徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  10月の漫画新刊カレンダー  10月の書籍新刊カレンダー
  11月の漫画新刊カレンダー  11月の書籍新刊カレンダー
 

★★★★★

Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て ★★★★★  



【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

魔女の一人と、ある王族の運命に纏わる長い御伽噺。
オスカーの呪いも解かれ、契約終了まであと三ヶ月。自分の心に迷うティナーシャの前に、新たな魔女の刺客が現れる。「呼ばれぬ魔女」レオノーラの狙いは、契約者であるオスカーの方で——。国を巻き込んでの魔女と魔女の苛烈な衝突、一つの時代が終わる激動の第三巻。

どうして多数決取ろうと思ったし!
いやうん、どうしてそこまで無自覚というか無頓着なのか。みんなすでにティナーシャがオスカーのこと好きだと分かっている中で当のティナーシャだけが全然自覚なかったんですよね。あれだけイチャイチャしながら、スキンシップ取りながらここまでさっぱり自覚なかったとは誰も思わんよなあ。
ハッキリと自覚はなくても、薄っすらともしかして、くらいは考えてると思うよなあ。それが、本気でその認識がなかったものだから、自分がオスカーの事好きと、側近から指摘されてパニクるティナーシャに、そりゃみんな呆れますわ。まるでわかっていない彼女に、一つ一つ実例をあげながら論破して論理的にもティナーシャがオスカーの事を好きである、と指摘してみせたレナートくん、グッドジョブ。
そこで、みんなに「私ってオスカーのこと好きだと思う人ー!」と多数決取り始めるティナーシャさんがホント好きです、だからどうしてそうなるw

でも、そんな自明なことを認められないくらい、400年以上生き続けるに至った妄執は彼女をいびつに固定し続けていたんですよね。だからこそ、その妄執が晴らされ贖罪が果たされたとき彼女の中で「魔女」を構成していたものはほとんどが霧散してしまった。残されたのは剥き出しのティナーシャ、幼いあの頃の小さな王女さま。それは脆く儚く幼く弱く、結構ポンコツで優しく世話好きで、やっぱり執着しがちな一人の少女。
これまで生きてきた目的を失って、どうして自分はまだ生きてるんだろう、なんて想いを抱いてしまうほどの虚ろになった彼女を圧倒的に埋め尽くしていったのは、この一年に満たない間に育まれたオスカーとの関係だったのです。オスカーがピンチになる前、ティナーシャがついにオスカーに落ちそうになったのって、決して気の迷いでも弱っていたときにつけ込む形になったわけでもないと思うんですよね。あれは、あるべき形に収まろうとしただけ。そのあるべき形はもうこの時点では出来上がっていたのでしょう。そして、ティナーシャの根源の一つであろう「執着」に消えない圧倒的な火勢を与えてしまったのが、オスカーが喪われてしまうという絶対的な危機感。自分の命を賭けても、命を引き換えにしても失ってはならないものを、すでに自分は新しく見つけていた。

普通は、そこでちゃんと気づくのに、この魔女さんはなぜか「多数決」とってるんだよなあw
そして、ルクレツィアにまでも何を今更言ってるのか、と呆れられ、どこをどう振り返っても認めざるを得なくなって、ティナーシャさんの一言。
「……もう殺すしかない」
「何でそうなるのよ! 阿呆か、あんたは!」

この魔女、この巻でも冒頭で最終手段です、と自分で戒めてた物騒な手段を事がはじまって挨拶を交わした段階で秒で「もう最終手段を使うしかないですかね」とか言い出すとか、昔の思い出話でも呪歌の話でそうとうやらかしてたことがバレてしまったり、と結構脊髄反射でやらかそうとするんだよなあ。
ほんと、この突拍子もなくなにかあるとすっ飛んでいく猫を、オスカーは良く捕まえたものです。
この魔女に、幸せ一杯の笑顔を浮かべさせるなんて、尊敬に値します。それでもなんだかんだと、自分が魔女であることを気にして、結婚してファルサスの王妃になることは避けようとするティナーシャに、自分の居場所が今どこにあるのかを受け入れさせたのは、オスカーのちからだけではなかったんですよね。彼女が自分の力を引き継いだ子供を生むことを受け入れさせたのは、オスカーの真摯な説得ももちろん要だったのでしょうけれど、それだけではなかったはずなんですよね。
パメラやラザルや、ドアンなど親しい臣下たちのみならず、城に詰める多くの兵士や女官たち。サイエのような市井の子供たち。街を散策するオスカーとティナーシャを見守っていた街の人たち。
彼らが魔女を受け入れ祝福してくれたからこそ、ファルサスという国はティナーシャの新しい故郷となれたのでしょう。でも、彼らがティナーシャを祝福してくれたのは、この一年という時間の間にティナーシャが魔女ではない人としての素顔をずっと見せ続けていたからなんですよね。
ティナーシャに親の形見を取り戻してもらった女官の、心からこぼれ出た一言。「わたし、あの方がお妃さまでいいかなあ」という言葉が多くを象徴しているように思うのです。魔女への嫌悪、畏怖をいつしか薄らがせ、ティナーシャという人をいつしか慈しみ愛おしみ共にあってもらいたい、と皆が想い願うようになったのは、彼女自身が知らず識らずに勝ち取っていた成果なんじゃないでしょうか。
それは、もうひとりの魔女「呼ばれずの魔女」たるレオノーラとは対称的ですらありました。
誰よりも想像し得る魔女らしく、だからこそ現世への執着を喪いつつあったレオノーラ。ある意味もう、ティナーシャには敵し得ない相手となっていたのかもしれません。新たに登場した重要なプレイヤーの一人である上級魔族のトラヴィスもそういう意味ではティナーシャと同じサイドなんですよね。彼もまた、オーレリアという掛け替えのない存在を一人の男として手に入れてしまってたわけで。レオノーラは、とうとう生き続けていく上で自分にとっての美しいものを見つけられなかったのか。きっとそれは、とても近くにあったかもしれないのに。
ティナーシャには、それを指摘してくれる人が周りにたくさん居てくれた。たくさん居てくれる生き方を、この一年間ファルサスでしていたんですよね。

「ほ、本当に気が変わってしまった……」

結婚式を前に、花嫁衣装をまとった自分の姿を鏡の中に見て、愕然とするティナーシャさん。そりゃあ、あれだけ結婚しようぜと求婚されるたびに、しないよ! 結婚しないよ! するか! と返していたのが、果てにこれですもんね。ほんと、どうしてこうなった、である。その一部始終はこの全三巻に余すことなく描かれているのですが。

「ならちょうどいいから結婚するか」
「してるよ!?」
結婚してからも、こんなやり取りしてるお二人さんの幸せそうなことと言ったら……もう胸いっぱいになりそうでした。

そして魔女の時代が終る。そうして、青き月の魔女は王様と結ばれ、みなに祝福され、幸せになりました。めでたしめでたし。

で、終わったのなら、これは【Unnamed Memory】というタイトルにはならなかったんですよねえ。
そう、物語はまだ続くのです。ずっとずっと、続くのです。そのはじまりはきっともっと昔からはじまっていて、それが決定的になってしまうのが、このラストエピソード。
男は根源の部分で、王ではなく国のためではなく民ですらなく、一人の愛しい女を選ぶ。彼女を守ることを選ぶ。
こうして、運命は書き換えられる。
長いとても長いお伽噺の、開幕である。

1巻 2巻感想

りゅうおうのおしごと! 11 ★★★★★  



【りゅうおうのおしごと! 11】 白鳥士郎/ しらび  GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「私を殺して…」
奨励会三段リーグで三連敗を喫し心が折れた銀子は、八一に懇願する。
「俺が連れて行ってあげますよ。絶対に死ねる場所へ」
こうして二人は将棋から逃げた。それは同時に、なぜ将棋を指すのか問い直す旅でもあり―なぜ、八一は銀子を『姉弟子』と呼ぶようになったのか?なぜ、銀子は女流タイトルを求めたのか?八一と銀子の出会いと修業時代の日々、そして“浪速の白雪姫”に隠された最大の秘密が遂に明かされる告白の第11巻!将棋の神が定めし残酷な運命は、誰に微笑むのか?

八一と銀子が二人で映っている表紙絵は、そうかこれがはじめてなのか。満を持して描かれた二人は、幼い二人。原点であるこの光景は多くを物語っている。
思えば、八一と銀子の二人には手を繋いでいる場面が不思議なほど多かった。ただひととき繋ぐだけのものではなく、ずっと離さずそれこそ新幹線で移動している間中ずっと、というものまで繋いだままというケースが見受けられた。それを自分は二人の関係の甘酸っぱいものだと捉えていたのだけれど、二人の手を繋ぐ、繋いで離さないという行為にはそれだけで収まらない、本当に深い深い理由があり意味があり、想いがあり、寄す処であった事がこの物語によって語られる。
銀子と八一の出会いの物語であり、二人が将棋の沼へと真に足を踏み入れ抜け出せなくなる物語であり、一緒に二人で堕ちることこそが絆であったと知る物語だ。
そうして、いつしか放してしまった手を、お互いにもう一度繋ぐために足掻いて足掻いて血反吐を吐きながらのたうち回り続けたのが、この【りゅうおうのおしごと!】という物語だったのだろう。究極的に、二人が求めていたのはただ、放してしまった手をもう一度つなぎたい、とそんな願いだったのだ。そのために、将棋に強くならなくてはならない。誰にも負けないくらいに強くならなくてはならない。先へ先へと行ってしまう八一/銀子を追いかけて、いつか隣に立てるくらいに追いつくまでに。滑稽だろう、お互いに相手こそが先に進んでしまっていると、自分が必死に死にものぐるいになって勝ち続けないと辿り着けない所に行ってしまった、と思い込んで走り続けていたのだから。

銀子が走り続けていた道は、凄まじい過酷さが渦巻いていたことを八一は知らない。八一が知り得ない所で、この子は本当に死にものぐるいで生死の狭間を歩いていたのだ。桂香さんが、銀子に特に目をかけ慈しんでいるのも、理由なきものではなく二人の間にもそうなるまでの過程があり、歴史があったのだろう。ほんと、桂香さんは愛情深すぎて確かに棋士には向いていないんだろうなあ。それでも、向いていなくても才能がなくても、女流棋士になれるだけ頑張れたことこそが桂香さんの凄さなんだろうけど。

そもそも、銀子が清滝 鋼介の元に弟子入りした経緯からして、様々な人の銀子への愛情が介在してるんですよね。将棋界のアイドルに祭り上げられ、否応なく孤高の只中に放り込まれた彼女、孤独感に苛まれながら必死で一人で八一の後を追いかけ続けていた彼女だけれど、今将棋を指せている、ただそのことが彼女が多くの人たちに支えられ、愛され、導かれている証明だったことを、銀子は八一に連れられようやく八一とすれ違っていた想いが合わさったとき、気付かされることになるのです。
どれだけ多くの人たちが彼女のことを見守っていてくれたのか。将棋の神様である名人の一言が、銀子の軌跡をずっと追ってくれていた名人の言葉が、釈迦堂里奈の教えが、生石先生の導きが、桂香さんの慈しみが、清滝師匠の愛情が、明石先生の庇護が、鏡州先輩の叱咤が、空銀子に届いた時、この娘に火を灯す、この娘を空へと羽ばたかせる。
ずっと振り返ってくれずに置いていってしまったと思っていた八一が、ずっとずっと自分を見ていてくれたと理解したとき、彼女は星に手が届く。空の輝きに、手が届く。

空銀子、覚醒のときである。

……もうさ、二桁巻数になるまでずっとずっと、銀子ちゃん苦しみ続けてましたやん。どんだけ追い詰めるんだ、というくらい追い詰めて追い詰めて崖から蹴落として、這い上がってきたらゲシゲシ踏み詰めて、グリグリ踵と爪先で踏みにじって、そこまでするかってくらいに地獄を味わわせて、もうやめて銀子のHPはとっくに0よ! という有様だったのが、ついに前巻のラストでしらびさん渾身の銀子でトドメさしたところまで辿り着いちゃって。
誰よりも心弱かったこの娘。いつ折れるか、いつ粉々に砕けてしまうか気が気でなかったこの娘。でも、この娘こそ折れない心の持ち主だった。明石先生の言う通りだ、空銀子こそ九頭竜八一という未曾有の才能を一番そばで目の当たりにしつづけ、一番たくさん対局し一番たくさん負け続け思い知り続けながら、ずっと諦めずにそれを追いかけて居続けられた根性の持ち主だったのだから。
長かった、長かったよ。銀子、よかった、良かったよぉ。最初からずっと銀子党だった身としては、感無量を通り越してちと放心すらしております。
ラブラブパワー注入! くははは。

こう言っちゃなんだけど、八一はあまりにも一途であってあいちゃんじゃまだ勝負にもなってなかったんだなあ、と思ってしまう。その点天衣の方がヤバい、という誰かさんの台詞には納得なんですけどね。この娘の恋は、魂からの本気の恋なんですよね。なんだろう、将棋でも恋でも銀子と本当の意味で噛合そうなのって天衣の方に見えるんだよなあ。
そういう意味では、八一のお母さんの銀子にあてたあの言葉は息子を持つ母として至言ではないでしょうか。

しかし、こうしてみると八一と銀子の仲が拗れるというかややこしくなる楔となる部分に尽く絡んでる供御飯万智さんが本当にヤバいんですけど! 

シリーズ感想

筺底のエルピス 6.四百億の昼と夜 ★★★★★   



【筺底のエルピス 6.四百億の昼と夜】 オキシ タケヒコ/toi8  ガガガ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

ゲート組織の過去に広がる、巨大な真相――

殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。未来を閉ざすその脅威に立ち向かうためには、衝突や非干渉を続けてきた鬼狩りの派閥――三つのゲート組織を和解させる必要があった。

バチカンの《ゲオルギウス会》との同盟が締結された今、日本の《門部》と敵対するゲート組織は不死者の軍勢《I》のみ。組織の裁定権を握る式務の一員となった百刈圭は、和解交渉の特使として、世界を牛耳る巨大な秘密結社のもとに赴くこととなる。
一方その頃、鬼狩りの訓練生となった若者たちも、各ゲート組織に君臨する異星知性体の目的を独自に考察しようとしていた。海を隔てた二つの場所で、真実に肉薄していく彼らが目の当たりにする、星界の影に覆われた、この世の真の様相とは。

不死者の首魁《プロフェッサー》と対峙し、夜空を見上げ、すべての真相にたどり着いたその先で、若き狩人たちが足を踏み出すことになる標なき道は、果たして、いかなる荒野へと続くのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終わりが始まる、継続の第6弾。

…………(白目
ヤベえわ、やっべえわこれ。なんちゅうもうを書いてくれなんさるんじゃ。
前回の感想で
これまでも十分壮大な話だったのですが、これからはもっと途方もなく、しかし地に足の着いた「ヒト」の話になりそうだなあ。
なんて書いたんですけどね。
それどころじゃなかったよ。途方も無いどころじゃなかったよ。想像を絶するレベルで想像以上に壮大すぎで、途方もなさすぎで、あまりにも「ヒト」の物語りすぎて、そうか筆舌に尽くし難いというのはこういうのを言うのか。
叶が二人になったあの絶望的な捨環戦でもうとてつもないスケールに圧倒されてたというのに、ここで明かされた真実はあの捨環戦ですら、砂漠の砂の一粒に過ぎなかったのだと思い知らされるこの世界の置かれた状況だった。
捨環戦というものがどれほど悲惨なものなのかは、叶のあの捨環戦で十分味わったはずなのに、あれと同じことが、或いはそれ以上に悲劇的な結末が、凄まじい数繰り返され世界が切り捨てられてきたという事実には立ち尽くすしかない。
もうこれ以上の絶望はないだろうという奈落の底を、毎度毎度なんでこんな簡単に更新していけるんだろう。
同時に、こんな絶望どうやったってもうどうしようもないじゃないか、という諦めを蹴飛ばしてみせる希望をどうやったらこんな風に繋げていけるんだろう。
絶望と希望が斑に押し寄せてくるのに、濁流の中の木の葉のように押し流されていくばかりだ。
でもこんな、3つのゲート組織の間に生じてしまっていた組織間抗争の根源的に理由がまさかあんな理由だったなんて、想像だに出来るはずがないじゃないですか。色々とな前提となっていただろう世界や組織の在り方とか状況が、次々とドミノ倒しのようにひっくり返っていき、その結果として全く違う世界の姿が現れだしていくのは、ただただ呆然と見ているしかなくて、こんな真実を抱えて今までずっと動いていたのかと思うと、阿黍師匠にはもう言葉もない。
そう、この人こそが根幹だったんですね。元々謎の多い人ではあったけれど、まさかここまで真実の根幹に食い込んでいる人だとは思わなかった。まさか、こんな風に生きてきた人だとは想像もしていなかった。
すごい人だ凄い人だとは思っていたけれど、どこか遠い人ではあったんですよね。あまりに遠くの境地にある人で、圭たちと同じただの人の地平に立っている人には思えない部分があった。でもそれは、結局この人のことを知らなかったからだったのだ。シリーズはじまった当初に、当主になってしまった妹の燈のことを、大切に思いながらも別人になってしまったように感じて心の距離が遠くなってしまっていたように、その人の内面がわからないとやっぱりどこか突き放して捉えてしまうんですよね。
しかし、ここで語られた阿黍宗佑という男の人生は……やっぱり常人離れしたとてつもないものだったんだけれど、その根幹に横たわり続けたのは常に人としての意志であり、愛した人たちとの約束であり、どうしようもないくらい人間という存在の体現者であり守護者そのものだったんですね。
ただ、彼はあまりにも突き抜けすぎて、大切な約束を守るために孤独になりすぎてしまった。
空虚の中身を叶をはじめとした周りの人たちによって埋め尽くした圭とは、そこで食い違ったのですね。覚悟の質が異なってしまった。彼の兄や姉が可愛い弟に願ったことは、その約束の本当の意味はもうちょっとだけ、違うものだったんじゃないかと思えてならないのです。彼の終着駅が、本当にここだったのか。まだちょっと信じきれないところがあるのですが、もしこれで終わりだとすると辛いよなあ。報われたとは、言えないよなあ。

そして、「i」の本拠地で行われる和睦会談。って、いきなりあのエンブリオが、3巻における絶望の権化そのものだったあの狂人がちょっかい掛けてきた時には本気で青くなったのですけど……花さん、貴治崎花女医がもうなんだこれなんだこれ!?
なにこの人、なんなのこの人!? ポカーンですよ、口開きっぱなしですよ。もしかしなくても、門部で一番ヤベえのって、花さんなんじゃないのか!?
別に力とかステータスとか能力がインフレしたわけじゃないのに、三巻で登場人物たちも読んでる読者の方も根こそぎ虐殺して心へし折ってくれたあのアクマが、エンブリオが……あばばばば。

ちょっと茫然自失になりながらも、なんとかはじまった不死者のプロフェッサー、百刈圭、そしてゲオルギス会の休眠者ギスラン猊下の三者による和解鼎談。その中で次々と明かされていくゲート組織誕生の秘密と人類史を横断する真実。
これまで疑問点として浮き上がっていた部分、そもそも疑問にも思っていなかったところに至るまで、キレイにパタパタとピースがハマり、伏線が明かされ、情報が一新されていく。そうして見えてくる世界のありようはこれまでとまったく一変していて、言葉が本当に出てこない。
でも集約するなら、これは愛の物語だ。
そう、この世界は真実、人の意志と愛によって成立していた世界だったのです。各ゲート組織の頂点に立つ異性知性体と人間の関係は、本当にまさかまさかのものでした。まさか過ぎるんだよぉ!!
もうこれ、紛れもなく人間讃歌じゃないですか。人の愛の素晴らしさと尊さを説く物語じゃないですか。
ギスラン猊下、人類愛を心の底から信じている生粋の平和主義者なんだけれど、その過去の重さも相まって愛という在りようへの狂信者めいた所があるんですよね。でも、彼の在りようはこの物語においては徹底して否定されない。彼の愛も善良さも狂うほどに極まっていても壊れてはいない。少なくともこの巻の間においては、彼はもっとも人らしい人で在り続けてくれて、愛とは素晴らしいものだと体現してくれ続けてくれた。彼の在り方こそ、この世界が人の意志と愛情によって成り立っていることの証明だった。彼がずっと人間そのもので居てくれたことで、どれだけ救われたことか。
もし、この会談がプロフェッサーと圭の二人きりのものだったら、圭はもっと深みにハマってしまっていたかもしれない。少なくとも、この現場においてギスさんの存在は圭にとってもアンカーになり続けてくれたんですよね。
この三者会談がはじまったとき、プロフェッサーとギスラン猊下という何百年もの時代をまたに掛けて戦い続けている化け物たちと果たして自分みたいな木っ端が肩を並べて対等に話し合えるのか、と圭は緊張を通り越してビビってすらいましたけれど、いざ会談がプロフェッサーが知る真実を伝える場になって佳境に入った頃には、この場における真の化け物はプロフェッサーと圭の方であって、ギスラン猊下こそがマトモな人間の側であったという、立場立ち位置の逆転には息を呑む形となりましたけれど、猊下が二人に置いてけぼりにされながら必死に圭がハズレ切らないように食い下がってくれた姿には、この猊下のファンになった人も多かったんじゃないでしょうか。
だいたい、この猊下いい年したおっさんなのに、色んな意味で可愛すぎるんですよ。なんだよ、この作品屈指の愛されキャラは! まさしくゲオルギス会の秘密兵器じゃないか。こんなの隠し持ってたのかよ、ゲオルギス会、色んな意味で侮れない、侮れなさ過ぎる。

プロフェッサーの正体も、想像を遥かに上回るものでした。確かにこの人、黒幕然として色々と暗躍しているんだろうな、と思ってはいたんですけれど所詮は3つあるゲート組織の一つを掌握する人物として出来る範囲の暗躍だと思ってたんですよね。
人類史そのものの黒幕じゃねえか!!
いやそれ以上だ。彼は反逆者であり、紛れもない人類の守護者であり志士であったのだ。そして、彼もまた人を愛して人のために戦い続けていた人だったのだ。その正体にはほんと度肝を抜かれたけれど。彼の素性というか、歴史上における本名ってこれまで伏線というか、推察できるヒントとか出てましたかね!?
でも、これほどの人が、プロフェッサーが本当の意味で味方であり、猊下がやっぱり味方になってくれるというのは、もう万軍の味方を得たような頼もしさなんだけど。なんだけど。
本当の意味で和解以上の同志、運命共同体めいた共感と結束を得た途端に、さらなる絶望のどん底が、地獄の釜の蓋が開くはめに。
だから、絶望と希望の波状攻撃が毎回毎回凄まじすぎるんですよぉ。しかも、波が来るたんびにそのスケールがわけわからん規模で大きくなってるし。これいったいどうするんだよ、という有様になってるし。
それでも、それでも叶とカナエがついにその日が来たと覚悟とあきらめを得た瞬間に戻ってくるとか、圭さんちょっとヒーローすぎやしませんかね!? くそう、格好いいぞお兄ちゃん。
だいたい、叶とカナエ、二人の置かれた状況が過酷すぎるんですよね。同一存在である二人が同じ場所にいる以上、常に一本角の鬼がどちらかの叶を抹殺することで正常化をはかろうとするために、いずれどちらかが鬼に殺される日が来ることを受け入れている。生きたいと願いながら、いつかその日が来ることを受け入れて、生き残った方が圭と幸せになるんだ、と叶とカナエの二人で決めている、とか。そんなの、圭さん受け入れていいんですか? 許していいんですか? 

