9月中頃にHUAWEIの2in1 PC、MateBook(Core m5, RAM8GB, SSD256GBのモデル)を入手しましたので気づいたことなどをまとめておきます。

注意点

購入してから「あっ、しまった」とならないよう、まずは注意点から。

電源はUSB Power Deliveryのみ

スマートフォン・タブレット端末向けのUSB電源は流用できません。充電時間が長くなる、ではなく電力供給がそもそも不可、です。

USB電源に関してはAnkerなどからPDポートを備えたモデルがラインナップされていますのでそれを選べばOKですが、モバイルバッテリーは今のところ選択肢がほとんどありません。記事初出時にはPDポート搭載のUSB電源を数点見つけることができたのですが、現在Amazonでは売り切れまたは取り扱い中止になっているようです。購入可能かつMateBookでの動作報告がある製品となると厳しい状況と言えます。

USB Power Delivery対応で、MateBookでの動作報告があるUSB電源(ACアダプタ)はこちら。

モバイルバッテリーに関してはASUSのオンラインショップで販売が始まっているZenPower Maxが恐らくMateBookで使えると予想されますが、動作報告が見当たらず手を出しにくい状況です。Amazonでは以下の製品がMateBookで使える「かもしれない」ものとして挙げられます。

前者2つ(K3)はMacBook(Pro)ユーザー向けに企画された製品のようで、MateBookで相性問題なく使えるか不安が残ります。3つ目は日本未発売モデルを並行輸入しているためかかなり高額に設定されてしまっています。

……が、最近になってRAVPowerから比較的安価なPD対応モデルが登場。当方でも人柱として購入したところ、MateBookへの給電が可能でした。こちらは時間がとれれば、詳細や注意点などを別記事として紹介したいと思います。

案外見落としがちなのは、ケーブルもPD対応品が必要、ということ。MateBookに付属のケーブルはともかくとして、追加・予備のケーブルを購入する場合はパッケージや品番をチェックすることをおすすめします。

(micro)SDカードスロットはない

まあ、MateBookに興味を持たれている方なら既にご存知かとは思いますが、SDカードを使用するには貴重なUSBポートを消費してカードリーダーを接続する必要があります。ACアダプタも使いたければ、給電用のUSB PDポートを備えたハブを接続してそこに電源ケーブルとカードリーダーを挿すという少々面倒な話になってしまいますので、購入を検討しているのであればよく考えて判断すべきです。

MateBook_with_hub

今のところ、このような複合型のハブを使っていますが、いくつか難点があるのが残念なところ。

写真の複合型ハブはこちら。元々MacBook向けに企画された製品で、難点は「直差しタイプとしては大きすぎる」「発熱がひどい(特にSDカード使用時)」「スリーブ・再起動でカードリーダー部が認識されなくなることがある」など。

リカバリはWindowsの標準機能のみ

出荷時の状態に完全リカバリしようとお考えのあなた。購入して真っ先にUSBメモリからバックアップソフトを起動してストレージのフルバックアップを作成していなければアウトです。

ディスプレイ

12インチ・2160x1440pxのIPSパネルです。縦横比3:2ということで、Windows PCとしては珍しい仕様。わがままを言うならば、WQHDの長辺を切るよりも(QH55/Mのように)短辺を伸ばす方向でやってほしかった、と感じます。ただ、そうするときっちり3:2にはならないので作り手的には許容しがたいのかもしれませんが……。

ちなみに、解像度は216ppiとのこと。300ppiに迫るQH55/Mとの比較では電子書籍の表示などで見劣りする点、DPIスケーリングの設定が150%のためDPI仮想化対象のアプリの表示がぼやけて見難い(QH55/Mは200%のためボケない)点の2つを除いて実用上の不満は感じられません。

色特性も見ていきましょう(※要WebGL対応ブラウザ。データが自宅サーバー上に置かれているため表示できない場合があります)。

sRGBより高色域ですが、惜しくもカバー率100%は達成できず。

対Adobe RGBでは、シアン~グリーンにかけて再現できない領域が存在しています。

輝度は392cd/m2、ガンマの概算値は2.0強~2.1弱、色温度は約9150Kでした。感覚より色温度が高すぎるような印象だったので、あらためて測定し直そうかと思いますが……HTC 10を横に置いて比べるとそれなりに大きな差異がありますので妥当なところなのかもしれません。

Note : ezSpectraにて測定してみた結果はこの通り。やはり色温度が高いようです。

MateBook_display_white

色温度が高いのを気にかけて、なのかは分かりませんが色温度調整 兼ブルーライト軽減のためのユーティリティがプリインストールされています。色温度のスライダーは0%まで下げるとezSpectraでの実測で6700K台になります。SetDeviceGammaRampは使用されていない(ICCプロファイルのvcgtタグによる調整と共存できる)ので、色温度を下げてキャリブレーションする場合にはこちらを併用してもよいでしょう。一方、ブルーライト軽減についてはかなり不自然な結果になりますので使わない方が賢明です。

