胎盤の胎児臍帯末端の絨毛は、絨毛間腔(母体血と胎児の絨毛の緩衝地帯)を立体的に見れば、海底に海藻が何本も生えているような姿でユラユラ揺れて漂っている。
母体血から胎児への酸素の供給は、大気中では20%ある酸素が、絨毛間腔では母体血中の酸素濃度3-8%と低いので、胎児赤血球には、低濃度な酸素の取り込みのため、特別なヘモグロビン(胎児ヘモグロビン)がある。胎児は出生によって高濃度の酸素環境である大気を呼吸することになるので、胎児赤血球は役目が終わり急速に壊されて、大気中の生活に適した我々成人と同じ赤血球に置き換わり、胎児ヘモグロビンは処理され排泄される。その過程で、排泄が遅れた胎児ヘモグロビンが血液中に残り、そのため新生児黄疸が発生する。
胎児ヘモグロビンはビリルビンとなり、肝臓で間接ビリルビンから直接ビリルビンに変わり、グルクロン酸と結びついて排泄されるのだが、母乳栄養児では母乳がグルクロン酸を消費するので黄疸が長引くことが有る。生後8週くらいまでに母乳栄養児の黄疸は消える。
これまで述べてきたような、巧妙な人の胎盤は、いつ頃出来上がったのだろうか。
人類に一番近い種はチンパンジーで、進化の系統図では約500万年ほど前に人類から枝分かれした。
たまたま、「おかあさんになったアイ(チンパンジーの親子と文化)」 松沢哲郎著 講談社学術文庫を読んでいて、チンパンジーの在胎期間は235日、胎盤は人類の胎盤に似ていることに目を惹かれた。
現在の人類の胎盤は百万年単位の歴史があるのではないだろうか。創造主(キリスト教的な意味ではなく)はとてつもないものをはるか昔に造り出しているんだ。SNS上で、ヒトの胎盤を手本に人工胎盤を作る試みが始まっているという記事を読んだが、もし手本にする胎盤なしで、地上最高の知恵を持つホモ・サピエンス・サピエンスが受精卵から出生までの、安全な保育器を作ろうとしても、世界一のコンピューター「富岳」を使っても不可能ではないだろうか。
ついでに私たちの遺伝子20000文字のうち、個人差を生み出す遺伝子量は0.1%だそうである。身長の高低、皮膚の色、外表の器官(目、耳。鼻、口)の形などは、0.1%の産物で、ホモ・サピエンス・サピエンスの遺伝子本体は、ほとんど影響を受けていない。我々の遺伝子にはネアンデルタール人との混交による遺伝子の変化部分があるというから、その時期を約2万年前と考えるとして、胎児は2万年間、遺伝子に変化がないといえそうである。出生後の環境、文明、文化の影響で赤ちゃんの育ちは現代化をしているが、逆に今生れたばかりの赤ちゃんを2万年前の世界に連れていったら、2万年前の人たちと同じ人生を送るのだろう。
もう一つ、胎盤は母体血中の薬剤の栄養膜通過を防げないので、サリドマイド奇形の様な悲劇を防げなかった。これも、はるか昔に出来上がった胎盤は、現代の薬剤は存在せず、薬物の栄養膜通過を考慮することができなかったと考えれば説明がつく。
胎盤に関するわたしのブログ記事は、これで終わる。
- 絨毛は栄養膜で被われているが、栄養膜を平面に広げたとすると、表面積10平方メートル(畳5枚分ほど)にもなる。この栄養膜を通して母体からの栄養物質、酸素、免疫物質や、母体の血液中の薬物などが臍帯を通して胎児に与えられる。
母体血から胎児への酸素の供給は、大気中では20%ある酸素が、絨毛間腔では母体血中の酸素濃度3-8%と低いので、胎児赤血球には、低濃度な酸素の取り込みのため、特別なヘモグロビン(胎児ヘモグロビン)がある。胎児は出生によって高濃度の酸素環境である大気を呼吸することになるので、胎児赤血球は役目が終わり急速に壊されて、大気中の生活に適した我々成人と同じ赤血球に置き換わり、胎児ヘモグロビンは処理され排泄される。その過程で、排泄が遅れた胎児ヘモグロビンが血液中に残り、そのため新生児黄疸が発生する。
胎児ヘモグロビンはビリルビンとなり、肝臓で間接ビリルビンから直接ビリルビンに変わり、グルクロン酸と結びついて排泄されるのだが、母乳栄養児では母乳がグルクロン酸を消費するので黄疸が長引くことが有る。生後8週くらいまでに母乳栄養児の黄疸は消える。
これまで述べてきたような、巧妙な人の胎盤は、いつ頃出来上がったのだろうか。
人類に一番近い種はチンパンジーで、進化の系統図では約500万年ほど前に人類から枝分かれした。
たまたま、「おかあさんになったアイ(チンパンジーの親子と文化)」 松沢哲郎著 講談社学術文庫を読んでいて、チンパンジーの在胎期間は235日、胎盤は人類の胎盤に似ていることに目を惹かれた。
現在の人類の胎盤は百万年単位の歴史があるのではないだろうか。創造主(キリスト教的な意味ではなく)はとてつもないものをはるか昔に造り出しているんだ。SNS上で、ヒトの胎盤を手本に人工胎盤を作る試みが始まっているという記事を読んだが、もし手本にする胎盤なしで、地上最高の知恵を持つホモ・サピエンス・サピエンスが受精卵から出生までの、安全な保育器を作ろうとしても、世界一のコンピューター「富岳」を使っても不可能ではないだろうか。
ついでに私たちの遺伝子20000文字のうち、個人差を生み出す遺伝子量は0.1%だそうである。身長の高低、皮膚の色、外表の器官(目、耳。鼻、口)の形などは、0.1%の産物で、ホモ・サピエンス・サピエンスの遺伝子本体は、ほとんど影響を受けていない。我々の遺伝子にはネアンデルタール人との混交による遺伝子の変化部分があるというから、その時期を約2万年前と考えるとして、胎児は2万年間、遺伝子に変化がないといえそうである。出生後の環境、文明、文化の影響で赤ちゃんの育ちは現代化をしているが、逆に今生れたばかりの赤ちゃんを2万年前の世界に連れていったら、2万年前の人たちと同じ人生を送るのだろう。
もう一つ、胎盤は母体血中の薬剤の栄養膜通過を防げないので、サリドマイド奇形の様な悲劇を防げなかった。これも、はるか昔に出来上がった胎盤は、現代の薬剤は存在せず、薬物の栄養膜通過を考慮することができなかったと考えれば説明がつく。
胎盤に関するわたしのブログ記事は、これで終わる。