【ラキスにおまかせ 3.森とエルフのすれ違い】 著:桑田淳  富士見ファンタジア

 一巻であまりにも欠陥だらけでありながらその大きなスケールから磨けばスレイヤーズ・オーフェンと続いたファンタジアの本流を引き継げるのではないかという期待を抱かせつつ、二巻のあまりのスケールダウンにこりゃダメか、と心底がっかりさせられた本作ラキスにおまかせ。
 正直不安たっぷりだったのですが、いい意味で意表を突かれました。直滑降の右肩下がりだった期待値が、緩やかではありますが上昇に移った感じ。とはいえ、はじめに抱いた期待感からすればまだまだ全然物足りないのではありますが、二巻みたいに冗長な戦闘シーンをくだくだ続けるのではなく、心理描写に重きをおいて互いの錯誤と真相を伏せながら状況を絡ませるやり方を最後まで成し遂げたのは好印象で、読み終わった後に素直に面白かったと満足できました。振り返ると色々とまた不満やひっかかるところは出てくるのですが、楽しめる作品とそうでない作品の差は、この引っかかる点が読んでいるさなかに出てくるか否かだと思います。そうした意味ではこのラキス三巻は充分楽しめる作品でした。
 著者さまにはここで安定せずにさらに高い所を目指して欲しいなあ。まだP51のAだと思う。マーリンエンジンを載せる余地はあるはず、と思いたい。

 そういえば、これと同時期にデビューしたファンタジア大賞の「12月のベロニカ」の人、ある意味予想通りに次の作品出ませんね。
 なんかもうラキスと対照的に発展性の欠片も残されてないくらい完成されてしまってるな、という印象だったので、もしかしたらこれで最後かもと思ったりもしたんですが……ほんとに出ないや。


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