MateBook_monitor_management

ICCプロファイルはあらかじめ設定済み

MateBookには以下の2つのプロファイルがインストールされており、ディスプレイの既定のプロファイルとして設定済みです。

  • Huawei_tianma.icm
  • Huawei_boe.icm

ファイル名の"tianma"、"boe"はそれぞれ(液晶パネルの)メーカー名を指しているようです。一方が他機種のものなのか、それともMateBookの液晶パネルが両メーカーから供給されているのかは不明です。ちなみに自分の個体は前者が既定になっており、EDID情報からもTIANMA製のパネルであると推測されます。

Note : 自前のプロファイルを作成してカラーマネジメント運用されている方は、サインイン時に既定のプロファイルが上記のプロファイルに再設定されてしまうのを防ぐため、タスクマネージャーの「スタートアップ」タブにてMonitorManageStartを無効にする必要があります。

ディスプレイのプロファイルを設定済みにして出荷すること自体はよいことです。が、そのプロファイルを強制するのは適切ではありません。また、設定済みのプロファイルに何かしら問題があったり実機の特性と大きく異なるとしたら、やはりよろしくありません。

当方の実測結果との比較では、色域は多少差異があるもののプリインストールのものとしては目をつぶってもよい程度。しかしTRCは出力が明るめになっているのが気になります。どちらかというとEDIDの方が実測に近いようですので、測色器はないが簡易的にカラーマネジメント運用したいという方は、EDIDからプロファイルを作成してみるのもよいかと思います(DisplayCalでは、Option→Create profile from extended display identification data...より作成可能)。

ペン(オプション品)

純正オプションとしてMatePenが用意されているほか、Wacom製Bamboo Smart for select tablets and 2-in-1 convertible devicesが使えます。Bamboo Smartに関しては以下のような報告もありますので要注意。

ペンを入手された方はWacomのサイトより、feel IT用ドライバをダウンロード・インストールしておきましょう。これにより筆圧の調整やWintab対応ソフトでの使用が可能になります。

MatePenの使用感ですが、ペン先の素材の関係かヌルッとしたウェットな感触なのが少々気になります。あと、電磁誘導式と違って特定のエリアにペンを近づけると盛大にずれる、という心配がないのは嬉しいのですが、実際使ってみると細かい部分をちまちま描き込んでいくような場合に狙った通りに線を引くのが案外難しく、慣れが必要かなと思いました。

MatePen_scanrate

ペンのスキャンレートはおよそ167ポイント/秒。調子がいい(?)時は170を超えますが、繰り返しの計測ではだいたいこの辺りに落ち着くようです。

電源は内蔵充電池で、自分の使用スタイル(毎日0.5~2時間程度)で1ヶ月くらいの特ち。USBケーブルで本体またはUSB電源から充電を行いますが、充電中でも長いケーブルを使うなどすればそのまま操作が可能です。

パフォーマンス

WinSATの結果は以下の通り。

プロセッサ
7.4
メモリ(RAM)
7.7
グラフィックス
5.8
プライマリ ハードディスク
8.1

Geekbench 4のスコアは以下の通り。詳細はGeekbench Browserを参照。

Single-Core Score
3191
Multi-Core Score
5830

Cherry Trail / Bay Trail-Tタブレットを除けば自宅のPCはどれも数世代前の代物なので、Geekbenchのスコアだけ見れば最速、というなんとも言えない結果に……。実際Photoshop CCやCorel Painter 2015の使用感も、ストレスフリーとまでいかないにしても悪くはありません。

CPUクロックは薄型筐体の割に、というのも何ですがしっかりブーストがかかります。タスクマネージャーの更新頻度で捕捉できる範囲では2.3~2.4GHz台まで確認可能。Open Hardware Monitorでログをとってみたところ2.7GHz台の値が記録されていましたので、データシート通りの性能が出ているものと考えられます。

MateBook_cpu_clock_log1

サーマルスロットリングのテスト。1時間のテストのうち、15分ほど経過したところで上記の挙動が見られました。

MateBook_cpu_clock_log2

テスト中のほとんどの時間はこのような調子。CPU Stress以外のアプリも操作することがあったため、一時的に2GHzを下回る部分が生じています。

MateBook_cpu_clock_log3

負荷を解除すると、速やかにCPU温度が低下するのが確認できます。上段のグラフからわかるように、通常使用時には目まぐるしくクロックが変動しています。

サーマルスロットリングの発生を確認するため、SysinternalsのCPU Stressを使用して1時間ほど高負荷の状態にしてみたところ、15分ほど経過した時点で1.4GHzまでCPUクロックが低下する事象が確認されたものの、それを除けばおおむね2.1GHz~2.3GHzの間で推移するような傾向でした。Open Hardware MonitorによるCPU温度のレポートを見る限り60℃付近で安定しており、また負荷を解除すると速やかに30℃台後半~40℃台まで降下することから、CPU負荷が原因のサーマルスロットリングはまず発生しないだろうと予想されます。もしサーマルスロットリングが発生するとしたら、おそらくGPU負荷によるものでしょう。

