平成27年3月13日金曜日
「特別区設置協定書の承認について」

断固反対!
本会議場で討論をさせて頂きました。

討論の内容は下記の通りです。

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 私は自由民主党大阪市会議員団を代表し、議案第174号「特別区設置協定書の承認について」断固反対の立場から討論をさせて頂きます。

 改めて言うまでもなく、この度上程された「特別区設置協定書」は昨年10月27日に大阪府議会、大阪市会において否決されたものと、ほぼ同一のものであります。
 維新以外の協議会委員を強引に排除し、維新のみの突貫工事で作成された「協定書」は、欠陥だらけの不良品に他なりません。その手続きの違法性も疑われる中で、府議会及び大阪市会で無効決議まで出された経過が、この「協定書」の原点なのです。これまでも議会や協議会で再三にわたりその問題点を指摘して参りましたが、改めてここで3点申し上げます。

 1点目は、大阪市の廃止、5区分割により、最大で約70万人の人口規模を擁する特別区をつくることになる、区割りであります。当初掲げられた30万人適性規模という理想とは大きくかけ離れたものであります。また、そもそもこの区割りに対してどのような住民意思の反映があったのでしょうか。地域の歴史や伝統を無視し、区の名称も無味乾燥な北・東・中央・南・湾岸といったものでは、新たな特別区を一つの自治体としたところで、強い住民自治が確立されるとは到底思えません。

 現在の区役所は支所として窓口サービスを担うので、住民サービスは維持されるかのような説明もありますが、現在の区役所が担っている全ての業務が支所において行われるわけではありません。また、多くの支所には選挙で選ばれた区長がいるわけではなく、行政機能というよりは、今の区役所以下のサービスカウンターのようなものにすぎません。

 また、例えば、消防事業は広域に事務配分されていることから、これまで培ってきた消防署と行政区との密接な関係も薄れることになります。逆に、身近な消防が府の事業となる一方で、これまで大阪市が消防事業と一体的に実施し、大規模震災等にも対応できる高度な防災対策は特別区が担うとのことですが、人材や技術の確保など、5つの各特別区で本当に現状を維持できるのかは非常に不安であります。

更に、今まで大阪市が一体的に行ってきた行政サービスが5つの特別区に分割されることによって、保育所にしても、市営住宅にしても、住民にとっては行政サービスの選択肢が激減するわけですから、大阪市民にとって特別区設置はあきらかにマイナスでしかなく、住民サービスは大幅に低下します。

 2点目は、財政問題です。府市再編により二重行政の無駄を排して出てきた大きな効果額で、大阪の成長を担うというのが、いわゆる大阪都構想のうたい文句でありましたが、これらの理想は全て夢物語であることが明らかになっております。

 当初松井知事が仰った年4000億円の効果額とは、いったい何だったのでしょうか。市長は、未だに5000億円だ1兆円だ、果てには無限大だと、大きな嘘ほどバレ難いと言わんばかりに、何の根拠もない数値を発信されております。

 しかしながら、協議会で提示された府市再編のみによる効果額は約1億円に過ぎず、それとて既に効果は発現し終えて、今や消えてなくなりつつあり、真の再編効果と呼べるものなど殆どないではありませんか。一方で、確実にかかる分割コストはイニシャルコストだけでも680億円。さらにその上、住所変更をはじめ市民には大きな負担を課すことにもなります。

 一方で、大阪市域内における特別区の自主財源は、現在の大阪市税収入の4分の1へと大幅に減少します。市長が、固有財源として入ってくると主張される財政調整交付金は、最終、大阪府の条例で決められるわけですから、将来にわたり特別区に確実に入ってくる保障など、どこにもないのです。
 270万人よりも小さい人口規模で公選区長を選んだところで、所詮、権限や財源は一般市町村より格下であり、住民の声に答えられるだけの力を持ち得ない区長を5人誕生させたところで、身近な住民自治など到底確立はできません。

 3点目は、府と市の関係以上に複雑になる意思決定です。
 市長は、昨年の地方自治法改正による調整会議について、「府と市が協議しても何も決まらない。総務大臣が勧告できるとしても、総務大臣は大阪のことなんてわからないから解決に繋がらない」と言い放っておられますが、大阪版都区協議会は、府知事と5人の特別区長、更に必要に応じて議会代表なども構成員になるわけですから、益々、ものごとが決まる様には思えません。先ほどの財政調整交付金をはじめとする大阪府と特別区、さらに特別区間の財政調整なども都区協議会で協議を行うとの事ですが、府も特別区も財政的に厳しい中で、本当に機能するのでしょうか?
 更には、他に類をみない多くの事業、大きな財政規模の一部事務組合の存在も意思決定を複雑にします。急病診療所をはじめハード、ソフトともに特別区間で大きな格差がある事業を、5つに割るにも割りようがないということで一部事務組合に放り込んでしまっておりますが、ゆくゆく特別区間での争いの種になることは火を見るよりもあきらかです。
 仮に、平成29年4月1日の時点で協定書に基づき、現状と変わらぬ住民サービスを府と特別区と一部事務組合とでスタートできたとしても、数年も立てば直ぐにチグハグな状態が露呈することは目に見えております。

