2016年11月19日
脱税裁判報告 １７ 冤罪の構図 �� 違法収集証拠排除法則
次に上告主意書で述べている事は以下のとおりです。
脱税裁判報告 ４ 資料 上告趣意書� 〇仮�
４ 違法収集証拠排除法則からの結論
以上から、別紙２に記載される原判決が証拠の標目に挙げた証拠について、公判廷供述を除いた甲号証及び乙号証の全ては、被告人Ａの本件相続税における課税価格に関する要件事実に関する証拠であり、これらは、課税価格の調査権を有しない査察官、財務事務官、及び検察官、検察事務官によって収集・作成されており、公務員が権限を踰越して違法に収集したものであるため、違法収集証拠排除法則に基づき証拠能力は認められない。
なお、ここで検察官及び検察事務官が収集・作成した証拠については、査察課の犯則調査活動の課税標準調査に関する無権限という違法活動と密接不可分であるため違法性を帯び証拠能力が否定されるという側面と、検察官及び検察事務官が課税標準に関する調査権を有しないとの点から違法収集証拠として証拠能力が否定されるという側面の２側面を併有している。
原判決では、罪となるべき事実において、(1)相続財産が債務超過の会社に出資されたように仮装、(2)当該出資の相続税評価額が零となったかのような外形を作出するとの事実を認定している。
これらは被告人Ａの本件相続税に関する「相続」「により取得した財産の価額の合計額」である課税価格に関する事実であり、課税価格の調査の職務権限を有しない公務員によって収集・作成された証拠である別紙１記載の各証拠に基づくものである。
ここで、別紙１記載の各証拠の証拠能力は、違法収集証拠として証拠能力が認められないため、原判決においては被告人Ａの本件相続税に関する課税価格に関する事実認定はできず、被告人Ａにおいて「税を免れた」と認めることはできないため、被告人らは、本件相続法違反被告事件について無罪である。
５ 違憲性があること
(1) 査察による押収の違憲性
違法収集証拠排除法則について、御庁は最高裁判所第一小法廷昭和53年9月7日判決（昭和51年(あ)第865号）において、次の通り判示する。
「証拠物は押収手続が違法であっても、物それ自体の性質・形状に変異をきたすことはなく、その存在・形状等 に関する価値に変りのないことなど証拠物の証拠としての性格にかんがみると、その押収手続に違法があるとして直ちにその証拠能力を否定することは、事案の真相の究明に資するゆえんではなく、相当でないというべきである。
しかし、他面において、事案の真相の究明も、個人の基本的人権の保障を全うしつつ、適正な手続のもとでされなければならないものであり、ことに憲法三五条が、憲法三三条の場合 及び令状による場合を除き、住居の不可侵、捜索及び押収を受けることのない権利 を保障し、これを受けて刑訴法が捜索及び押収等につき厳格な規定を設けていること、また、憲法三一条が法の適正な手続を保障していること等にかんがみると、証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。」
前記の通り、違法収集証拠排除法則は、憲法３１条、憲法３５条を根拠とするものである。そして、本件では何ら課税標準に関する要件事実の認定権限を有しない査察部課職員が別紙１記載の各証拠を差押え、任意提出領置、または、書類作成等の方法で収集している。ここで、国犯法に基づく犯則調査においては、強制処分である捜索・差押が認められており（国犯法２条１項）、国税犯則調査において査察課職員が権限を有しない課税標準に関する資料の収集を同捜索・差押手続で行ったことは、令状主義の精神を没却する。
そして、調査権を付与されていない査察課の職員が課税標準に関する調査において収集・作成した資料は、国家が無権限で納税者（国民）の権利を制約してから資料を収集するものである。
(2) 検察官による押収又は作成の違憲性
査察課の告発に基づく検察の捜査活動は、査察課の犯則調査活動と密接不可分であり、捜査結果はいわゆる毒樹の果実として違法性を帯び、さらには、検察自体も本件所得税法違反事件における課税標準の調査権を独自には有していないため、いずれにせよ検察官及び検察事務官が作成した課税標準に関する資料は違法な職務行為によって収集・作成された証拠となる。
(3) 小括
すなわち、本件では、法的権限を有しない公務員が収集した証拠であり、手続として著しく不適正である点で憲法３１条に違反し、また、差押権限を有しない公務員による差押である点で憲法３５条の趣旨を完全に没却し憲法に違反している。
６ 証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められないこと
第１審では、別紙１記載の各証拠について、弁護人及び被告人らは同意をしている。違法収集証拠排除法則に関する同意がある場合の証拠能力については、最高裁判所 昭和３１（あ）２８６３ 大法廷・判決 破棄差戻（昭和３６年６月７日）刑集第１５巻６号９１５頁）において、垂水裁判官の補足意見は次の通りである。
「違法な手段方法によって入手された証拠を裁判所は被告人の犯罪事実認定の資料に供することができるか。私は重大顕著に違法な手段によって入手された証拠を一資料としてなされた有罪判決は条理上破棄されなければならないと解するのを相当と考える。」
本件では、課税標準に関する調査権又は捜査権を有しない国税局査察課職員及び検察官、検察事務官が収集作成した資料という点で重大かつ顕著な違法があるため、同補足意見に基づいて証拠能力は否定される。
