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狼と香辛料

狼と香辛料XX Spring Log ★★★★   

狼と香辛料XX Spring LogIII (電撃文庫)

【狼と香辛料XX Spring Log掘曄〇拜凖犧宗進諺匳宗‥天睚幻

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湯治客で賑わう短い夏が終わり、湯屋『狼と香辛料亭』はひと時の穏やかな秋を迎えていた。山々に囲まれたニョッヒラの秋の味覚を堪能しようと、いつも以上に張り切るホロとあきれ顔のロレンス。山での散策を終えて、籠いっぱいの土産とともに二人が湯屋に戻ると、入り口にはたくさんの人だかりが。「なんじゃ、よくわからぬが、色々な獣の匂いがしんす」
湯屋『狼と香辛料亭』にやってきた、時季外れの珍客たちの目的とは―。書き下ろし短編『狼と収穫の秋』に加え、電撃文庫MAGAZINE掲載短編4本を収録した、湯屋での物語第3弾。

イチャイチャイチャイチャ。わかった、もうわかったから勘弁してください、と言いたくなるくらいいちゃつくご夫婦。明らかに二人で旅していた時よりもいちゃついている二人である。あの頃はもう少し駆け引きみたいなものを二人して楽しんでいたのだけれど、今のロレンスはホロのこと好きすぎてたまらんというのを抑えも隠しもしないし、ホロが望むものをなんだかんだ言いながらも積極的に捧げまくってる。いやいや、いくらなんでも甘やかしすぎなんじゃないですか? とすら思っていたのですけれど、そうかー、ロレンスお父さんてばミューリがいなくなって寂しくなっていたのか。
その分、ホロを甘やかすことで慰めていたんですね。自分を甘やかさせることで寂しがってるロレンスを甘やかしていたんじゃよ、とドヤ顔のホロさんですが便乗して甘やかして貰っていたようにしか見えないw
いい加減太りますよ、賢狼さま。
久々に登場したミューリ傭兵団の団長さんが、ロレンスに負けず劣らずミューリ贔屓のお父さん的な立ち回りをしていて、ミューリが駆け落ちをしたと知って愕然としている様子に思わずフフフ笑い。頼もしい気のいい兄ちゃんだったのに、この人も何年経っても変わらんなあ。ミューリのこと姫、姫とえらい可愛がってくれているようで。未だに深い交流がある、というのはなんとも嬉しくなりますね。
未だに交流がある、というとホロとロレンスを結びつけてくれたあのエルサの近況も知れて良かったです。エヴァンともちゃんと結ばれているようでよかった。ってか、あっちは3人も子供生まれてるのかー。
でも、こんな風にエルサのように文で近況を送ってきてくれるか、もしくはニョッヒラに湯治に訪れてくれるか、という機会でもないとかつての旅で出会った人たちとの交流はもう無い。ロレンスとホロの旅はもう終わって、このニョッヒラから外に出ない、と思っていただけにラストの展開は思わず胸が高鳴ってしまいました。
いい加減立場も違いますし、帰るべき場所がある身、そしてロレンス自身もう若くはないのですけれど、それでもまだ旅に馳せる想いがあるなら。ただ待つのではなく、自分の足で懐かしい人々に会いに行くという能動を求める気持ちがあるなら、たとえ幸せの最中であっても心残りとして積もるものはあるんですよね。そういう気持ちを押し止めるでも共有してごまかすでもなく、ちゃんと後押ししてくれるホロは、掛け値なしの良妻なんでしょうなあ、こういうのって。
ちゃんと、留守中の宿の手配りについても考えてくれていたわけですし。
でも、このニョッヒラに腰を据えるようになってから以前よりもホロと同じ獣の人たちとの交流が増えているわけですけれど、思っていたよりもずっとたくさんの「獣」が人に混じって暮らしてるんだなあ、と実感しています。人族の隆盛によっていずれ消えゆく儚い存在なのかと昔は思い巡らせていたものですけれど、幾人もの古老たちによる苦労もあったのでしょうけれど、けっこうしぶとく人の世の中に紛れて生き延びていっているようなんですよね。ある種のノウハウやツテみたいなものも構築できているんじゃないでしょうか。獣同士でかなり密接にコミュニティめいた交流があるみたいですし。場合によっては、今後「狼と香辛料亭」はそうした獣たちの交流のハブみたいなものになる可能性もありそうですし。
ミューリの方の話に出てきた羊さんが語る夢の話のような人ならざる者たちによる国、というのは難しいかも知れないけれど、人の世の影で隠然たる影響力を及ぼす結社、或いはコミュニティ的なものが発展組織されて、現代までたくましく生き残ってもなんか不思議じゃない感じだなあ。
いつかの未来に至っても、ホロが寂しくても孤独にはならない想像の余地が広がっていく、というのはどこか安堵のようなものを抱かせてくれる。そういう意味でも優しいアフターストーリーだと思うんですよねえ、本作って。
さて、しかしこうなるとやはり以前の旅で出会った人たちとの再会を期待してしまうわけで。エーヴがバリバリやってるのはミューリ編で伝え聞こえてきているので、あとはやはりノーラが今どうしてるか、だわなあw

シリーズ感想

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 3 ★★★★   

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙III (電撃文庫)

【新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 3】 支倉 凍砂/文倉十 電撃文庫

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賢狼ホロの娘・ミューリの旅、舞台は島国ウィンフィール王国へ!

聖職者志望の青年コルの旅の連れは、「お嫁さんにしてほしい」と迫ってくる賢狼の娘ミューリ。海賊の島から出た二人は、嵐に巻き込まれウィンフィール王国の港町デザレフにたどり着く。
教会が機能していないその町で、コルは「薄明の枢機卿」と呼ばれ、まるで救世主のような扱いを受けることに。
そしてコルはミューリの求愛に向きあうべく、自らを「兄様」と呼ぶことを禁止し、関係を変化させようとするのだった。
そんなコルたちの前に、イレニアと名乗る商人の娘が現れる。彼女はなんと羊の化身であり、“ある大きな計画”に協力してほしいと持ちかけてきて――?
……ちょっと待って。ちょっと待って。
長らく行方がわからなくなっていたホロの仇でもある「月を狩る熊」の情報がようやく、思わぬ所から出てきたわけですけれど、なんかスケールが桁違いなんですけど。
「月を狩る熊」って実は熊じゃなくて、ゴジラなんじゃないの? ほら、最近の日米各実写版もアニメ版のゴジラもわりとごっつくなって見方によっては熊みたいだし。
そうだよ、ゴジラだったんだよ、クマーは。でなければ、くまモン。
いずれにしても、新大陸の話が出てきたけれど、これ絶対に踏み入ったらあかん暗黒大陸なんじゃなかろうか。変に刺激してクマーが帰ってきてしまうと、いきなり話が「その日、人類は滅亡した」とかいうたぐいの話になりかねない、とすら思ってしまう馬鹿げた存在なんだけれど。ちょっと話を聞いただけでも。
それくらい、オータムさんが教えてくれたクマーの情報や、新大陸で目撃されたクマーの話って、ゴジラ規模なんですよね。なんで、海底に足跡残ってるんだよ。それも、巨大なクジラの化身であるオータムさんが、長らく足跡と気づかなかった、というくらいのデカさの。
いやだから、ゴジラだって、そいつ。

羊の化身であるイレニアが持ちかけてきた話、或いは彼女の野心であり、人ならざる者たちの夢とも言えるその話は、同時にウィンフィール王国がもくろんでいる国家事業の秘密を明らかにするものでもあり、コルは信仰の問題はどうしたんだ、と戸惑い憤ってるけれど、ぶっちゃけるとコルが最初区別していた2つの問題は決して同時に存在できないものではないんですよね。
どちらか一方の目的のために、片方の目的を踏み台にしてしまおうとしているのではなく、どちらも欠かせない両輪になろうとしていることを、コルは最終的に気づいたようだけれど。
いずれにしても、話は宗教改革や旧来の教会からのウィンフィール王国の離脱という問題に収まらない大きなものになってきてしまった。コルは薄明の枢機卿なんていつの間にか二つ名までついてしまって、中心人物の一人とも言える立場に追いやられてしまったのだけれど、その二つ名が身の丈にあわないとコル自身戸惑っているように、話のスケールもコル自身の身の丈を越えようとしているのではないだろうか。もちろん、それを誰よりも痛感しているのはコル自身なのだけれど。少なくとも、新大陸にまで足を踏み入れるほどの何かを、コルは持っているのか。
ミューリは、世界各地を旅して回りたいという願望はあっても、最終的にはあの両親の待つ温泉宿へと帰るつもりである。狼の化身であるミューリにとって、世界は自分の居ていい場所を見つけられないところではあるんだけれど、でも帰るべき場所はあるんですよね。だから、そこを捨ててまで終わりのない旅を続けることはできないし、新天地を求めているわけでもない。
イレニアが語った夢は、ミューリにとっても心躍るものだったかもしれないけれど、でもそこはミューリがたどり着きたい場所ではない。
でも、コルが行くとなったら、ミューリはどうするだろう。こればっかりはコルの胸三寸でありましょう。今までと同じ関係のままなら、ミューリはもうそこまでついていけない気がする。でも、コルがついてきてくれ、と願えるような関係になったら、ミューリはついていくでしょう。
まあその前に、関係がどうあれミューリを思ってコルがそのような決断をすることは難しいでしょうし、それが自分の役割かというとそこまで思い切るような出来事には遭遇していない。逆に言えば、新大陸を目指すに足るだけの理由を得てしまう展開も、決して否定できないのだけれど。

しかし、この世界における羊さんは、羊の化身は、どの人も覚悟極まってるなあ、と感心させられる。羊は無力どころか、新たな地平を切り開いていく開拓者のようじゃないか。
でも、よりにもよってイレニアさん。羊のくせに、「狼」にあれだけ惚れ込んでしまうなんて。かのオオカミさん、まったくもう相変わらずキレッキレだねえ。全然変わらず元気そうで良かったですよ。

シリーズ感想


狼と香辛料XIX Spring Log供 ★★★   

狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)

