【カオスレギオン03 夢幻往徨篇】 著:冲方丁  富士見ファンタジア

 これ、一ヶ月で書いたの? マジで?
 冲方先生はきっと何処かおかしい!!
 いや、だって同月刊行のファンタジア文庫の中で一番厚いし。ページが460もあるし。
 おまけに中身は信じられないくらい登場人物同士の内面がグチャグチャになってるし。いったいどういうテンションだったらこんなに短期間でこんなに密度の濃いものを書けるんだろう。信じられん。さすがはマルドゥックスクランブルで吐きながらカジノシーンを書いた人だと感心すればいいんだろうか。
 ファンタジーってのはある意味なんでもありだったりするはずです。物理法則だの歴史だのに囚われず、作り手の思うが侭になんでも作り出せる。ところが、人間って発想が豊かな人はどちらかといえば稀少なわけで。私もまた想像力の貧困な一人。例えば魔法。どんな作用を表現しようと魔法という形で現せるにも関わらず、炎だの雷だのを生み出すようなのしか思いつかない。どんな作用現象だろうと表現し得るはずなのだから、もっと何か違った魔法魔術特異能力の在りようがあるはずなのに、これがなかなか思い浮かばずもどかしい。
 プロでもこれは同様なはずです。少なくともライトノベルに関しては。なかなか「ほう!」と思わされる特殊な能力は見かけない。ましてや、その特殊能力を物語りの根幹に絡めてくるとなると……。
 このカオスレギオン03は、まさにその稀少なうちの一作のはず。
 忘却させるという能力の使い方は感嘆を禁じえないほど見事。さらにその忘却に絡めて登場人物たちの内面や過去を浮き立たせ、複雑に交錯させていく手法の組み立て方はもう素晴らしいです、絶賛。なんども云いますけど、どうやったらこれ一ヶ月で書けるんです??
 いや、確かに短期間で一気に書いたと思しき勢いが全編に感じられるのは間違いないんですが、信じられんな。おのれ、月刊冲方め(感服)


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