異性知性体の目的はついに明らかになったのですけれど、「なぜ」そんなことをしているのか、については未だ明かされていないんですよね。そして、鬼の本当の正体についても。絶対に存在しないハッピーエンドに辿り着く、鍵はやはりそこなのか。
その前に、目の前の窮地をなんとかしないとどうにもならないんですけれど、正直コレどうにかなるのか!? 全面核戦争が起こる核ミサイルの発射スイッチが押されてしまったのと大して変わらない状況だぞ、これ!?


シリーズ感想

嘘つき戦姫、迷宮をゆく 5 ★★★★★   



【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 5】 佐藤 真登/ 霜月えいと  ヒーロー文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

クランバトルで『栄光の道』に勝利したリルドールたちはコロネルを取り戻し、クラン『無限の灯』として慌ただしく活動を続けていた。そんな折、リルドールは決闘で負けて追放されて以来、一度も戻っていなかった実家から呼び出しを受ける。そこで父親から、五十階層主討伐の褒賞として、叙勲の話が来ていると聞かされた。リルドールは家族との確執に揺れながらも、ようやく手にし始めた栄光に、明るい未来を思い描いていく。叙勲式当日。華やかなドレスを身にまとったリルドールたちはそこで、すっかり破壊され、血に塗れた会場を目にする。呆然とする彼女たちの前に現れた男は、コロネルの育ての親のような存在、クルクルだった―。

……凄かった。
もう、クルクルおじさんことクルック・ルーパーが凄すぎた。とんでもなかった。なんちゅう圧倒的な存在感。その言葉、その行動、その強烈な意志すべてが火花を飛ばして猛り狂っているかのようで、その一言一言に横っ面をひっぱたかれたようだった。
敵役として、悪役として、文句なしに魅力的で衝撃的で圧巻で、その生き様在り方の凄まじさにもうなんというか、引き込まれて引きずり込まれて飲み込まれて、言葉もないくらいに絶句させられて、ただただ魅了されてしまう。
この巻は、世界の謎の一端が明かされる巻である以上に、クルック・ルーパーという世紀の大悪人、歴史に燦然と輝く史上最悪の虐殺者の、独壇場でありました。
この人の戦う理由、人を憎み世界を呪うその動機は完全に狂ってはいるのですが、でも一切ブレることなく一貫していて、筋が通っていて、説得力があって、納得させられてしまうんですよね。
その在り方を許してはいけないけれど、これ以上なく共感してしまうのはダメなんだろうか。クルック・ルーパー自身は自分を大悪人と自称して胸を張り、彼の目的からすればその称号は汚名ではなくむしろ奨励すらするべきものなんだけれど、その根源はあまりにも純朴で……純粋で、だからこそ尊敬すらしてしまう。その在り方に尊さを見てしまう。
この人は、ただ友達が大切だっただけなのだから。
そして、この人は汚泥のように人という存在を憎みながら、その心の輝きに関しては常にリスペクトし続けているんですよね。根本的に、人を小馬鹿にしたような言動を取り続けながら、常に誰に対しても真摯で誠実で在り続けているのである。カニエルたち50階層主たちに関しても、甘言を弄して唆して彼らの秩序を崩壊させてしまっているにも関わらず、本気で彼らのことをクルック・ルーパーは尊敬してるんですよね。そして、この世に生まれる強者たちを、本物の英雄たちに敬意を隠さない。
それは、そんな本物たちを切り捨てることで自分の悪名を更に轟かせ、自分の悪名が轟けば轟くほど自分が決して勝てなかった親友の名があがるからこそ、なんだろうけれど、そんな理由抜きでこの人は本気で英雄たちを敬愛してるのが伝わってくるのです。彼が人を憎むのは、人を信じているからこそ、なんじゃないかと思ってしまう。狂気の淵に沈みながら、一方でこの人はあまりに理性的だ。世界が滅ぶことを納得しながら、自分を乗り越えていくモノたちにずっと期待している。
いや、その期待が産まれたのは、彼がコロを拾ったときからなのかもしれないけど。あの子を拾って育てて愛情を抱いた時にはもう、彼には不必要を切り捨てた余分が生じてしまっていたのだろう。
しかし、その余分を取り込んでクルック・ルーパーはさらに強くなったに違いない。コロネルたちの前に立ちふさがったクルック・ルーパーの威勢は、コロたちと関わったからこそより熱くなった。より強大になった。より鮮烈になった。
クルック・ルーパーは、誰よりも凄かった。それだけは、間違いない事実だ。

しかし、お互いに成人した時に名付けあったというイアソンとクルクルおじさんだけど、親友にしてライバルであった相手に、クルクルパーなんて名前つけるあたり、イアソンって相当に食わせもんだったんじゃないだろうか、これw


剥き出しにされたクルクルおじさんの心情の激烈さに震えた今回だけれど、彼に限らずその内側を剥き出しにされ無造作に曝け出されてのたうち回った、といえばリルドールも凄まじいものがありました。
いつものたうち回っているリルですけれど、クルック・ルーパーの出現という狂乱の中で、彼女は全く別のものにその全存在意義を踏み躙られてしまうのです。
ライラ・トーハ。現代最新の大英雄にして、リルドール没落のきっかけになった人物。彼女につっかかりながら一顧だにせず一蹴されあしらわれ、プライドというプライドを粉々にされた挙げ句にそれでも残されたプライドの断片にしがみついて、ライラと同じ冒険者として身を立てて、彼女を見返してやると醜く無様に意気込んだのが、リルドールのはじまりでした。
その歪んだ執念はコロネルとの出会いによって解消されていくのですが、それでもライラという存在はリルにとって根源であり原動力であり、彼女によって否定されたものを覆し、彼女に認めてもらうことこそが、コロネルに相応しい存在になるという理由と並び立つ、リルドールの根源だったわけです。
そうして頑張ってきたことを、仲間たちと証明してきたことを、死ぬ気で身を立て確立してきたものを、そしてリルにとっての密やかな憧れを、すべて全否定され徹底的に踏み躙られたのが、あのライラとの再会であり、かの英雄の本質があらわになってしまったシーンでした。
そのライラもまた、信じてよすがにしてきたものを、かろうじてしがいみついていたものを徹底的に全否定され、その在り方を木っ端微塵に打ち砕かれてしまうのですが。

これ、今回そうやって自分が信じて拠り所にしていたものを木っ端微塵に砕かれて、全否定されて、その後がコロネルとリルドールとライラでは、正反対になってしまうんですよね。
それこそが、クルック・ルーパーをしてコロネルとリルには期待を込めて、ライラにははっきりと期待はずれと見なした理由であり結果であったのかもしれません。
とはいえ、これはライラにとっては酷な話でもあるんですよね。ライラにとって、リルにとってのコロ、コロにとってのリルはもういなかったのですから。だからこそ、クルック・ルーパーも自分の同類と見なしたのでしょうから。もし、同じようなシチュエーションになって、ヒィーコやムドラがセレナと同じような態度を見せたとき、リルやコロは果たしてライラと違う反応が出来ただろうか、と考えてもしまうんですよね。
それでも、あのライラの自分に対する無関心さを目の当たりにした時のリルドールのショックの描き方は、この作者が描く心を剥き出しにしてそれが罅割れる描写の生々しさ、本当に凄いと思うのです。この痛みの描写があるからこそ、それを乗り越えていく姿の熱量と瑞々しさが、心が一つ強くなる重さが、ダイレクトに伝わってきて、胸を打ち震わせてくれるのです。
メインのキャラたちの、強烈なシーンのみではなく、例えばリルが愚直に下手くそなレイピアの練習を続けるシーン。あそこで、リルドールが不器用に練習する姿にニナファンがリルの本質を知ってこれまでの英雄としてのリルに抱いていた尊敬が、全く異なるでももっと深い尊敬に変わるシーンなんか、密やかでありながら味わい深く、またリルという存在が他に追随を許さない輝かしい英雄であるコロやライラとはまた全く別の、普通の人々の心に火を灯してくれる存在なのだというのが伝わってくる、細やかで静かだけれど良いシーンだと思うのです。
非日常の中での激しい動きと、日常の中での静かな浸透、静と動どちらもがしっかりと書き込まれ、描きこまれているんですよねえ。

ちなみに、エイスの魂の叫びに関してはおおむねスルーの方向で、見たママを受け入れましょう。なんか完全にみんなから、アブノーマルな趣味と認識されてしまっていて哀れではありますが、まあエイスですし、うん。でも、これウテナがハマってしまって結構ヤバいことになるんだよなあw

カラー口絵見ると、何気に一番美人さんな仕上がりのドレス姿になってたヒィーコ。この娘も元の素材がいいからか、化けると凄いよなあ。そんな彼女ですけれど、ウェブ版には居なかった仲間であるムドラとのコンビで、ウェブ版よりもさらにパワーアップしてるんですよね。まさか、変身ヒーローバージョンを上回るところまで行くとは思っていなかった。
しかし、リルたちのパーティー、リルの縦ロール多脚走行モードなんかも加味すると、今度のヒィーコとムドラのコンビと合わせて普通の四人パーティーにしては占有面積というか、サイズがでかすぎませんかね!?

第七七階層の門番となっていたクルック・ルーパーが明かしてくれた歴史の真実、そして世界が現在置かれている状況は、まさにこの世界のタイムリミットが間際に迫っているという絶望的なものであり、今百層を占拠している謎の化け猫の存在、そしてその猫の犬に収まった裏切り者というあまりにも大きな壁の連続が、リルたちの前に示される。
しかし、逆に言えばはっきりと目標となり突き進むべき方向が明らかになった、というべき状況であり、何よりリルドールにとって果たすべき、付けるべきケリというものがその百層に生じたのですから、あとは突っ込むのみ。本当の意味で世界を救う戦いが、リルが掲げる「無限の灯」を先頭に今始まるのである。クライマックス、ここからさらに盛り上がるぞ!!

佐藤真登作品感想

全肯定奴隷少女:1回10分1000リン ★★★★★   



【全肯定奴隷少女:1回10分1000リン】 佐藤 真登/凪白 みと  MF文庫J

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

大丈夫なの!! まったくもってその通りなの!!!!!!

公園で見かけたボロボロの貫頭衣を身に纏った銀髪の美少女。
あざとい笑顔と快活な声で親身な言葉をかけているが、手には『全肯定奴隷少女:1回10分1000リン』と書かれた怪しい看板? どうやらお悩み相談を受けているようで――。
「奴隷少女はあなたのお悩みを全肯定するの!!!!!
さあ!! 日々のお悩みを叫ぶといいのよ!!!! えへ!」
たかが10分。されど10分。人生を変える言葉がその10分に詰まっている! 自分の歩む道に迷い、悩む、そんな頑張るあなたの弱った心に寄り添う、癒しの全肯定ファンタジー!


まったくもって面白かったの!!!!!!!!!

って、奴隷少女ちゃんの真似事なんてしてしまうと、イチキちゃんみたいに恥ずかしい事になってしまうので自重自重。
というわけで、先ごろGA文庫新人賞にて【処刑少女の生きる道(バージンロード)】にて大賞を受賞した佐藤真登さんの、新作第二弾。それが、この【全肯定奴隷少女:1回10分1000リン】であります。
全肯定奴隷少女:1回10分1000リンってなんぞそれ、と思わずタイトルを凝視してしまうだろうそれは、すなわち作中で件の看板を掲げて公園の真ん中で経っている奴隷姿の少女を目の当たりにした登場人物たちと同じもの。そうやってクエスチョンマークを頭上に浮かべて見守る先で、奴隷少女ちゃんとそのお客となる人たちの人生模様が繰り広げられていくのである。
一回1000リンを払うことで、様々な愚痴や悩みを吐き出す依頼者を十分だけ全肯定してくれる奴隷少女ちゃん。そのハスキーボイスから繰り出される全肯定に基づく勢いの良い励まし、応援、共感はまさに癒やし。日々積もっていく仕事のストレス、行き詰まっている問題や悩みを、奴隷少女ちゃんの全肯定はスカッと吹き払ってくれるのである。それはまさにメンタルヘルスケア。人の心の闇を、少しだけ晴らしてくれる救済のお仕事なのだ。
田舎から都会に憧れて飛び出してきた冒険者見習いのレンは、とある中堅パーティーに採用され、まずは荷物持ちからとダンジョン攻略に参加出来ることになる。しかし、所詮は右も左も分からない素人であり初心者。思い描いていた想像とは全く異なる自分の未熟、何も知らない不見識、ただただ何も出来ないという現実を思い知らされる。
そんな折に、公園で奴隷少女ちゃんとその顧客のやり取りを目撃することになるんですね。自分の檻に閉じ籠もるのではなく、他人の悩み、他人の愚痴を耳にすることでこの世の中、自分ひとりが悩んで闇を抱えているわけじゃない、という当たり前のことに気づくのだ。そんな風に、レンくんは自分の弱さ、情けなさ、みっともなさと向き合いながら、時に自分も奴隷少女ちゃんに励ましてもらう機会を得ながら、一歩一歩成長していくのである。

全肯定、そんな言葉を尽くして人を癒そうとする少女がメインだからか、本作はとかく言葉が重きを成している。語りかける一言一言に、無視できない力があり、心に届く強さがある。言葉ヅラだけの、表面上だけの薄っぺらな肯定ではない、全身全霊の肯定があり、それを受ける側にも全力で受け止める下地があるんですね。
この巻において、二度だけ奴隷少女ちゃんがお金のやり取り抜きに言葉を語りかけてくれるシーンがある。普段は看板で口元を隠して、お金を払うまでは微笑んだまま一言も発しない彼女だけれどに、二度だけ金銭を介さぬ形で、レンに語りかけてくれるシーンが有るのだ。
その時の台詞に込められた、あまりの優しさ、温かさには今思い返しても痺れるものがある。あれほど、慈愛という質量が込められた台詞があるだろうか。人を肯定するとは、実は生中なことではない。しかし、あの2回のシーンには確かにこれ以上ない「全肯定」が存在している。

しかし彼女「全肯定奴隷少女」は肯定するばかりの存在ではない。あの全肯定の看板の裏には「全否定奴隷少女:回数時間・無制限・無料」なる表記があり、下手な以来には奴隷少女ちゃんは敢然と看板を裏返して、全否定を突きつけてくるのだ。あの凄まじい罵倒の嵐は、なるほどある種の界隈にはご褒美かもしれない。
そんな奴隷少女ちゃんとは一体何モノなのか。彼女がチンピラに絡まれたあたりから、その謎さが浮き彫りになってくる。彼女の正体については、主人公のレンが預かり知らぬ場面でこの国の過去、後年前に起こったという革命の話と合わせて徐々に明らかになってくるのだけれど、全肯定奴隷少女という名目は伊達ではないんですよね。
そのバックストーリーは、救国の勇者の登場、或いは帰還とあわせてようやく扉が開かれたところで、その中を除くのは2巻以降の話となっている。もっとも、その開けられた過去と今とを繋ぐ扉の前で繰り広げられる攻防こそが、この第一巻のクライマックスにして目玉になるのだけれど。
全肯定奴隷少女の全肯定、彼女が今までやってきたことの意義を示すための抗いであり、弱い弱い新人冒険者レンの情けなくみっともなく、しかし最もカッコいい戦い。
このレンくん、微妙に雑魚気質があるんだけれど、がんばり屋で直向きでイイ子なんですよねえ。時々、ナチュラルにクズ男ムーブかましてしまうところも含めて、実に可愛い主人公なのである。
同じパーティの先輩方がすごく可愛がってるのもよくわかるんだよなあ。
ちなみに、彼が所属したパーティーってこの世界、この街の基準ではどのくらいなのかはわかりませんけれど、客観的に見て相当にホワイトです。成果報酬制だけじゃなくて、月給+成果に応じたボーナス。緊急の場合のためのパーティー内貯蓄あり。というなにこの超ホワイト企業並。しかも、ド素人だったレンくんに対するケアやフォローもしっかりしていて、彼自身の努力あってこそなんですけど、パーティー全体が彼を育てることを重視して動いてくれてるんですよねえ。個々人もみんないい人ですし。
そんな中で唯一、レンに厳しくあたってくるのが年下の先輩という女魔術師。意識高い系で自分に厳しく他人にも厳しい彼女が、もうひとりのヒロインなのでありますが、最初はとにかく嫌な先輩なんですよね。その尖った性格にはもちろん理由があり、彼女にはひたすら強くならないといけないという理由と覚悟があるからこそなのですが、ヌルい態度で素人丸出しなレンは当初はもう目の敵にする感じで、レンもそのお蔭で序盤は随分と悩むことになります。
その態度も、レンの努力と精進でなんとか見れる冒険者になってきたことで徐々に解消され、見直されていくことになるのですが……。レンの大失敗をきっかけに、彼女との関係もまー、えらいことになっていくのであります。おおむね、レンの誤解を招く言い方とタイミングの妙が悪いんですけどね!
正直、この一巻でレンに妙に意識させられてしまって狼狽えだす女魔術師もこの時点で相当に可愛いのですけれど、本番はまさにあのラストシーンの直後からはじまってしまうんですよね。
ウェブ版の連載時でも、まさにあの直後から女魔術師の人気が起爆爆発してしまう、凄まじいまでの女魔術師タイムがはじまってしまうのですが、それはもう2巻に乞うご期待ということで。
いやあ、あの時期は私も更新されるたびに、あまりの甘酢っぱさと彼女の蠱惑的なあれこれに悶絶しまくってやばいことになってたんだよなあ。あれは本当に凄まじかった。凄まじいとしか言えない凄まじいラブコメ模様だった!
ちなみに、この女魔術師の名前ってウェブ版ではその女魔術師タイムが最高潮に達した瞬間についに作中で描かれる、という悪魔的所業がなされていて、滅茶苦茶効果的だったんですよね。
同時に奴隷少女ちゃんの本名もあかされる、という二重構造の名前公開になっていて、演出としても非常に効果的だったのだけれど、さすがに書籍版だとそこまで一巻ではたどり着かないということで、女魔術師ちゃんの方はちょっと早いタイミングでレンの口から名前が飛び出すことに。
タイミングとしてはウェブ版の方が最高とは思うんだけれど、こっちもレンが彼女に最初にちゃんと認めてもらえた、というシーンでのことなので繰り上がりのタイミングとなってしまいましたけれど、これはこれで良かったんじゃないかなあ。

ほぼほぼ戦闘シーンとはかけ離れた日常シーンの中で物語が繰り広げられる作品なのですけれど、背景となる世界観の設定は佐藤真登さんらしい魅力的で独特なもので、まずダンジョンの設定からして他とは一味違ってるんですよね。人の集まる場所に生じるので大概街中に存在していたり、人々が発する強い思いに応じて、魔物や素材なんかが発生するので強い悪意や負の感情が生じる事件が発生するとダンジョン内でもそれに応じた凶悪な魔物が発生したりする、という設定なんぞは街中で起こっている出来事や事件がダンジョンにそのまま連動しているというのは物語上も結構重要だし、展開の妙にも繋がっているんですよね。
魔法なんかの設定もかなり捻ってて面白いですし、あの度々登場する聖女イーズ・アンとか、色んな意味でとんでもないもんなあ。今までフィクションで出てきた「狂信者」というカテゴリーへの認識を一変させてくれたとんでもないキャラですし。
奴隷少女の妹だというイチキの方も、まだチラ見せ程度の出演、というにはなかなか濃い出番で、女魔術師との出会いと関係は後々もかなり大事な意味を持つのですけれど、彼女の見せ場についても(ラブコメ的な意味においても)これからこれから。

やー、ウェブ版からもちょこちょこと改稿加筆されている部分もあり、改めて読み直しても胸にダイレクトに届くものがある、最高の面白い傑作でありました。GA文庫の方の【処刑少女の生きる道】とはまた毛色に違う作品でもあり、あちらを読んだ方でも新鮮な感じで頁をめくれるのではないでしょうか。
ラブコメ的にフルバーストモードに入る第2巻が、今からヤバイくらいに楽しみになってます。やばいやばい。

佐藤真登作品感想

Landreaall 33 ★★★★★   



【Landreaall 33】 おがき ちか ZERO-SUMコミックス

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

アトルニア王国の地下ダンジョンを巡回する騎士団の大哨戒に参加したDXたち。
無事討伐と巡回を終えた迎えた帰還の日--地脈に変動が起こり、坑(ピット)の座標が狂ってしまった!
閉じかける門に飛び込み、DXたちの部隊に合流したイオンだったがそこにはDXはおらず--!?