【狼と香辛料XIX Spring Log供曄〇拜凖犧宗進諺匳宗‥天睚幻

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賢狼ホロと元行商人ロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』。幸せと笑いがわき出ると言われる湯屋を舞台に描かれる、旅の続きの物語、第2弾が登場。
コルとミューリが旅に出てしまい、湯屋は慢性的な人手不足に。ロレンスは大勢の客が訪れる繁忙期に向け、スヴェルネルの騒動で出会った女性・セリムを新たに雇うことにする。実は彼女、ホロと同じ狼の化身なのだ。
新参者のセリムの前では、女将としても狼の化身としても威厳を保ちたいホロだったが、なにやら浮かない様子。
一方ロレンスは、そんなホロの気持ちを知ってか知らずか、湯治客が持ってきた特権状に夢中で──?
電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と香辛料の記憶』を収録!
幸せであるが故の焦燥か。刺激のない同じような日々の繰り返し。それが退屈というわけではなくて、本当に幸せなんだけれど、毎日が同じ繰り返しであればあるほど、飛ぶように過ぎていってしまうことに焦りを感じてしまう。
これは長い寿命を持ってるような種族とか関係なしに、普通の人も感じてしまうものなんですよね。というか、凄く分かる。すごく共感してしまう。現状に特に大きな不満なく、今に満ち足りたものを感じていればこそ、ついつい先のことを、失われてしまうだろう先のことを連想してしまって、どうしようもないのに焦りを感じてしまうんですよね。これって、二十代の若い頃や、逆に晩年に差し掛かった老年期では感じ得ない感覚なのかも。
もっと我武者羅に、日々追い立てられるように生きていれば感じない類のものなのかもしれないけれど、ある程度のんびりと余裕を持っていればいるほど、その余裕を上手く使えていないんじゃないか。もっと面白いことが出来るんじゃないか、と考えてしまう。それは手の届かないことではなくって、ちょっと頑張れば出来ること。ついこの間まで出来ていただろうことだったりするので、焦燥は実感を伴ってしまっているわけで。
ホロほど頭が良いと、そんな未来と出来ることに関して余計に鮮明に思い浮かべてしまえるから、なおさら焦燥は強いのかもしれない。幸せであればあるほど消せない焦り。なかなか解消できないであろうそれを、ちゃんと目ざとく気づいて、解消してしまえるロレンスの、老いてなお人間力が増しているこのいい男っぷりたるや。
そんなロレンスさんが、新たに働くことになった若い狼のメスなんぞにうつつを抜かすはずがない、とホロ自身もちゃんと分かってるにも関わらず、それでも不安にかられてしまうというのはこの人、幾つになっても乙女ですなあ。人当たりは良いくせに、近い位置に来られると途端にムズがるような人見知りなところがあるし。昔はロレンスはそんなホロの弱い部分を把握しきれていなかったのだけれど、これだけ長い間連れ添うと、ホロの強いところも弱いところも全部掴んじゃってるのでフォローが本当に上手いのだ。
そんなロレンスの行き届いた配慮というものも、聡いホロはちゃんと全部理解しているが故に、二人の関係たるや昔よりよっぽど糖度が弥増している。お互い、素直になっているというのもあるんだけれど、ホロ視点だとどれだけロレンスのこと好きなんだよ! と思わず叫んでしまいたいくらい、ベタ惚れな心境を吐露しまくっているので、正直たまらん!!
やたらと歳食ったと強調するロレンスだけれど、あんたまだ年齢的に私と変わらんからね。まだまだ若いんだからね。なので、まだまだ若い娘さん同様のホロさまのお相手をスルに疲れるほど老いてはいないのである。
ミューリが居なくなって、二人の時間が増えた以上、ミューリの妹様か弟が出来てもおかしくないなあ、これ。いや、実際それらしいことしてそうな描写もありましたし。ホロさんが狼になっていらっしゃる!!
けっこうカプカプ噛み付いてるのねー……。
【Spring Log】というタイトルの意味も明らかになり、ロレンスが自分が居なくなったあとも、ホロが幸せであり続けることを、願うだけではなく様々な手立てを講じていることがよくわかるお話でした。愛し、愛されている話だなあ。

シリーズ感想

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 供 ★★★   

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙II (電撃文庫)


【新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 供曄〇拜凖犧宗進諺匳宗‥天睚幻

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港町アティフでの聖書騒動を乗り越えた青年コルと、賢狼の娘・ミューリ。恋心を告げて開き直ったミューリから、コルは猛烈に求愛される日々を送っていた。
そんな中、ハイランド王子から次なる任務についての相談が。今後の教会勢力との戦いでは、ウィンフィール王国と大陸との海峡制圧が重要になってくる。そのため、アティフの北にある群島に住む海賊たちを、仲間にすべきかどうか調べて欲しいというのだ。
海賊の海への冒険に胸を躍らせるミューリであったが、コルは不安の色を隠せない。なぜなら海賊たちには、異端信仰の嫌疑がかけられていたのだ。彼らが信じるのは、人々が危機に陥ると助けてくれるという“黒聖母”。不思議な伝説が残る島で、二人は無事任務を遂行することができるのか――。
トート・コルにとっての信仰とは。
前作の主人公ロレンスと今代の主人公であるコルの、商人と神学士という立ち位置の違いを顕著に感じさせられる話でありました。ロレンスの物語というのは、商売によってどうやって儲けるのか、というのが基本路線となり、その中に商人としての姿勢や誇り、現世利益を求めながらも誰もが幸せになれるWin−Winの結末を手繰り寄せようとする、人としての在り方を描くものでもあったのですが、この点コルはまず自分が儲けるという自己欲がなく、みんなが幸せになるため、という漠然とした目的を叶える拠り所として神の教えや信仰というものに人生を費やそうとしているのだけれど、商売ってのが損得がハッキリしている結果がわかりやすいものであるのに対して、コルが拠り所としているものは心の在り方によるものであるせいか、これという目に見える形での結果や実感を伴いにくいものでもあるんですよね。だからか、コルは目的と手段が逆転してしまったり、信仰というものへの拘りが信仰のための信仰、みたいになったり、答えがあるわけではないものに対して正しさ、正解を求めようとしてしまったり、と随分と足元が覚束ないのである。
これに対して、ミューリはコルに対して即物的な自分の幸せを求めるように、悪魔の誘惑のごとく囁きかけてくるのだけれど、コルの地に足の付いてないふわふわした様子を見るとミューリの言いたいこともよくわかるんですよね。でも、ミューリの誘い方だと思いっきりコルのことを甘やかしている、とも思えるわけで、この点常にロレンスに対して甘い言葉をささやきながらその実甘やかすことをしようとしなかった、一廉の男であることを求め続けたホロと比べると、ミューリってけっこう男をダメにするタイプの女なんかじゃないかと思ってしまう。
これ、コルが自分に対してひたすら厳しい人間だからこそ、ミューリがこうなっちゃった気がしないでもないのだけれど。
構図だけ見ると、まさに信仰に身も心も捧げようとする神の僕に甘言を弄して堕落を迫る悪魔の図、なんですよねえ。ただ、コルが厳しく突き詰めようとする信仰の形は、本来彼が求めていたものから外れていきそうなものだったのも確か。そもそも、彼が神学士として生きようと思った生まれ故郷での出来事や、前巻で抱いた世界に居場所を持たないミューリに、幸せと安息を与えてあげたい、という想い。それを叶えるために、神の教えを紐解き、世界に伝え広めていきたい、という目的が、ひたすら信仰の在り方というものに塗りつぶされていこうとしていたピンチでもあったんだよなあ、今回。
かくの如く、求める先も見失って右往左往するコルですけれど、本来賢く聡明な彼はハッキリとした達成すべき目的さえ定めれば、そこに行き着くための方策を、わりと速攻で導き出せるんですよね。その手段も常識にとらわれず、ロレンスやホロ譲りの大胆さでこねくりまわせるのに、その柔軟さを発揮するための土台がふわふわしているものだから、普段はどうしても頑なな固定の道を歩もうとしてしまう。
向いてない、とまでは言わないけれど、コルってわりとわかりやすい利益や具体的な結果を伴う事例の方が得意なんじゃないか、と思えてしまう。ロレンスやホロと旅していた頃もそうでしたし。
でも、だからといって楽な方を選んでしまうと、だめになってしまうというコル自身の気持ちもわからないでもないんですよねえ。この場合、ダメになってもミューリが居てくれたらそれはそれで十分幸せになれるんでしょうけれど、それは幼い頃から志し続けたものを諦めた幸せになってしまう。かと言って、一人で居るとひたすら自分を追い詰めていきそうなだけに、ホロがミューリを彼につけたのは大変によくわかるのである。
今回の一件で、コルも自分の未熟さと危うさを相当に思い知ったんじゃなかろうか。身の程を知る、というのは自分を卑下するという意味合いだけじゃなくて、自分をよく理解することで新しい自分の可能性を見つけることにも繋がると思うんですよね。自分を知れば、これしかないと思っていた範囲がどれほど矮小で固定観念に縛られたものだったかにも気づくことが出来るし、自分にとって何が大切なのか。自分がこれから進もうとしている道に、誰が必要なのか、というのも思い知ることが出来る。
コルの、ミューリを折に触れて故郷に返そうとする姿勢、ミューリを思ってのことなんだけれど、ミューリの気持ちや覚悟を蔑ろにしているのみならず、ミューリにとってコルという男がどれほど掛け替えのない価値のあるものなのかを、コル自身がコルを評価していないようにも見えていただけに、結構不満ではあったんですよね。コルにとってミューリは必要ないというよりも、ミューリに自分は特に必要ないんだ、と思っている素振りが。
それに対して、ミューリは端的に、海に落ちた際の例え話で一切合財を言い表していて、彼女のコルに対しての愛情のみならず、コルに対する危惧を具体的に察知している聡明さがうかがい知ることが出来るんですよね。
こんなん、敵うわけがないじゃない。
このまま行くと、信仰や神の教えに対する変節ではなく、コルにとっての正しい信仰に至ることでミューリが念願を叶える、という形へと物語は流れていきそうだなあ。それがもっとも幸いなんだろうけれど。

1巻感想

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 ★★★★☆  

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 (電撃文庫)

【新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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聖職者を志す青年コルは、恩人のロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』を旅立つ。ウィンフィール王国の王子に誘われ、教会の不正を正す手伝いをするのだ。そんなコルの荷物には、狼の耳と尻尾を持つ美しい娘ミューリが潜んでおり―!?かつて賢狼ホロと行商人ロレンスの旅路に同行した放浪少年コルは青年となり、二人の娘ミューリと兄妹のように暮らしていた。そしてコルの旅立ちを知ったお転婆なミューリは、こっそり荷物に紛れ込んで家出を企てたのだ。『狼と香辛料』待望の新シリーズは、ホロとロレンスの娘ミューリが主人公。いつの日にか世界を変える、『狼』と『羊皮紙』の旅が始まる―!
まさか続編が出るなんてなあ。嬉しい、嬉しいよ。主役はホロとロレンスの旅に同行し、ロレンスの実質的な弟子として、或いは二人の子供のようだったあのコル。見違えるような立派な青年に成長したコル、それこそホロと出会った頃のロレンスと変わらない年齢になってたのか。
聖職者を目指すという夢は変わらないまま、ロレンスとホロの湯屋でずっと働いてたのね。彼のこの素直なままの成長具合を見ると、どれほどホロとロレンスに可愛がられて育ったのかがよくわかって、思わず微笑んでしまった。でも、妙に堅物に育ってしまった、特に女性に対して免疫なさそうな育ち方してしまったのはこれ、多分ホロのせいだよなあ。よっぽど過保護に構ってたんだぜ、きっと。旅の間のコルへの接し方を思い出すと、容易に想像できてしまう。ある意味娘のミューリよりも過保護にしてたんじゃないだろうか。でないと、湯屋
で働いていて相応に女性に接する機会、それも水商売系統の女性とまみえる機会も珍しくなかっただろう境遇であの免疫の無さはないでしょう。ミューリ対応にリソース全振りしてるっぽいもんなあw
そのミューリである。いやあお転婆だ。これぞおてんば娘という天真爛漫さで、容姿こそホロにそっくりだけれど性格はけっこう違いますよね。でもあの強かさと抜け目の無さはさすがホロとロレンスの娘だ、という強者っぷりで、兄貴分のコルを振り回すのですけれど……ホロのように尻に敷くのではなく、結構この娘コルのこと立てるのよねえ。ある意味ホロと違った甘え上手ではあるのですけれど。
そして、ホロとはまた違った意味で拠り所を一人の男性に得ているんですよねえ。ホロの場合は長い長い有給の旅路の中での安息をロレンスに求めたわけだけれど、まだ見た目通りの少女であるミューリは人間と狼のハーフであるという自身の存在の立脚点をコルに得ているのである。人間ではない周りと違う存在である、本性を秘密にし続けなくてはならない自分が、この世界に居て良いのだという許しを、彼女はコルによって得ているのだ。自身の存在の肯定、ミューリをミューリ足らしめたものこそ、コルの絶対味方宣言なんですよね。今のミューリを形作ったものの根源こそは、コルなんですよね。そりゃあ、ミューリにとってコルは唯一無二だわ。
生まれたときから側にいたから自然に、という曖昧な流れではなく、ミューリとしては絶対的な意思と必然によってコルでなければならなかったわけなんですよね。そりゃあ、どこまでもどこまでも、住み慣れた街をあとにしても、愛する両親に別れを告げてもコルと離れられなかったのも理解できる。
時系列が同じロレンスたちが主役の方の番外編で、ミューリの出奔が家出でも物見遊山でもなく「駆け落ち」と認識されてしまっていたのも、これは無理からぬ話だなあ。だって、当事者であるコルと無駄な抵抗をしているロレンスを除けば、誰からどう見てもそして事実として駆け落ちそのものだもんなあw

