【真・運命のタロット】 皆川ゆか 講談社X文庫ティーンズハート

と言うわけで、全9編11冊を読了しました。
これは凄いとかそういうのを通り越して凄絶。何が凄絶かって行間の向こうから伝わってくる著者のこの物語に対する断固とした揺るぎの無い意志。
何が言いたいのか自分にも良く分からんのだが、ともかく凄絶だった。

前作「運命のタロット」を含めると24冊にもなる大河SF
時間ものであり、アカシックレコードに全ての事象が記され、運命は既に決定されてしまっているという世界観の中で、22枚のタロットの精霊とその力を分け与えられた「協力者」が運命を改変しようというプロメテウスとそれを阻止しようというティターンズに分かれて相争うというストーリー。
この物語の恐るべきは、運命のタロット関係者は頻繁に過去から未来を移動するため、ごく早い段階で多くの主要登場人物の運命が開示されてしまう事でしょう。主人公である水元ライコや彼女の相棒である「魔法使い」ですらそれは例外ではありません。ならば、これは定められた運命を乗り越えようと抗う物語なのかと言うとそうではなく、ライコや魔法使いはティターンズに属し改変を防ごうという立場です。かといって運命に対して諦観を抱いてるわけでもないんですよね。
過酷です。凄まじく過酷な話です。物語は徹底して運命に記された通りに進んでいきます。その運命決定論の世界に如何に生きるべきか。全ての事象が全て決定済みならば、その世界の中で生きる人の意志というのは意味があるのか。

いやもう、凄かった。完全に本格的なSF領域で、たくさんの数式やら理論やらが飛び交って頭の中はてんやわんやだし、登場人物は置かれた状況に際限なく懊悩してるし、時間軸のあっちこっちに人が移動して錯綜するもんだから、伏線も人間関係も時間の流れを無視しまくってるしで、何度か読み返さないと話が整理できそうも無い。ってか、第一部読まんとやはり辛いですわ。一部からのしっかりとしたあらすじが載ってる巻があるので、ある程度全体像は把握できるんですけどね。
しかし、登場人物の多くがどういう顛末を辿るのか、どういう最期を迎えるのかを知りながら彼らの苦闘を読み進めるのはえらい辛かったです。
9編目の「≪世界≫」。で第二部は終了。ここまでで謎の多くは明らかになったものの、まだまだ幾多の謎が伏せられたままなんで、なんとか第3部もやって欲しいんだけどなあ。