緊迫と興奮のダンジョン編を収録した第33巻!!

いかん、面白すぎて久々に感想手がけてしまった。
ダンジョン遭難編、大事件大事件大事件! スピンドル事件以来の学園での大トラブルである。今回は学園そのものじゃなくて、騎士見習いたちが巻き込まれてしまった事件ということになるけれど、いつものメンツだけじゃない総メンバーでの大事件となるとやっぱり盛り上がるんですよね。
浅層での探索のはずが、階をワープするための坑(ピット)の行く先がランダム設定となってしまい、未倒の深層に落ちてしまう、という展開は定番ながらやっぱり盛り上がるんですよね。
ただ、完全に音信不通になってしまうのではなく、ランダムに通路が繋がる坑や王城の転送門から聞こえてくる声や、コンタクトを取ることで設置された救出本部が着実に状況を把握して、各小隊の現在位置を特定して、可能な限り誘導を開始する展開は凄く好き。相変わらず、この作品の大人たちなみんな優秀なんですよねえ。
それでも、転送ゲートが時間とともに狭くなっていって、閉じてしまうというタイムリミットが設定されてしまったので、上で救出の指揮を取る人たちも地下に救出に向かった人も遭難している面々もそれぞれがいちいち迷っている暇なく、キビキビとスピーディーに即断していく、その決断や行動の速さが物語自体をグイグイと推し進めて、目まぐるしさに必死についていきながらついついワクワクしてしまうんだ、これが。
一応、地下王城ダンジョンは徒歩でも上がり降り出来るようにもなっているらしく、ピットや転送ゲートが使えなくなっても行き止まりになってしまう、というわけではないのだけれど、それでも入念に準備をして潜ったわけじゃなく突然放り出されてしまったわけですから、食料やキャンプするための準備もこれまで消費した分もあるわけで、そう簡単にはいかないものなあ。

ともかく、みんな判断が暴走していないんですよね。止める間もなく飛び込んでしまったイオンにしても、飛び込んだ先で現状を確認したらそこのメンツを取りまとめて、上層へのルートを確保して脱出するためにDXたちを探しに下に行くわけでもなく、ちゃんと的確に動いてますしねえ。
ルーディーと五十四さんとのやり取りも、忍者な五十四さんが主人である竜胆のもとに戻ることに拘らずに、ルーディーの意見を汲み取って彼に竜胆の刀を託してけが人込みの隊を上層に誘導する役を負ったりするの、意見と指摘と説得の肯定がほんとにしっかりしていて、何もかもが速いにも関わらず各人の発言行動にはちゃんとした中身が詰まっているので性急さが全然ないんですよね。最適に速い、というべきか。
おかげで、本当に危ない場面に陥りそうだったところにしっかりと手が届いていて、最悪の展開は避け続けられることに。これ、ほんとに現場と後方が速攻でガッチリ噛み合って最善を尽くせる体制を作れたからですよね。イオンやライナスの突入など、ほぼほぼなし崩しに突貫で応急を繰り返して綱渡し出来たからでもあるんだろうけど。
ゼクスレン教官の腕を犠牲にする覚悟の転送門の確保や、神官騎士長の活躍など後方支援体制の確立が肝だったんですよねえ。特に神官騎士長、いや転送門が異常をきたしたときの反応みて、この人大丈夫かと思ってたんだけど、蓋を開けてみるとなにこの折衝の神様w 後方支援体制の確立、ほとんどこの人が立役者でしょう。こういうトラブルになると真価を発揮する人、組織間の折衝、仲介、こういうおじさんの仕事しっかり書いてくれるの、ほんと好きです。アンちゃんの「名もなき国宝級の能力があるものだなあ」というセリフには、思わずニヤニヤしてしまいました。

しかしまー、こういうトラブルになると真価を発揮するのはイオンとDXの兄妹もおんなじで。イオンちゃんの大暴れっぷりが清々しくて笑えてきます。オズモおじさんの「あれは小型のDXと思え」というコメントには思わず爆笑。いやそうだけどさ、そのとおりだけどさ。そろそろ、イオンも淑女淑女で押し込めているの限界になってきてるんじゃないだろうか。スピンドル事件でもイオンだいぶ動き回ったから彼女についてはだいぶ知れ渡ってきていますし、マジで女子の騎士枠誕生しちゃうんじゃ……。
いやでも、イオンの場合は騎士じゃないしなーw 完全ニンジャ互換である。敢えていうなら傭兵枠。
これに関しては相変わらずDXの方もおんなじで、騎士装備で全力戦闘するのってもしかして初めてでしたっけ? あの飛んでハネての戦闘法、鎧着て剣持ってだとやりにくそうとは前々から思ってたんだけど、実際動きにくかったのか!
ルーディーにそれでふてくされてるのか、とか指摘されてて目を丸くしてるDXにちと笑ってしまった。そんな風に屈託なく指摘してくる人ってそういえば居なかったなー、と。思い返してみると、DXってあんな表情してテンション下がってる時度々あったような覚えあるんだけれど、もしかしてその時もふてくされてたりしたのかw

なんやかんやで合流したり別れてしまったりの末に、いつものメンバー、DX、竜胆、ライナス、ルーディー、ティ・ティ、フィルの六人が揃うと、ああいつものメンツだ、とばかりに一気にテンションあがってしまいますわ。安心安定のメインメンバーズ。合流した途端、混乱している状況をDXがあれこれ指示して指揮することでストンと状況が整理されて混乱が収まるシーンは、爽快ですらありました。
DXをパーティーリーダーにして、地下34階から全員で踏破脱出、と目標も定まり、いざ地下王城ダンジョン編、クライマックスへー。

……やっぱり面白いなあ、ランドリオール!! 楽しい、ひたすら楽しい!!


巻末のプチリオールでは、あのクエンティンとユージェニのその後の詳報が。クエンティン、生き残ったとはいえ、あんな有様になっていたとは。かなりギリギリの状態だったんですね。この掌編での出会いによって、最悪は逃れられたみたいですけど。
にしても、この作品世界の「馬」はほんと素敵な存在だなあ。この馬、ユルドゥの姉のフルムって、砂漠編でDXと出会ってたあのレディのことなのか。これもまた縁だなあ。


おがきちか作品感想

幼なじみが絶対に負けないラブコメ ★★★★★   



【幼なじみが絶対に負けないラブコメ】 二丸 修一/しぐれうい  電撃文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

幼馴染みが負けフラグの時代は終わった? 予測不能なヒロインレース開幕!

幼なじみの志田黒羽は俺のことが好きらしい。家は隣で見た目はロリ可愛。陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系と文句なしの最強である。
……でも俺には、初恋の美少女で学園のアイドル、芥見賞受賞の現役女子高生作家、可知白草がいる! 普通に考えたら俺には無理めな白草だけど、下校途中、俺にだけ笑顔で会話してくれるんだぜ! これもう完全に脈アリでしょ!
ところが白草に彼氏ができたと聞き、俺の人生は急転直下。死にたい。というかなんで俺じゃないんだ!? 俺の初恋だったのに……。失意に沈む俺に黒羽が囁く――そんなに辛いなら、復讐しよう? 最高の復讐をしてあげようよ――と。
うん、タイトルがさ、ほら、【幼なじみが絶対に負けないラブコメ】じゃないですか? 普通、幼馴染が他のヒロイン蹴散らして圧倒的な勝利を掴む、言わば幼馴染TUEEE作品だと思うじゃないですか。古来より幼馴染ストとして肩で風を切って生きてきたわたくしとしましては、到底無視できる作品ではなく、ダラッシャー!とばかりに幼馴染蹂躙戦を堪能スべく手にとったわけですが。
あれ? 思ってたのと違うよ?
幼馴染の黒羽ちゃん、冒頭で既にフラれてるよ? 負けてるよ? 敗北してるよ? いいのこれタイトルと違うよ?
と思ったところから、思わされたところから、この最凶のラブコメは駆動を開始するのである。

もう笑った笑った。ヤバイなんてもんじゃなく、面白すぎて笑い倒してしまいました。バカウケ!
これね、主人公の丸末晴も、幼なじみの志田黒羽も、丸くんが焦がれる可知白草も、みんなぶっちゃけて言ってしまうと……人間としてちっちゃい!! 人としての器が小さい、狭い、せせこましい! そんでもって、心が醜い! 暗黒面拗らせすぎ!
そもそも、主人公からして好きになった人に彼氏が出来てしまった事実を前に……俺の初恋弄びやがって、許せん! 復讐してやる!! と、黒羽に煽られたからとはいえ、好きな人の幸福を祝福するどころか、自分を袖にしてくれたこと後悔させてやるのだ、と妬み嫉み僻みと負の感情を滾らせまくってしまうわけですからね。
そして実のところ、ヒロインである黒羽も白草もまた、丸くんと同レベルで人としての狭量さ、人間ちっちゃ! と言いたくなってしまう心の狭さを誇る同類項なのであります。
でもね、そんな人間としてダメダメだろう、という部分が彼らの場合なんでかねー、可愛いんですよ。凄く可愛くてしかたない。人の暗黒面なんて見てて不快になるものなのが普通なんでしょうけれど、彼らのはなんでか凄く微笑ましく、そのネガティブ全開な言動が愛おしくすら思えてくる。

だってこの子ら……アホですものw

そう、アホなんです。まあ自分の好きという感情よりも、復讐する方を優先してしまう時点で大概なのですが、彼らのアホの子としての資質はそんな程度でとどまらず、本末転倒、自爆特攻、一体何がしたかったのか!?とまず誰よりも彼ら自分自身がツッコむんだろうドツボのハマり方を自在にやり倒すありさまで。その自爆の仕方はもはや芸術的とすら言えるほど。
ほんともう、なにやってんのこの子らは、と思ってしまうそれは、まさにアホの子ほど可愛い、という格言のそれではないのでしょうか。
いやそれにしても、この丸くん、黒羽、白草の三者三様の目的と作戦と実行はほんと見事なくらい絡まり合ってて、物語の構成としてもエンタメの盛り上がりとしても抜群の一言なんですよね。
ラブコメ、と呼ばれるジャンルのコメディとしての部分をこれほど昇華さしめて成り立たせた作品もそうはないでしょう。ノリとテンポの良さでコーティングしつつ、根底の部分で構成の技巧の素晴らしさを感じさせてくれる作品でもありました。
それに、復讐だなんだ、と人としての醜さ、負の感情を全面に押し出しているにも関わらず、徹底して明るく痛快で気分爽快な仕上がりになっているのはなかなか特筆すべきところだと思うんですよね。やってることだけ見ると陰湿なはずなんだけれど、その陰湿さたるや非常にカラッとしてサッパリした陰湿さで、陰湿とは……と思わず言葉の意味を考え込んでしまうほどだし、彼らの内面と来たらひたすらネガティブな方向に凝り固まり拗らせまくっているにも関わらず、そのネガティブさと来たら何故か陽気でアップテンポのお祭り騒ぎ。いやだから、ネガティブとは……と思わず首をひねってしまう感じなのが、描写のやり方として何気に物凄く難しいことをヒョイヒョイっとやっちゃってるんじゃなかろうか、と思わず感心してみたり。
ともあれ、彼ら彼女らの復讐は、可愛さ余って憎さ百倍、という体を装いながらも憎しみの類などかけらもなく、ひたすら好き好き大好きを拗らせて、好きを暴走させているようなものだったので、それこそが作品全体を陽性たらしめていたのかもしれません。主人公の丸くんの、その人間性、キャラクターが掘り下げられ伝わってくる中盤以降、あっこいつすげえアホだ、とはっきりと分かってしまったからなのかもしれません。
いずれにしろ、物語が進むに連れて登場人物たちの思惑が明らかになっていき、抱える事情が自明のものとなっていくたびに加速していくこの面白さ、愉快痛快爆笑コメディ。それと同時に甘酸っぱさで絶妙な部分をくすぐってくれるラブコメのラブの部分も実に素敵で、黒羽と白草、その二人のヒロインの魅力で牽引してくれました。二人のヒロインとしての色んな意味での凶悪さがなければ、そもそも成立しない物語でありましたからねえ。さり気なく、あのカス極まる悪友の甲斐哲彦も折に触れていい動きしていて、あれはあれで助演男優賞でした。ああいうサブキャラが居ると物語として強い。
しかしこれ、やっぱりタイトル詐欺なような気もするし、あれは負けじゃないよノーカンだよ、とも言えるのでこれはこれでありなのか。
あれ、思いっきりフラれた方も実は挽回可能であることをもう片方が全編を以って証明してしまっただけに、完全にドローではあるんですよね。いやもう、改めて考えてみるとほんとアホだなあー!! やっちゃった方ww
いやもう、最高のラブコメでした。これ、きれいに終わっているとも言えるのですけれど、続くとしたらどう展開するのか、興味深いところです。

継母の連れ子が元カノだった 2.たとえ恋人じゃなくたって ★★★★★   



【継母の連れ子が元カノだった 2.たとえ恋人じゃなくたって】 紙城 境介/たかやKi  角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

元カノvs新カノジョ候補!? ぼっち系オタク少女・東頭いさな襲来!

親の再婚できょうだいになった水斗と結女は、元恋人同士。
両親の前では“家族”らしく振る舞うも、二人きりになるとあの頃の思い出が蘇り、やっぱりお互いが気になる日々で――。
そんな中、水斗の前にぼっち系オタク少女・東頭いさなが現れ、二人はすぐに意気投合! 図書室で放課後を過ごす関係に!?
ただの気の合う友達だと真顔で言い張る水斗といさなの、友達以上な距離感に結女はやきもき。しかも、
「わたし、水斗君の彼女に、なれますか……?」
徐々に水斗への恋心を自覚していくいさなを、”水斗の義姉(おねえちやん)”として応援することに!?
恋と友情ときょうだいの絆が錯綜する、『水斗攻略作戦』が始まる!
プロローグから殺しに掛かってるんですけどーー!? 殺意高すぎるんですけどーー!? 悶絶死させる気満々じゃねえかぁ!!
もうなんですか、あれ〜。自分の勧めた本を水斗くんが読んでいく様子を傍らからジーッと見つめてる結女。ついさっき自分が読み終えた本だから、どのくらい読み進めた段階でどんな展開が待っているのか当然知っている結女は、その展開ごとに水斗くんがどんな想いを抱くのか、どんな風に感情を揺らすのかを、彼の横顔をジーッと見守っているのですよ。そんでもって、自分が読んだ時と照らし合わせながら、共感したり思わぬリアクションに驚いたり、期待通りの反応に内心ニマニマしてしまったり。
人が本を読んでいる姿がこんなに色彩溢れているのか、と驚くようなシーンであると同時に、それだけ結女の目から見る水斗くんの姿が鮮やかということでもあるんですよね。ほんと、めっちゃ見てるんですよ。水斗くんが本の中にのめり込んでいくのを、傍から見ていてちゃんと把握しているし、彼が読んでいる時に何を考えているか、とか細かな仕草や表情の変化の捉え方がいやもうどれだけ見つめてるんだよ、というくらいなんですよね。その見つめていることそのものが、楽しそうで。
この場面の二人の様子を思い描くだけで、なんかもう悶絶してしまうのである。なんかもうたまらん気分にさせられてしまう。初っ端からなんという凶悪なシーン打ち込んでくるんだ、この作品は!!

でも、結女のこの視線って、多分中学生の頃の彼に恋していた頃ではきっと生まれ得ない視点だったんだろうな、とも思うのである。中学生の頃の結女は、水斗のことが好きで好きでたまらなくて、だからこそ「好きな人」という部分に意識の大半を奪われてしまって、果たして水斗という等身大の少年をどこまで直視できていたのか、怪しい部分がある。彼のどんな姿を見ても、そこの「恋」というフィルターが挟まってしまっていたのではないだろうか。
今、この時水斗の読書する横顔をジーッと眺めている結女の眼差しは、あの頃に比べるととても率直にこの新たに出来た家族である少年を見つめている。
だから、彼に対して生まれる感情は、見つめたその先にあるのだ。前のようにフィルターを通した先にあるのではなく。お互いを全部さらけ出して、お互いの様々な側面をもう一度知り直して、お互いの等身大を目の当たりにしたその先に、もう一度芽生えたものなのだ。
このプロローグはその象徴的な1ページであり、この先の物語はそうして芽生え始めたものを、新たに横から割って入ってきたファクターによってお互いにどう処理するべきか考え始める、そのきっかけとなるエピソードである。

と、言ってもその重要人物となる東頭いさなの登場は後半から、となる。前半を引っ掻き回してくるのは、前巻で友人となった南暁月と川並小暮の両名だ。
この二人がまた曲者であると同時に、何気に伊里戸兄妹を上回る地雷持ちなのである。サイコレズの看板を背負って結女に迫り、水斗を引っ掻き回した暁月だけれど、この巻では結女の親友として相棒として、思いの外存在感を示しながら立ち回るのであるけれど、ただの脇キャラじゃ済まない様相を呈してくるのが、川並小暮と暁月が実はマンションの隣同士の部屋に住む幼馴染であり、しかもどうやら水斗と結女と同じく交際していて、盛大に失敗した元カレ元カノ同士であるらしい、というのがわかってくるあたりからなんですよね。
あくまでメインが伊里戸兄妹二人の視点で進むために、詳細は不明なのですけど友人の家でのお泊り回でその一端が明らかになり、この元カップルの幼馴染同士の微妙過ぎる距離感がわかってくると、小暮のあの妙に傍観を気取りながら変なところに地雷ポイントがあるところや、暁月のある一定のラインを超えると尋常じゃなく重いキャラになるところなど、想像の羽が羽ばたくところが怒涛のように湧いて出てくるんですよね。思えば、結女たちのように突然家族となり同居生活になる、というわけじゃないけれど、この二人隣同士で住んでるだけあって普段の生活範囲や行動パターンは完全に重なっているし、別れても即他人というわけに行かず、物理的にも精神的にも離れられない距離に居る、という意味では伊里戸兄妹と似た傾向にあるとも言えるわけです。
しかし、そこは幼馴染という関係を理して、適切な距離感というのを保ってきていたはずだったのが。二人が伊里戸兄妹ともっとも親しい友人になってしまい、必然的に今まで以上に顔を突き合わせる機会が増え……でも、それだけなら今までの「適切な」距離感が揺らがなかっただろうところに、間近でその適切な距離感を取れずにトンデモナイ勢いでグルングルン揺れまくってる自分たちとよく似た関係の元カップルが暴れまわる余波をもろに真横で受けているがためか……どうも、こっちの幼馴染たちも煽りを喰いはじめている感があるんですよね。まだ兆候だけですけれど、しかし無視できない兆候が。正直、結女たちの裏側で着々と変質しつつあるこっちの幼馴染たちの動向もめっちゃ気になるところなんですよーー。

と、思わずメインの二人ならざるカップルの方で語ってしまいましたが、やはり最強にラブコメしまくるのはメインのお二人、水斗くんと結女の兄妹なわけで。
結女の方がもうこれ、一巻の最初の頃にはまだ保っていた平静が、二巻ではもう殆ど保たれてないんじゃないですか、これ!? いや、これはもう水斗くんが悪いとも言えるんですけどね。このカレ、ズルいですよ、絶対! 席替えのときとか、あれなんですか? 中学のときには忘れていた合図を、あのタイミングでやっちゃうとか、そんなん結女ちゃん死ぬに決まってるじゃないですか。あんなんされた日には、平静でいられるもんですかい。そもそも、結女が水斗くんを好きになったきっかけというのが、自分を対等の存在として意識してもらったこと、認めてもらったこと。
自分を見ていてくれること、それこそが結女にとっての最大の急所だったわけですよ。それをこの男と来たら、この巻だけで何回そのポイント、急所目掛けてクリティカルな会心の一撃を叩き込みました? ここぞというときに、一番強烈なやつをぶちかましてくるわけですよ?

死ぬわ!!