しかしだ、今のコルは夢追い人。コルを追いかけついてきたミューリだけれど、兄様の視線はいつだって遠くを見つめていて、なかなか自分の方を見てくれない。寂しい思いをすることもしばしばで、このあたりの構い方はまだまだミューリはホロには敵わないなあ、と。いやミューリの場合はコルに対して遠慮と言うか配慮がたっぷりあるうえに、ホロみたいにグイグイと絶妙な押し引きがまだ経験不足で出来ないのだから仕方ないのだけれど。それに、コルってばあれだけいつも夢の方に熱中しているくせにミューリのことは頭の片隅においていて絶対に忘れてないんですよね。ちゃんと、見るべき時にはミューリの方を振り返って彼女のことを見てくれる。
ほんと、出来た青年である。そりゃあね、このちょっと頼りない兄様のためなら、なんでもなんでもしてあげよう、という気になっちゃうわなあ。淡い思いに一杯一杯になってるミューリの可愛いこと可愛いこと。子供っぽいといえばそうなのかもしれないけれど、幼いながらに自分の想いに本当に一途で一心不乱で、この一生懸命さは愛しくなります。
コルの方も、さすがはロレンスの薫陶を受けて育っただけあって、ただ世間知らずの堅物の学者もどきではなく、此処ぞというときには商人視点の視野の奥深さや、純粋さのなかに駆け引きを駆使するクレバーさも持ち合わせていて、まだまだミューリが自分がいないと駄目だなあなんて思ってしまう頼り無さや青臭さだけではなく、決めるときは決める頼もしさも備えていて、ほんと良い青年に育ちましたよ。
さいごの、王子がずっと抱えていた秘密に関してはちょっと反則ですよね。あれはコルが気がつかないのも仕方ないですよ。なんでミューリがあれだけピリピリしていたのかも納得できて、思わず微苦笑。コルさんや、この妹さんまじ可愛いですよ、もう。

シリーズ感想

2016年10月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:74冊 うち漫画:45冊

うははは、先月壊滅的に読めてなかったので今月は三倍近く読んでやったぜ、と読破数を見てドヤ顔だったんですが、数えてみたら漫画が半数以上を占めてました。ははは……うんまあそうだよね。今月はセール満載だったもんなあ。ともあれ、完全にへたばってた先月よりはしっかり崩せたかなあ、と。
10月の注目、というよりも発見というべきか。秋田みやびさんの富士見L文庫から出してた二作品。主にTRPG界隈の人で小説もソード・ワールドシリーズのノベライズ、という方だったんですけれど、現代のお仕事モノ(怪異付き)という【三宮ワケあり不動産調査簿】【ぼんくら陰陽師の鬼嫁】、両方共人情味と登場人物間の丁丁発止が非常に面白くて、心に染み入るあったかさがあって、今後も最優先で追っかけていきたいです。
そして、再始動となった【狼と香辛料】が全然勢いというかいちゃつき度が衰えてなくて、いい意味で熟成されてしまったなあ、と。まだ読んでない娘が主人公の方も楽しみです。
キャラクターのインパクトがぶっちぎりだったのが【シャチになりましたオルカナティブ】のオル子。いやもうアホでアホでアホ極まって可愛いのなんの。近年まれに見るアホ可愛さのキャラなのですよ、全力で愛でよ!


★★★★★(五ツ星) 0冊



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 1冊

狼と香辛料 18.Spring Log】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

【狼と香辛料 18.Spring Log】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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ちょっと待ってーー! まだあがってる、糖度があがってる、イチャイチャ度が俄然上がってるんですけど!?
あの最高のハッピーエンドからのアフターアフター。結婚から十余年、湯屋の主人と女将となり、娘も出来て落ち着いても良い頃なのに、むしろ旅してた頃よりももっとラブラブになってるのって、どうなんですかぁ!?
ホロとロレンスは、あれからもずっとずっと幸せです。

★★★★(四ツ星) 8冊

異世界とわたし、どっちが好きなの?】 暁雪/へるるん MF文庫J
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 15】 川口士/片桐雛太 MF文庫J
マグダラで眠れ 8】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫
三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき】 秋田みやび/高田桂 富士見L文庫
シャチになりましたオルカナティブ】 にゃお/松うに 角川スニーカー文庫
我が驍勇にふるえよ天地 2 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫
ぼんくら陰陽師の鬼嫁】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫
英雄教室 6 特装版】 新木伸/森沢晴行 ダッシュエックス文庫

【異世界とわたし、どっちが好きなの?】 暁雪/へるるん MF文庫J

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【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 15】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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【マグダラで眠れ 8】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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【三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき】 秋田みやび/高田桂 富士見L文庫

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【シャチになりましたオルカナティブ】 にゃお/松うに 角川スニーカー文庫

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【我が驍勇にふるえよ天地 2 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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【ぼんくら陰陽師の鬼嫁】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫

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【英雄教室 6 特装版】 新木伸/森沢晴行 ダッシュエックス文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

大連寺鈴鹿 (東京レイヴンズ)
大友陣 (東京レイヴンズ)
クースラ (マグダラで眠れ)
高比良茅夏 (三宮ワケあり不動産調査簿)
志水颯 (三宮ワケあり不動産調査簿)
御前尊 (三宮ワケあり不動産調査簿)
オル子 (シャチになりましたオルカナティブ)
シェーラ (我が驍勇にふるえよ天地)
トラーメ (我が驍勇にふるえよ天地)
野崎芹 (ぼんくら陰陽師の鬼嫁)
北御門皇臥 (ぼんくら陰陽師の鬼嫁)
まもり (ぼんくら陰陽師の鬼嫁)
レーシャ (聖剣使いの禁呪詠唱)
アンジェラ・ジョンソン (聖剣使いの禁呪詠唱)
ユーリ・オグレビッチ (聖剣使いの禁呪詠唱)
アーネスト (英雄教室)
ホロ (狼と香辛料)
ロレンス (狼と香辛料)


以下に、読書メーター読録と一言感想。
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狼と香辛料 18.Spring Log ★★★★☆  

狼と香辛料 (18) Spring Log (電撃文庫)

【狼と香辛料 18.Spring Log】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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賢狼ホロと、湯屋の主人になったロレンスの"旅の続きの物語"が、ついに文庫で登場。
ホロとロレンスが、温泉地ニョッヒラに湯屋『狼と香辛料亭』を開いてから十数年。二人はスヴェルネルで開催される祭りの手伝いのため、山を降りることになる。だがロレンスにはもう一つ目的があった。それは、ニョッヒラの近くにできるという新しい温泉街の情報を得ることで――?
電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と泥まみれの送り狼』を収録!
ホロとロレンスの"幸せであり続ける"物語を、ぜひその目でお確かめください。
こ、コルくんてば、ずっとこんなダダ甘夫婦の傍らにいたのか!? 教育に悪すぎる気がするんですが。
いやね、ホロとロレンス、夫婦になって落ち着いたのかと思ったら、こいつら旅してる頃よりも明らかにいちゃつき度が上がってるんですけれど!! 上昇してるんですけれど! 加熱してるんですけれど!!
旅してた頃は、まだこうなんというか、二人の間で駆け引きみたいなのが成立していて、恋の押し引きを楽しんでたんですよね。ところが、夫婦となった今となっては、ロレンスはホロの甘えを全部全部ガバッと両手広げて受け止めちゃってるし、ホロもロレンスを試すようなことはしないで全力で甘えるわ、甲斐甲斐しく世話をしてあげるわ、と新婚か!! もう娘があれだけ大きくなってるのに、まだ新婚気分か!! あかん、想像以上に夫婦生活がうまく行き過ぎてる。お互い、ちょっと相手のこと好きすぎやしませんかね?
ああ、考えてみたらこの本の時期って、もう一冊の娘ミューリとコルが主人公と時系列的におんなじで、つまり息子と娘が家を出て久々に夫婦二人きりになった時期でもあるんですよね。そりゃ、開放感に任せて普段にもましてイチャイチャするかー……いやでも、ニョッヒラの人たちの反応からして、あんまり普段と変わってなさそうだけれど。一応、ホロは殆ど家から出ずに村の人にも姿を見せないようにしているみたいだけれど。
それにしても、それにしてもなあ、まさか若い頃よりイチャイチャしてるとは思わんかったわ。そんな両親見て育ったミューリがどんな娘に育ってしまったのか……。まだ、あっちは読んでないんですけれど、読み切りの方で少しニョッヒラに居る頃のミューリとコルが描かれてるんですけれど、なんかすげえ娘に育ってるなあミューリ。コル、絶対太刀打ちできないじゃん、これw 既に手玉に取られまくってるんですが。
いずれにしても、夫婦として想像以上に完成していたホロとロレンス。特にホロは、賢狼ホロとしてよりも、ただ一人の男を愛する女としてのスタンスを確立して、本当に幸せそうで良かったなあ、と思っていたのですが……そんな彼女を揺さぶる大きな事件がラストに起こってくるわけです。
こういう時、ちゃんとロレンスが頼りになるんだよなあ。力づくではどうやったって解決できないようなことを、ロレンスは何の力もない商人としての立場から、見事に打開していってしまう。ホロはロレンスは自分が育てた、なんて言ってますけれど、ニョッヒラに至るまでの事件もそうだけれど、育てた以上に育ってしまって、もうベタ惚れせざるを得なかったよねえ、これ。改めて惚れ直すはめになっちゃって、羨ましいことであります。
まあ、その代わりというわけじゃないのですが、若いメスを囲うことになってしまって、ホロさんぶーたれてますがw
ニョッヒラの湯宿の主人として、同じニョッヒラの村の人たちにも十年以上経ってようやく仲間と認められはじめ、ベタ惚れの嫁さんとイチャイチャし通りの充実した毎日を送るロレンス。まさに、人生謳歌してるなあ。
それに比べたら娘が駆け落ちしてしまった、なんて些細な事ですよ、うん。……やっぱり、傍目にはあれは駆け落ちなんだよなあ。いいじゃん、相手は可愛いコルなんだから、と割り切れないロレンスの父親としての葛藤が、「おかわいいこと」なのですが。
いつかコルが戻ってきて、宿を継いでくれてしかも娘も貰ってくれるとか、将来設計としても最高のはずなんですけどねえ、理屈じゃないんだなあ、これ(苦笑


シリーズ感想

狼と香辛料 11 5   

狼と香辛料 (11) (電撃コミックス)

【狼と香辛料 11】 小梅けいと/支倉凍砂 電撃コミックス

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賢狼ホロと行商人ロレンスの旅は続く――港町ケルーベ編クライマックス!
ホロとロレンスは、海獣イッカクをめぐり町の南北で対立する港町ケルーベに滞在していた。ロレンスは、軟禁されてしまった女商人エーヴを救うため、イッカク購入を企てるレイノルズの悪巧みを暴こうとする――!
いやもう、これは素晴らしいとしか言えない。キーマンのあの眼の描き方を見ましたか。あの眼一つだけで、キーマンという商人がこの場面においてどれほど追い詰められていたのか。刻々と状況が進展するにつれて鋭さを通り越して荒んでいくキーマンの眼差し。笑顔自体は崩さないものだから、余計に余裕が失われていく様子が彼の顔つきでわかるんですよね。正直、ここまでキーマンが追い詰められていたとは、原作を読んだ時にはそこまで思ってませんでしたね。原作だと、玄妙なセリフ回しのお陰でどの登場人物もなかなかその本心は読めませんでしたからね。それを行間やセリフの意味や各人の反応から読み取るのがまた面白い作品でもあったのですが。同じ場面でありながら、小梅さんの漫画は別の意味で非常に雄弁でありまして、いや実に楽しい。
これはエーブに関してもおんなじで、彼女が果たしてロレンスという男に対してどのような想いを抱いていたのか、については色々と想像をめぐらしたものでしたが、この漫画においてはこれまたとても雄弁に彼女の表情が物語っていたのではないか、と。
あの最後の手紙を手渡すときの、ロレンスの手に自分の手を重ねながら、寂しそうに切なそうに微笑むその面差しが、そしてあのキスシーンの直前の何かを残そうとしているかのような薄っすらとした笑みが、エーブ・ボランというヒトが、恋する女性であった事を、恋を喪った女性であったことをこれ以上無く明瞭に示していたのではないでしょうか。
トビっきりにイイ女だったよなあ。この2つのシーンでのエーブには、本当に見惚れてしまった。
でも、一番キュンキュンさせられるのはやっぱりホロなんですけどね。

