砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Rolypop or A Bullet】 桜庭一樹/むー  富士見ミステリー

 すげえ。すごかった。蛇にピアスに芥川賞あげるなら、むしろこれにあげてくれってなもんだ。言いすぎ?
 あとがきによるとふと思い立って一気に書き上げてしまったとあったんですが、さもありなん。これは書こうと思ったものが頭の中で変質する前のそのままのものを、頭で考えて修飾する間さえ与えずそのままガシガシ書き切ってしまったもの特有の生のギラギラ感があふれに溢れ返ってる。
 面白かったとか読んでよかったとかそういう感想は全然出てこなくて、もう飲み込まれちまって「はふー」とため息つくしかありません。
 これほどギラギラに尖がってるのに、この桜庭せんせは理解できる範囲を逸脱しないんですなあ。登場人物たちの行動原理も思考パターンも独自のロジックも、ふわふわと綿菓子のような文章に包まれているものの、丁寧に分かりやすく表現され説明されているために、ああこんな子いるわなあ、と思わされる。舞城だののファウスト系の人らが書くキャラクターや文章に比べるといたって易しく普通に見える。もっと言うと、ワイドショーなんかで派手に垂れ流される若い女の子の偶像なんかよりもはるかに普通。
推定少女でもそうだったけど、ここらへんの表現バランスは際立って上手い、というか確固として少女に対してのイメージがあるんでしょうかね。
 こういうのも、女でないと描けない領域っていうのかしら。
 なんにせよ、スバラシかった。傑作。