見なさいよ、今回結女ちゃんほぼ瀕死じゃないですか。そこ触られたら死んじゃうって場所をピンポイントでグリグリ刺しやがってからに、この男は! この男は!!
控え目に言ってももう、結女って伊里戸がいないと生きていけない身体にされてしまったんじゃないだろうか。
しかも、水斗くん無自覚でやってるわけじゃなさそうなんだもんなあ。一度、結女の方がちゃんとした「適切な」距離を取ろうとした場面があるんですよね。兄妹として、別れた元カップルの友人同士として、感情的に割り切った適切な距離感というものを、結女からちゃんと取ろうとした時にこの男ときたら。
普段、シレッと素知らぬ顔して知らんふりしているかのような平然とした態度とっているくせに、いきなりガッと来て、ガシッと手を掴んで、グッと無理やり引き寄せて顔寄せて、その態度気に食わない! ですからね! しかも、結女が思わずアヘ顔になってしまう結女理想の装いにわざわざ着替えて。
もう思わず「きゃーーー!」ですよ。少女漫画見て色めき立つ女の子か、という勢いで読んでるこっちが黄色い悲鳴ですよ。
もう、きぃゃーーーー! だよ!
うん、もうこの男、ズルいわ。ズルいズルいズルい。格好いい……。
いやこいつ、絶対モテるわ。そりゃモテるわ。
後半に満を持して登場のいさなも、この娘はこの娘で言うてしまうとエキセントリックなんだけれど、うん惚れるわなあ。わかる、わかりみ。
なんかこう、面倒くさかったり自分で自分をコントロール出来ない系女子からすると、そういう暴走しがちな面も含めて、理解してくれて逆にうまいことコントロールまでしてくれる身も心も行き届いたフォローをしてくれる優しくて頼りがいのある男性、とか。普通に接したら死ぬよね、死ぬわ。
いやー、いさなもまた結女とはまったく別のベクトルで面白すぎる娘なんだけど。ってか、同じ文学少女で引っ込み思案とはいえ、昔の結女とこのいさなって全然キャラの方向性違いますよね。最終的には異世界人呼ばわりされてしまう価値観と言うかメンタリティの持ち主ですけど、そもそもマイペースだし内気というわりに自己主張激しくてイイ性格してますし。あんまりぼっちらしくはないなあ、と思ったけど女の子グループの中に入ってやってけるタイプでは全然ないな、うん。
全部終わった後の「「ちょっと面貸せや」」には思い切り笑ってしまった。うん、あれはズルいよw
一連の、あの男人の心を持たんのか!? も終始笑いっぱなしだったし。
あー、面白かったなあ。なんかもう、読んでいる間中ハートがあっちに引っ張られこっちに弾み、と落ち着いている暇がないのですよ。ずーっと揺さぶられて弾まされて。
ドキドキして、ワクワクして、ニヤニヤして、キューーンってして。
ラブコメの醍醐味を味わい尽くしているような、そんな幸せ。読書における最高の味わいなんじゃないでしょうか。
1巻に引き続き、2巻もまた紛うことなき最高傑作でありました。
3巻はまだウェブ連載のストック全然ないそうで、最近連載再開しているみたいですけど、私も書籍版の方で新鮮な多幸感を味わいたいので読まずに居てます。なので、ほんとーに楽しみにしつつ、夏頃予定というのを信じて次巻を待ってます、待ってます!

1巻感想

昔勇者で今は骨 4.わたしからあなたへ ★★★★★   



【昔勇者で今は骨 4.わたしからあなたへ】  佐伯 庸介/白狼  電撃文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

骨になっても心は勇者な冒険者(※ただし骨)が往く、異世界ファンタジー!

『あ~故郷の香りっス~』
かつての愛船・ソカリスヘヌ号を修理するため、北方のオルダネル帝国を訪れたアルとイザナ。
そこで出会ったキメラの少女を救う為、断崖の街ガイムラを訪れたアルだったが、ひょんなことから封印された“神の骨”を探すことに。
いつものお気楽な冒険になるはずが、アルの魂が神の骨に取り込まれてしまったことで事態は急変し――
(あれ? もしかして俺マジで消し飛ばされる五日前って感じ。なのでは?)
骨になっても心は勇者、コツコツ世界を救ってきた最強冒険者もついに昇天!?
うぉお、テンション上がったぁ! 面白かったぁ!!
前回にも増して今回は登場人物も多い上に、各メンツが分散して行動していて場面転換も多かったのだけれど、どちらかというととっ散らかった印象があった前巻よりも遥かに物語として収斂していて、クライマックスなんぞ二箇所同時上映みたいな感じで同時進行していたにも関わらず、ギューっと凝縮された纏まりがあって、盛り上がりにしても燃え上がりにしても満足度充足度が半端なかったです。文句なしに滅茶苦茶面白かった。
というのも、やはり主題が一つのテーマで統一されていた上に、能力の上下関係なく登場人物全員に出番と重要な存在意義があって活躍度に過不足がなかったからなんでしょうね。お蔭であっちこっち場面飛んだり、そのシーンで動くキャラクターが次々と変わっていっても、物語として一点に流れが収斂していっているので、全体として一本の筋として意識が滑らずに集中して深みにハマっていくことが出来て、素直にお話にのめり込んで行けたんですよね。
そこに、話の盛り上がりの連鎖が登場キャラの活躍シーンやテンションを増し増しにする展開が多い分、それが多段加速効果となってたように思います。これはエンタメものとしても構成が抜群だったんではないでしょうか。これのお蔭で読後の満腹感が凄かったもんなあ。

「わたしからあなたへ」。これが今回のサブタイトルだったのですが、まさに今回のテーマはこれ。
受け継がれていく想い。今回のキーパーソンに滅種博ペルゼンという絶滅種の骨を蒐集する人物がいるのですが、彼がまさにその象徴的な人物でもありました。滅びゆく種が居た証としてその骨を蒐集する奇矯な人物。ある意味行き止まりの終焉を担っているような在り方に見えるかの人なのですが、その実はむしろ正反対。彼の真の目的、そして彼のもとに築かれた行き場をなくした希少種たちが集った街の姿は行き止まりの終わりなどでは決してなく、それは潰えて消えていくものを残し、先へと繋げ、届けていくための一つのカタチだったのです。
そんな彼のもとで偶然生じた死体の複合キメラである〇三。幾つもの希少種の亡骸をつなぎ合わせて生み出された彼女は、本来何も生み出さず何も残さず消えていくだけのゾンビという行き止まりの存在だったはずでした。しかし、その肉体に生じた意志は彼女の体を構成する部位である希少種たちのこれまで生きた証の残り香であり、終焉の街で眠りについた彼らの最後の安息の地への優しい思いを引き継いだ魂であり、だからこそアルに導かれて自らの生じた理由とその意味、そしてこれからなすべきことを思ったときに、彼女は気づくのです。終わったはずの自分でも、生きていない自分でも、子供を生むということも出来ない自分でも、自分の中に託されたもの、宿ったものを繋いでいける、受け継いで貰える、先へ未来へと送り出していけるのだ、と。
同時に、それは彼女〇三だけではなく、この物語に登場する幾多の人物にも該当する主題でもありました。それは師弟の話でも在り、姉弟の話でも在り、仮の母娘の話でも在り、船に宿った魂の話でも在り。
そして、そんな人のあり方を、想いの後継を、示された勇を、束ねて集わせて力に変えて先へと繋げていく存在こそ、勇者と呼ばれる者だったのかもしれません。個々の小さな可能性を、背中を押す願いに変えて、束ねて未来を手繰り寄せる力へと成す。
それこそが、勇者アルヴィスの強さであり、ならば今回はあの元竜王ダイスくんも見事に勇者やってたんじゃないでしょうか。
しかしまあ、勇者が想いを束ねてつなげる存在なのだとしても、アルにしてもダイスにしても放っておくとフラフラと人との繋がりを放り出してどこかへ行ってしまいそうな人たちなのですけれど。むしろ、周りの人たちが無理矢理に繋ぎ止めておかないと一人で消えていってしまいそうな人たちなのですけれど。そう考えると難儀な連中だよなあ。まだ人たらんと自分を律しているダイスくんの方がこの場合、根っからの根無し草なアルよりもマシな気もするけれど。無理やり構って丁度いいくらいですもんねえ。
ただし、構うにしてもアルにしてもダイスにしても、階位があまりにも高すぎて、並んで歩くどころか後ろからついていくにも一苦労。だから、凄まじい覚悟と努力が必要になってしまう。
自然と化物クラスの力量が必要になるわけで、ミクトラとハルベルは死に物狂いでそれを成し遂げようとしているお蔭で、無事にイザナやフブルさん級の化物クラスに足を踏み入れつつあるようで、毎度ながらアルたちよりもこの娘たちの方がよっぽど無茶してるような気がするぞ。アルやダイスが持ち得る能力を存分に振るっているのに対して、彼女たちは自分の限界を何度も何度も突破して血反吐を履くことでようやく追いかけているわけですからねえ。
彼女たちですらそうなのですから、秀才ではあっても一般人の範疇であるハルベルの級友であるペリネ、ダステル、ゲルダの三人組は今回ほんと頑張った。あのダイスをして勇を示した、と最大限の敬意を払ったくらいであり、彼の価値観をひっくり返したわけですからね。今回は誰も彼もが大活躍したわけですけれど、MVPはこの三人でしょう。それに、彼らは現状で満足なんかしないでしょうしね。それこそ、ハルベルにだって追いついてくるかも。
あと、なにげに影のMVP、地味に功労賞、あんたが一番、な活躍してたのってデケニーさんだったような気がします。この人、縁の下の力持ちすぎるw
これまでの登場人物根こそぎに登場させ活躍させての、集大成にして総力戦。見事なまでの盛り上がりは、なんか涙出てくるほどの感動すら抱くものでした。これぞ、エンターテイメントの傑作という逸品、心より堪能したぞーー!!

1巻 2巻 3巻感想

継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない ★★★★★  



【継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

ある中学校である男女が恋人となり、イチャイチャして、些細なことですれ違い、ときめくことより苛立つことのほうが多くなって……卒業を機に別れた。
そして高校入学を目前に二人は――伊理戸水斗と綾井結女は、思いがけない形で再会する。
「僕が兄に決まってるだろ」「私が姉に決まってるでしょ?」
親の再婚相手の連れ子が、別れたばかりの元恋人だった!?
両親に気を遣った元カップルは、『異性と意識したら負け』という“きょうだいルール”を取り決めるが――
お風呂上がりの遭遇に、二人っきりの登下校……あの頃の思い出と一つ屋根の下という状況から、どうしてもお互いを意識してしまい!?

もう好きーーーー!!

完全にどストライクでありました。これって、未練を残したままの恋愛のやり直し、とはまた少し違うんですよね。一度は確かに終わった恋愛なのである。気持ちは冷めて、感情は沈静し、相手の何もかもを好意的に感じられていた時間は遠ざかって、相手の言動の何もかもが癇に障る。
初めての恋愛で舞い上がっていた心が、地面に降りてきてしまった。そうなると、むしろ想いは反転してベクトルは逆へと向かい、冷静とはまた違う逆立った視点で相手を見るようになってしまう。
それもまた感情的であるからこそ、拒絶へと繋がってしまうんでしょうね。
未練を引きずっていたわけではない。まだ実は好きだった、なんてことはない。この二人、水斗と結女の恋愛は、完全に終わったそれであったのです。
だから、この二人の二度目の義兄弟としての再会は、家族としてはじまった二度目の関係は、延長戦ではなく、ニューゲームなのだ。ただし、前回の感情の記憶を残した二週目の、ただ甘いばかりだった前回とは異なる、お互いの嫌な部分も私生活も何もかも曝け出した上での、リスタートなのである。
二人の回想から語られる中学時代の恋人時代の思い出は、中学生らしいというべきか、実に初々しく恋愛という事象に浮かれきった実に甘酸っぱいエピソードばかりで……まあ当人たちからすると思い出すだけでSAN値がガリガリ減っていく黒歴史でありました。曰く、狂気の沙汰、愚かの極み、今になって冷静に振り返ると頭がおかしくなっていたに違いない、花畑が咲き誇っていたという表現で過去の自分を罵り、恥辱に七転八倒する水斗と結女。まあ確かに、他人事で見ていても微笑ましくもこっ恥ずかしすぎて、直視し難い思い出ばかりである。これも年月過ぎて大人になったあとに振り返れば、苦笑とともに飲み込めるのかもしれないけれど、未だ記憶が薄れる前にその当事者と毎日自宅で顔を突き合わせるはめになってしまったのである。まさに、黒歴史と暮らす生活である。
面白いのは、彼らが付き合ってた事については、家族どころか友達も全然知らない、まさに二人だけの秘密、なところなんですよね。だから、周囲には過去に付き合っていた素振りなんかを見せられないし、図らずも秘密を共有して、秘密がバレないように協力する共犯者、という立場も維持しなければならない。
そんな新しい家族で共犯者で秘密の元カレ元カノ同士、という複雑な関係は、お互い好きというふわふわとした綿菓子みたいな関係性だけで完結していた中学時代の恋人時代とは、全く次元の異なる距離感を彼らに突きつけてくる。
そんな距離感から育まれていく関係というものは、お互いへの幻想だけを積み上げるだけで維持していたものとは違うものでありました。より深く踏み込んで、より深く相手の心を覗き込んで、より強く相手の意志を、感情を感じてしまう、浴びてしまう距離感。嫌いという感情ともしっかり向き合わなくてはならない関係。そこから生まれてくる淡い想いというものは、中学時代のそれとは全然別物の、でも想い出を引き継いだ、二重に補強されたものになるのである。
中学時代の恋愛が最後まで続くなんて、まさに夢物語。そんな当たり前の現実に則って終わってしまった二人の恋は、今度こそ現実に負けないものになるのかもしれない。

このラブコメの素晴らしいところの一つが、水斗の一方的な視点からの物語ではなく、水斗と結女の視点からのエピソードが交互に描かれるところでありましょう。これ、二人が主人公で二人がヒロインなんですよね。軽快でテンポのよい語り口で描かれる二人の日常は、実にエキセントリックな友人たちの登場と介入でどんどんとポップアップされていく。普段から落ち着いている水斗と比べて、根は大人しいのに調子に乗ると後先考えずにハシゴを登って、自分でハシゴを蹴っ飛ばして外してしまい高いところから降りられなくなって狼狽えまくる結女が、かなりポンコツ娘で最高に可愛いんですよね。盛大にやらかすもんなあ。
コミュニケーション強者なんだけれど、中学時代は大人しい文学少女だった頃の対人能力の低さが突然顔を覗かせてけったいな事になることも度々ですし、ポンコツ可愛い。水斗とのデート回なんて、変なスイッチ入りすぎて酷い有様でしたし、この娘は〜〜〜ww
でもニヤニヤがひたすら止まらないんですよー。イチャイチャするって、ベタベタするのとは違うんですよ。お互いのことすき〜すき〜って撫であうばかりがイチャイチャじゃないんですよ。
お互いそっぽを向き合っていても、憎まれ口を叩いても、誰も間に入れないくらい通じ合うものが垣間見えた時、そこに二人だけの時空間が誕生してしまっていれば、それはもう果てしないイチャイチャなのであります! いや、反発してるだけじゃあやっぱりだめなんですけどね。不意打ちまがいに訳のわからないレベルの超ゼロ距離の距離感を差し込んでくるのが凄まじい効果を発揮しているわけで。作者の紙城さんはこの手の、いやこのたぐいに限らず多種多様のイチャイチャ感の描き方で至極の域に達している方だと自分なんかは思っているわけですが、その中でも純粋なラブコメとして描かれた本作はちょっとそのへん極まってしまってるんじゃないでしょうか。
控えめに言っても、最高すぎる。これぞ、ラブコメ!! ラブコメですヨ!!

紙城 境介作品感想

東京レイヴンズ 16.[RE]incarnation ★★★★★   



【東京レイヴンズ 16.[RE]incarnation】あざの耕平/すみ兵 富士見ファンタジア文庫

Amazon
Kindle B☆W

「この夜が明けたとき、『新しい呪術の世』が幕を開ける」
昭和20年、戦時下の日本。東京を焼く空襲に、土御門夜光と相馬佐月は『双璧計画』の実行を決断する。それは『神』を降ろすことによって帝都を守る結界を築くという作戦だった。極めて壮大で難解で運命的な儀式の決行を翌日に控えた夜。「お待ちしています。幾瀬、幾歳の彼方で。私は―あなたのものですから」月明かりの下で咲き誇る向日葵、響く虫の音―ほんの一瞬の仮初の夏の夜に、幼馴染は約束を交わす。それは彼女の魂を長き旅へと導いて―。時を超え時を繋ぐ陰×陽ファンタジー。
多分、この作品において一番困難で繊細さを要求される部分こそ、「転生」における異なる人物の同一性だったのでしょう。土御門夜光と土御門春虎は異なるキャラクターでありましたし、それにまして飛車丸と土御門夏目は同一人物というのもおこがましいくらいの全く別人でありました。
魂が同一であっても、新しい生を得たからには全く別の人物である、というのが転生モノの大半の扱いでしょう。ただ、本作において魂の転生は時系列的にも一方通行ではなかったんですよね。むしろ、未来が先にあった。それは運命の出会いではあっても、すでに敷き詰められたレールの上を行くものではなかった。往還の旅路だったのでした。
あとがきであざのさんが、この過去編を一つのシリーズを書ききったようだ、と語っているようにわずか2巻ではありましたが、激動の時代を生ききった当時の夜光たちの人生が描き切られてたと思うんですよね。相馬佐月との最後の最期まで絶たれることのなかった友情、共有できた願い、約束。仲間たちと築いた黄金の時間。飛車丸との間に育まれた大切な思い出。彼らが残したものを、いろんな形であっても受け継いでいってくれた同じ時代を生きてきた人たち。そんな想いを引き継いでいった次世代以降の若者たち。
その果てに、春虎たちが生まれた時代があり、彼ら少年少女が懸命に戦った時代へとたどり着いたんですよね。この時代の変遷、まさに目の前で描き出された夜光たちの生き様と、その後の時代を見守り続けた飛車丸の眼があり、そして春虎としてコンとして夏目として懸命に足掻いた東京レイヴンズの物語が描かれたからこそ、ラストの合一になんらの違和も感じなかったのでした。
先ず、土御門混という女性と飛車丸という式神の分けられていた部分が、あの夜光の不器用な告白で合一なされたのが、また時代降って飛車丸がコンとして生きて、春虎たちと寄り添って一緒に生きた上で飛車丸へと戻ったことが、ハードルを引き下げることに成功していたのかもしれません。
それでも、夏目と飛車丸、あんなに違う人物だったのになあ。ここまでスッと、あのラストシーンで納得が行くとは自分でも不思議なくらいで、なんか感動的ですらありました。
ああ、夏目から旅立った魂が、飛車丸となって生きて恋して、そうしてまた夏目に戻ってきたという事実に、むしろ心地よいほどの合致感を得られたんですよねえ。
過去編はじまるまでは、コンと飛車丸と夏目に、とてもじゃないけれどイコールを結ぶなんて出来なかったのに。夏目が復活するにしても、飛車丸が喪われることに凄まじい欠落を感じていたのに。
全部、埋まってしまった。見事なくらいに、満たされた。
その感覚を思い返すと、この過去編は偉大ですらあると思うのです。

そして、二人の魂は再び出会い、未だ見たことのない未来へと進み出す。ちょっともう、びっくりするくらいドキドキしています。ここからどうなるのか。春虎と夏目が、これからどんなふうになるのか。ワクワクが止まらないのです。

それにしても、本当に見どころたっぷりでした、過去編。夜光編。佐月が期待してた以上にイイキャラクターすぎましたよね。ほんと、最期まで裏切らなかったもんなあ。彼に限らず、あの時代夜光とともに生きて輝いていた人たちの中に、悪い人はいなかったんですよね。結果として悪しきを成した人もいなかった。みんな全力で、やるべきことをやろうとしていた。
あの破綻は誰が悪いというのではなく、まさに時代であったとしか言いようがなく、そんな中で夜光が願っていたものが、とてもスケールでかく、一方でその芯となる部分はびっくりするくらいささやかであったことは、なんかすごく納得の行くものでした。あの願いもまた、春虎と夜光を不可分にしてくれた要素なのかもしれません。結局、なんにも変わっていないんだ、と確信させてくれた部分でした。
この東京レイヴンズは、一貫して春虎と夏目の物語であり、夜光と混の物語であった、ということなのでしょう。その意味でも、次からの展開は真の幕開けとも言えましょう。いやもう、ほんと次はもうちょっとだけでも、早く早くと急かしてしまいたいです。早く読みたい!!

シリーズ感想

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット 3 ★★★★★   

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット3 (電撃文庫)

【ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット 3】 渡瀬草一郎/ぎん太 電撃文庫

Amazon
Kindle B☆W

「んー…そこは私と海世くんの仲ですからーー」
《SAOサバイバー》にして、VRMMOの中限定の《探偵》クレーヴェル。そんな彼のリアルをよく知るいわくありげな美女の登場に、戦巫女・ナユタと忍者・コヨミは動揺を隠せない。謎の美女、リリカとクレーヴェルの関係とは?
その一方、現実世界のクレーヴェルの自宅では、ナユタのお泊りイベントが発生。微妙な距離を保ち続けてきた二人の関係に、大きな変化が訪れるーー?
VRMMO《アスカ・エンパイア》を舞台に綴られるもう1つの《SAO》の物語、ここに完結!!

