◎実は
私は生まれた時から酒が強かった。そう書きました。しかし実は過去に酒を飲んで死にかけた事があります。18歳の時。まだ美少年、じゃなかった未成年の時。大学に入って1ヶ月目、サークルの新歓コンパでの出来事でした。
当時ブルースリーに憧れてた私は格闘系のサークルに入り、ただひたすら体を鍛えておりました。そのサークルでは新歓コンパの事を入門式と呼んでいました。毎日はだして10kmのランニングをこなし、柔軟体操をした後ただひたすら突いたり蹴ったり、型の練習をしていました。そしてその日もランニングの後、空腹のまま繁華街での入門式に参加したのでした。
まず会が始まると居並ぶ先輩たちの前に新入部員がずらりと立ち並び入門の盃を交わすのです。直径50cmはあろうかという大きな盃に一升瓶からなみなみと酒が注がれ、それを飲み干す儀式。
しかし私は高校を卒業して約1ヶ月。酒などほとんど飲んだことも無いのにいきなり1升の日本酒をひと息に飲み干してしまったのでした。
10kmのランニングでただ喉が渇いてたというか。
さすがは内臓エリートというか。
そう、初めて飲んだ時から強かったのです。私以外に飲み干した人はいなかったと聞いています。飲ませた先輩たちもまさか本当に飲み干すなんて思っていなかったのかもしれません。
あくまでも儀式のはずでした。
はっきり言って『馬鹿』でした。その後の記憶は何もありません。幸運だったのは私の異変に気付いた人がいたことと場所が繁華街で大学病院に近かったことです。
目が覚めたのは明け方でした。目に入ったのは大学病院の天井の幾つもの蛍光灯。よばれた両親が私の手を握っていました。
「瞳孔が半分開いているから確率は五分五分です。あとは本人の体力と運です」
そう先生に言われたとか。いわゆる『急性アルコール中毒』
本人の体力と運。私が今こうして生きているのは体力も運もあったからでした。おそらく両親は明け方まで一晩中私の手を握って祈っていたのでしょう。でも私にはその間の記憶は全くありません。アルコールは脳を麻痺させる薬物だと最初に書きました。短時間で多量のアルコールを飲んだ結果、生命活動を担っている脳幹まで麻痺していたのです。
「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。その服用量が毒であるか、そうでないかを決めるのだ」
これは化学療法の祖と言われ、ルネサンスを代表するスイスの医者パラケルスス の有名なことばです。生命に必要な水や塩なども一定量を超えると毒になると言うことです。ちなみに食塩の半数致死量は体重1キログラムあたり3グラムとされており,60キログラムの人ならば180グラムが致死量となります。醤油を1リットルを飲むとちょうど致死量くらいになるわけです。アルコールの場合、例えば日本酒だと1.2リットルを一気に摂取すると半数致死量になると言われており、私の場合それをはるかに超えていました。
私は運良く助かったのですが、現在でも毎年若者に限らず沢山の人たちが急性アルコール中毒により病院に救急搬送されていると聞きます。中には命を落とす人も。心が痛みます。全てはアルコールに対する知識の欠如が問題なのかもしれません。
(次回へ続く)
今東京で行われている『毒展』
そこにこんな展示があるそうです。
それなら、砂糖や醬油、コーヒーなんかも展示してあるのでしょうか。

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