対立の街、の話も終わり、いくつか原作のエピソードを飛ばす事になったようですけれど、こればっかりは仕方ないかなあ。さすがに、全部やってるとこのコミックもいつ終わるか分かったもんじゃないですしね。既に長いこと続いてますし。
それでも、何気に人気高いであろうある酒場の看板娘さんをしっかり登場させる当たりはさすがであります。あの娘、確か原作では名無しだったんじゃなかったでしたっけ。ここではヘレーネという名前付きで、凄まじい魅力を振りまいております。いや、このグラマラスな身体つきに色っぽいし仕草ときたら、なんちゅうエロ可愛さでありましょうか。たまらんなあ。

シリーズ感想

狼と香辛料 10 4   

狼と香辛料 (10) (電撃コミックス)

【狼と香辛料 10】 小梅けいと/支倉凍砂 電撃コミックス

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伝説の海獣をめぐる大騒動の行方は――!?
ケルーベの町で海獣イッカクをめぐる大騒動に巻き込まれ、自らの危険な立場に動揺するロレンス。そんな彼を、ホロは厳しくも優しく諭すのだが……? 電撃文庫の大ヒット作のコミカライズ、緊迫の第10巻!
改めて見ても、この街での出来事は、「狼と香辛料」という物語の中のターニングポイントだったのがよく分かる。
ロレンスの商人としてこれから歩み目指す先の方向性。今までロレンスは商人としての大成を夢見ながらも、具体的にどのような成功を得たいかという形は見出していなかった。商人の成功の形としては様々なケースがありますからね。これまでは大きな街で大店を構える、みたいなわかりやすい夢を描いたりなんかもして、それを絵にして楽しんでたりもしたのだけれど、このケルーベの街で、大きな街での大店を構える商人の在リようというのを目の当たりにすることで、ロレンスという男に最も相応しい成功とはなんぞや、という疑問にぶち当たることになるのである。
いやさ、多分この時のロレンスにはそんなことに思いを馳せる余裕はなかったやもしれないのだけれど、それを自覚させてくれるのがホロなんですよね。賢狼といいながら、彼女はこの場面において決して知恵を与えてくれたわけじゃありません。でも、それ以上に彼女の存在と温かい愛の篭った言葉はロレンスに心の余裕をもたらしてくれます。これは、賢狼としての活躍というよりも賢妻としての振る舞いなんだよなあ。
彼女のお陰で、ロレンスは街の商人の恐ろしさに背を向けしっぽを巻いて逃げ出すような無様な真似をせずに済みました。多分、この時後ろも見ずに逃げ出していたら、その後自分らしい商人としての在り方、というものに素直に向き合うことが出来たでしょうか。この時、キーマンとエーヴを向こうに回して商人として戦えたからこそ、負けたから、自分には出来なかったからではなく、自分にはふさわしくなかった、似合わないから彼らと同じ道は歩まない、と胸を張って主張できる自信を得られたような気がします。
そしてここで、ホロが参謀としてではなく、女として、格好いい所を見せておくれ、と発破をかけてくれたからこそ、ロレンスにとってのホロの存在も定まった気がします。その気持ちに名前をつけることになるのは、とある女性の再登場と遠慮のない指摘を待たなければならないのですが、少なくとも誰を選ぶかの「選択」については、この巻ですでに終えているわけですな。
ラストのあのシーン。小説で見た以上に、この漫画でエーヴは、商人ではない自分をロレンスにさらけ出しました。そうして、ロレンスに手を差し伸べたのです。少なくとも、ここでエーヴに嘘があったようには見えません。狼に徹していた彼女の、ただ一度垣間見せた亀裂であり本心がそこにありました。本気、だったんでしょう。
それを振って、ホロを選んだんですから、言わずもがな。
内面描写がない漫画だからこその、絵を通して意を込める、読み込みその時そのキャラクターが何を考えているのかを考えさせる描き方は、この対立の街編ではさらに威力が込められていて、読み応えありましたわ。

それにしても、もう巻も二桁に到達したというのに、ホロの振る舞い、その仕草、心をくすぐりもてあそぶ言葉の数々には未だに新鮮なトキメキを感じさせられてしまいます。絶えず、恋させられているような感覚です。可愛いだとかじゃなくて、視線を向けるのもドキドキしてしまうような、そんなトキメキが絶えません。
この巻には、改めて描き直された一巻のロレンスとホロの出会いのシーンが描かれていて、何とも新鮮な気持ちにさせてもらいました。でも、もうちっとエロくても良かったんよ? 

シリーズ感想

狼と香辛料  9 4   

狼と香辛料 (9) (電撃コミックス)

【狼と香辛料 9】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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ははぁ、これがエーブ・ボランか!
狼と香辛料という作品において、ホロ以外に唯一「狼」と称された辣腕の女商人。原作ではその鋭さ、凄味ばかりが印象的だったけれど、こうして小梅さんの漫画によって描かれたエーブは、商人としての迫力、切れ味の尖さと同時に女性としての愛嬌や魅力までがヒラリヒラリと垣間見ることが出来た。なるほど、ホロがノーラ以上にエーブを危険視していたのもよく分かる。笑顔が、ときおり無防備なくらいに可愛らしく見えるんですよね。確かに、常に相手に緊張を与えるだけでは交渉も儘ならないだろう。もっとも、このエーブが果たして並みの交渉でこんな気安い笑顔を見せてくれるかどうかは、定かではないけれど。
ロレンスと接している時のエーブは、自分で思っている以上に楽しそうなんですよね。いっそ壮絶と言ってイイくらい商人としての性に殉じているエーブですけれど、こうして漫画で見るとロレンスに対しては単に利用するための相手というだけではない「本気」がたしかに見て取れるんですよね。
結局商売においては油断も隙も最後まで見せないエーブですけれど、ホロのいう「誑かし」には十分乗っていたんじゃないかと思えてくる。
とまあ、強烈な存在感をもってロレンスへと切り込んでくるエーブですけれど、一方でホロはというとこの街での一件においては献身的と言っていいくらいにロレンスのサポートに回ってるんですよね。一歩距離を置いて見守ってたり助言したり、というのではなくもっと積極的に縁の下で支えるように時に言葉で叱咤し、時に行動で相方を手伝うことを厭わない。前巻あたりで、二人の心理的な距離感が劇的に縮まった感があったんですけれど、こうした面からも二人の関係の進展が窺い知れようというものであります。また、傍でコルが見ているせいか、ホロとロレンスのスキンシップが一層イチャイチャ感増してるんですよね。ホロとロレンスがイチャイチャすると、コルが思わず赤面して顔を覆ってしまうので、ああ傍から見てるとやっぱりそう見えるんだなあ、と実感できるというか。
エーブ・ボランと組合のキーマン副館長。稀代とも、いっそ単純に怪物と呼んで相応しいであろう商人のバケモノ同士の食い合いの狭間にはからずも立たされることになったロレンス。ここで、ロレンスは商人という存在の一つの頂点と、自分が商人として目指す先を見出すことになるのだけれど、漫画となってもやはりこの辺りの駆け引き、凄味はいささかも劣ることなく、それどころかよりいっそうの迫力を持って描かれている。これは、次のエーブとの対決も含めて、非常に楽しみ。

シリーズ感想

狼と香辛料 84   

狼と香辛料 8 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 8】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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ホロ、クッキーばっかり食べ過ぎ(笑 
テレオ村が名産品として作ることになったクッキーを、お礼として貰って以降殆どのコマでクッキーを頬張っているホロ。あんた、狼であって栗鼠じゃなかろうに。ああ、もうそんなにポロポロ零しちゃって、可愛いなあもう。
テレオ村の一件は、ロレンスとホロが知恵と奇跡を授けた事もあったのだけれど、土壇場で肝を据え堂々と相手を逆に追い詰めて村の教会を守りきったエルザとエヴァンの名演が素晴らしかった。原作でもクライマックスの見所でしたけれど、マンガで見たらまた映えるなあ。ホロの力で麦が芽吹いていくところなんか、本当に神の奇跡そのものじゃあないですか。
この回のラストシーン。村から出て馬車で二人きりに戻ったあと、まだずっと二人で旅を続けたいという思いをホロとロレンス、言わずとも以心伝心で巡り合わせるシーンがあるんですけれど、ここでホロがピトーっと、ロレンスにくっつくんですよね。もうホントに体くっつけて、ピトーっと。物理的距離感が完全にゼロに。
てっきり此処だけかと思ったら、これ以降のロレンスとホロが隣同士に居るシーンは殆どがビックリするくらい距離無くなってるんですよ。もう完全にベッタリ。船で河を行くシーンはまあ例外としても……でも、あのシーンなんか完全にロレンスの腕を抱え込んじゃって、これを恋人同士とか夫婦とかで見ないほうが変だよなあ。もう、一緒にいるだけでラブラブなのよ。
ちょうど、ここで旅の連れとなる幼い流浪の少年コルが加わるのだけれど、第三者の視点が入ったお陰で余計にホロとロレンスのラブラブっぷりが引き立つことに。しかし、コルが思ってたよりか何ぼか若い、というか幼い感じでちょっとびっくり。この子、本当にまだこんな子供だったのか。この歳であれだけ聡明で心配りが上手いというのは、なるほどロレンスが根っこの部分でこの子を弟子に取りたがってたのもよく分かるし、ホロがこの子を猫可愛がりしていたのも納得だ。だって、こんなに賢くて、しかしその知性に嫌味がなく純朴で素直さがにじみ出てるような子が可愛くなくてなんなのさ。特にあの半泣きの顔は、ホロじゃなくても弄りたくなるわなあ。
まあ、そんな頭のいい子が思わず気遣ってしまうくらい、傍から見ててもロレンスとホロのラブラブっぷりは凄いわけだ。ロレンスが咥えている干し肉を、奪い取るでなしに逆の端から齧ってガジガジとか、どんなポッキーゲームだよ! 素でやってるし、それ!! ロレンスも全然動じてないし。当たり前ーみたいな顔しやがってこの男。
他にも野宿で眠ってるロレンスの毛布の中に潜り込んできて上に乗っかって寝てたり、ロレンスの膝の上に座り込んで下から覗きこんでみたり、逆に対面になって上から覗きこんだり。もう、ベッタベタである。
宿でホロが着替えたり、筋肉痛になって軟膏を全身に塗るような場面でも、コルは外に出て待ってるのに、ロレンスは中にいるんですよね。裸のホロに薬を塗るのはロレンスだし、ホロが着替えているのも当たり前みたいに見てるわけで。これまでもあった別になんてことないようなシーンなんですけれど、コルが旅に加わってその彼が部屋から退散している、ただそれだけでロレンスとホロの関係がただならぬものだというのが伝わってきて……正直、かなりエロいです(笑
とまあ、そんなイチャラブっぷりにばかり注目が行ってしまうのですけれど、勿論そればかりではなく旅路の途中での様々なエピソードがまた見応えあるんですよね。川下りや、船の座礁に伴って流通を止められた商人たちが一所に溜まっていって、なんだかお祭りみたいに皆で力を合わせて船を引っ張りあげたり、夜には火を炊いて酒を酌み交わしてどんちゃん騒ぎを繰り広げ、という一連のシーンが凄く印象的でした。こういう中世の商人たちの旅の中の日常って、なかなか描かれるものではないですし、描かれてもこんな風に魅力的かつ身近な感覚で描かれることって滅多にないものですから、思わず魅入ってしまったり。ホロが宴会の中でどっかの若い娘さんと踊りまわるシーンは……微妙にホロが振り回されてて、あんた若さに負けてるよ、と思ってしまった(笑
そして、ラストにはついに本編通じての真打であり、ある意味ホロ以外のもう一匹の狼であったエーブ・ボランが登場。この人が出てくると、なんか始まったな、とびしっと引き締まる感じだ。わくわく。