証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められない。
ここで言いたい事はつぎのとおりです。
相続財産額・税額がいくらであるかについての証拠は公務員が権限を逸脱して違法に収集したものであるため、違法収集証拠排除法則に基づき証拠能力は認められない。
検察事務官の証拠は、査察課の無権限調査という違法活動と密接不可分であるため違法性を帯び証拠能力が否定されるという側面と、検察官が課税標準に関する調査権を有しないとの点から違法収集証拠として証拠能力が否定されるという２点でいほうである。
判決は、罪となるべき事実において、(1)相続財産が債務超過の会社に出資されたように仮装、(2)当該出資の相続税評価額が零となったかのような外形を作出するとの事実を認定している。
これらは被告人Ａの本件相続税に関する「相続」「により取得した財産の価額の合計額」である課税価格に関する事実であり、課税価格の調査の職務権限を有しない公務員によって収集・作成された証拠に基づくものである。
違法収集証拠として証拠能力が認められないため、原判決においては被告人Ａの本件相続税に関する課税価格に関する事実認定はできず、被告人Ａにおいて「税を免れた」と認めることはできないため、被告人らは、本件相続法違反被告事件について無罪である。
憲法三五条が、憲法三三条の場合 及び令状による場合を除き、住居の不可侵、捜索及び押収を受けることのない権利 を保障し、これを受けて刑訴法が捜索及び押収等につき厳格な規定を設けていること、また、憲法三一条が法の適正な手続を保障していること等にかんがみると、証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法がある。
憲法三五条が、憲法三三条、憲法三一条違反である。
調査権を付与されていない査察課が課税標準に関する調査において収集・作成した資料は、国家が無権限で納税者の権利を制約してから資料を収集するものであり、重大な憲法違反である。
検察の捜査活動は、査察の犯則調査活動と密接不可分であり、捜査結果はいわゆる毒樹の果実として違法性を帯び、さらには、検察自体も課税標準の調査権を独自には有していないため、いずれにせよ検察官及び検察事務官が作成した課税標準に関する資料は違法な職務行為によって収集・作成された証拠となり、重大な憲法違反である。
法的権限を有しない公務員が収集した証拠であり、手続として著しく不適正である点で憲法３１条に違反し、また、差押権限を有しない公務員による差押である点で憲法３５条の趣旨を完全に没却し憲法に違反している。
証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められない。
脱税裁判報告 ４ 資料 上告趣意書� 〇仮�
４ 違法収集証拠排除法則からの結論
以上から、別紙２に記載される原判決が証拠の標目に挙げた証拠について、公判廷供述を除いた甲号証及び乙号証の全ては、被告人Ａの本件相続税における課税価格に関する要件事実に関する証拠であり、これらは、課税価格の調査権を有しない査察官、財務事務官、及び検察官、検察事務官によって収集・作成されており、公務員が権限を踰越して違法に収集したものであるため、違法収集証拠排除法則に基づき証拠能力は認められない。
なお、ここで検察官及び検察事務官が収集・作成した証拠については、査察課の犯則調査活動の課税標準調査に関する無権限という違法活動と密接不可分であるため違法性を帯び証拠能力が否定されるという側面と、検察官及び検察事務官が課税標準に関する調査権を有しないとの点から違法収集証拠として証拠能力が否定されるという側面の２側面を併有している。
原判決では、罪となるべき事実において、(1)相続財産が債務超過の会社に出資されたように仮装、(2)当該出資の相続税評価額が零となったかのような外形を作出するとの事実を認定している。
これらは被告人Ａの本件相続税に関する「相続」「により取得した財産の価額の合計額」である課税価格に関する事実であり、課税価格の調査の職務権限を有しない公務員によって収集・作成された証拠である別紙１記載の各証拠に基づくものである。
ここで、別紙１記載の各証拠の証拠能力は、違法収集証拠として証拠能力が認められないため、原判決においては被告人Ａの本件相続税に関する課税価格に関する事実認定はできず、被告人Ａにおいて「税を免れた」と認めることはできないため、被告人らは、本件相続法違反被告事件について無罪である。
５ 違憲性があること
(1) 査察による押収の違憲性
違法収集証拠排除法則について、御庁は最高裁判所第一小法廷昭和53年9月7日判決（昭和51年(あ)第865号）において、次の通り判示する。
「証拠物は押収手続が違法であっても、物それ自体の性質・形状に変異をきたすことはなく、その存在・形状等 に関する価値に変りのないことなど証拠物の証拠としての性格にかんがみると、その押収手続に違法があるとして直ちにその証拠能力を否定することは、事案の真相の究明に資するゆえんではなく、相当でないというべきである。
しかし、他面において、事案の真相の究明も、個人の基本的人権の保障を全うしつつ、適正な手続のもとでされなければならないものであり、ことに憲法三五条が、憲法三三条の場合 及び令状による場合を除き、住居の不可侵、捜索及び押収を受けることのない権利 を保障し、これを受けて刑訴法が捜索及び押収等につき厳格な規定を設けていること、また、憲法三一条が法の適正な手続を保障していること等にかんがみると、証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。」
