さてさて、今日からお盆です。
今年も遠藤家恒例のお盆の儀式、精霊馬(しょうりょううま)の製作が行われました。


精霊馬とはナスとキュウリで作った牛と馬の事であります。
キュウリは足の速い馬に見立てられ、あの世からご先祖様が早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、また、供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いがそれぞれ込められているそうです。


製作を担当するのは御存じ、3代目遠藤智泰師範。(私の弟でございます)
幼少期から祖母に徹底的に精霊馬の作り方を叩き込まれた、ミスター精霊馬
この道30年以上のベテランです。



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遠藤師範に密着取材を始めて、今年で3年目の夏。
だいぶ我々取材班に心を許してくれたのか、師範の顔も少し微笑んでいます。


『よっしゃ!ほな、始めよか!』



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師範の目つきが急に鋭くなりました。
我々取材班にも緊張が走ります。


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今年の精霊馬用の野菜でございます。
真ん中のナス以外、我が家の畑で収穫した野菜です。
キュウリがかなり反っているのが気になります。



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師範は慣れた手つきで、精霊馬の足用の割りばしを折っていきます。



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折った割りばしを、次々にナスにぶっ刺していきます。
『迷ったらあかんのやて。こういうのって勢いが大事やねん。人生も一緒や。』



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 小豆の目をいれ、あっという間にナスの牛が完成しました。
すると次の瞬間、キュウリを手にしながら師範が頭を抱えて悩み始めました。



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精霊馬用のキュウリがかなり反っている為、製作作業が一筋縄ではいかない事を察知した師範。


『ワイも長い間、精霊馬作らせて貰ってるけど、こんなキュウリの反りは初めてのケースや。
ただ、その初めてにどう対処していくか、どう向き合うかって事が大切なんよ。
やった事ないから出来ませーん。無理でーす。そんなん言うてたら成長出来んやろ?
人生もそういうもんやと思うで。』


師範の身の丈余る人生論を聞かされ、正直我々取材陣は引いた・・・。



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数分後、師範は立派な精霊馬を作り上げた。
取材を終え、仏壇に目をやると、そこには精霊馬と共に、意味不明の物体が置かれていた。



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仏壇でひと際異彩を放つジャガイモの造形物・・・。


『作品名は、いろはにポテトや。ガハハハハハハハ!』


ぶっ飛ばすぞ!この野郎!
今年のお盆もゆっくりと時間が過ぎていきます。