 また、特別区議会においては、大阪府と特別区、特別区間の調整や、一部事務組合における調整といった、通常の自治体議会よりも多くの事務を担うことになりますが、その定数は、現在の大阪市会議員定数をそのままスライドさせた結果、同規模の自治体よりも相当少なくなってしまいます。つまり、通常の自治体よりも少ない定数で多くの仕事を担わなければならないアンバランスな状態といわざるを得ず、この様な議会では、何も決められず、住民の声に対して、きめ細やかに対応できるニア・イズ・ベターとは、ほど遠い実態が、この協定書からは見て取れます。

 以上、主な3点を挙げさせて頂きましたが、ほかにも問題をあげればきりがありません。
 このような、住民にとって新たな負担と新たな不安と新たな不満をもたらす、特別区設置協定書を住民の皆さんに判断して下さいと提示しなければならないことは痛恨の極みです。
 「市民代表である、議会がダメだと、反対だと言った特別区設置協定書を何故、私達が判断しなければならないのか。」そういった素朴な疑問の声も、今地域の方からもれ聞こえてきます。
 我々は、特別区設置に当たって、大都市法に規定する最終最後の住民投票を否定するものではありません。しかし、その住民投票がなされるにあたっては、住民代表である我々議会が、この協定書に基づいて特別区を設置すれば、住民生活がよりよいものになると自信を持って、住民の皆さんに最後のチェックをお願いできるだけの完成度をもった協定書が、議論が尽くされた上で出来上がっていることが大前提であります。

 非常に複雑多岐にわたる大都市制度の詳細事項について、理解頂くのが難しい中で、取り返しのつかない、二度と戻れない、大阪市の廃止分割という大都市制度の転換に向けての判断を、住民の皆さんに責任転嫁することは、議会の責任放棄にもなるのではないでしょうか。

 昨年の10月27日には、今日の様な日がくるとは正直想像もしませんでした。ある意味「民主主義を逸脱した力」によって、議会における健全な議論が封殺され、議会の判断が歪められた本日、3月13日の金曜日。二元代表制のもとでの地方自治の危機であり、民主主義の危機でもあります。
 そして、歴史的に振り返ったときに、今日のこの日が「大阪市会が死んだ日」と言われるのではないかと、恐怖さえ感じます。

市長は何かにつけて、東京と比較をされ、大阪においても特別区を設置しさえすれば、あたかも東京のような繁栄が訪れるかのような印象を与えようとしておられますが、大都市制度を変えたからといって地域の繁栄がもたらされるわけではありません。
 寧ろ、東京ですら時代錯誤だと言われる都区制度を財政的に厳しい大阪府と大阪市に適用したところで、上手くいく道理などないではありませんか。

 特別区設置協定書に対する市長の言葉の変遷を振り返ると不安は更に募ります。市長は協定書を設計図という言葉に置き換え、昨年の6億円かけた出直し市長選挙では、「都構想の設計図を見たくはないですか」と訴えておられました。ところが、突貫工事で作成した協定書に不備があることを認識されてのことか、昨年8月には「設計図をいちいち市民が知る必要はない」という表現に変えられました。そして、住民投票を前にした今では「わからないではなく、有権者は責任者である」と言われております。仮に住民投票により特別区設置が実現し、その不利益が住民に訪れた時には、有権者に責任を求める楔を早くも打っておられるのでしょうか。
 市長の言葉巧みな表現力には感服いたしますが、同時に全く信用できないということを、特別区設置協定書の承認についての議案にあたり、申し沿えておきたいと思います。

 最後に、大阪のみならず、自民党としての考え方についても申し上げておきたいと思います。
 自民党は党として、国においては大都市法に賛成致しました。これは、大阪における適用も含めた、特別区設置を広く道府県と政令市が抱える課題の解消の一つの方法として、手法として認めたということであります。党本部と大阪の自民党で見解が異なるということではありません。
 一方で、自民党は地方分権を重んじる政党であり、地方のことは地方で決めるという大原則を持っております。この間、大阪における広域戦略の一元化や住民自治の強化に向けて、特別区設置についても、その実現可能性や現状との比較優位性を探りながら、真摯に議論を進めてまいりました。
 しかしながら、この度の協定書案作成の過程、及び具体の協定書の内容を見るにあたり、大阪を弱体化させる、大阪市の廃止分割でしかない、いわゆる都構想は必要ない、無駄である、無意味であるということが、より明確になりました。これが結論です。
 
 以上、るる申し上げましたが、住民サービスが現状より確実に低下し、効果より新たなコストの方がはるかに大きい、特別区の設置は、大阪市民の生活に新たな負担と新たな不満と新たな不安をもたらすものであることから、断固反対であると申し上げ、反対討論とさせて頂きます。