シリーズ感想

狼と香辛料 75   

狼と香辛料 7 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 7】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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原作は第四巻のエピソード。異教の神々の伝承を知るという修道士を訪ねて訪れた村テレオで起こった事件に巻き込まれる事になるロレンスとホロ。ということで、あの村の教会の助祭であるエルサとの出会いである。
この漫画版では大胆にエルサ視点で物語を進行させることで、いわゆる余所者であり途中から状況に巻き込まれる事になったロレンスの視点ではなかなかわかりにくかった村の実情や、エルサたちの内面の移ろいを克明に映しだす事に成功している。
だからだろうか。
何故、本編のラスト近くでこのエルサが再び登場し、ホロとロレンスの関係と将来を決定づける役割を担う事になったのか、なぜ彼女でなくてはならなかったのかが、すごく理解できた気がする。
14巻にて、エルサはこれまで誰も明確に指摘せず、ホロとロレンス当人たちすらも、いや当人たちだからこそか、言葉にせず曖昧にしてきた二人の関係を快刀乱麻を断つようにあからさまにして、何をグダグダやってるんだ、という意味のことをバッサリと言ってくれる事になるのです。その時は、よくぞ言ってくれた、と喝采をあげたものでした。事実、彼女の指摘から二人の関係は明らかに変化、というよりも裏表なくはっきりしたものとなり、二人の未来は共通のものとなって歩を揃えていくことになる、いわば物語の結末を決定づけてくれた最大の功労者にエルサはなったのでした。
でも、なんで彼女だったのか、当時は結構不思議だったんですよね。それまでホロとロレンスは様々な人と出会って知己を広げていきましたし、なぜ選りにも選って四巻以降10巻近く音沙汰がなかった彼女をわざわざ再登場させ、あんな大事な役割を与えたのか。
でも、この話を見て、誰よりもエルサこそがあの言葉を二人に告げるのは相応しかったのだろう、と納得デキました。
彼女がつねづね抱いてきた自分の神と信仰への疑問。ひいては義父フランツ司祭の在り方、信仰への向き合い方への疑問へとつながり、義父への愛情と尊敬との鬩ぎ合いの中で、彼女がずっと抱えてきた漠然とした不安と不満を吹き払ってくれたものこそ、ホロとロレンスの関係でした。この二人の姿を通して、フランツがエルサに語っていた信仰への向き合い方とはいったい何だったのかが理解でき、彼女はこれからも神の使徒として生きていける信仰への確信が得られ、自分が愛するエヴァンと共に生きていく事が間違いではなく素晴らしいものだと信じる事ができたわけです。
エルサが見たあの瞬間のホロとロレンスこそ、まさに愛の形そのものだった。

それなのに、久々に会った二人がグダグダと自分たちで自分たちの真実を否定し目を逸らしているのを目の当たりにしたら、良い意味で空気を読まず、正しいことを正しいと間違っている事を間違ってると言わずには居られない性格のエルサが、一喝せずには居られなかったのでしょう。逆に言えば、ホロとロレンスの間に往還する愛の正しさを誰よりも確信し、認め、崇めていた者ことエルサその人であり、他の誰でもない彼女こそがそれを当人たちに訴えるに相応しい人物だったに違いないのです。

まだテレオの村での事件の解決編はこれからですけれど、この漫画版の展開はこの時点で充分素晴らしいものでしたよ。エルサの物語、ヨイツを襲った顛末を知ったホロの動揺とそれを見守るロレンスのカップルの話としても単体で絶賛に値すると思います。その上で、本編における先々に起こる展開にまで関連付けて思いを馳せる事ができる素晴らしい演出と心情描写。

凄いなあ。

シリーズ感想

狼と香辛料 17 Eplogue5   

狼と香辛料 17 (電撃文庫 は 8-17)

【狼と香辛料 17 Eplogue】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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ホロとロレンスの旅、感動の結末とは──
シリーズついに最終巻が登場!


『太陽の金貨』事件から数年。元羊飼いのノーラと女商人エーブは、ホロからの手紙を手に、北へと向かっていた。旅の途中、錬金術師ディアナも同じ馬車に乗り込んできて──。
 果たしてホロとロレンスは、幸せであり続ける物語を紡ぐことが出来たのか? 第16巻の後日譚を描く、ファン必読の書き下ろし中編のほか、電撃文庫MAGAZINEに掲載された短編3編も収録。
 剣も魔法も登場しないファンタジーとして多くの読者に愛された賢狼と行商人の旅の物語が、今巻でついに完結! 二人の旅の結末を、ぜひその目で見届けて下さい。

おめでとう おめでとう

お幸せに 末永くお幸せにっ


完全無欠のハッピーエンド。将来に渡ってもかけらの不安も残さない、本当に本当の「めでたしめでたし」。
長く付き合うことの出来た作品が終わってしまう時は、もう彼らの姿を見られないのかと寂しくなるものなのだけれど、不思議とこの【狼と香辛料】は寂しいと感じることがなかった。ホロとロレンス、この二人のコンビが大好きだったからこそ、二人がこのような最良の最終回を迎えることが出来たという事への嬉しさと幸福感で胸がいっぱいで、寂しいと感じる隙間も残っていないのだ。ただただ、彼らへの祝福ばかりが湧き上がってくる。
おめでとう お幸せに
思えば、ホロとロレンスがこんな幸せな旅路を手に入れることができるなんて、本編がはじまった当初は思いもよらなかった。いや、はじまった当初どころか、それこそ巻数が二桁を数えるまで二人の旅は別れを以て終わるのだと思っていた。それが決定的に変わったのが十巻の老羊との出会いであり、14巻で再会したエルサの強烈な指摘だったのでしょう。物語が実質16巻で終わったことを思えば、本当にギリギリまで二人の関係は何重にも予防線が敷かれたものだったと言える。それだけ、ホロとロレンスの関係というのは不安要素が大きく、悲観的にならざるを得ないものだったのかもしれない。この16という巻数は、理性的で賢明で思慮深く故にこそ臆病だった二人が、勇気を得るために必要な時間だったのだろう。ただ好きで好きでたまらなくていつまでも一緒に居たいという気持ちを一番の最優先にするだけの勇気を。
勿論、抜け目のない二人である。その気持を気持ちだけの空回りとしないだけの担保と見通しを手に入れてからこその勇気だったわけだけれど。

それにしても、見事なくらいのおしどり夫婦っぷりでした。夫婦の仲の秘訣って、旦那さんの献身さなんだよなあ。むしろ旅をしている時よりもロレンスはホロを甘やかすようになっているようにすら見えます。ホロはホロでロレンスの献身に甘え切るでもなく、むしろ旅をしていた頃よりも我侭言わなくなってるんじゃないかなあ。お互いにぴったりと寄り添っているにも関わらず、寄り掛からずに支えあっている様子はまさに仲睦まじい夫婦そのもの。
コルが戻ってきてくれて、二人を支えてくれてたのも嬉しかったなあ。
個人的にロレンスとホロが定住して店を開くとしても、物を売り買いする商家というのはいまいちイメージがまとまらなかったんですよね。それだと、どうしてもホロとロレンスが幸せに過ごしているイメージが出てこない。まあ大店のやり手女将と大旦那、という構図は眼に浮かぶのだけれど、ちょっと日々が忙しなさすぎて、二人の時間もちゃんと取れなさそうという感じがして。
その点、ロレンスが選んだ湯屋、温泉旅館というのは完全に盲点でした。なるほど、これなら人ならざる身のホロが長きに渡って、それこそロレンスが去った後ですらずっと関わり続ける事ができそうじゃないですか。何より、ホロとロレンス二人が一緒になって切り盛りできる。あの冬の街のうら寂しい宿屋などよりもよほど暖かく賑やかな雰囲気の中で。幸せな日々が続いていくのが容易に思い浮かべることが出来る。
旅の中で出会った友人たちを、笑顔で迎える事が出来る。
まさに、最良の選択だったのではないでしょうか。
そして、ラストのとびっきりのサプライズ。ああもう、最高だ。思いつく限り、最高のハッピーエンド。

まさにライトノベルという分野に燦然と輝く「名作」であり「大作」だったと思います。素晴らしい作品を読ませていただいて、ありがとうございました。

って、短編の感想とか、前半の過去の登場女性陣が集まってのガールズトークについてなど書けずに話が終わってしまったw
これ、短編は巻の前の方に纏めておいて欲しかったよなあ。どれも短いながらも素晴らしく、またあとがきで作者が触れているように、どこか終わりを感じさせる内容で、前座としても適切だったと思いますし。
にしても、エーブはロレンスの事結構本気だったんだな。いや、確かにそういう素振りをはっきり見せていましたけど、それ以上に商人としての我が強かったもんなあ。ただ、エーブがそれをしまったなあ、とちょっと悔しい思いをしてるとは思わなかった。6年経った彼女は相変わらず狼でしたけど、以前よりもだいぶ余裕があっていい意味で貫禄ついた感じです。
ノーラの方も深みが出ててさらに魅力的になってたなあ。彼女がディアナに語った話、抽象的なんですけど、後半読むとね、何となく気持ちがわかった気がします。もう一度あの二人に会いたい、ただ会いたいという気持ち。
ホロとロレンスの幸せそうな姿は、見ているだけで幸福を分け与えて貰えるような気がするから。ただ見ているだけで、不安や迷いが晴れていき、目の前が開かれていくような気持ちにさせてくれるから。
だからこんなにも嬉しいのだ。祝福してあげたいのだ。

おめでとう いつまでもいつまでもお幸せに  幸せになってくれて、ありがとう。

シリーズ感想

狼と香辛料 65   

狼と香辛料 6 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 6】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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金の密輸に挑むロレンスとホロの計画は成功するのか?

ばく大な借金返済のため、金(きん)の密輸を計画したロレンスとホロは、融資元であるレメリオ商会のリーベルト、金の運び手となる羊飼いのノーラと組む。
しかし、二人の前には次々と難関が立ちはだかり……。
短編の 「狼と琥珀色の憂欝」 も収録された注目の第6巻!

ノーラ編、あるいはリュビンハイゲン編。いわゆる原作二巻相当の完結編となる第六巻。ホロがその巨大な狼としての本性をこれでもかと大暴れさせる、原作通じても此処でしか見られない話でもあるのだけれど、ノーラが守る商隊にホロが襲いかかるシーンの迫力が半端ない。同じシーン、良作として名高いアニメでもやってるはずなんだが、ここまで迫力あっただろうか。とてつもなく巨大な狼に襲われる側の絶望感が、もう凄まじいことこの上ない。あれはチビるよなあ。ドラゴンに襲われるのと大して変わらん恐ろしさだぞ。
そんなアクションシーンに勝るとも劣らないこの巻の見所は、久々のホロの美しい裸身、脱衣シーンなんですけどね。これがもう、めちゃくちゃエロティックなのである。小梅さん、元々エロ漫画出身で実際私もいくつか読んだことはあるんですが、色気はこっちのホロの方が上なんじゃないかと思うくらい。
しかし、こうしてみるとこの時点でホロとロレンスって充分ラブラブなんだよなあ。ロレンスが裏切られてボロボロの惨状でいるのと再会した時の、ホロのブチ切れっぷりといい、本性を表したホロとノーラが交錯したときロレンスがどちらの名を呼んだのかしきりと気にする姿といい、改めてロレンスにホロが名前を呼ばれた時の笑顔といい、絵になるともうホロがロレンスの事大好きなこと、よく伝わってくる。小説だとロレンス視点な上にホロの物言いがまた迂遠だったり、ロレンスの言葉の解釈がにぶちん極まってたり、とホロの思惑や本当の思いがなかなか見通せないところがあって、彼女がもうこの時点からロレンスの事大好きだった、というのが明らかになるのはこの漫画の巻末にも収録してあるホロ視点の短編「狼と琥珀色の憂鬱」を以て初めてになるわけですが、漫画になってみるとホロの気持ち、よくわかる、うんうん。もう、ニヤニヤしてしまいますよ、これは。
で、肝心の「狼と琥珀色の憂鬱」なんだが……砂を吐きそう(笑
ホロがロレンスにお粥を食べさせてもらうシーンなんか、普通に「あーん」するだけじゃ飽きたらず、ロレンスの野郎、ホロを膝にだき抱えて食べさせてやがった。おまっ、病人相手にしてもそれは親密すぎるだろう。病人に「あーん」のシーンは数多見てきたが、そこまでやってるヤツは滅多観たことないぞw

ノーラもこれで見納め、なのですが、いずれノーラ主役の短編をまたおまけで描いて欲しいなあ。幸いなことに、原作でもちゃんとその話あるわけですし。でも、あれを漫画化するとなると単行本半分くらいは使いそうだが。

シリーズ感想

狼と香辛料 16.太陽の金貨(下)4   

狼と香辛料〈16〉太陽の金貨〈下〉 (電撃文庫)

【狼と香辛料 16.太陽の金貨(下)】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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行商人ロレンスと狼神ホロの旅、本編ついに感動の最終章!!