ナユタ、これヒロインとして最強なんじゃないですか? 圧勝ですよ。クレーヴェルこと暮井さんについに手も足も出させずに完落ちさせてしまいましたよ!?
すげえ、唖然でした。それも、まったく小細工らしい小細工も使うことなく情緒的にも感情的にも論理的にすら一部の瑕疵すらなく、暮井さんを全く有無を言わせないまま堂々と正面から押し切ってしまったじゃないですか。
泰然と一歩一歩歩み寄ってくるナユタに対して、暮井さんが一歩も触れることが出来ないまま後ろに退いていき、そのまま崖下に転落していった、という表現が思い浮かんでしまうほど抵抗の余地なくやられてしまった感すらあります。
本来暮井さんほどの人だと、女子高生からのアプローチなんてほぼ一蹴、取り付く島もない扱いのはずなんですよね。事実、クレーヴェルは隙らしい隙は一切見せていませんし、女性に対しても決して主導権を握らせていいようにされるタイプじゃないんですよね。いやまあ傍若無人な姉に対しては振り回されてたりしましたけれど、あれでちゃんと首に縄はつけているようですし。
どちらにしても、まだ未成年の小娘なんぞがどうこう出来る男性ではないはずなのですが、ナユタの方が小娘どころじゃなかったのですなあ。
未成年の女性に手を出すのは倫理的にも法律的にも大問題です、という所を強調してナユタに対して線引しようとしていたことが、あとになってみるとむしろ弱点になってしまったのかもしれません。
暮井さんの方からナユタに手を出すにしても、ナユタの方から暮井さんに何かをして彼に社会的なダメージを与えることにしても、どちらもお互いにそんな事はしないという信頼があれば多少プライベートに踏み込んでも問題になりませんよね、というところからナユタさんグイグイと攻めていって、その上でところで私が未成年じゃなくなったらそもそも問題の発生根拠からなくなるんじゃないですか? という虚を突くようなコンボは見事の一言でした。なまじ、未成年という点を強調して障壁としていた暮井さん側からしても、あれ?じゃあ何も問題ないんじゃない? と思ってしまう心の陥穽。そもそも、予防線として敷いていたそれが暮井さん自身の言い訳になってしまっていた時点でもう大勢は決まっていたのかもしれませんが。
それにしても、押し一辺倒とは程遠い自然にスルリと懐に入り込みつつ、泰然自若な姿勢を見せながらふとした瞬間に垣間見せる弱い部分、それを桐の切っ先にして飛び込んだ先で誕生日による条例的にヤバイ年齢からの脱却を宣告してみせた上での、本気の告白、というハメ技かというコンボの華麗さにはもう言葉もないくらいの見事さでありました。
ナユタさんの恐ろしいところはこれ、まったくの計算ずくでも天然でもないというところなのでしょう。多少の女性らしい奸計は図りつつも常に真摯であり自然な飾らない態度であり、そして怯むことのないくそ度胸でどんと行ってしまう男らしさが、暮井さんをして全く太刀打ちできない有様にしてしまったんですよね。
自分の存在が暮井のトラウマに対しての救いになる、と自覚しながらお互いを依存の対象とさせずに、ちゃんと対等の男女として立脚する付き合い方に終始していたのも、暮井さんからするとどうしようもなかったのでしょう。もっとナユタが寄りかかってきたり、自分が必要以上に彼女に寄りかかってしまったり、あるいはお互いに慰め合うような関係になってしまった、あるいはなりそうな気配があったら暮井さんみたいな人はキッパリと距離を置いてたと思うんですよね。
ところが、ナユタはそういう瑕疵を一切みせない対等の、依存ではなくお互いに真っ当に支え合う関係をテキパキと構築してみせたわけで。こういうところが、周りの人を含めてナユタが女子高生ではなく一回りは年上の大人の女性と勘違いさせるところだったんでしょうねえ。
一方で、甘えるところはグイグイえぐりこんでくるんだから、とんでもないですよ、ほんと。
女子高生を一週間近く自宅に泊まらせてあげる、なんて危険な真似、暮井さんみたいな人が絶対許すはずがない、というかもし他の人がそういうシチュエーションに見舞われていたら、両方に対して冷静かつぐうの音もでないほどの正論で滾々と説教して反省させそうな人なのに……。
あの、ナユタが帰ったあとになんで自分、許可してしまったんだ? と懊悩する暮井さんはなんとも可愛らしかったです。貴方は悪くない、あれはもうナユタが上手としか言いようがない。偶々、話を聞いてしまっていた取引先の虎尾さんがアレは無理、と太鼓判を押すくらいでしたしねえ。

いやもう、ナユタと暮井さんの関係の進展具合については、もう圧巻のナユタさんにアッパレアッパレと感服しきりだったわけですが、世界観の方も非常に面白かった。
SAOのスピンオフという体ではあるんですけれど、例えば同じスピンオフの【ガンゲイル・オンライン】がその世界観を利用して思う存分銃撃戦をドンパチやってるのに対して、本作はVRMMOの世界を利用する、というよりも<SAO事件>が世間に与えた影響についてその被害者たちの現況を踏まえて描きつつ、その先のVRMMOの未来の可能性について、使用者やそれに関わる企業、技術開発、そこから広がっていく社会的な影響、という土台部分にスポットを当てて描いていたのが印象的でした。
今回も、企業体とのコラボレーションやVRMMO世界内での観光事業やVRオフィスなどの事業展開、思考出力という新しい技術の可能性とその未完成っぷりなどについての話が飛び交っていたわけですが。
一足飛びに未来世界が近づいてくるのとは違う、VRMMOという新しい技術革新に対してもやはり社会は、社会の中で生活している普通の人々は、その新しいツールに戸惑いながらも着実かつ堅実に自分たちの生活の中に還元していっている様子が映し出されていて、そういうのって世界観の大いなる基礎工事だと思うんですよね。地に足の着いた土台のしっかりした世界観が、こうやって醸成されていくのは、むしろより強く未来を意識させてくれて、変に近未来的な世界観をぽんと提示されるよりもワクワクしてしまいます。
これで、本シリーズが終わりというのはものすごく名残惜しいのですけれど、いやもう重ね重ね名残惜しいのですけれど、もっと暮井さんとナユタの次元の違う甘酸っぱいのかクールミントなのかわからない大人の関係を堪能したかった、と同時ににゃんこやカピバラさんなど何気にマスコットAIキャラが可愛すぎるところや、謎の方向への展開を見せるアスカ・エンパイアという舞台も見ていたかっただけに、渡瀬さんにはまた何らかの形でこの世界観とキャラクターたちに関わってほしいものです。
ほんともう、めちゃめちゃ好きでした、この物語に登場する人たち同士にたゆたう繊細でありながら剛く靭やかな関係が。

1巻 2巻感想

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる ★★★★★  

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)

【好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる】 玩具堂/イセ川 ヤスタカ 角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle B☆W

無言の『好き』に萌え死に必至!? ちょっぴり不思議な青春ラブコメ!

「恋人同士、ですか? よく解りませんが、それでよければ」
僕の彼女、帆影歩は少し変わっている。無口で無表情が基本な上に「人=哺乳類=おっぱい大好き」と、平然とトンデモ理論を語ってくる。さらに僕の足の甲を愛撫してきたり、入浴中の裸の画像を送ってきたり――って帆影?当初は清純派文学少女だったよね!? おかげでなぜか妹の映が心配?してきて、言葉責めに合うようになったのですが!?(妹よ、お前は何なんだ)
そんな帆影も“普通彼女”を目指してはいるらしく、参考にしているのは……ら、ラノベらしい?(なんか期待しちゃう)
彼女と妹と僕。ラノベを通じた不思議な三角ラブコメ開幕!!
ううっ、おもしろい、面白いよぉ(咽び泣き
なんだろう、玩具堂さんの作品って自分的にどストライクすぎて泣く。手の届かない痒いところをピンポイントでコリコリ掻いてくれるような、この奥まで届いてる感がもうたまんないんですけど。
いや面白いのがね、この作者さんの特異なところって奥まで届いてる感を細部まで余すこと無く全部書く、のではなくてむしろ肝心のところを直接「書かない」ことでその人物の奥行きを掘り下げていくところがあるのです。
そのキャラクターの内面を直接描写せず、他人から見た姿、仕草や発言、その様子から人物像を浮き彫りにしていく。そう、想像させるんですね。
本作だとそれをダイレクトにやっているのが、メインヒロインの帆影さん。何を考えているのか非常に分かりづらい、普通の人とは考え方の基盤が異なっていて、共通認識として言わずとも共有しているものを持ち合わせていないが故に、思考のアプローチがすっ飛んでいて常識に縛られて居ない人。
主人公の妹ちゃんの映からはトカゲ呼ばわりされてしまう彼女ですけれど、一方で主人公の新巻くんの主観からは妹ちゃんとは異なる人物像が形成されていて、彼は彼女に惚れ込んでしまっているわけだし、また彼女の友人である酒々井から見る帆影も、井伊坂から見る帆影もまたちょっと異なる人物像を浮かび上がらせている。それぞれの主観によって形成される帆影という人物像は微妙に異なっていて、それでいて内面が語られることのない帆影という娘が実際何を考えているのか、どう感じているのかというのはわからない。わからないが故に大いに想像を広げさせられるのである。
だからこそ、帆影の独白であり本人がまったく自覚していない告白は、無窮のインパクトをもたらしてくれるのだ。ってか、あれは反則ですよね。
とまあ、本作では書かれない部分を最後にああやって劇的に「書く」ことでリーサル・ウェポンとしちゃっているわけなのだけれど、実のところ主人公である新巻くんもまた何気に「書かれていない」人物である。
閑話を除いて新巻くんの一人称で進行する本作は、当然新巻くんの語りによって描かれているわけで、彼の内面描写や独白、彼がその場面で何を思い何を感じどう見ていたというのは余すことなく描かれ、彼の考えは語られている。
彼については全部書かれているじゃないか、と思われるところなのだけれど……実のところそれって全部新巻くんの主観によるもので、彼の客観的な人物像、他人から見た新巻くんというものはどうも彼自身の自己評価とズレがあるんですよね。妹の映の辛辣な評価と彼自身の自己評価は一致しているように見えますけれど、映のそれはブラコンを拗らせて実際の言動と映自身自覚してない部分の兄への憧憬は随分食い違ったものがありますし、新巻くんのあの初動こそ鈍いものの優柔不断とは程遠い明察かつ芯の通った物言いは彼自身が自認している新巻くんの人物像とはかけ離れたところがあって、なかなか図りきれない、あるいは計り知れないところがあるんですよね。
これは、帆影さんが語る新巻くんという男の子の在りようからも伺えるところで。
直接描かれる部分ではない、自己評価と他者からの主観のズレや、発言や表情、仕草や物腰といった客観的に判断できる事柄から、そのキャラクターの人物像が浮き彫りにされ、または掘り下げられていく。帆影さんの存在感に目眩ましされているけれど、こうしたキャラの描き方は新巻くんにもかなり当てはまっている気がするのだ。新巻くんに限らず、これは映なんかに対してもそうで、新巻くんから見た妹のみならず、新巻くんの主観から見た妹に対しての帆影さんの態度など、他者を介した妹の見られかたとか、すごい遠回しで直裁に書かれてない。また、結局誰もその想いを具体的に指摘することなく、示唆するような物言いに終始していた果歩の新巻くんに対してのあれこれ云々もそんな感じで。
新巻くんの一人称によって進行する物語だけれど、決して新巻くん視点だけによって形成される世界ではない、というべきか。或いは、新巻くんから見た帆影さんの話、ではなく、もっと俯瞰的なところからみた帆影さんと新巻くんというカップルと、それを取り巻く人々の物語というべきか。
新巻くんの語りだけれど、新巻くんも観察観覧の対象なんですよね。
その意味では、妹の映の視点である閑話というのは思いの外重要なバランス素材であることがわかってくる。妹の目から見た帆影、のみならず映から見た兄の姿を描写することで、視点と主観が幾つも錯綜してこの物語が形成されていってる指標みたいな形になってるというべきか。

しかし一方で、意思表示が明瞭な妹ちゃんや内面描写でけっこう懇切丁寧にいろいろと語ってくれる新巻くんとか、最終的にその想いをわかりやすく暴露してくれた帆影さんなど、はっきりと描かれている部分もまた多い、というか大部分である。
そういう意味では、迷彩に迷彩を掛けまくっていた【子ひつじは迷わない】シリーズとはまた異なったアプローチで物語世界を織りなしているとも言えるのだろう。
それはそれとして、合理性を突き詰めた結果「人間はほぼおっぱいでできている!」という結論に至る帆影さんの言を補強する形で例題として出されたライトノベルの表紙。自著【子ひつじは迷わない】の第五巻。一巻ではなく、佐々原が表紙を飾る五巻を選択するところに非常に強いこだわりを感じるのだが、これ如何に。

ともあれ、だ。本作の魅力というのは、帆影さんの不思議なキャラクターを愛でるのにとどまらない、そんな彼女の……帆影さん自身がコンプレックスを抱き、或いは傷ついている他者と共感しにくいズレている感性を引っくるめて、彼女をまるっと愛でる新巻くん。彼女に不自由さを感じること無く、何を考えているのか分かりづらい帆影が、何を考えているのかどう感じているのかどんな事を思い描いているのか、というのを常に思いめぐらせ思い馳せている。思い込みで決めつけるのではない、相手が何を考えているのかを考える、という当たり前だけれど尊い、彼女の存在をまるごと受け止め抱擁する新巻くんの、この二人のカップルを慈しみ、愛でるための物語なんだなあ、と思う次第。
「コーヒー牛乳みたいなのありますか」

この帆影の漢らしい発言でときめいてしまう主人公に尋常ならざる共感をいだくのでした。
読み応え、という意味でなんか自分の中の底まで浚うことが出来たような満足感というか堪能があって、ほんと好き、大好きです玩具堂さんの物語は。面白かった。

玩具堂作品感想

異世界修学旅行 7 ★★★★★  

異世界修学旅行 7 (ガガガ文庫)

【異世界修学旅行 7】 岡本 タクヤ/しらび ガガガ文庫

Amazon
Kindle B☆W

出逢いと別れの異世界修学旅行、最終日!

異世界修学旅行、そして伝説へ!

修学旅行の最中に突如飛ばされてしまった異世界で、王女プリシラと共にクラスメートを捜しながら修学旅行を続ける沢木浩介たち二年一組。
ついに、残るクラスメートはあと一人。
そしてその最後の一人、山田という少年は、大方の予想通り、浩介たちより先立ってこの世界にやってきて、魔王を倒し、世界を平和に導いた勇者となっていた。
世界を救った勇者は、やがてもとの世界へ――日本へと還っていく。
そんな、この異世界で何度も繰り返された筋書きをなぞるはずだったが、事態は予想外の方向に進んで……。
「ぼ……僕は、日本には還らない! この異世界で、これからも勇者として生きていくんだ!」
帰還を拒否する勇者山田を何とか連れ戻そうと、異世界を巻き込んだ最後の大騒動が幕を開ける!
そしてその最中、浩介は旅の終わりが近いことを意識する。
「おぬしらは、日本へ還っていってしまうんじゃよな。妾を置いて――」
クラス全員揃っての日本への帰還――異世界修学旅行の終わり。
それは、プリシラとの別れでもあった。

異世界から日本へ還ってゆく修学旅行生たちの異文化コミュニケーションコメディ、第七弾!

旅は旅でも当て所のない旅でもなく、どこか目的に向かって延々と歩き続ける旅路でもない。旅行なのだ。これは修学旅行なのだ。その旅先が異世界であっても、旅行であったならば家に帰らなければならない。どれだけ楽しくても、そこでかけがえのない友達ができたとしても、帰らなければならないのだ。
というわけで、さよならのシーンでボロ泣きである。わりとマジ泣きでありました。
だって、本当に楽しかったんだもの。楽しければ楽しいほどに、その終わりがとてつもなく寂しい。誰よりもこの旅行を、みんなとの旅を楽しんでいたプリシラと、ここで別れなければならないとなればなおさらに。
これが、もう二度と会えない別れとなるならば、なおさらに。

勇者山田はともかくとして、他のまだ未回収だったメンバーも雑に回収して、って本当に雑なんだけれど、その雑さすらもネタにしてしまうあたり、プリシラのキャラクターの強力さとお得さが知れるというものであります。
本作は、異世界集団転移モノというジャンルではあるのでしょうけれど、その中でもとびっきりの異端だったのでしょう。何しろ、呼び出された先は既に魔王が討伐され平和になった世界。召喚されたクラスメートの大半があっちこっちに散らばってしまって、その回収の為に世界を回ることになったのだけれど、その案内人たるプリシラ姫ときたら、こっちの世界の人間よりも日本のポップカルチャーに詳しいを通り越してもうあんた博士だろう、というくらいの現代エンタメネタの宝庫であり、そんな彼女とともにこれは異世界を遊び回り、異世界を観光し、それでいて色んなトラブルをみんなで協力して乗り越える、心を豊かにする青春劇だったのだ。二度と経験できないだろう、特別な体験だったのだ。それは、いつか異世界から訪れる異邦人たちと冒険の旅をするのだ、と夢見ていたお姫様にとっても、掛け替えのない体験であり、きっと予想していなかった楽しい時間だったのだ。
だから、こんなにも寂しい。別れが辛い。でも楽しかったからこそ、笑って「さよなら」を言い合える。二度と会えないのだとしても、「またいつか」と再会を約束できる。
旅行という特別な時間の中で、だからこそ少しずつ変わっていく自分たち。成長なのか羽化なのかわからないけれど、楽しいの冠がつく非日常体験は普段と違う自分を発見させてくれる。そうやって、少しずつクラスメイト同士の関係も変わり、自分も今までやろうとしなかったことを頑張る気になる。それは、修学旅行らしい特別な効果だ。今まであまり交流のなかった人と仲良くなったり、それまでよく知っていたと思っていた人のことを見直してみたり。
でも、幾ら特別な時間をもたらしてくれる旅行でも、同じメンツだとなかなか殻は破れないんですよね。異世界という特別すぎる環境に、ホームシックにさせてくれない日本に詳しすぎるプリシラという超強力な牽引役の存在こそが、この旅を最初から最後まで「楽しい」ものにしてくれたのだろう。
旅行の時間が終わりに近づいているのを理解しつつ、物語のノリはいつまでたっても変わらない。それは、プリシラもみんなも敢えて、だったんですよね。別れの時間が近づいてくることを努めて無視しようとしていた結果が、いつものとおり、だったのだと今にしてそう思う。
だから、本当に別れの時間になった時の想いの爆発が、抑え切れない感情の交歓が、もうたまらないあのシーンへと繋がっていったのだろう。たくさんいるクラスメイト、みんな強烈なほど個性的で、よく印象に残る連中ばかりでした。雑に扱われたw最終合流メンバーもその雑さ故にわりと印象に残ってたし。そういう意味でもプリシラのパーティー編成コミュは絶妙だったんじゃないでしょうか。楽しい、楽しい連中でした。綾ちゃん、ついぞ目立たぬポディションを維持し続けたなあメインヒロインなのに、と思ってたんだけれど、彼女の場合そうなってしまった、のではなくてキャラが勝手に動いてうまいことそんなポディションを確保し続けたのだ、という作者の回顧には思わず深く納得してしまった。いや確かに、うまく動かなくて、という目立たなさじゃなかったですもんね。そこにいるのにうまいこと視線から外れて、スススっとその位置に動き続けた、と言われると凄く納得。それでいて、プリシラと沢木が良い雰囲気になることがなく、友達ポディションに固着するようなバランスの取れた立ち回りをし続けてたわけですしね。このプリシラと沢木のまったく恋愛臭のしてこない、でも意気投合した息のあいっぷりは振り返っても感心させられるものでした。変に恋愛が絡んでしまうと、この旅行の楽しさやその終わりの別れに余分が混じっちゃうことを思うと、最上の関係性だったもんなあ。
締めの、あの余韻を余韻のままで終わらせてくれない、楽しいを想い出の中だけに置いていかないラストは、私はとても大好きです。それでこそ、それでこそ。
楽しい楽しい傑作でした。

シリーズ感想

りゅうおうのおしごと!7 ★★★★★   

りゅうおうのおしごと! 7 (GA文庫)

【りゅうおうのおしごと!7】 白鳥士郎/しらび GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

「文句があるならかかってこい! 八一!!」
 清滝一門の祝賀会。師匠である清滝鋼介九段から叩きつけられたその
言葉に、八一は衝撃を受ける。
 順位戦――名人へと続く階段で、昇級のチャンスを迎えた八一と、降
級の危機にある清滝。師匠の苦しみを理解しつつも八一は己の研究を信
じて破竹の進撃を続ける。
 一方、棋力のみならず将棋への熱をも失いかけていた清滝は――
「衰えを自覚した棋士が取れる手段は二つ……」
 残酷な運命に抗うのか、従うのか、それとも……?
 笑いあり涙ありの浪速ド根性将棋ラノベ、号泣必至の第7巻!

