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【三月、七日。】  著:森橋ビンゴ  ファミ通文庫

出版社/著者からの内容紹介
幸せになりたい、でも幸せになんてなれっこない。
誰かを幸せにすることもできなくて何のために生きているのか。
孤独を噛み締めて生きる少年と少女。ふたりが出会ってしまったのは、運命の悪戯か偶然か? 筆者の独特の感性で描く、拙くも切ない、青春ラブストーリー登場。


 ああ、こりゃ来たなあ、森橋ビンゴ氏。印象として前作までから小化けしたかも。
 作風に独特の匂いを持つ作家というのがライトノベルレーベルの中にも時折見かけます。そういう作家は毎月大量に発行される本の中に埋没してしまわない。何かと眼を引かれるものがある。だけれど、そういう匂いのある作品が面白いかというと一概には言えないわけです。森橋氏の前作『刀京始末網』も、そんな作品の一つでした。作品の設定やキャラ造作、文調やストーリーラインと印象に残る作品だったのですが、面白かったかというと「面白くなくはなかった」という曖昧なものでした。
 事実、今作は当初スルーするつもりで、購入したのは発売してから十日ほど過ぎてからでした。思いの他発売後の感触がイイみたいだったので、こりゃ買っとくべきかなあ、と。
 手放しで大当たり、とは言いがたかったのですが、読後に思わず唸らされてしまったのですから、こりゃ楽しませていただいたといって構わないでしょう。
 周囲を偽って優等生を演じながらも何もかもに厭世観を抱いている進学科一年の渋谷三月。
 広島から上京してきた普通科一年の宮島七日。
 なんの接点も無いはずの二人は出会い、そして惹かれていく。
 わりと真っ向からの青春ものですなあ。元々この人の作品には全体に荒涼とした錆びの匂いがするんですが、今回の作品にはそれまでの雰囲気に加えていい意味での青臭さが交わってて、好感触を得ました。
 ラストの展開は正直「えーーっ!?」だったのですが、もうちょっとだけその件についての七日の心理描写が欲しかった。彼女、三月の煩悶と比べると、割とあっさり納得してしまった感を抱いたので。