やんま まのblog(仮)

2013年05月

CUDソフトプルーフ

CUD(カラーユニバーサルデザイン)は、老若男女誰もが必要な情報にアクセスできるように配色などを工夫することです。単にCUDと言った場合、色弱者(大多数の人と異なるタイプの色覚を持った人)に適切なデザインを指すことが多いようです。

CUDの補助として、色弱者の色覚特性を反映した画面表示を行うことをCUDソフトプルーフといい、いくつかの専用ツールが入手可能となっています。

CUDソフトプルーフの狙いは「色弱者にとって区別のつかない(つきにくい)色の組み合わせを見つけて、適切なデザインにすること」です。テキストが背景と同化して読めなくなってしまったり、強調部分がどこなのか判らないといったトラブルを回避するためのツールと考えるとよいでしょう。

一方で、CUDソフトプルーフの表示をもって「色弱者はこの色に見えている」という判断をするのは適当ではありません。

専用のツールを使うと、「区別のつきにくさ」をスコアリングして問題箇所を指摘してくれたり、色の置き換え候補を提案してくれるなどの高度な支援機能が利用できるメリットがあります。

UDing_Simulator
東洋インキのUDingシミュレーター

一方で、シミュレーション元としてファイルに保存された画像しか利用できない、変換が遅い、などのちょっとした難点を抱えているツールも多く、「シミュレーション結果を逐一確認しながら、ちょっとずつ元データをいじっていく」ようなやり方には不向きだというのも事実です。

そういった不便に対する答えのひとつとして、コンテンツの制作ツール側にCUDソフトプルーフ機能を持たせてしまうという手法があります。例えばAdobe Photoshop / Illustratorの校正設定には「P型(1型)色覚」「D型(2型)色覚」というプリセットがあり、これらを選択することでそれぞれの色覚タイプに応じたCUDソフトプルーフを行うことができます。

PS_CUD_presets
Adobe PhotoshopのCUDソフトプルーフプリセット

また、GIMPには標準でP/D/T型の色覚タイプをシミュレートするディスプレイフィルタが含まれていて、CUDソフトプルーフをしながら画像編集ができるようになっています。

display_filter_color_blind
GIMPのディスプレイフィルター設定

カラまねでCUDソフトプルーフを試す

カラまねは任意のアプリケーションのウインドウをキャプチャして変換を実行できますので、CUDソフトプルーフに対応すると何かと便利です。まず最初に考えたのは、カラーチャートを既存のCUDソフトプルーフツールで変換した結果をもとにLUTを作成し、ICCプロファイル化することでした。本来なら適切なアルゴリズム・計算によってLUTを生成すべきですし、精度的に劣るのも確かですが、「区別のしにくい色の組み合わせを見つける」用途においては許容できるレベルに追い込めるのでは、という感触は得られました。公式サイトでは実際に試作したプロファイルによるデモ動画を見ることがてきます。

次に考えたのは既成のICCプロファイルを使用してCUDソフトプルーフを行う方法です。PhotoshopのCUDソフトプルーフが校正設定の中にあることからも察しがつくように、内部的にはICCプロファイルを使った変換が行われています。調査の結果、先日の記事のとおりP型 / D型の色覚タイプに対応する色空間プロファイルがACEのライブラリ中に含まれていることが分かっています。

そこで、カラまねを改修して色空間プロファイルを受け付けるようにした上で、ACEのプロファイルを指定してみました。

CUD_PS_ColorMimic
Photoshopと同等のCUDソフトプルーフ表示がカラまね(右)でもできていることがわかります。

カラまねでCUDソフトプルーフを行うことで、動きのあるコンテンツやアプリケーションのUIなどのチェックが捗るのではないかと思われます。

5月12日にカラまねの最新版、バージョン0.17が公開されました。ダウンロードは公式サイトにて。

当ブログではこれまでカラまねの記事を書いたことがありませんでしたが、ざっくりと説明すると「Windows用のカラーマネジメント補助ツールで、ウインドウのキャプチャに任意のカラースペース変換をかけられるもの」ということになります。カラーマネジメント非対応のアプリケーションにカラーマネジメント表示を後付けする等の用途に有用です。旧バージョンになりますが、公式サイトにデモ動画がありますのでそちらも見ていただければおおよそわかるのではないかと思います。

変更点・新機能

さて、バージョン0.17での主な更新内容を紹介しましょう。

開発版・体験版共通

パン操作の改善

従来は対象ウインドウがのぞき窓に収まらない範囲しかパン操作によるスクロールができませんでした。

colormimic_scroll_1

0.17では上下左右のいずれの方向にも対象ウインドウが完全にはみ出るまで自由にスクロールさせることができます。

colormimic_scroll_2

抽象・色空間プロファイルへの対応

カラー変換設定のターゲットプロファイルとして、抽象クラス・色空間クラスのICCプロファイルが選択できるようになりました。

開発版のみ

マウス操作による対象ウインドウの選択 ※体験版ではバージョン0.15で実装済み

マウスの中ボタン(ホイール)のドラッグ操作で対象ウインドウを選択できるようになりました。操作中はマウスカーソルが変化します。

Ctrlまたはシフトキーとの組み合わせでのぞき窓の位置・サイズを対象ウインドウに合わせることができますので試してみてください。

--auto-hideオプションの追加

対象ウインドウが非アクティブになるとのぞき窓が非表示になるオプションです。設定ダイアログの「基本設定」からでもオン・オフを変更できます。

使用キーの採用

従来は開発協力者に対して個別に開発版の実行ファイルを提供していましたが、0.17以降は公式サイトから誰でもダウンロードできるようにする代わりに、使用キーを入手して登録しないと起動できない仕様に改められました。

現在は5月末まで有効なゲスト用使用キーが公式サイトで配布されていますので、それをダウンロードしていただくことでどなたでも開発版のフル機能を試すことができます。

体験版のみ

プロファイル選択の制限

設定ダイアログ上で変更できるプロファイルがターゲットプロファイルのみになりました。ソースプロファイルの指定はカラまね起動時に表示される選択ダイアログで行ってください。

PhotoshopなどのAdobe製品で採用されているカラー変換エンジンのAdobe Color Engine(ACE)。実はACEのライブラリにICCプロファイルが内蔵されていることはあまり知られていないのではないのでしょうか。

該当のファイルをバイナリエディタで開くとプロファイルのDescriptionを容易に確認することができます。ICCプロファイルのヘッダ構造をご存じの方なら、個々のプロファイルを切り出してくるのもさほど難しくはないはずです。

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