これもう、何を言えってんだよぉぉ。もうあかん、あかんて。こんな、世界一かっこ悪くて世界一かっこいいおっさんの話とか、泣くよ! マジ泣きだよ! いやもうマジで泣いちゃったよ、どうしてくれんの!? ラストの対局の、あの熱さとかもうなんなんだろう、すげえよ、ほんとになんかもうたまらん!!
将棋はボードゲームである。とかく必要なのは頭脳の回転だ。しかし、その知力記憶力をフル回転させるには凄まじい体力が必要となる。特に順位戦の持ち時間は6時間。一人6時間である。それはそれは果てしない戦いが、精根尽き果てるまで繰り広げられるのだ。
だからこそ、老いは覿面に実力へと作用していく。女性棋士の誕生の壁となっている大きな要員のひとつもまた、男女の体力差とも言われている。作中で、八一が銀子の弱点として指摘しているのもまた、その体力の無さだ。
自分も四十間際となって痛感しているのだけれど、人間本当に年齢このあたりから気力体力が目に見えて下り坂になっていく。いやもうマジで。おっさんもね、実際におっさんになるまで言葉ではそういうものだと理解していたつもりだったけれど、事実そうなってみると本気で「びっくり!」するから。え?なにこれ? と頭が体においつかない感じであかんくなってくから。若い人には絶対に伝わらないだろうけれど。こればかりは、直面してみないとわからないだろうし、実のところ体力の低下に直面した今になってなお、わけがわからん!! 
いや、こんなことを力説しても仕方ないのだけれど、ともかく棋士の全盛期というのはなんだかんだと二十代三十代、いや十代が一番そうなんだ、という強い声もあるほどで、かの異次元たる羽生善治ですら、最盛期は終わってしまった、と言われている。まあ、この人が本当にバケモノなのは、その最盛期が過ぎ去ってしまったはずなのに、まだバリバリにあっちゃこっちゃ蹂躙して暴れまわっているからで、ほんとなんなのこの人人間なの!?状態なわけですが。
であるからこそ、五十代へと差し掛かった清滝師匠の衰えは顕著であり、それはもろに順位に現れ、棋譜に現れ、精神面にすら浮き上がってしまっていたわけです。
折しも、将棋界は今まさに革命期。将棋ソフトの出現とその活用法の発展によって、研究は加速に加速を重ね、それについていけない棋士たちはA級だろうと九段だろうと容赦なく振り落とされていく、まさに未曾有の激流が荒れ狂う激動の時代の真っ只中。そして今、その突端を突っ走っているのが、九頭竜八一竜王であり、幾多の若き棋士たち、命を削って這い上がろうとしている奨励会員たち。
そう、古き棋士たちはその背中を若者たちに見せ、追わせるどころか、追い抜かれていった若者たちの背中を、清滝師匠のような棋士たちが見送るしかないような現状が、今厳然と現れてしまっているのである。
古いものは追い落とされ、見捨てられ、放置され、忘れ去られていくのか。
何もせねば、そうなってしまうのでしょう。現状に妥協し、諦め、情熱を失い、炎を消して、遠ざかっていく背中に背を向ければ、そうなるのでしょう。
だがしかし、だがしかし、師匠はそうではなかった。そうならなかった。そうしなかった。
現実は覆らない。自分が遥か遠くに取り残され、今若者たちの背中を見上げるしか無い存在である事実は覆らない。それを、この人は苦しんで足掻いてみっともなく無様で情けない有り様を露呈し、八つ当たりで老害を晒し、しかしそんな自分の最低さを、愚かさを、情けなさを、認め受け入れ、恥じ入り、置物と化したプライドを勢い良く放り投げ、このおっちゃんは生まれ変わったのだ。新生したのだ。新しい時代の流れに乗ったのだ!!
だが、生まれ変わろうとおっさんは厳然としておっさんなのである。どうしたって、おっさんは若者にはなれない。新しくなんてなりきれない。おっさんは、どうしようもなくおっさんなのだ。
その事実に改めて直面した時、おっさんはついに真に目醒めるのである。新しきおっさんに。古きからこそ蓄積されてた経験と、若者たちとの親身の交流のよって吹き込まれた新しい風を併せ持った、古きと新しきのハイブリッドなネオおっさんに。
それは、師匠のその行動は、活動は、新たな棋士としての在り方は、まさに新風となって将棋界をかき回す。将棋ソフトの隆盛をきっかけとして将棋界そのものを覆い尽くそうとしていた、何かを置き捨てたまま多くを取り残したまま景色そのものを一変させようとしていた局面を、反対側の古きものからの逆襲という形ではなく、まさに古きと新しきを両の足場として次のステージへととても多くのものが、沢山の振り落とされるものを出すのではなく、まともな人間が住めなくなる世界になるのではなく、将棋を指す棋士たちの住まう世界全体の階位が一つあがるかのような。
これもまた、革命の風!! すべてを吹き飛ばす暴風ではなく、まるですべてに生命を吹き込むような優しくも頼もしい風!!
でも、そこに吹き荒れるのはやはり、熱波である。戦う棋士たちの、生命を櫛る鬩ぎ合い。勝ちたいという意思を握り込んで殴り合う凄まじき闘争。だからこそ熱い。だからこそ面白い。だからこそ、そこに感動が生まれるのである。見るものを涙させる物語が生じるのである。そこに自分も立ちたい、たどり着きたい、その世界の中に飛び込みたいという根源の衝動を生じさせる輝きが発せられるのである。

まさに、歴史に残る名勝負。伝説として残るだろう戦いでありました。
見ているだけで、ただただポロポロと涙が溢れて止まらない一戦でありました。

嗚呼。

幾ら尽くしても語りきれないものがある。そしてそれは、読めば一瞥を以て伝わるのだ。だからこそ、一読あれ。
傑作である。




それはそれとして、デンジャラスビーストを銀子ちゃんに着せてデンジャラスする八一は、がちで変態である。言っとくけど、中学生相手も十分ロリコンだからな!! あと、銀子さんもノリノリすぎである。絵師のしらびさんもノリノリすぎである。おっさんの熱さにアテられておっさん描きすぎた反動か、熱量がそのまま銀子ちゃんにも注がれてしまった結果かわからんけど、もう自重してはいけない。もっとやれ。

熱い物語の中で何気にメインから外れてしまっているせいか、ちょっと陰に入っているけれど、天衣の快進撃がひたすら続いている。月夜見坂さん、ヤラレ役極まってきてるんじゃないだろうかw まいど、鮮やかにぶっ飛ばされすぎですじゃ、大天使。しかし、この快進撃は反動がありそうで怖いんだなあ。八一が、なんか天衣の弱点みたいなの気づいている素振り見せてたし。
でも、角頭歩の奇襲戦法は、ちょうどアニメ四話で天衣が新世界でメタメタにやられてしまった戦法でもあって、それをここで持ってくるか、となかなか感慨深い。

最近、銀子ヒロインの対抗馬って、アイじゃなくて創多くんなんじゃないか? という疑念が生じ始めた。ってか、創多くんが八一に一喝されてキュン死しておられる!!  この竜王、小学生なら男女関係なく見境なしか!! 

シリーズ感想

水上悟志短編集「放浪世界」 ★★★★★   

水上悟志短編集「放浪世界」 (BLADE COMICS)

【水上悟志短編集「放浪世界」】 水上悟志 BLADE COMICS

Amazon
Kindle B☆W

少年の頃、世界の全てだった団地…でもそこは…!!? 出口も入口もない虚無の旅…その先に待つ衝撃の真実とは…。水上SFの新たなる金字塔「虚無をゆく」を含む全5作収録の待望短編集!!
個人的にはラブコメはじまったぜー!な空気感満載の【竹屋敷姉妹、みやぶられる】が続き読みた過ぎてたまらんかったし、【まつりコレクション】のファンシーなのかなんなのかわからない世界観のラストの強烈なオチとか、まつり姉さんのふわっとしたなんでもいいやな性格とか大好きなのですが、それよりもなによりも最後の【虚無をゆく】がもうなんか圧巻すぎて、全部持ってった感じなのです。
読む人は大変だったはず。疲れたでしょ。とかあとがきで書かれているのですが、そりゃ疲れたよ。なんかもう読んでるこっちの中身全部持ってかれてから、全部詰め込まれたような疲労感である。SFとして、この中編規模の長さでこんな密度のクロニクルでありスペクタルで、相反しないミクロとマクロの物語を描けるもんなんだろうか。なんか思わず繰り返し読み返してしまって、後から後から最初に読んだ時に追いついてこなかったものが、ぶわーーっと追いついてきたような感じで、あわあわしています。この感覚は、水上悟志先生の作品シリーズものの最終巻の最終回を読んだ時に、ぶわーーっと来るものなんですけれど、それをついに短編でやってしまえるようになってしまったのか。
いやもう、なんか本当に凄いです。ものごっつい作品でした。

水上悟志作品感想

俺、ツインテールになります。13 ★★★★★  

俺、ツインテールになります。 13 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。13】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

Amazon
Kindle B☆W


宿敵ドラグギルディ、完全復活――!!

神の一剣の幹部・戦女神ヴァルキリアギルディの能力“死して尚変態(ヴァルハラ)”で、これまでに倒したエレメリアンたちが完全再生! 積み重ねてきた全ての戦いをリセットされたツインテイルズ。彼らの終わりなき悪夢が始まった――。 だが、この重大な局面で、愛香にある異変が起きていた。ヴァルキリアギルディとの戦いのなか、自分が誇れる唯一のもの――ツインテールを失う危機に直面した彼女は、激しい恐怖心に支配されてしまったのだ。エレメリアンに絶望を与えてきたテイルブルーの弱体化。総二の優しささえ、今の愛香には不安でしかなかった。その間、再生エレメリアンたちは複数同時侵攻を開始する。圧倒的な数を前に、トゥアールが導き出した作戦とは――。一方、アルティメギルの女科学者マーメイドギルディは、エレメリアンの復活の先に、更なる恐るべき計画を企てていた!

愛香が、慧理那が、イースナが……次々に危機に瀕していく、ツインテイルズ! 果たして、彼女たちの運命は!? そして、宿敵と相見える総二! 究極のツインテール・テイルレッドと、最強のツインテール・ドラグギルディ――今再び、ツインテール頂上決戦の幕が上がる!!

もうボロ泣き。いやマジで。いい歳したおっさんが、マジ泣きですよ。それも感動で。
ああ、今まで【俺、ツインテールになります。】を読んできて良かった、と心底思わせてくれる、シリーズの集大成にして到達点とも言える決戦でした。そう、ずっとこの光景を望んでいた。愛すべきエレメリアンたち。お互い相容れぬ存在でありながら、ずっと互いをリスペクトしあい、全力を尽くし全身全霊をかけてお互いの信念をぶつけ合い、最後には溢れんばかりの敬意と友情を分かち合いながら、倒れていったエレメリアンたち。
彼らは敵でした。しかし、誰もが尊敬できる敵だった。その属性に対する信念と愛情は敬服に値するものばかりだった。どれほど変態であろうと、美しく格好良い生き様ばかりだった。そして、何より優しい益荒男ばかりだった。力と思いの限りを絞り尽くしてぶつかり合う果てに、間違いなく友情が、親愛が芽生えていた。
「強敵」と書いて「とも」と読む。そう語るに相応しい変態ばかりだった。
だから、そんな彼らが前巻において再生怪人として復活した時、抱いた思いは「またか」ではなく、「また会えた」というどこか喜びにも似た感情だったのです。
そして、復活した彼らがそんじょそこらの特撮モノの再生怪人と根本から違ったのは、作中でも彼ら自身が語ってるように、自分たちを倒したツインテールズへの恩讐極まる亡者たちなどではなく、第二の生を謳歌する粋人ばかりだったんですよね。まるで、かつての賑わいがまとめて戻ってきたような活気がアルティメギルに戻ってきていて、いずれ終わる祭りであってもその光景は心温まるものでした。
でも、どれほど満足して散っていったとしても、エレメリアンたちそれぞれに未練や思い残すことがあったのは確か。そこには、ツインテールズの面々とのまだ果たされない因縁だったり、思いを告げられぬまま先に散ってしまったが故に届かなかった気持ちを、再会なったことでついに繋げられたり、となんかねー、みんなが一斉に戻ってきたことで叶ったこともあり、思い残したことが次々と果たされていくんですよね。読んでいるこっちもどこか胸の片隅にこびりついていたものが、キレイに丁寧に引き剥がされていくようでした。
これはツインテールズもおんなじなんですよね。かつて出来なかったこと、届かなかったもの、悔しい思いをしたまま果たせずに終わったこと。それを、こうして成長した段階で再び向こうから現れてくれて、後悔や心残りを再戦によって吹き飛ばしていってくれたのです。受けて立つエレメリアンたちも、リベンジを! というよりも、まだ未熟だった頃のツインテールズたちの成長を見届けることが叶って喜び満足したようにまた去っていき、全力を発揮できないままなんか適当にやっつけられてしまった連中も、やっと自分の本領を発揮することが叶って満足して逝ったり、とこれまで残されてきた小さな隙間を丹念に埋めるようにして再戦は続いていくのである。
そこで確かめられたのは、ツインテールズの成長であり進化であり、その糧としてエレメリアンたちが間違いなく彼女たちを押し上げ、育て、伸ばしていったのだという事実でありました。相容れぬ敵であろうと、矛を交えるしかない関係だったとしても、彼らは間違いなく戦友だったのだ、と……。

正直もうね、こんだけ丁寧にリスペクトを充実させてくれたから、彼らともう一度再戦という形だけでもかなり満足感はあったんですよね。
でも、それだけでは終わらなかった。終わってくれなかった。
あのクライマックスの、望んでやまなかった光景が叶ったことへの感動が、どれほどのものだったか。思わず泣けてきてしまうほどの、素晴らしい、素晴らしいシーンの連続。
スワンギルディの、ドラグギルディへの崇敬。洗脳され自由意志を失っていた状態から、自力で復活して皆のピンチを覆してみせたオトコの意地。もうね、カッコイイなんてもんじゃなかったですよ。そこからはじまるオールキャストの大騒ぎ。
並び立つドラグギルディとティラノギルディの二大エレメリアン・ツインテールズの勇姿。
貴の三葉のレディース軍団とブルーという喧嘩友達の共闘。死の二菱の左右両牙将プテラギルディとトリケラトップギルディのタッグ戦。ビートルギルディとスタッグギルディの兄弟が合体したヘラクレスギルディがイエローを乗せ、敵軍を蹂躙していくその光景。相争っていた巨乳派リヴァイアギルディと貧乳派クラーケギルディによる、今度こそ手を取り合い、お互いを認めあった肩を並べあっての闘争。
そして、ティラノギルディのまさに「帝王」を名乗るに相応しい揺るがぬ巨大な背中をもって少女の涙を止めるために守り抜いた最期の戦い。
そしてそして、誰よりも通じ合いわかり合い理解し合った者同士。戦友同士。親友同士。或いは、ツインテールの二房であったテイルレッドとドラグギルディの、ずっと思い描いていた二大ツインテール戦士の共闘。
クライマックスにおける、エレメリアンたちから注がれた、託された属性力により成るこの場この時限りの究極進化エレメリアン・チェイン。
熱い、熱い、熱い。そして優しく激しくカッコよいシーンの連続は、もうありえないほどの盛り上がりで、テンションの上がり方で、まぶたの裏にはありありとこの激烈で素晴らしいシーンの光景が思い浮かぶようでした。
そして、あまりに美しいラストシーン。友との別れのシーンを描いた挿絵は、もう言葉にすることもおこがましい心を震わす傑作でした。あれはもう反則だよー。泣くよーー!! ボロ泣きだよっ!!
ティラノギルディ、復活してからひたすらかっこよいドラグギルディとは裏腹に、その見事までの小物っぽさを、もう見ていられないっ! と思うほどに随所に見せつけてくれて、色んな意味で目立ちまくって、もうなんだか愛おしくすらなってきていたんですが、最期の戦いに見せた勇姿は筆舌に尽くしがたいほどにカッコよくて、ドラグギルディに並び立つに相応しい勇姿でした。かつて泣かせてしまった少女の涙を止めるために戦うって、どんなヒーローだよ。かっこよすぎるんだよ、小物のくせに。帝王のくせに。
んで、ドラグギルディですよ。もうこんなカッコイイ敵キャラ、こんなライバルキャラ、出てこないんじゃないかというくらい、あまりにもあまりにもすごすぎた。
ライトノベル史上に残る、最高の好敵手でありました。

これ、作品としてこれ以上登れないというくらい頂点を極めてしまった展開で、あとどうするんだろうと心配になってしまうんですけれど、それくらいこれまでのシリーズのすべてを費やし燃やしきったような、全力全開の物語でした。文句なしに最高傑作。【俺、ツインテールになります。】という作品は、この話を描くためにあったんだ、と言ってもおかしくないくらいの集大成でありました。
ただただ、感動の涙が湧き出してとまらない。

シリーズ感想

りゅうおうのおしごと! 5 ★★★★★  

りゅうおうのおしごと! 5 (GA文庫)

【りゅうおうのおしごと! 5】 白鳥士郎/しらび GA文庫

Amazon
Kindle B☆W

将棋という名の奇跡に最後の審判が下される、激闘の第5巻!
「アーロハ―♪」
遂に始まった八一の初防衛戦。挑戦者として現れた最強の名人と戦うべく常夏の島を訪れた八一だったが……なぜか弟子や師匠までついて来てる!? 一門(かぞく)旅行!?
おまけに銀子と夜の街でデート!? そんなんで名人に勝てるのか!?
あいと天衣、そして桂香のマイナビ本戦も始まり、戦いに次ぐ戦いの日々。誰もが傷つき、疲れ果て、将棋で繋がった絆は将棋のせいでバラバラになりかける。……だが、
「もう離さない。二度と」
一番大切なものに気づいた時、傷ついた竜は再び飛翔する――!!


将棋は、一人でするものじゃあないんだ!!

師匠が居て、兄弟弟子が居て、自分の弟子が居て、家族が居て、将棋を指す場を作ってくれる協会の人たちが居て、スポンサーが居て、場を提供してくれる宿の人たちが居て、世に戦いの情景を伝えてくれる記者の人たちが居る。
そして何より、対局者が居なければ将棋は指せない。

将棋は、一人で出来るものじゃあない。一人で、戦えるものではないのだ。

だが八一は、どこかで将棋は一人で戦うものだという信仰があったように見える。自身こそが、人と人との繋がりを作り、その棋跡に多くの人の魂を縛り付け引きずり回し、何より自身が姉弟子・銀子との繋がりを求め、二人の「アイ」という弟子に棋士として新生させられたにも関わらず。
どこかでずっと、将棋という闘争における孤高の神聖さを、信じ続けていたように思う。
その根源が、思えば銀子の想いを受け止め損ね続けている理由でもあるのではないだろうか。銀子の願いは、観戦記で語られたようにただ一つ。しかし、八一はこのシリーズが始まった当初に銀子の棋士として追い求める先を絶対の孤高であるのだと、信じ切っているようだった。強さは、孤高の果てにあるのだと、銀子の棋士としての姿に、その結論を見出しているようだった。
だからこそ、なのだろうか。彼が、心の底から強さを求めた時、ひたすら他者を拒絶し、関係を断ち、孤独へ孤独へと突き進んだのは。
彼が「竜王」というタイトルに決死の思いでしがみつき続けた理由こそが、孤高を追い求める銀子を追い続けるためだったのだと、彼女の側に居るのに相応しいタイトル保持者である銀子と同じ格を維持しようとする我武者羅な思いだと、自身で血を吐くように吐露しておきながら。
矛盾である。しかし、これほど純粋な迷走があるだろうか。これほど一途な迷走があるだろうか。

根底から信じ続けていた棋士としての在り方を、名人戦を通じて九頭竜八一は覆すことになる。
それは銀子に囚われ続けていた軛からの脱却である。彼の将棋人生は、常に銀子とともにあり、銀子の為にあったとすら言えるのかもしれない。それから、彼はとうとう抜け出すことになったのではなかろうか。
しかし、それは同時に今まで見失い続けていた銀子の本当の願いと、ようやく真正面から向き合える姿勢になれた、と考えることはできないだろうか。
置いて行かれてしまったと、銀子は泣いた。でも、必死に脇目も振らず銀子の影を追いかけ続けて、銀子本人すら見ることもせずに走り続けた青年は、今ようやく振り返る余裕ができたんじゃないだろうか。
振り返った先に、本当の銀子がいることを、さて今の傷心の少女棋士が気づく余裕があるものか。
今、振り返った八一の目には多くの人が映っている。彼を支え、彼を愛し、彼を助け続けてくれた多くの人たちの姿が映っている。彼の目に映っているのは銀子独りだけではもうないのだろう。でも、そこには確かに、今までと違ってありのままの銀子が映っているはずなのだ。
今回随分とかわいそう、というよりも大いに下手を打ってしまった、恋愛以前に生きるのが下手くそな銀子らしいやらかしを、挽回できないままもうズブズブと沈んでしまった銀子だけれど、むしろここからこそが彼女のターンだと信じたいところである。
今回、その一途さと献身で一身に八一の暴れ狂う心を受け止め尽くしたあいだけれど、表立って頑張ったあいと違って、もう一人のアイ。天衣の方は目立たなかったのだけれど、むしろその弟子としての健気さではあいを上回っていたんじゃなかろうか。自己アピールが強烈なあいと違って、気づかれなくてもいい、理解されなくても良い、しかし最も自分を殺してでも師匠の為に尽くし、想いを捧げていたのは天衣の方だったように思うのです。
そんな天衣の秘めたる献身をすらちゃんと理解し、師匠と同じように傷つくあいを守り続け、ボロボロになった銀子を慈しみ、そして自分の夢も人生の行く末をも押しやって、絶対に負けられない戦いを、そのはての勝利を、八一に捧げた桂香さん。誰も届かなかった、当事者である銀子ですら触れることすら叶わなかった八一の孤独を、唯一打ち破った彼女。あれほど魂を削る戦いを、心身を憔悴させ尽くした戦いを、ただ八一に手を差し伸べるために費やした彼女を、女神と呼ばずしてなんと呼ぶのか。
人外魔境が渦巻くこの将棋界で。人ならざる天才ばかりしかおらず、その上に地球人ですら無い将棋星人が跋扈する中で、圧倒的な凡才でありながら、清滝桂香その人こそ、もっとも熱く、もっとも輝いていた。ただ一度の輝きではない。3巻からこっち、この人はずっと泥の中から天上に届くほどの輝きと熱量を放ち続けている。
凄い。
本当に凄い。

