フルメタル・パニック! つづくオン・マイ・オウン】  賀東招二/四季童子  富士見ファンタジア

今回読んで、やっぱりテッサはヒロインじゃねえな、と実感。この娘は主人公型ですよ。宗介要らんですよ。
テッサをヒロインにしてしまったら、逆にこの娘の魅力を損なう結果になりかねん。思い込みだけどね。
というわけで、日常破綻編。ミスリル大危機編。ドラマガの連載は読んでいなかったので、まさに怒涛の展開という印象でした。っていうか、前振りなさすぎ。書き下ろしだったら最初の一章くらいはまったりとした日常パートを描けたんでなかろうか。いきなり林水閣下のあれで、変態兄さんのあれですからね。怒涛です。
それにしてもテッサの成長具合が尋常じゃない。指揮官としての勇気と裁量は常に見せていた彼女ですけど、今回ほど痺れるものはなかった。『正しい資質を有する者−ライトスタッフ』の文字が浮かびました。
指揮官に必要不可欠な資質こそ、鋼鉄の意志、必要なときには眉一つ動かす事無く部下を死地に送り込む事が出来るかどうか。それでいながら、どれほど絶望的な状況下でも部下に生き残れると信じさせ続けれるか、不屈の精神を示し続けられるか。
究極的な場面で兵士が求める指揮官の資質ってのは、やはり優しさではなく厳しさ、強さなわけです。『デイ・バイ・デイ』で器の大きい優しさを皆に示したテッサですけど、それで慕われつつもやはり舐められた面はあったのですよ。テッサの性格付けからここらへんは触れないのかと思ってたんですけど、どうしてどうして。これ以上なく真っ向からその点を描いた上で、ねじ伏せてみせた見事さは感服以外のなにものでもありませんでした。
でも結局伍長のように部下にああいう死に様を選ばせてしまうという点では、慕われて敬服される最優秀の指揮官というのも罪作りな存在です。テッサの性格からして修羅の道だわなあ。この手の重みに対して縋る相手としての男は不要です、うん。

個人的には日常パートの面々に宗介たちの裏の顔が知られてしまう場面は、もっとダイレクトに巻き込んで欲しかった。ここらへんのバレる展開はシリーズが始まった当初から期待していた所でしたので。結局恭子オンリーで、しかも彼女本人は訳の分からないまま怒涛に押し流されちゃったので、ここらの展開での両側の人々の混乱と苦悩の心理描写が物足りなかったかな、という印象。
でもガッカリというほどではなかったです。期待が大きすぎたんでしょう。

宗介も自分の気持ちを確かめた途端、化けに化けたなあ、こやつ。漢じゃ。かなめは今回イイとこなし(苦笑)