 デバウ商会によって新貨幣が発行され、自由と希望の町となるレスコ。ロレンスはそこで、ホロと共に店を持つことを決めた。しかしその矢先、コルのズダ袋を持った人物が現れ、二人はデバウ商会の内部分裂による事件に巻き込まれることとなってしまう。ホロは、禁書を得るためキッシェンへ。ロレンスは、デバウ商会に追われミューリ傭兵団とともに雪山を越えることに。バラバラになってしまった二人の運命は!?
 行商人ロレンスと狼神ホロの旅を描く新感覚ファンタジー、ついに本編感動のフィナーレ!

最後の最後に、ロレンスの今後の生き様を問う話になったなあ。
ホロと一生添い遂げる結びつきを得て、商人の町として新世界を拓こうというレスコにて、店を構える。ロレンスが夢見た理想が全部叶おうとした矢先だったからこそ、ロレンス個人の夢ではなく、彼が商人として抱いてきた理想や矜持そのものを否定されるような現実を前にして、彼が今後ホロと生きていく上でどのように人生を歩んでいくつもりなのか。確かに、最後を飾るには、読者としてこの巻のページをめくり終えたあとは、ホロとロレンスの行先をただ思い描きながら見送るしか無い身としては、本当のどん底に陥ったロレンスがその上でどんな選択をするのかを知る事は、安心と確信を得る事になるんですよね。ただ、夢を叶え理想を手に入れただけだと、いつかそれが破れ去った時にもしかしたら二人の人生に不幸が訪れるんじゃないかと一抹の不安が残ってしまう可能性もありますし。途中で、散々ホロとロレンスが煽りあっていた不安でもあったわけで。
でも、こうして先にロレンスが底の底を目の当たりにしてなお選んだ決断を見たならば、そしてホロもまた自分より先に連れ合いが逝ってしまう確実な未来に怯えるだけでなく、あの男を叱責したような想いがあるのなら、もう安心して見送れる。
その意味では、この最終巻はロレンスとホロの旅路の先に見える懸念という懸念を全部払拭する事に終始した巻だったのではないだろうか。
なんとも、実直にして実務的な話じゃないか(笑
まあだからこそ、後日談はやっぱり必要だったと思いますよ。ロレンスとホロのロマンスを見守ってきた身としては、幸せの確信と確約ばかりではなく、余韻みたいなものも欲しかったですしね。庶民としては、契約書だけじゃなくちゃんと現物もしっかり自分の目で見て触りたいものなんですよ。

しかし、ロレンスとホロのラブラブっぷりはもう行きつくところまで行ってしまいましたね。状況が危急続きだった事もあるのでしょうけど、普段みたいな迂遠な言い回しによる想いの駆け引きでイチャイチャという流れじゃなくて、もう直接、ダイレクトに、誤解の仕様のないくらいストレートな愛の言葉をぶつけ合うぶつけ合う(笑
特にホロのデレっぷりときたら。もう繕うの完全にやめてますよ。周りにも隠そうとしないし。それだけ、切実だったのかもしれませんけど。状況的に。
フラフラと深みにハマっていこうとするロレンスを、今回必死に服の裾を掴んで引っ張って、止めよう止めようとしてましたしね。あの「わっちは主のお姫様なんじゃろう!?」発言には、ホロのデレっぷり以上に必死さが感じ取れましたし。
でも、そうした必死さが逆にホロが相棒や恋人を通り越した「奥さん」っぷりを発露しているようで、ちょっと嬉しかったりニヤニヤしてしまったり。
ロレンスとの旅路で色々と考え方の変化を得てきたホロだけど、考えてみると一番彼女のお尻を蹴っ飛ばしたのって、あの教会のエルサになるんですよね。二人の仲を、ごちゃごちゃ言ってるけど結局愛し合ってるんでしょ!? とズバッと指摘して二人を後戻りできなくさせたのもエルサですし、今回ホロに最後の一押しをくれたのも、登場すらしていない彼女だったわけで。エルサ、よい仲人役になるぜ、これ(笑

当初は、いや中盤まで良い別れを以て終わることを予感させていたロレンスとホロの二人の旅が、こんな形で終わりを迎え、伴侶として新たな旅に出立していく様を見送る完結を読むことになるとは、こんな幸せな、最良の形で終わりを見る事が出来るとは思ってもいませんでした。
傑作でしたよね。ライトノベルの中で確かにひとつの金字塔となった作品だと思います。まだもう一つ短篇集が出るようで、そこで後日談の方も伺えるようなので、そこでの余韻を心待ちにしつつ、一先ずページを閉じたいと思います。

シリーズ感想

狼と香辛料 55   

狼と香辛料 5 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 5】 小梅けいと/原作:支倉凍砂 電撃コミックス

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あ、あれは殴られても仕方ないよ、ロレンスさん。いくらなんでも空気読まなさすぎる。いや、空気を読んだからこそ、なのか。
原作でも、あのホロの、自分がロレンスにとってどういう存在なのかを問いただすシーンは、二人の置かれた切羽詰った状況、その瀬戸際においてすらホロを大事にしようとするロレンスに、明らかにホロがひとつの言葉を求めてるのが如実に伝わってくる場面だったのですが、漫画となると威力がとんでもないことになってる。原作でだってもう狂乱しそうなほど悶えたシーンだったのに、小梅さんのホロの醸しだす雰囲気の切なさや色香は、もうハンパないのである。涙目で胸にしがみつき、言葉を引き出そうとする姿は、普段のロレンスをからかう様子など微塵もなく、この時のホロが本気だった事がはっきりと伝わってくるんですよね。素晴らしいの何の。
いや、仕切りなおしでも十分なくらいにお互いの気持が通じ合ってるのがわかる素晴らしいシーンだったのですが。ベッドで抱き合いながら睦言を囁きあう、というところまで行きながら、何故にそのままインしない!?
考えてみると、ここからホロとロレンスがお互いに「愛し合っている」と認めるまでが長いんだよなあ。お互いの気持は、言わずとも分かっているとはいえ、それを言葉にして伝え合うまでが本当に長かった。二人がラブラブなのは、これを見たら一目瞭然だというのに。

そして、本巻もうひとつの見所が、金の密輸の仕事をロレンスがノーラに持ちかける場面である。言葉巧みに、ノーラのココロを擽り、現状への不満を煽り、甘言を囁く。まさに悪魔の誘惑であり篭絡。突然提示された巨額の報酬に放心する表情、教会の避難に対して慌て青ざめ、しかしその的を射た指摘に唇を噛み締める姿、そしてロレンスの誘惑に危険をすべて承知のうえで覚悟を決めた時の顔つき。ノーラの発言自体はかなり少ないのですけど、彼女の表情が彼女のその瞬間その瞬間の気持ち、感情を雄弁に語り尽くしているのです。このシーンは痺れましたわ。

ノーラもホロも総じて魅力的で、二人のどちらが出ているシーンでも熟々と耽溺できるものですから、幸せでしたわぁ。特に、二人が揃って談笑しているシーンなど、どんなご褒美かとww

巻末のおまけには、未だ未登場の女性キャラ、ディアンにエルサ、そしてエーブを加えたガールズバンドネタが。ロレンス、おもいっきり怪しい業界人だな、それだとww
エネクに踏まれるノーラがご褒美ですww


シリーズ感想

狼と香辛料 15.太陽の金貨(上)4   

狼と香辛料XV 太陽の金貨<上> (電撃文庫)

【狼と香辛料 15.太陽の金貨(上)】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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 ホロの故郷の仲間の名を冠す『ミューリ傭兵団』。彼らに会うため、ホロとロレンスは鉱物商・デバウ商会が牛耳るレスコの町を訪れることになる。
 デバウ商会は北の地で大きな戦を起こすつもりらしく、その目的は北の地の征服とも、鉱山のさらなる開発とも言われていた。そのため商会は町に武力を集めているというのだが、ロレンスたちが訪れた町には不穏な空気はなく、意外にも人々は活気に溢れた様子だった。訝しがるロレンスたちは、ミューリ傭兵団が滞在する宿屋を目指すことにする。そこで二人を出迎えた人物とは──?
 
 ヨイツの森はもう目前。北を目指す狼神ホロと行商人ロレンスの旅は、いよいよ最終章へ突入する──!


二人の旅も、ついに此処まで来たのかと思うと、ひらすらに感慨深い。ロレンスとホロ、二人の旅が始まったその当初から、旅はいつも終わるもの、とロレンスもホロも自分に言い聞かせるように繰り返してきた。それはまったくの真実でしかなく、彼らの言うとおり、二人の旅は今終わりを迎えようとしている。
でも、その旅の終わりは二人が思い描いていたカタチとは、随分と違うものになってしまった。果たして、ロレンスとホロは二人の旅の終わりがこんな結末を迎えるなど、想像していただろうか。いや、想像はしていたのだろう。ロレンスが、夜もふけた頃に将来持つ店の想像図を絵にして描いていたように。
だが、ホロもロレンスも、その夢のような結末を、望んではいけないものとしてそっと脇に押しやり、見ないふりをしていたのだ。叶ってはいけない夢物語のように。思い描けば苦しくなるだけの、現実から遠く離れたお伽話のように。

だから、これは叶ってしまった夢物語で、覚めない現実の上に顕現した御伽話になったのだ。

確かに、旅は終わるものかもしれない。でも、一つの旅の終わりは、新しい旅の始まりでもあるのだ。新しい旅が始まるとき、二人の進む先は別れているのだと信じていた彼らが、それが故に、今の旅が終わったあとの話を頑なに避けていた二人が、いつしか次の旅路にもお互いが連れ合いとして隣にある事を疑うことすらなくなり、ロレンスがヨイツに付いたその先の事についに踏み込んだ時、あの瞬間にこそ、私は実感したのだろうと思う。
この【狼と香辛料】が終わるのだと。正確には、読み手である自分の目の届く範囲から、遠ざかっていくのだろうことを、取り残されるような寂しさと、親しい人達が行くのを見送るような温かな気持ちと共に。
過去の繋がりのほとんどを失い、新たにまた、旧き友と永遠に再会が叶わないという事実に直面したことで、失意のどん底に陥ったホロ。だけど、ロレンスはそんな彼女につきっきりになって支え続けるのです。お前には、俺がいるのだと、無言で言い聞かせるように。
そんな彼の献身的な愛情に、ホロはやがて立ち直り、いつしか二人が語り合う内容は、ホロの懐旧や、これまでのロレンスとホロの二人の旅の思い出でもなく、これから先の話ばかりになっていく。もう、旅が終わるというのに、先のことばかりを。つい最近まで、先の話を必死に避けようとしていた二人が、過去の殆どを失ってしまったホロが、何の含みもわだかまりもなく、幸せそうな顔を付き合わせて、一緒に未来の話をしているのだ。二人で一緒の未来の話をしているのだ。
だから、終わるのだと実感しても、温かな気持ちになったのだろうと思う。この作品が結末を迎えて、読み手である自分が二人の新しい旅の先を見ることが叶わなくなっても、二人はもう、大丈夫なのだろう。そう、思えたから、だから。

北の地レスコにて、ロレンスとホロは今まで誰も見たことのない新しい時代が到来する瞬間に立ち会うことになる。過去の遺物として置き去りにされてやがて消えていくことを運命として受け入れていたホロの手を、ロレンスは力強く握ったまま離す事無く、自分と共にあることでホロを新たな時代の一員として迎え入れた。
ロレンスと居る限り、ロレンスを伴侶とする限り、ホロは既に滅び去ることが運命づけられた古き時代の遺物という括りからも、抜け出すことが出来たのだ。