その熱と、輝きの照らし出され、救い出され、孤高ではなく多くの人の支えと愛情を受け取っていどんだ八一の名人との対局。
ただ名勝負だからではない。歴史に残る奇跡の戦いだったからではない。八一がこれまで残した棋跡に、そして名人が残した棋跡に、引き寄せられて、あの第四局には自然とあれほどの人が集ったのだろう。心奪われたのだろう。
月夜見坂燎の慟哭が、一番胸を打ったのは。八一の跡を一心不乱に追い続けたのが彼女だったからこそなのだろう。だからこそ、追いつけないと理解してしまった彼女の慟哭が痛切に響いたのだ。
彼女はこの時、本当の意味で置いて行かれたことを受け入れてしまったのだから。
将棋は一人では出来ない。一人では、出来ないのだ。
そしてそれこそが、空銀子がもっとも恐れる未来図なのである。
銀子はまだ、諦めていない。追いかける。追いかける。追いつくまで、追いかけるつもりなのだ。
だからまだ、作品は続く。完結なんてとんでもない。少なくとも空 銀子の闘いは、まさにこれからなのだから。


記者の鵠さんについては、もう完全にやられました。まったく気づかんかった。いや、もうね、読み仮名読み飛ばしちゃったのかな、と首を傾げてたんですが、まさかまさかそういうことだったとは。
冒頭のキャラ紹介の配置の塩梅も妙だったんで、あっちはあっちで別に???となってたんですが、まさか五巻に至っての種明かし。これは参りました。あひゃーー。

シリーズ感想

筺底のエルピス 5.迷い子たちの一歩 ★★★★★   

筺底のエルピス 5 -迷い子たちの一歩- (ガガガ文庫)

【筺底のエルピス 5.迷い子たちの一歩】 オキシタケヒコ/toi8 ガガガ文庫

Amazon
Kindle B☆W

癒やせぬ傷を抱え、狩人たちは前を向く。

殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。
だが、その脅威に立ち向かうべき狩人たちは、断絶を経た長い歴史の結果として、不毛な衝突を続けていた。

白い鬼の出現によって口火が切られた組織間抗争こそ無事終結したものの、未来を切り捨てる戦の果てに、多くの者が傷つき、道を見失う。
背負う重責に震える者。慢心の罠に陥る者。無能さを悔やむ者。自身との軋轢に苦しむ者。欲望へと走る者。救いたい者を救えぬ者。そして地獄から流れ着き、独房でひとり、静かな狂気に沈もうとする者。そんな彼らを立ち上がらせるのは、はたして誰による、いかなる選択なのか。

新たなる鬼の脅威。秘密の開示の先に待つ、太古の闇。
時を超える旅によって増殖し、この世にふたり存在することになった乾叶を渦の中心として、歴史の背後に潜んでいた数多の謎も浮上を始める。

残酷な運命に抗うべく、傷だらけの迷い子たちがそれぞれ踏み出す、新たな一歩とは。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。再起と転換の第5弾。


……はぁ。何から書けばいいのか。何から想えばいいのか。ただただ吐息ばかりがこぼれていく。溢れんばかりのそれは、なかなか言葉という形にならない。この湧き上がってくる感情に名前をつけたくない。ただあるがままに感じていたい。そんな気分。
前回の感想の最後に書き殴って叩きつけた懇願は、果たされたと思っていいのだろうか。あの「カナエ」は救われたと思っていいのだろうか。
地獄は続く。生きている限り、彼女の地獄は続いていく。でも、そんな地獄の中を彼女は前を向きて、狂気に沈むことなく歩いていけるだけのものを再び掴んだ、そう信じていいんだろうか。
ならば、そうなら……良かった。良かった。良かったよぅ……。
静かに、ズブズブと狂気の沼の中に、闇の泥の底に沈んでいくカナエの姿は、本当に見ていられなかった。彼女にとっての安息が、そちらにしかもうないことを知っているが故に。
そして、自分の末路を。自分がそこまで堕ちていけることを実物付きで目の前に突きつけられてしまった、16歳の叶の当然の恐れ。圭がカナエに心を「持っていかれ」てしまった事によって生じた自身の空隙への自己嫌悪。こちらの叶もまた、カナエとは違う形で徐々に破綻していこうとしている様子に、もうね、なんちゅうかね、たまらんかった。あの筆舌に尽くし難い地獄から戻ってきたにも関わらず、すべてが救われ好転したはずなのに、新たな悪夢が現出しつつある状況に、胸が締め付けられるようだった。

それでも、70億の人間と世界まるごと一つと、それにともなう様々な想いを犠牲にして繋がれた新たな未来は、ただ絶望だけを繰り返す世界なんかじゃなかったと、それを生き残った人たちが証明してくれた。
圭が、結が、朱鷺川ひかえがそれを作り出してくれた。仕組まれていた結末以上の結果を、彼ら自身が引き寄せたのだ。
捨てられ滅びたあの世界で、彼らがどう死んでいったかを今もしっかりと覚えている。どんな思いで、カナエに希望を託して逝ったかを知っている。だからこそ、今こちらの世界で生きている彼らが、生きて怒って覚悟して決意して心に決めて、閉塞を打破していく姿にやるせなさと感動を押し殺せないのだ。
そして、生きてる彼らが、心を今も滅びたあちら側に残されたままのカナエをちゃんと救ってくれたことを、カナエをちゃんと乾叶として再誕させてくれたことに、感謝しきれない。
カナエが決して誰にも知られまいとしまいこんでいた秘密。自身が殺人者となった事実よりも、滅びゆく世界で圭と結ばれたことよりも、絶対に圭や結たちに知られてはいけないと抱え込んでいた秘密がわかったとき、あれほど変わってしまったように見えた、修羅に成り果ててしまったように見えた、人間すらもやめてしまったように見えた未来のカナエが、紛れもなく「乾叶」であり、その根底は何も変わっていなかったのだと、ふっと納得できたんですよね。
それまでは、むしろカナエを叶として扱うことを譲らない圭や結に対して、むしろ今の叶と未来のカナエを別人として扱った方が、二人の叶にとっても救いになるのではないか、と二人の叶の苦しみ方を見ていて思っていたのですが、そういう浅はかな考えを圧倒的なまでにひっくり返して叩き伏せて、淀みを吹き払ってくれるあのシーンでした。やっぱり、結は凄いわ。圭はカッコイイわ。
だからこそ、燈さん提案の、同一人物だから合法的に重婚できるね、発言には心惹かれるのですがw
いや、圭と二人の叶の様子からして相手はもう決まってしまったようなのですけれど。

今回の捨環戦を通じて、門部とそれに所属する面々の置かれた状況は劇的に変化し、組織間の抗争はほぼ終息した、と言っていいんでしょうけれど、だからこそ物語の方は新たなステージへと進んでいるんですよね、これ。
勉強会と称した、結たち天文部の他愛もない仮説の披露回。なんの解決にも結びつかず、はたして真実に掠りすらしているかどうか怪しいそれは、しかしなぜ今、世界はこんな状況に置かれているか、という疑問へのアプローチとして、これまでまったく起こってなかった動性なんですよね。これこそが、始まりの号砲だったのかもしれない。SF作品として、世界と人類のクロニクルとして、結論と決着をつけるためのステージへと至った、と。
どうやら作者の発言でも、この五巻からの第四話の主題が語られてましたけれど、これまでとテーマの方向性が変わってる感じがありますし。よりSF的になったというかなんというか。
これまでも十分壮大な話だったのですが、これからはもっと途方もなく、しかし地に足の着いた「ヒト」の話になりそうだなあ。

それにしても、色んな意味で貴治崎先生がヤバいんですけど。本当にいろんな意味で。この人、場合によっては黒幕になりかねないんですけどw

シリーズ感想

オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの忠臣蔵〜 ★★★★★   

オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの忠臣蔵〜

【オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの忠臣蔵〜】 左高例 

Kindle


元禄15年(1702年)、12月14日。江戸本所にて、赤穂浪士らが吉良邸に討ち入りを仕掛ける。そこで抵抗虚しく武林唯七によって殺害されてしまう吉良義央。だが、死んだと思った吉良は気がついたら14日当日の朝に戻っていた。
何度も同じ一日を繰り返し、何度も赤穂浪士に殺されてしまう吉良義央。様々な方法で襲撃から生き延びようと奮闘する彼の運命は──
小説投稿サイト『小説家になろう』の歴史ジャンル短編で一位だった小説「オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの赤穂事件〜」を、文庫本一冊分になるぐらい大幅に書き下ろし加筆したオルタナティブ時代小説。

これ、Kindleで自主出版という形で出したのか。こういうやり方もあるんだねえ。
というわけで【異世界から帰ったら江戸なのである】の左高例氏が以前書かれた傑作短編小説である。タイトル見てわかるかもしれないけれど、桜坂洋氏の傑作SFライトノベルにしてハリウッドで映画化までされた【All You Need Is Kill】のパロディ作品でもある。と言っても、死んだ時点で同じ日時へと戻ってしまい何度も何度も同じ時間を繰り返しながら、生存への道を探っていく、というコンセプトが一緒なだけで時間が巻き戻る原因などは一切関係がない。
それでも、この【忠臣蔵】で赤穂浪士に殺される側であった吉良上野介義央を主人公にして、彼が赤穂浪士に殺される運命から生き残るためにあらゆる手段をとっていく、この話からしてまず目のつけどころがすっ飛んでいて面白い。
その上で、この最初は怯えて奮えて納屋に隠れているだけだったお爺ちゃんが、最初は自分が生き残るために、そして段々とこの赤穂浪士の襲撃に巻き込まれて死んでしまう嫡男や家臣たち、吉良の家を護るために頭を悩ませ、脳髄を絞り、身体を張って奮起しはじめる姿に感情移入していってしまうのである。
赤穂浪士側から描いた忠臣蔵というのは山ほどあると思うんですけれど、吉良側から描かれた忠臣蔵は決して多くはないと思うのですけれど、本作はコミカルなテイストでありつつも、左高例氏の手掛けた作品らしく当時の吉良家を取り巻く環境や風習、人間関係など思わぬところに聞いたことがなかったような詳しい話がこぼされたりしていて、「へぇ!」と思うような話も多いんですよね。
上杉家と吉良家の関係なんて、単に屋敷が隣同士なだけかと思ってたら当時の上杉家の当主って吉良の息子が養子となって収まっていたり、吉良家の財政事情や家臣の話も全然知らんかったんだよなあ。
ともあれ、何度も赤穂浪士に惨殺されることを繰り返すうちになんとか生き残るために足掻こうとしだす吉良お爺ちゃん。武芸者でもなんでもない彼がはじめは逃げ出したり、外に助けを求めたり、という消極的手段を選ぶのは当然の話なんだけれど、その過程で大事にしていた嫡男……上杉家に養子に言った息子の子、つまり孫をまた養子に貰って、という実は孫なんだけれど公式では息子というややこしい扱いになってる――義周や忠臣たちまでが目の前で惨殺されるのを目の当たりにして、吉良お爺ちゃんの意識も激しく変わっていくのである。あの老人が狂ったように慟哭するシーンは、読んでいるこっち側の意識にとってもターニングポイントだったのかもしれない。あそこで、完全に気持ちが吉良サイドに同化しましたからね。
自分だけが助かるのではなく、自分の周りの人たちみんなが助かる道を勝ち取るために、吉良義央は幾度もの死を乗り越えて闘争のループへと身を投じるのである。
そんな吉良の前に立ちふさがる最大の障害が、狂乱する武人・武林唯七隆重である。誰よソレ!? と思うマイナーな人物なんだけれど、本作では殆ど赤穂浪士側はこの男の描写によって埋め尽くされている。彼の先祖が中国人で武林出身だったので武林と名乗った、というのはウィキにも書いてあるが、謎の武術の達人だったというのはさすがに聞いたことが無い。ともあれ、その武術が原因故にかなり頭がおかしいことになっていて、その為か時間ループの中で大概の人物が同じ行動を取る中で彼だけが完全にランダムに動いている上に、どのような行動をとっても彼が突っ込んでくるのでとにかくこいつをなんとかしないとどうにもならない、という最大の障害になってるんですな。しかも、べらぼうに強い。まともにやりあっては絶対に勝てないモンスターなのである。この武林一人のために吉良お爺ちゃんの生存戦略の難易度が三桁ほど跳ね上がっていると言っていいほどに。
実際、武林が居なければ吉良お爺ちゃんの死に戻り試行回数って相当減らせたはずなんですよね。
ちなみに、武林が喚いている意味不明な台詞は、実は全部元ネタがある台詞だというのはウェブ版読んだときには全然気が付きませんでした。言われてみると、なるほど、と頷いてしまうんですけれど、せめて明日乱くらいの名前はついてないと、ねえ。

Kindle版を配信するにあたって大きな加筆が加えられているのですけれど、その中でも第百回目の別居中の奥さんとの再会の話は、アレ良かったなあ。老いた夫婦同士の和解の物語であり、老人の心がこの繰り返しの死の中で確かに鍛えられ、柔らかくなっていた証であり、老人が未来を希望し、改めて掴み取る原動力を得る話であったわけですから。ループの中で摩滅していく吉良お爺ちゃんの精神に、新たな支えを加え、力を与え、勇気を与えてくれるエピソードであると同時に、彼に自分だけが良ければいいという選択肢を選ばせずに、正しく皆が幸せになるための結末を選ばせたターニングポイントともなり得る話でしたしねえ。本作の中でも随一の重要なエピソードだったかもしれない。

というところから、一気にクライマックスまで突入していくのですけれど、本来の忠臣蔵からするとラストの展開って、もう筆舌に尽くしがたいほどむちゃくちゃもいいところなんですよね。いやもう考えてみてくださいよ、思い浮かべてみてくださいよ、まさか四十七士の襲撃に対してあんな絵面になるとか、もう凄えなんてもんじゃないじゃないですか。
でも、本作においてはそこにたどり着くまでに吉良お爺ちゃんの文字通り何百回モノ死を繰り返した苦痛と絶望を乗り越えた努力があり、過程があり、果たして果てがあるのかもわからない霧の中を進み続けた決意と覚悟の結果として、あのラストがあったのですからもう痛快の一言なんですよね。
いやもう、吉良お爺ちゃんがべっらぼうに凄えんだ!!

時に熱く、時にシリアスに、凄惨に、そして時に人情味あふれる情緒漂う話でありますが、基本は左高例氏らしいコミカルな語り口で、思わず笑ったりニヘラニヘラと気持ち悪い笑みを浮かべてしまったり、とスルスルと楽しく読める作品なのでした。一方で、何度も繰り返し読んでしまうスルメのような味わいというか、やめられないとまらない、というクセもあり、荒唐無稽でありながら当時の江戸時代の風俗を意識しない範囲でするっとなじませて、当時の風景や喧騒をリアルに感じさせてくれる描写が敷き詰められていて、読み応えと読みやすさが見事にマッチしている快作でもありました。いやもう、内容見ると怪作もいいところなんですけどね。
なにはともあれ、無茶苦茶に面白い! 面白い! もう、めっちゃ面白い!!
これを機会に一読あれ。そりゃもう、ハマってしまうから。今後、忠臣蔵はどうしようと吉良お爺ちゃんを応援してしまうことうけあいです。
あー、面白かった♪

左高例作品感想
 
10月15日
メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女
 友麻碧(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

平安あかしあやかし陰陽師 三 から紅の都と最後の大祓
 遠藤 遼(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

犯罪心理分析班・八木小春 ハロウィンの花
 佐藤 青南(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

陰陽花伝 天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴の
 秋月 忍(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

オカルトちゃんねる
 lpp(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

ご利用は計画的に 恋と利息のグレーゾーン
 古木 和真(富士見L文庫)

Amazon Kindle B☆W

【魔物を従える"帝印"を持つ転生賢者 ~かつての魔法と従魔でひっそり最強の冒険者になる~ 2】
 苗原一 (サーガフォレスト)

Amazon Kindle B☆W

【四度目は嫌な死属性魔術師 6】
 デンスケ (サーガフォレスト)

Amazon

10月12日
天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~
 鳥羽 徹(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 9
 海空りく(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

高2にタイムリープした俺が、当時好きだった先生に告った結果 5
 ケンノジ(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

綾瀬さんは貢ぎたい!
 空上タツタ(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

ノラネコ彼女を餌付けしたい
 天乃聖樹(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

暗黒騎士の俺ですが最強の聖騎士をめざします 5
 西島ふみかる(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

転生王子は錬金術師となり興国する
 月夜 涙(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

くじ引き特賞:無双ハーレム権 12
 三木 なずな(GA文庫)

Amazon Kindle B☆W

最強の魔導士。ひざに矢をうけてしまったので田舎の衛兵になる 5
 えぞぎんぎつね(GAノベル)

Amazon Kindle B☆W

異世界賢者の転生無双3 ~ゲームの知識で異世界最強~
 進行諸島 (GAノベル)

Amazon Kindle B☆W

【白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記】
 小野不由美(新潮文庫)

Amazon

【白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記】
 小野不由美(新潮文庫)

Amazon

私、能力は平均値でって言ったよね! 12
 FUNA (アース・スター ノベル)

Amazon Kindle B☆W

10月11日
【ノブナガ先生の幼な妻 5】
 紺野あずれ(アクションコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【桃ノ木家の四姉妹 1】
 まっくすめろん(まんがタイムKRコミックス/フォワードシリーズ)

Amazon Kindle B☆W

10月10日
【世話やきキツネの仙狐さん 5】
 リムコロ(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【七つの魔剣が支配する 1】
 えすのサカエ/宇野朴人(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【とある科学の超電磁砲 15】
 冬川基/鎌池和馬(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【魔王学院の不適合者〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜 3】
 秋/かやはるか(ガンガンコミックスUP!)

Amazon Kindle B☆W

ソードアート・オンライン 22.キス・アンド・フライ
川原 礫(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

俺を好きなのはお前だけかよ 12
 駱駝(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

魔王学院の不適合者 5〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜
 秋(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

七つの魔剣が支配するIV
 宇野朴人(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

学園キノ 6
 時雨沢恵一(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

幼なじみが絶対に負けないラブコメ 2
 二丸修一(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

ワールドエンドの探索指南 2
 夏海公司(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

へヴィーオブジェクト 純白カウントダウン
 鎌池 和馬(電撃文庫)

Amazon B☆W

シノゴノ言わずに私に甘えていればいーの!
 旭 蓑雄(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

やせいのいしおの! 〜異世界ケモミミサバイバル〜
 佐藤ケイ(電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

空の青さを知る人よ Alternative Melodies
  岬鷺宮/超平和バスターズ (電撃文庫)

Amazon Kindle B☆W

【魔法少女育成計画「黒(ブラック)」】
 遠藤 浅蜊 (このライトノベルがすごい! 文庫)

Amazon Kindle B☆W

君は死ねない灰かぶりの魔女
 ハイヌミ(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

クレイジー・キッチン
 荻原数馬(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

お弁当売りは聖女様! 2 〜異世界娘のあったかレシピ〜
 紫水 ゆきこ(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

大預言者は前世から逃げる 2 〜三周目は公爵令嬢に転生したから、バラ色ライフを送りたい〜
 寿利真(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

元・世界1位のサブキャラ育成日記 3 〜廃プレイヤー、異世界を攻略中!〜
 沢村 治太郎(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる 6
 土日月(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。 4
 松浦(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

異世界でスキルを解体したらチートな嫁が増殖しました 10 概念交差のストラクチャー
 千月さかき(カドカワBOOKS)

Amazon Kindle B☆W

本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 短編集1
 香月美夜(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

元公爵令嬢の就職2 〜料理人になろうと履歴書を提出しましたが、ゴブリンにダメだしされました〜
 みたらし団子(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

冥王様が通るのですよ!
 木口なん(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

レムシータ・ブレイブス・オンライン 〜スローライフに憧れる俺のままならないVR冒険記〜
 右薙光介(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

勇者によって追放された元国王、おっさんになってから新たなSSSランク勇者に指名され、玉座に舞い戻る2
 いらないひと(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

【ミリモス・サーガ 末弟王子の転生戦記】
 中文字(ツギクルブックス)

Amazon

【もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた 2】
 ひつじのはね(ツギクルブックス)

Amazon

【めっちゃ召喚された件】
 さいとうさ (マッグガーデン・ノベルズ)

Amazon

【転生者イシュルと神の魔法具】
 青のあらた (マッグガーデン・ノベルズ)

Amazon

【神様たちのお伊勢参り 6.帰る場所、約束の証】
 竹村優希(双葉文庫)

Amazon

【ハナコトバ喫茶の事件図鑑】
 瀬橋ゆか(双葉文庫)

Amazon

【魔法使いと契約結婚 2.あぶない後輩とやきもちな旦那様】
 三萩せんや(双葉文庫)

Amazon

10月9日
【神装魔法少女ハウリングムーン 2】
 佐藤ショウジ/サイトウケンジ(ドラゴンコミックスエイジ)

Amazon Kindle B☆W

【この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる 2】
 こゆき/土日月(ドラゴンコミックスエイジ)

Amazon Kindle B☆W

【ゲーム オブ ファミリア―家族戦記―3】
 山口ミコト/D.P(ドラゴンコミックスエイジ)

