともなく零す言葉の端々からしか読者は彼女の気持ちを想像するしかない。確かめることは出来ない。だが、彼女の本当の気持ちが分からないまま終わるからこそ、この物語は切なさを失わないまま消えていく。
これは多分、正当な御伽噺の後継なんだろう。現代の御伽噺。めでたしめでたしで終わらない、どこか物悲しい結末を迎える御伽噺のあの余韻を、私はこの話に感じました。
【echo】……この残響というタイトルもまた、素晴らしい。
なんとも心地よくて、というのも変だけど、やっぱり心地よくて。はあ。

あと、ヒロインの桐子さんが激ラブなんですけど!!!!!!!

冒頭に出てくる彼女の告白シーン、何気にDクラの「梓さま強制告白!」に匹敵するくらい好きかもしらん(笑)
変だ、それは変だよ桐子さん! 
いかんなあ、もっともっと彼女のシーン見たかったっすよ。相変わらず何気ない日常シーンの秀逸さは他の追随を許しません、枯野瑛氏は。どこかとぼけているようでほんわかと心の芯が温まる、本当に何気ないシーンなのにどういうマジックなのか。こればかりはどう見習ったらいいのかとっかかりすらわからない。

それにしてもヒロインの桐子さんが激ラブなんですけど!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

本気でもっと桐子さんと妹と主人公の在りし日の日常を見てみたかった。
ああ、つまりそう思ってしまってることそのものが、あの余韻を切々たるものにしているというわけか。

なにはともあれ、ヒロインの桐子さんが激ラブなんですけどーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!

うむ、あくまで私的にではありますが、最高の一品でした。