「店の名前を考えておけ」
「仔の名前ではなく?」

共に生きるとは、きっとこういう事を言うのだろう。

だからこそ、彼らに訪れる最後の試練は、きっとホロを今を生きるヒトとして、一人の男を愛した女ではなく、滅び去るべき過去の時代の遺物、古き神として葬り去ろうとする意志なのかもしれない。
最後に現れた人物が、ホロとロレンスの旅の始まりに立ち会った人なのだとしたら……。



ロレンスさん、今回ホロのからかい抜きのマジな誘いを片っ端から振っちゃってましたよね。そりゃ、ホロも本気で拗ねるよなあ(苦笑
まあ、当人としては雰囲気にアテられて襲いかかったところ、手痛い反撃をくらってしまった前巻の終わりのアレがトラウマになってしまっていた節があるので、ある意味ホロも自業自得の節があるのですがw
というか、この二人が未だにいたしていない、というのは二人のやりとりからしても、ちょっと信じられないんですけど。

シリーズ感想

狼と香辛料 4 4   

狼と香辛料 4 (電撃コミックス)

【狼と香辛料 4】 小梅けいと 電撃コミックス

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なにこのノーラ、すっげえ可愛いんですけど!!
これはやべえ。やばいやばいやばい、やばいって!(笑
しまった、ここまでの魅力とは思わず、読みながら取り乱してしまった。

ホロとはまったくベクトルの違う可愛らしさを、完全表現。原作でも、もう十四巻を数えてなお、未だに二巻に出たノーラの人気は根強いんですよね。それだけに力が入ってる、メチャクチャ入ってるよ。前巻の前日譚でも相当だったけれど、本番の凶悪さはそれ以上。
この初々しく、人馴れしていない辿々しさ。牧羊犬のエネクと戯れているときの明るい笑顔や、必死にやったことの無い営業スマイルを頬を痙攣させながら浮かべてみせたり(このコマ最高!)、ロレンスに良い返事を貰った時の嬉しそうなふにゃっ、とした笑顔。ふわふわーっとそのまま羽が生えて浮かびそうな雰囲気。
作中のリビンハイゲンの街では彼女は妖精という名で呼び習わされているようなんですが、まさに妖精そのもの。
なんかフェチだなあ、としみじみ思わされたのが、足元の表現。登場時、ノーラって裸足なんですよ。これは原作にはなかった描写じゃないかな。それから、何度か素足のところだけ映すコマがいくつかあるんですが、思い切った提案をしようとするとき、足の指をすり合わせてもじもじしたり、ラストの短編でエネクの身体をぐねぐねと足の裏で揉んであげたりとか。
ううっ、ノーラのチャームポイントが足にしか見えなくなってきた(苦笑
その妖精のような神秘的な可憐さ、ホロとはまったく違う(笑)健気でひたむきで素直なその人柄とは裏腹に、今の彼女は羊飼いと言う身分から街の人々に色目で見られ、教会という鎖に繋がり、淀んだ明日に徐々に絶望を積み重ね、友は牧羊犬のエネクだけという孤独に打ち震える日々。
それでも、彼女は自分の未来に夢を持ち、教会から逃れて羊飼いという身分から脱しようと、自分の出来る範疇から必死に脱却を図ろうとし、その過程でロレンスとホロという二人と運命の出会いを果たすわけになるわけですが。
いいなあ、可憐さの裏に濃厚に漂う孤独と薄幸の気配。そして、それに挫けないひたむきさ。
このか弱そうな少女が、後々自分を破滅させかねない重大な賭けに打って出る理由が、理屈ではなく雰囲気で伝わってくる。
ノーラかわいいよノーラ!

と、まるでノーラにヒロインの座を奪われていそうな物言いですが、何をおっしゃるやら。狼と香辛料のメインヒロインは間違いなく賢狼ホロで譲らないのですよ。
もう、今回もイチャイチャイチャイチャ、ロレンスとイチャイチャイチャイチャ。お互い、分かった物言いで言葉遊びを繰り広げながら、時折お互い予想もしなかった反応で時に驚き、時に笑い転げ、時に赤面してしまう。
あの、ロレンスに似合わないキザなセリフを吐かれて馬車の荷台に倒れ込んで大笑いするホロのエロいことエロいこと。息もできないほど笑い倒して、息も絶え絶えに上気した面持ちで喘ぐシーンとか、作者が描いてるエロ漫画のそれよりエロかったんじゃないかしら(笑
しかし、あのキス未遂のシーンとか見てると、もうこの二人、ある程度やることはやってるのかしらん。雰囲気ありすぎるもんなあ。

と、イチャイチャしているのもいい加減、リュビンハイゲンの街でロレンスは窮地に陥ることに。シリーズでも最大の危機と言っていい、破産の危機。
これを乗り越えるために、ロレンスは他人を巻き込み、どえらい賭けに打って出ることになるのですが、それは次の巻か。
なかなか話は進まないんだけれど、むしろこの漫画だとこれくらいどっしりじっくりやってくれた方が嬉しいし、この【狼と香辛料】という作品の魅力をいかんなく引き出してくれていて、ありがたいんだよなあ。このまま、この調子で行って欲しい。

シリーズ感想

狼と香辛料 144   

狼と香辛料〈14〉 (電撃文庫)

【狼と香辛料 14】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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大人になると言うことは、モノの分別がつくということ。感情に流されず道理を弁えることが出来るようになるということ。でもそれは、逆に道理や分別に縛られてしまいがちになってしまうと言うことでもあったのですね。ただでさえ、ロレンスとホロは人並み以上に聡明であり賢明であり、只人よりも物事の先が見通せ、最善の道を見極める事が出来る人物です。自分たちが何よりも商人であり、賢狼である、それ以外になれない生き物なのだと弁えている。
故にこそ、その生き方に縛られ、その枠に自分を押し込めてしまう。
何を言わずとも分かりあえてしまうほど信頼しあった関係だからこそ、一番大事なことを言葉にして伝え合わず、分かり合っているのにそこに踏み込もうとしない関係が、そういえば随分と前から形成されてしまっていたのだと、今にして思えば気付かされる次第です。
ときに愚直であると言うことは、賢者たらんとするよりも遥かに直裁的に物事の真理を突くんだなあ。
いったいいつ以来の再登場か。読み返してみたら四巻以来。あの異教がまだ残る村で教会を守っていた少女エルサとの再会が、まさか二人の関係をここまで決定的な方向に導くとは。
なんにせよ、よく言ってくれた。よくぞ言ってくれた。誰も言わなかったもんなあ。ある意味、空気を読まない彼女だからこそ、言えたのかも知れないし、自身が語ったようにエヴァンと自分との関係と照らし合わせて、どうしても言わなきゃ気が済まなかったのかもしれない。
それ以上に、エルサはロレンスとホロのことを、親身になって考えてくれてたのでしょう。情けは人の為ならずというけれど、旅が終わりに近づいてくればくるほど、人の親切や優しさが身に染みるようになってきた気がする。常に利を求めて動く商人として、ロレンスはまったく商人らしく振る舞いながら、それでいてホロと旅するようになって生まれた余裕は、単に利益を得る以上の踏み込んだ助けや親切を他人と交わす事を増やしていったように思う。それは回りまわって、ロレンスたちにも帰ってきているんですよね。シリーズも後半に行くにつれて、ロレンスたちに関わる人達の多くが、商人ですらも損得での関わりを踏まえた上で、もう一歩踏み込んだ親切や助けをロレンスたちに与えてくれる機会が増えてきたような気がするのです。勿論その中には、人間性への信頼と同時に、腕利きの商人としてロレンスを認め、彼との繋がりを深めようと言う意図も混じっているのでしょうけれど、でもそういう考え方だったとしても大きな括りで見るならば、ロレンスへの好意となるわけです。
たとえばかの狼のエーブや、エリンギン、ルド・キーマンのような凄腕の商人たちの多くは、ある種の畏怖と敬意を以て見上げられる商人たちだけれど、ロレンスは彼らとはまた別の在り方を以て一目置かれるような商人へと成長したんだなあ、と今回しみじみと実感した。
もう、ただの行商人レベルじゃないんですよね。それは誰もが認めるところであり、もうどこかに商会を構えても何の不足もない実力を備えている。だからこそ、彼が思い浮かべた夢には、かつて一巻で彼が夢想し絵に書いて思い浮かべていた時代よりも遥かに現実感が備わっている。なにより、その店を一人で切り盛りするのではなく、ロレンスの隣にホロがいることに何の違和感もなくなっているんですよね。あのユーグの手紙も、一助になっていると思うけど……。
うん、この違和感のなさはロレンスが商人として成熟したという点と並んで、ロレンスとホロの関係がただの男と女以外の何モノでもなくなった、という所も大きい。
今回については本当に、ロレンスもホロも商人だ賢狼だ、という生き方、建前に一生懸命にしがみつこうとしていたことで、逆にどうしようもなくただの男と女という有様になっていた気がする。だからこそ、最後らへんのエルサの峻烈な指摘が、より効果的だったんじゃないだろうか。
今回ほど、ホロが小さなか弱いただの女の子に見えた事はなかったですし。あんな寒空の下でロレンスをずっと待ってた所なんて、賢狼ホロとしてはとても考えられない行動ですよ。あの老いた羊と出会ってから、ホロも随分変わってきてたけど、今回は本当に、ただの女の子に見えたなあ。
でも、今回の一件で、より一層二人の関係が踏み込んだおかげで、少し前までずっとまとわりついていた漠然とした寂しさ、不安感はぬぐい去られてしまった気がする。この狼と商人の物語、始まった当初から、というよりもこの最後半に差し掛かるまで思い浮かべていたものよりも、遥かに素晴らしい、素敵な結末を迎えてくれる、そんな確信を抱いた14巻でした。

最後、分別をかなぐり捨てて若さを取り戻したロレンスが、取り戻した若さのままに暴走してエライ目にあってたのには、笑いましたけどw
でも、ちょっと見直した。ちゃんと暴走出来るんじゃないか(笑

狼と香辛料 13.Side Colors 34   

狼と香辛料 13 (電撃文庫 は 8-13)

【狼と香辛料 13.Side Colors 3】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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<狼と桃のはちみつ漬け>
女とは兎角お金のかかるものである、というのは人の世の変わらぬ摂理の一つと言えましょうが、視点を変えてみるならばこれすなわち、女に費やす金こそ男の甲斐性、なんて風に嘯く人もいるわけで。
その意味では、ここぞと言う時ホロを喜ばすための散財を躊躇わないロレンスという男は、大した甲斐性の持ち主となる。普段、商人として金を愛で金を惜しみ金にこそこれ以上なく執着している人種であるからこそ、なおさらその大事な大事なお金様を惜しげもなく費やす行為には重みが増すというものである。
さらに言うならば、それだけ泥沼に脚を突っ込んだごとくズブズブにホロに絡め取られているとも言えるのだけれど。
まあ、その金の費やす先が殆どの場合、食い物に化けてしまうのはご愛嬌というものか。宝飾品などと言ったものではなく食べ物故にこそ、ロレンスもついつい財布の紐を緩めてしまうのかもしれないが。
もっとも、食べ物を与えられているばかりではただの飼い犬、狼とは言えぬもの、などといえばエネク氏がお怒りになられるか。なんにせよ、好いた男に貢がれて喜ぶにせよ、貢がれる一方の関係はホロにとって承服しがたい居心地の悪いもの。となれば、貢ぐための労働に手を貸し尻尾を差し伸べるのもむべなるかな。ロレンスの甲斐性は、ここでプライドに任せてホロを拒絶せず、素直にホロの申し出を受ける所なのだろう。それこそが、もっともホロを喜ばせていることをちゃんと分かっているのかは定かではないけれど。
つまるところ、目的が女の好物であろうと貢物であろうと、二人で働き稼いではしゃぐ姿と言うのは、もう夫婦そのものだなあ、ということなのである。