Amazon Kindle B☆W

【シネマこんぷれっくす!4】
 ビリー(ドラゴンコミックスエイジ)

Amazon Kindle B☆W

【可愛ければ変態でも好きになってくれますか?4】
 CHuN/花間燈(ドラゴンコミックスエイジ)

Amazon Kindle B☆W

【荒ぶる季節の乙女どもよ。8】
 絵本奈央/岡田麿里(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【バビロン(上)】
 野まど/瀧下信英(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【バビロン(下)】
 野まど/瀧下信英(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【UQ HOLDER!21】
 赤松健(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 10】
 福田直叶/むらさきゆきや(シリウスKC)

Amazon Kindle B☆W

【ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話 1】
 横田卓馬(シリウスKC)

Amazon Kindle B☆W

【ライドンキング 3】
 馬場康誌(シリウスKC)

Amazon Kindle B☆W

【君は空のかなた】
 葉山透(幻冬舎文庫)

Amazon Kindle

10月7日
【大家さんは思春期! 11】
 水瀬るるう(まんがタイムコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【吸血鬼ハンター 36.D-山嶽鬼】
 菊地秀行(朝日文庫)

Amazon

【創竜伝 14<月への門>】
 田中芳樹(講談社ノベルス)

Amazon

【天空の鏡 警視庁捜査一課十一係】
 麻見 和史(講談社ノベルス)

Amazon Kindle B☆W

10月6日
異世界の名探偵 1.首なし姫殺人事件
 片里鴎 (レジェンドノベルス)

Amazon Kindle B☆W

信長と征く 1 転生商人の天下取り
 入月 英一(レジェンドノベルス)

Amazon Kindle B☆W

幼女とスコップと魔眼王 2
 丁々発止(レジェンドノベルス)

Amazon Kindle B☆W

女王陛下の異世界戦略 3
 第616特別情報大隊(レジェンドノベルス)

Amazon Kindle B☆W

10月5日
【本好きの下剋上 第二部 本のためなら巫女になる! 2】
 鈴華/香月美夜(コロナ・コミックス)

Amazon Kindle B☆W

片道勇者 滅びの闇と繰り返す英雄
 紅仗直(ドラゴンノベルス)

Amazon Kindle B☆W

不死鳥への転生 ドラゴン倒せるって普通の鳥じゃないよね?
 shiryu(ドラゴンノベルス)

Amazon Kindle B☆W

10月4日
【学園都市オブ・ザ・デッド】
 三河ごーすと(LINE文庫エッジ)

Amazon Kindle B☆W

【女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい】
 森田季節(LINE文庫エッジ)

Amazon Kindle B☆W

【幻獣と刻む帳簿と航海録】
 氷純(LINE文庫エッジ)

Amazon Kindle B☆W

【でび×チキ ブレイブリーソウル 魔界から来た婚約者】
 橘ぱん (LINE文庫エッジ)

Amazon Kindle B☆W

【ダンジョン・ザ・ステーション】
 大泉貴(LINE文庫エッジ)

Amazon Kindle B☆W

【すべては装丁内】
 木緒なち(LINE文庫)

Amazon Kindle B☆W

【明治はいから洋食お嬢さま】
 遠藤遼(LINE文庫)

Amazon Kindle B☆W

【科学オタクと霊感女 -成仏までの方程式-】
 半田畔(LINE文庫)

Amazon Kindle B☆W

【横濱SIKTH ―けれども世界、お前は終わらない― 】
 ニリツ(LINE文庫)

Amazon Kindle B☆W

【マタニティ・ボーイ ~僕、妊娠しました!?~】
 みうらまき(LINE文庫)

Amazon Kindle B☆W

村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない 01
 昼熊(エンターブレイン)

Amazon Kindle B☆W

【猫と竜 猫の英雄と魔法学校】
 アマラ(宝島社文庫)

Amazon

【北鎌倉の嘉風堂 裏路地神社の扇子屋さん】
 千早 朔 (宝島社文庫)

Amazon

【死亡フラグが立ちました! 超絶リアルゲーム実況殺人事件】
 七尾 与史 (宝島社文庫)

Amazon

【不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語】
 斜線堂 有紀 (宝島社文庫)

Amazon

【クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。】
 日浦あやせ(BKブックス)

Amazon Kindle B☆W

10月3日
アークエネミー・スクールライフ 2.夜空に焦がれる妹と星を落とす魔神
 ツカサ(講談社ラノベ文庫)

Amazon Kindle B☆W

ボッチのオタクである俺が、学内屈指の美少女たちに囲まれていつの間にかリア充呼ばわりされていた
 ネコクロ (講談社ラノベ文庫)

Amazon Kindle B☆W

サキュバスアイドルの契約者 ボクっ娘サキュバスと秘密のルームシェア
虎走 かける(講談社ラノベ文庫)

Amazon Kindle B☆W

おジャ魔女どれみ20’s
 影山由美(講談社ラノベ文庫)

Amazon Kindle B☆W

次元特急ラザフォード
 曽我部 浩人(講談社ラノベ文庫)

Amazon Kindle B☆W

実は俺、最強でした? 2
 澄守彩(Kラノベブックス)

Amazon Kindle B☆W

【グイン・サーガ 146.雲雀とイリス】
 五代ゆう(ハヤカワ文庫JA)

Amazon Kindle B☆W

10月1日
【蒼き鋼のアルペジオ 18】
 Ark Performance(YKコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【メンタルモデル・リサーチ 1】
 一葵さやか(YKコミックス)

Amazon Kindle B☆W

齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 3.~この子ったら、生き急ぎすぎではない?~
 榎本 快晴(角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

最低皇子たちによる皇位争『譲』戦 ~貧乏くじの皇位なんて誰にでもくれてやる!~
 榎本 快晴(角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

女神に呼ばれた現代最強、闇堕ち勇者を倒しに異世界へ
 西村 京(角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

このあと滅茶苦茶ラブコメした 本当はあなたのこと大好きだけど、絶対バレてるわけないよね!!
 春日部 タケル(角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

日常ではさえないただのおっさん、本当は地上最強の戦神 4
 相野 仁 (角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

落第賢者の学院無双 ~二度転生した最強賢者、400年後の世界を魔剣で無双~
 白石 新(角川スニーカー文庫)

Amazon Kindle B☆W

覇逆のドラグーン  1.〜落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる〜
 榊 一郎(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

伝説の幼女王(300歳)頼れる冒険者とダンジョンへ旅立つ 1
 わかつきひかる(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

最強と呼ばれた冒険者、低ランク魔物を極める。2
 空埜一樹(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

封印魔竜が最強の仲間たちと数千年後の世界で無双するようですよ? 2
 葛西伸哉(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

無免許勇者の無双譚〈オラトリオ〉3
 しやけ遊魚(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

高1ですが異世界で城主はじめました 16
 鏡 裕之(HJ文庫)

Amazon Kindle B☆W

9月30日
【ラーメン大好き小泉さん 8】
 鳴見なる (バンブーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【トクサツガガガ 17】
 丹羽庭(ビッグ コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【アスモデウスはあきらめない 5】
 勇人(ビッグ コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。3】
 藤丸豆ノ介/友麻碧(B’slogコミックス)

Amazon Kindle B☆W

異世界のんびり農家 06
 内藤 騎之介(エンターブレイン)

Amazon Kindle B☆W

【僕のクラスには校内一有名な美人だけどコミュ障な隣人がいます。1】
 識原佳乃(モンスター文庫)

Amazon Kindle B☆W

【必勝ダンジョン運営方法 12】
 雪だるま(モンスター文庫)

Amazon Kindle B☆W

9月28日
転生したらスライムだった件 15
 伏瀬(GCノベルズ)

Amazon Kindle B☆W

転生したら剣でした 8
 棚架ユウ(GCノベルズ)

Amazon Kindle B☆W

死にゲー転生ブラッドペイン
 羽根川牧人(ファミ通文庫)

Amazon Kindle B☆W

俺の現実は恋愛ゲーム?? 〜かと思ったら命がけのゲームだった〜
 わるいおとこ(ファミ通文庫)

Amazon Kindle B☆W

ランダムでキャラを作ったんだが詰んだかもしれない
 牡羊座の山羊(エンターブレイン)

Amazon Kindle B☆W

エステルドバロニア
百黒 雅(エンターブレイン)

Amazon Kindle B☆W

異世界チート魔術師 11
 内田 健 (ヒーロー文庫)

Amazon Kindle B☆W

最強騎士団長の世直し旅 2
 佐竹アキノリ(ヒーロー文庫)

Amazon Kindle B☆W

クール・エール 3
 砂押 司 (ヒーロー文庫)

Amazon Kindle B☆W

サトコのパン屋、異世界へ行く 3
 塚本 悠真 (ヒーロー文庫)

Amazon Kindle B☆W

燦然のソウルスピナ 3
 蕗字 歩 (ヒーロー文庫)

Amazon

【異世界征服記 ~不遇種族たちの最強国家~1】
 未来人A (ブレイブ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【さよならの言い方なんて知らない。2】
 河野 裕(新潮文庫nex)

Amazon Kindle

9月27日
【東方茨歌仙 〜Wild and Horned Hermit. 10】
 あずまあや/ZUN(REXコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【信長の忍び 16】
 重野なおき(ヤングアニマルコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【ガールズ&パンツァー アバンティ! アンツィオ高校 1】
 梵辛(電撃コミックスEX)

Amazon Kindle B☆W

【ご注文はうさぎですか? 8】
 Koi(まんがタイムKRコミックス)

Amazon Kindle B☆W

元貴族令嬢で未婚の母ですが、娘たちが可愛すぎて冒険者業も苦になりません 3
 大小判(TOブックス)

Amazon Kindle B☆W

9月26日
【ブギーポップは笑わない VSイマジネーター 2】
 上遠野浩平/越水ナオキ(電撃コミックスNEXT)

Amazon Kindle B☆W

9月25日
異世界拷問姫 8
 綾里けいし(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

Re:ゼロから始める異世界生活 21
 長月 達平(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

Re:ゼロから始める異世界生活 短編集 5
 長月 達平(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい
 芝村 裕吏(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

朝比奈若葉と○○な彼氏
 間 孝史(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

スコップ無双 3「スコップ波動砲!」( `・ω・´)♂〓〓〓〓★(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ
 つちせ八十八(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

聖剣学院の魔剣使い 2
 志瑞祐(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

ドSな後輩に“お願い”されて異能学園で覇権を狙う話
 七烏未奏(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

ようこそ実力至上主義の教室へ11.5
 衣笠彰梧(MF文庫J)

Amazon Kindle B☆W

魔弾の王と凍漣の雪姫 4
 川口士(ダッシュエックス文庫)

Amazon

魔弾の王と聖泉の双紋剣
 瀬尾つかさ (ダッシュエックス文庫)

Amazon

漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ
 森月 真冬 (ダッシュエックス文庫)

Amazon Kindle B☆W

史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する ~剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚~
 柑橘 ゆすら (ダッシュエックス文庫)

Amazon Kindle B☆W

善人おっさん、生まれ変わったらSSSランク人生が確定した 4
 三木 なずな(ダッシュエックス文庫)

Amazon Kindle B☆W

【裏切られたSランク冒険者の俺は、愛する奴隷の彼女らと共に奴隷だけのハーレムギルドを作る 2】
 柊 咲 (ダッシュエックス文庫)

Amazon

HELLO WORLD if 勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする
 伊瀬 ネキセ (ダッシュエックス文庫)

Amazon Kindle B☆W

攻撃力極振りの最強魔術師 2 〜筋力値9999の大剣士、転生して二度目の人生を歩む〜
 友橋かめつ(オーバーラップ文庫)

Amazon Kindle B☆W

ファンタジーキャンパス 1 ゲームのかませ犬役に転生したけど、気ままに学園生活を楽しむ
 CK(オーバーラップ文庫)

Amazon Kindle B☆W

黒鉄の魔法使い 4.剣姫一閃
 迷井豆腐(オーバーラップ文庫)

Amazon Kindle B☆W

ありふれた職業で世界最強 小篇集
 白米良(オーバーラップ文庫)

Amazon Kindle B☆W

異世界で土地を買って農場を作ろう 4
 岡沢六十四(オーバーラップノベルス)

Amazon Kindle B☆W

勇者ちゃんが帰らない! 1.僕の家に最強勇者がやってきた
 南木(オーバーラップノベルス)

Amazon Kindle B☆W

魔導具師ダリヤはうつむかない 〜今日から自由な職人ライフ〜 3
 甘岸久弥(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

召喚された賢者は異世界を往く 〜最強なのは不要在庫のアイテムでした〜 3
 夜州(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

ウィザードプリンセス 〜落ちこぼれ少女を最強魔導士に〜 3
 埴輪星人(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

フリースキルで最強冒険者 〜ペットも無双で異世界生活が楽しすぎる〜 2
 瀬戸メグル(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

人間不信の冒険者たちが世界を救うようです 1.最強パーティー結成編
 富士伸太(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

限界レベル1からの成り上がり 〜最弱レベルの俺が異世界最強になるまで〜 1
 未来人A(MFブックス)

Amazon Kindle B☆W

[映]アムリタ 新装版
 野崎 まど (メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

神楽坂・悉皆屋ものがたり 着物のお直し、引き受けます。
 行田 尚希(メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

本を愛した彼女と、彼女の本の物語
 上野 遊 (メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私
 成田 名璃子 (メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

かくしごと承ります。 ~筆耕士・相原文緒と六つの秘密~
 十三 湊(メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

舞面真面とお面の女 新装版
 野崎 まど (メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

アリクイのいんぼう 愛する人とチーズケーキとはんこう
 鳩見 すた(メディアワークス文庫)

Amazon Kindle B☆W

【Bestia  2】
 有坂あこ/三田誠/みやこかしわ(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【けものみち 5】
 暁なつめ/まったくモー助(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【はじめてのギャル 9】
 植野メグル(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【魔導具師ダリヤはうつむかない 〜今日から自由な職人ライフ〜 1】
 釜田/甘岸久弥(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【ライセカミカ 5】
 瀬川はじめ(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 8】
 山田 こたろ/海空 りく(ヤングガンガンコミックス)

Amazon Kindle B☆W

9月24日
【Fate/Grand Order メイヴ・メイヴ・メイヴ! 青乃下作品集】
 青乃下(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【Fate/Grand Order 喚びだせ! カルデアすきま劇場! 逢坂たま作品集】
 逢坂たま(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【さようなら竜生、こんにちは人生 17】
 永島ひろあき(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ】
 さとう(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました】
 カタナヅキ(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【スキル【合成】が楽しすぎて最初の村から出られない】
 紅柄ねこ(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【異世界ゆるり紀行 7 子育てしながら冒険者します】
 水無月静琉(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【素材採取家の異世界旅行記 7】
 木乃子増緒(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【THE NEW GATE 15.魂の帰る場所】
 風波しのぎ(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【じい様が行く 6 『いのちだいじに』異世界ゆるり旅】
 蛍石(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【スキルはコピーして上書き最強でいいですか 2 改造初級魔法で便利に異世界ライフ】
 深田くれと(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

【神様のヒントでキャラメイク大成功!魔法も生産も頑張ります! 2】
 まるぽろ(アルファポリス)

Amazon Kindle B☆W

9月21日
【うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。9】
 CHIROLU (HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【王国へ続く道 6】
 湯水 快 (HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【日本へようこそエルフさん。4】
 まきしま鈴木(HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【槍使いと、黒猫。9】
 健康(HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【孤児院テイマー 2】
 安藤正樹(HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【異世界はスマートフォンとともに。18】
 冬原パトラ(HJ NOVELS)

Amazon Kindle B☆W

【Fate/Apocrypha vol.1「外典:聖杯大戦」】
 東出祐一郎(角川文庫)

Amazon

【機動戦士ガンダムMSV-Rジョニー・ライデンの帰還 19】
 Ark Performance(カドカワコミックスA)

Amazon Kindle B☆W

【齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 〜やだこの生贄、人の話を聞いてくれない〜 4】
 ムロコウイチ/榎本 快晴(ガンガンコミックスJOKER)

Amazon Kindle B☆W

9月20日
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 7
 細音 啓(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

ファイフステル・サーガ 4.再臨の魔王と女神の巫女
 師走トオル(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

氷川先生はオタ彼がほしい。 1時間目
 篠宮 夕(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

監獄勇者のやり直し 貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる
 瀬尾つかさ(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

新米錬金術師の店舗経営 01.お店を手に入れた!
 いつきみずほ(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

俺が好きなのは妹だけど妹じゃない 9
 恵比須清司(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

異世界忍者無双 〜俺の異世界転生特典がどう見ても万能忍者スキルだったので超絶に忍びます〜
 甘味亭太丸(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

コール・オブ・メディック 2.黒腕の衛生兵、戦場の万死を払う
 柳実冬貴(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

甘えてくる年上教官に養ってもらうのはやり過ぎですか? 2
 神里 大和(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

神々に育てられしもの、最強となる
 羽田遼亮(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

ちょっぴりえっちな三姉妹でも、お嫁さんにしてくれますか? 2
 浅岡 旭(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? 9
 井中だちま(富士見ファンタジア文庫)

Amazon Kindle B☆W

ソード・ワールド2.5リプレイトライ 継承される物語
 北沢慶(ドラゴンブック)

Amazon Kindle B☆W

【偽・聖剣伝説 〜幼なじみの聖女を売ったら道連れにされた〜】
 溝上良(アークライトノベルス)

Amazon

【紫電改のマキ 14】
 野上武志(チャンピオンREDコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい 3】
 fujy/合田拍子(MFコミックス アライブシリーズ)

Amazon Kindle B☆W

【エロの秘密結社 ドシコルド 2】
 長谷川シグリオ(MFC)

Amazon Kindle B☆W

【戦闘員、派遣します! 3】
 鬼麻 正明/暁 なつめ(MFコミックス アライブシリーズ)

Amazon Kindle B☆W

【続・この素晴らしい世界に爆焔を! 3】
 森野カスミ/暁なつめ(MFコミックス アライブシリーズ)

Amazon Kindle B☆W

【黒焔の戦乙女 02】
 梶沖 たくま(MFコミックス アライブシリーズ)

Amazon Kindle B☆W

【鬼灯の冷徹 29】
 江口夏実(モーニングKC)

Amazon Kindle B☆W

【ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜 9】
 泰三子(モーニングKC)

Amazon Kindle B☆W

【コウノドリ 28】
 鈴ノ木ユウ(モーニングKC)

Amazon Kindle B☆W

【サイクリーマン 1】
 原田尚(モーニングKC)

Amazon Kindle B☆W

9月19日
【かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 16】
 赤坂アカ(ヤングジャンプコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【ゴールデンカムイ 19】
 野田サトル(ヤングジャンプコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【貧民、聖櫃、大富豪 5】
 高橋慶太郎(サンデーGXコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【辺境の老騎士 バルド・ローエン 5】
 菊石森生/支援BIS(ヤンマガKCスペシャル)

Amazon Kindle B☆W

【魔女と野獣 5】
 佐竹幸典(ヤンマガKCスペシャル)

Amazon Kindle B☆W

9月18日
【妹さえいればいい。13】
 平坂読(ガガガ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【俺、ツインテールになります。18】
 水沢 夢(ガガガ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【プロペラオペラ】
 犬村小六(ガガガ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【物理的に孤立している俺の高校生活 7】
 森田季節(ガガガ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【クラスメイトが使い魔になりまして 2】
 鶴城 東(ガガガ文庫)

Amazon Kindle B☆W

【SSSS.GRIDMAN NOVELIZATIONS Vol.1 〜もう一人の神〜】
 水沢夢(ガガガブックス)

Amazon Kindle B☆W

【紅蓮館の殺人】
 阿津川辰海(講談社タイガ)

Amazon Kindle B☆W

【三日月邸花図鑑 花の城のアリス】
 白川紺子(講談社タイガ)

Amazon Kindle B☆W

【昨夜は殺れたかも】
 藤石波矢/辻堂ゆめ(講談社タイガ)

Amazon Kindle B☆W

【カナダ金貨の謎】
 有栖川有栖(講談社ノベルス)

Amazon Kindle B☆W

【双亡亭壊すべし 14】
 藤田和日郎(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【MAO 1】
 高橋 留美子(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【魔王城でおやすみ 12】
 熊之股鍵次(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【保安官エヴァンスの嘘: ~DEAD OR LOVE~9】
 栗山 ミヅキ(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【ゆこさえ戦えば 1】
 福井セイ(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【探偵ゼノと7つの殺人密室 8】
 杉山鉄兵/七月鏡一(少年サンデーコミックス)

Amazon Kindle B☆W

9月17日
Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て
 古宮 九時(電撃の新文芸)

Amazon Kindle B☆W

異修羅 I 新魔王戦争
 珪素(電撃の新文芸)

Amazon Kindle B☆W

EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト(下)
 川上稔(電撃の新文芸)

Amazon Kindle B☆W

【コールミー・バイ・ノーネーム】
 斜線堂 有紀(星海社FICTIONS)

Amazon

【プニプニとサラサラ 3】
 塩野 干支郎次(YKコミックス)

Amazon Kindle B☆W

【五等分の花嫁 11】
 春場 ねぎ(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【炎炎ノ消防隊 19】
 大久保 篤(講談社コミックス)

Amazon Kindle B☆W

【キノの旅 the Beautiful World 6】
 シオミヤイルカ/時雨沢恵一(マガジンエッジKC)

Amazon Kindle B☆W


Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索