前記の通り、違法収集証拠排除法則は、憲法３１条、憲法３５条を根拠とするものである。そして、本件では何ら課税標準に関する要件事実の認定権限を有しない査察部課職員が別紙１記載の各証拠を差押え、任意提出領置、または、書類作成等の方法で収集している。ここで、国犯法に基づく犯則調査においては、強制処分である捜索・差押が認められており（国犯法２条１項）、国税犯則調査において査察課職員が権限を有しない課税標準に関する資料の収集を同捜索・差押手続で行ったことは、令状主義の精神を没却する。
そして、調査権を付与されていない査察課の職員が課税標準に関する調査において収集・作成した資料は、国家が無権限で納税者（国民）の権利を制約してから資料を収集するものである。
(2) 検察官による押収又は作成の違憲性
査察課の告発に基づく検察の捜査活動は、査察課の犯則調査活動と密接不可分であり、捜査結果はいわゆる毒樹の果実として違法性を帯び、さらには、検察自体も本件所得税法違反事件における課税標準の調査権を独自には有していないため、いずれにせよ検察官及び検察事務官が作成した課税標準に関する資料は違法な職務行為によって収集・作成された証拠となる。
(3) 小括
すなわち、本件では、法的権限を有しない公務員が収集した証拠であり、手続として著しく不適正である点で憲法３１条に違反し、また、差押権限を有しない公務員による差押である点で憲法３５条の趣旨を完全に没却し憲法に違反している。
６ 証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められないこと
第１審では、別紙１記載の各証拠について、弁護人及び被告人らは同意をしている。違法収集証拠排除法則に関する同意がある場合の証拠能力については、最高裁判所 昭和３１（あ）２８６３ 大法廷・判決 破棄差戻（昭和３６年６月７日）刑集第１５巻６号９１５頁）において、垂水裁判官の補足意見は次の通りである。
「違法な手段方法によって入手された証拠を裁判所は被告人の犯罪事実認定の資料に供することができるか。私は重大顕著に違法な手段によって入手された証拠を一資料としてなされた有罪判決は条理上破棄されなければならないと解するのを相当と考える。」
本件では、課税標準に関する調査権又は捜査権を有しない国税局査察課職員及び検察官、検察事務官が収集作成した資料という点で重大かつ顕著な違法があるため、同補足意見に基づいて証拠能力は否定される。
証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められない。
ここで言いたい事はつぎのとおりです。
相続財産額・税額がいくらであるかについての証拠は公務員が権限を逸脱して違法に収集したものであるため、違法収集証拠排除法則に基づき証拠能力は認められない。
検察事務官の証拠は、査察課の無権限調査という違法活動と密接不可分であるため違法性を帯び証拠能力が否定されるという側面と、検察官が課税標準に関する調査権を有しないとの点から違法収集証拠として証拠能力が否定されるという２点でいほうである。
判決は、罪となるべき事実において、(1)相続財産が債務超過の会社に出資されたように仮装、(2)当該出資の相続税評価額が零となったかのような外形を作出するとの事実を認定している。
これらは被告人Ａの本件相続税に関する「相続」「により取得した財産の価額の合計額」である課税価格に関する事実であり、課税価格の調査の職務権限を有しない公務員によって収集・作成された証拠に基づくものである。
違法収集証拠として証拠能力が認められないため、原判決においては被告人Ａの本件相続税に関する課税価格に関する事実認定はできず、被告人Ａにおいて「税を免れた」と認めることはできないため、被告人らは、本件相続法違反被告事件について無罪である。
憲法三五条が、憲法三三条の場合 及び令状による場合を除き、住居の不可侵、捜索及び押収を受けることのない権利 を保障し、これを受けて刑訴法が捜索及び押収等につき厳格な規定を設けていること、また、憲法三一条が法の適正な手続を保障していること等にかんがみると、証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法がある。
憲法三五条が、憲法三三条、憲法三一条違反である。
調査権を付与されていない査察課が課税標準に関する調査において収集・作成した資料は、国家が無権限で納税者の権利を制約してから資料を収集するものであり、重大な憲法違反である。
検察の捜査活動は、査察の犯則調査活動と密接不可分であり、捜査結果はいわゆる毒樹の果実として違法性を帯び、さらには、検察自体も課税標準の調査権を独自には有していないため、いずれにせよ検察官及び検察事務官が作成した課税標準に関する資料は違法な職務行為によって収集・作成された証拠となり、重大な憲法違反である。
法的権限を有しない公務員が収集した証拠であり、手続として著しく不適正である点で憲法３１条に違反し、また、差押権限を有しない公務員による差押である点で憲法３５条の趣旨を完全に没却し憲法に違反している。
証拠に対する被告人の同意があっても違法性が重大なため証拠能力は認められない。