以上のように、CPUパフォーマンスの観点では通常の使用においてメインストリームのノートPCと大差なく扱えると期待できる結果となっていますが、「x264で動画のエンコード」といった処理に関しては1.4GHz付近でクロックが停滞してしまうため不向きです。

プリインストールのソフトウェア

MateTrans

Androidデバイスと無線接続して使用するツールで、デバイスのストレージ内のファイルをブラウズ・操作(MateBookとの間で双方向に転送も可能)したり、デバイスを操作することなくテザリングを開始したり、といったことが行えます。テザリング(MateTransでは「インスタント オンライン」と呼称)中には通信データ量の確認や、セッション毎の通信データ量上限を設定する機能(上限を超えるとテザリングが解除される)が利用可能です。

デバイスとの無線接続はBluetoothとWi-Fiの双方が使用されます。BTはデバイスの検出や制御を、Wi-Fiはファイル転送やテザリングを担当します。

難点は以下の通り。

  • デバイスとの接続に時間がかかる。スマートフォンを取り出してテザリングをオンにする方が早い、ということもしばしば。
  • デバイス側にインストールするMateTransアプリが、Google Playに登録されていない野良アプリである。

Autodesk SketchBook

日本ではやや影の薄い感があるペイントソフトです(ひどい)。プロ版メンバーシップのサブスクリプションを購入すると全機能が解放されますが、MateBookユーザー向けに3か月間無料の特典が付属しています。

Dolby Audio

MateBook_dolbyaudio1ハードウェア的に不利な部分をデジタル処理で補正・補完して音質を改善するソフトです。付加機能として、イコライザー、サラウンドバーチャライザー(音場拡大・立体感の演出)、ダイアログエンハンサー(話し声を聞き取りやすく補正)、ボリュームレベラー(音量の差を均す)が利用できます(詳細な情報がないため一部推測含む)。

MateBook_dolbyaudio2何らかの理由で基本の補正を無効化したい場合は、サウンドのコントロールパネル→「再生」タブ→スピーカーのプロパティ→「Dolby Audio」タブにて補正のオン・オフが可能です(Dolby Audioのオンオフは通知領域のアイコンを右クリックしてメニューから行うことも可)。

モニタ管理

ディスプレイの色温度と、ブルーライト軽減のコントロールを提供します。

WinPcap

オープンソースのパケットキャプチャで、MateTransの動作に必要です。MateTransが不要であればアンインストールしてしまってもよいと思われます。

他サイトでの情報・評判

個人ブログ

MateBook 1Week レビュー | 四十路の副業への道
一般ユーザー視点での感想。
税理士・秋山和久のblog : HUAWEI(ファーウェイ)MateBookレビュー書いてみます。
持ち歩くPCとして見たMateBookの評価。
タブレット関連記事まとめ! | 機械は友達・二次元は恋人 -まったりオタク系ライフblog-
Windowsタブレット関連記事のインデックス。美少女ゲームのプレイ用PCとしてどうなのか、など記事数本にわたるレビュー。

ニュースサイトなど

ファーウェイMateBook実機レビュー。7万5000円でCore m搭載の価格は衝撃、指紋認証や6.9mmの薄さにも好感 - Engadget Japanese
写真多数。店頭などで実機を確認できない方は見ておくとよいかもしれません。
【レビュー】写真で見る税別69,800円のWindows 10タブレット「MateBook」 ~12.5型で解像度は2,160×1,440ドット。オプションキーボードで2in1化 - PC Watch
こちらも実機写真とベンチマークのスコアが掲載されています。

11月11日に複数サイトでPR記事がポストされています。

アキバ取材の達人が「HUAWEI MateBook」を使い倒す (1/3) - ITmedia PC USER
スタッフによる取材をイメージした使用レポート。いかにも演出です的な写真ばかりでなく、もうちょっとリアリティの感じられる写真を載せればいいのに、と思わないでもありません。
手帳にもスケッチブックにも七変化する『HUAWEI MateBook』で家族全員ハッピーに!【PR】|@DIME アットダイム
2ページ目のペンで手書きしている写真やプレゼンしている写真を見るとMateBookを落としそうで心配になります。背面部分はサラサラしていて滑りやすいので要注意。
手書きの創造性とPCの生産性を1つに。最強のクリエイティブマシン『HUAWEI MateBook』 | ライフハッカー[日本版]
こういうイメージ記事ばかり読まされてもあまり食指が動かないような気が。
プロのイラストレーターが実戦投入。フルWindowsが持ち歩けるMateBookは「本当に便利でした」|ギズモード・ジャパン
5人くらいの絵描きに実機を1か月貸し出した後座談会、みたいな企画をやったら参考になる話が出てきそうなんですが、どこかやってくれませんかね……。
[PR] 『HUAWEI MateBook』はスマートフォンテイストなデザインを採用した2-in-1のニュースタンダードだ
だんだんコメントするのが億劫になってきました(ひどい)。
HUAWEI MateBookは真に「オールラウンダーな2in1」か? 実機を使っての十番勝負で検証!
PR記事の中ではいちばん情報量のある記事。いくらか評価がポジティブ過ぎる感がありますが(スポンサーの付いている記事なので)やむを得ないところ。