<狼と夕暮れ色の贈り物>
さてもこの男、女に食い物ばかりを与えるだけではなく、ちゃんと装飾品の類を送りたいという人並みの願望はきっちりと持ち合わせていたらしい。
それで与えるものがアレというのは、なんとも商人らしいというべきかロレンスらしいというべきか。なんにせよ実に本音むき出しをてらわない贈り物で、ホロとしてはむず痒くもそこまで直接的に言われてしまったならば喜ばずにはいられないものだろう。まったく、ご馳走様である。


<狼と銀色のため息>
三話目は待ちに待ったホロ視点でのベタ甘話である。ここぞとばかりに、ホロ女史は相棒がどれほど間抜けで愚か者で愛らしく自分にベタ惚れしている生き物かを力説しているが、あげつらえばあげつらうほど、それだけ彼女が彼のことを好いているのかが、左右に振れる尻尾のようにあからさまに伝わってくるばかりで、何ともむず痒い。
その上、結論として嬉々としてこんな御馬鹿に惚れたが負けよ、と惚気てこられるので、たまったもんじゃないのである。
ご馳走様ご馳走様。


<羊飼いと黒い騎士>
未だに根強い人気を誇るノーラが主人公となる書き下ろし中篇の登場である。といっても語り部はノーラ本人ではなく、なんとエネク氏となっているのだが。この作品も十三巻を数えて幾多の登場人物が現れたが、エネク氏ほど知的で勇壮で寡黙な雄はついぞ現れる事はなかった。その寡黙な彼が語り部となるのだから一体どういう内面が晒されるのかと思えば、なるほどこれはいっぱしの騎士様である。存外、気取り屋なのであった。人とは違う視点での語り口は、なかなかウィットに富んでいてこれがとても面白い。語り部が変わるごとに話の様相から変化する支倉先生の話作りの妙は、またホロとロレンス以外の人物が主人公の話を読みたいと思わされると同時に、【狼と香辛料】以外の作品への興味もまた引き立てられる。あとがきを読む限り、別シリーズの準備も進めているようなので、素直に楽しみである。
さて、本話であるが、ロレンスと別れ、羊飼いを廃業して仕立て職人を目指して旅立ったノーラのその後なのだが、何気にこの娘も波乱万丈の人生を歩んでいる。まさに現在進行形で波乱万丈の人生に脚を踏み入れたところ、というべきなのかもしれないが。
思うように生きられないのが人生と言うものなのかもしれないが、それでもその場その場で修正を繰り返し、望めるものをわずかなりとも手にしていけるのであれば、それはまた一つの幸せの道行きと言えるのかもしれない。そもそも、ノーラのように信心深く誰かの役に立つことを至上の喜びとするような性格だと、意外とこれは天職となりえるのかもしれない。政治的駆け引きなど出来る性格ではないのも間違いなく、下手をしたら抜け出せない底なし沼に嵌まってしまったのかもしれないけれど。
でも、魔女と呼ばれ人から隔離され人と交われずに生きてきたノーラにも、友人と呼べるような関係の相手ができ、人として人の中に交わることが出来たのだから、その先行きは決して暗澹たるものではないはずだ。なにより、彼女には賢しらながらも頼もしい騎士殿がいるのだから。
なんかの拍子に、将来随分とえらくなっててもまたおかしくはないのである。

2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻 10巻 11巻 12巻感想
 
10月17日
【ピーチボーイリバーサイド 5】
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10月16日
【冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた 黒髪の戦乙女 1】
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10月15日
かくりよの宿飯 九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。
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紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤
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【シネマこんぷれっくす! 2】
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 BOKU(講談社コミックス)

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【UQ HOLDER!18】
 赤松健(講談社コミックス)

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【Fate/Grand Order-turas realta-3】
 カワグチタケシ(講談社コミックス)

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【クロックワーク・プラネット 10】
 クロ/榎宮祐(シリウスKC)

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【霊能者のお値段 お祓いコンサルタント高橋健一事務所】
 葉山透(幻冬舎文庫)

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10月7日
女王陛下の異世界戦略 1
 第616特別情報大隊 (レジェンドノベルス)

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ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人 1
 加茂 セイ (レジェンドノベルス)

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普通のリーマン、異世界渋谷でジョブチェンジ 1
 雪野宮 竜胆 (レジェンドノベルス)

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無双航路 1.転生して宇宙戦艦のAIになりました
 松屋 大好 (レジェンドノベルス)

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10月6日
十二人の死にたい子どもたち
 冲方丁(文春文庫)

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10月5日
掟上今日子の乗車券
 西尾維新(講談社BOX)

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【軍神ちゃんとよばないで 5】
 柳原満月(まんがタイムコミックス)

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10月4日
【終末のノスフェラトゥ 1】
 真じろう(角川コミックス・エース)

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【異世界居酒屋「のぶ」7】
 ヴァージニア二等兵(角川コミックス・エース)

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【異世界おもてなしご飯 2】
 目玉焼き/忍丸(角川コミックス・エース)

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【ラストギアス 1】
 高橋脩(角川コミックス・エース)

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【ダーリン・イン・ザ・フランキス 3】
 矢吹健太朗(ジャンプコミックス)

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10月2日
魔術の流儀の血風録(ノワール・ルージュ)
 北元あきの(講談社ラノベ文庫)

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異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 11
 むらさきゆきや(講談社ラノベ文庫)

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終末のアダム
 榊一郎(講談社ラノベ文庫)

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めんたるあぷりけ〜しょん
 ひなた華月(講談社ラノベ文庫)

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白翼のポラリス 2
 阿部藍樹(講談社ラノベ文庫)

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俺はアリスを救わないことに決めた
 清水 苺(講談社ラノベ文庫)

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やりすぎた魔神殲滅者の七大罪遊戯(ニューゲーム)  1.最強究極(オメガ)の七大罪使いは容赦ゼロで禁忌を犯しつくす
 上栖綴人(講談社ラノベ文庫)

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じゅっさいのおよめさん
 三門鉄狼(講談社ラノベ文庫)

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10月1日
サイレントウィッチーズ スオムスいらん子中隊ReBOOT! プレミアム特装版
 築地 俊彦/ヤマグチノボル (角川スニーカー文庫)

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サイレントウィッチーズ スオムスいらん子中隊ReBOOT!
 築地 俊彦/ヤマグチノボル (角川スニーカー文庫)

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JK案件推進中!! ~取引先の要求でお嬢様女子校の寮に住み込むことになった~
 藤宮カズキ (角川スニーカー文庫)

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英雄の娘として生まれ変わった英雄は再び英雄を目指す 3
 鏑木ハルカ(角川スニーカー文庫)

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君は世界災厄の魔女、あるいはひとりぼっちの救世主
 大澤 めぐみ(角川スニーカー文庫)

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青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる
 刑部大輔(角川スニーカー文庫)

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R-18な彼女はどうやら経験値が足りないようだ
 米俵好 (角川スニーカー文庫)

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〈Infinite Dendrogram〉―インフィニット・デンドログラム― 8.遺された希望
 海道左近(HJ文庫)

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魔術破りのリベンジ・マギア 5.救世の屍王と恩讐の行方
 子子子子子子子(HJ文庫)

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9月29日
幼女戦記 10.Viribus Unitis
 カルロ・ゼン(エンターブレイン)

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覇剣の皇姫アルティーナ XIV
 むらさきゆきや(ファミ通文庫)

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暇人、魔王の姿で異世界へ 時々チートなぶらり旅 7
 藍敦(ファミ通文庫)

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誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~
 木緒なち(ファミ通文庫)

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ギルドのチートな受付嬢 7
 夏にコタツ(モンスター文庫)

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進化の実 〜知らないうちに勝ち組人生〜8
 美紅(モンスター文庫)

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隣の部屋の女騎士は、異世界人で飲み友達
 猫正宗(Mノベルス)

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9月28日
傭兵団の料理番 6
 川井 昂(ヒーロー文庫)

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辺境魔法学校 2
 金暮 銀(ヒーロー文庫)

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ネクストライフ 14
 相野 仁 (ヒーロー文庫)

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康太の異世界ごはん 4
 中野 在太(ヒーロー文庫)

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エルフ・インフレーション 6
 細川 晃 ヒーロー文庫)

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賢者の剣 6
 細川 晃 ヒーロー文庫)

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【地味な剣聖はそれでも最強です 2】
 明石六郎(PASH!ブックス)

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【青薔薇姫のやりなおし革命記  3】
 枢呂紅(PASH!ブックス)

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ガラクタ王子と覇竜の玉座
 藤春 都(ブレイブ文庫)

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【ベルセルク 40】
 三浦建太郎(ヤングアニマルコミックス)

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【マイぼーる! 14】
 いのうえ空 (ヤングアニマルコミックス)

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9月27日
【愚かな天使は悪魔と踊る 5】
 アズマサワヨシ(電撃コミックスNEXT)

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【この美術部には問題がある!10】
 いみぎむる(電撃コミックスNEXT)

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【とある科学の超電磁砲外伝 アストラル・バディ 2】
 乃木 康仁 (電撃コミックスNEXT)

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【Rewrite:SIDE-TERRA 4】
  ZEN (電撃コミックスNEXT)

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【結城友奈は勇者である4】
 かんの 糖子(電撃コミックスNEXT)

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【結城友奈は勇者である5】
 かんの 糖子(電撃コミックスNEXT)

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【稲川さんの恋と怪談 2】
 ヨゲンメ(電撃コミックスNEXT)

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【ふたりでひとりぐらし、3】
 ざら(まんがタイムKRコミックス)

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【魔術破りのリベンジ・マギア 1】
 宮社惣恭/子子子子子子子(HJコミックス)

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【Fate/stay night LEGEND アンソロジーコミック】
 アンソロジー(星海社COMICS)

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9月25日
Re:ゼロから始める異世界生活 17
 長月達平(MF文庫J)

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サブヒロインだって攻略されたい! ルートがなくても愛してくれますか
 藍藤唯(MF文庫J)

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西野 〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜3
 ぶんころり(MF文庫J)

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おまえ本当に俺のカノジョなの?
 落合祐輔(MF文庫J)

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君死にたもう流星群 2
 松山剛(MF文庫J)

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ぼくたちのリメイク 5.ぼくたちに足りないもの
 木緒なち(MF文庫J)

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15歳でも俺の嫁! 2.即日同棲から始まる電子書籍革命
 庵田定夏(MF文庫J)

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ようこそ実力至上主義の教室へ9
 衣笠彰梧(MF文庫J)

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精霊使いの剣舞 19.聖都消滅
 志瑞祐(MF文庫J)

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駆除人 8 〜旅する魂篇〜
 花黒子(MFブックス)

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影の使い手 2.楽園に咲く冬桜
 葬儀屋(オーバーラップ文庫)

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異世界帰りのおっさんは父性スキルでファザコン娘達をトロトロに 1
 高橋弘(オーバーラップ文庫)

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ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント9
 ネコ光一(オーバーラップ文庫)

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勇者の活躍はこれからだ! 異世界からの出戻り勇者は平穏に暮らしたい 2
 Y.A (オーバーラップノベルス)

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最底辺のおっさん冒険者。ギルドを追放されるところで今までの努力が報われ、急に最強スキル《無条件勝利》を得る 1
 どまどま (オーバーラップノベルス)

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【人外さんの嫁 6】
 八坂アキヲ/相川有(ZERO-SUMコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー ブランニュー・デイ 1】
 池野雅博/蝸牛くも (ビッグガンガンコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー外伝 イヤーワン 2】
 足立慎吾/蝸牛くも (ヤングガンガンコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー 5】
 黒瀬浩介/蝸牛くも (ビッグガンガンコミックス)

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【ユーベルブラット 22】
 塩野干支郎次(ヤングガンガンコミックス)

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【異世界建国記 2】
  KOIZUMI/桜木桜 (角川コミックス・エース)

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【ゲーマーズ! 5】
  高橋つばさ/葵 せきな (角川コミックス・エース)

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【幼女戦記 10】
 東條 チカ/カルロ・ゼン(角川コミックス・エース)

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【恋愛戦士シュラバン 2】
 青木ハヤト(角川コミックス・エース)

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