澤田啓司の「ブラーヴォ! 赤ちゃん!!」

小児科医・澤田啓司(三重県津市乙部ヤナセクリニック)のブログ

検索エンジンから来られた方は最新のページではないかも知れません。こちらをクリックしてトップページにお越し下さい
携帯電話からのアクセスは右下のQRコードをご使用下さい。

2016年05月

 臍(へそ)は、胎盤から伸びる臍帯が胎児の体内に入り込む場所の名残りです。カエルは卵生ですからおへそはありません。おへそは、受精卵がママの胎内である期間成長して胎児になる動物、胎生動物だけにあります。
 
 臍帯は出生と同時に必要がなくなり、胎盤が娩出されると、赤ちゃんのおへそに近いところで糸で縛られ、赤ちゃんから切り離されます。赤ちゃんのおなかの表面に残った臍帯は、数日で萎縮し脱落します。臍脱といいます。
 
 臍脱後、何週間も、赤ちゃんのおへそがいつまでもジュクジュクしていることがあります。1ヶ月健診のおへその診察では、大部分が臍肉芽腫です。おへそがジュクジュクしている時は先ず、おへその窪みの奥のほうをのぞきこんでみます。赤みを帯びた、エノキダケの頭のような湿った半球状のものが見えれば臍肉芽腫です。火傷や切り傷などの深い傷が治っていく時、傷の表面に赤い小さな粒粒ができるのが肉芽です。同じ肉芽が差遺脱の傷跡にできたものが臍肉芽腫です。処置は、肉芽の表面を硝酸銀液で焼き生理的食塩水で硝酸銀を中和させておけば、数日でおへそは乾きます。処置は、焼くといっても痛みはありませんし健康な皮膚が傷つくこともありません。
 臍肉芽腫のエノキダケの頭が大きくて茎まで見えるほどだったら、茎の付け根を糸で縛ることもできます。数日で縛った先が萎縮して脱落します。
 
 稀に、尿膜管遺残のために、おへそからサラサラした液体が出続けることがあります。尿膜管は臍帯の中に通っている赤ちゃんの尿を胎盤に送る管のことです。成人してから発見されることもあり、フィギュアスケートの羽生弓弦選手が手術を受けて話題になったのを覚えている方もお有りでしょう。手術をして尿膜管をふさぐ必要があります。
 
 出べそも気にされる方が多いですね。おとなの親指の先くらいまでの出べそは問題ありません。臍帯が通っていた穴(臍輪)は自然に狭くなりますし、腹筋が発達し、腹壁の皮下脂肪が厚くなれば、おへそは自然に引っ込みます。とても大きな出べそで、押し込もうとすると出べその中身がグジュグジュとおなかに戻っていく感じがあったり(大部分は腸ではなく、エプロンのように腸を保護している大網ですが)、稀に腸の一部が出べそに入り込んで腸を塞いでしまうような事があったら手術が必要です。
 
 男児の陰嚢に水がたまる陰嚢水腫は、ライトで透かして見ると。均一な赤いスクリーンを見るような感じです。触った感じは、縁日の風船釣のゴム珠のような感じです。これは、やがて水が吸収されますから心配要りません。
 
 同じ陰嚢のふくらみでも、光に透かすと中に何か入っているような感じがあり、指で押し込むとグジュグジュとなかみがおなかに戻っていく時は鼠径ヘルニアです。ふくらみを押してもおなかに戻らず、嘔吐・便秘や、痛そうに泣くような時は緊急手術が必要です。嘔吐・便秘・腹痛が無くて戻りにくい場合は、眠ると筋肉がゆるんで自然に戻ることが多いでしょう。鼠径ヘルニアは、自然治癒は少なく、ヘルニアバンドで抑えておいても効果がありませんから、いずれ手術が必要です。
 
 女児では、鼠径部がはれ、小指の先くらいの、リンパ腺のようなグリグリした球状のものを触れることがあります。卵巣のヘルニアです。無理に押し込もうとすると、卵巣や周囲が脹れて傷むようになりますから、とりあえずは様子を見てください。泣き寝入りすると、おなかに戻ることが多いようです。

 男女児とも、鼠径ヘルニアは放置せず、かかりつけ医に診てもらってください。

イ) 顔にブツブツができて、だんだん増えている。アトピー性皮膚炎?
 
 生後6週くらいまでは、皮脂腺の働きが思春期並みに活発です。母体から移行したアンドロゲン(男性ホルモン)のによるニキビです。乳児湿疹と云われています。見かけは思春期のニキビ同様、キスチョコ型円錐形のブツブツです。皮脂腺の働きで、赤ちゃんの肌は指で触るとベトベトして、眉や頭に粉チーズのようなものが出てくることもあります。
 
 乳児湿疹は、生後2週くらいから出始め8週くらいまでに自然に消えます。それまでは、入浴の時に、石鹸を泡立てて付けて、お湯で洗い流してください。こすらないことと、石鹸をよく洗い流すことが大切です。外用薬は不要です。

 アトピー性皮膚炎は、生後2か月以後、乳児湿疹と入れ替わるように出てきます。出生直後からアトピー性皮膚炎が出ることはないようです。胎盤を介して胎内で胎児がアレルギーの原因物質に感作されることや、母のアレルギー抗体が胎児に移行することが有るのか無いのかはっきりしていませんが、あるとしても、ごく稀でしょう。

ロ) おむつかぶれ
 
 生後1か月くらいは、赤ちゃんは授乳の度にオナラをしウンチをします。胃直腸反射という胃腸の原始反射の為です。この反射は1か月過ぎると自然に消えていき、短い期間にウンチの回数が激減します。2か月頃には、母乳栄養の赤ちゃんは1日1回前後までウンチの回数が減りますが、決してコロコロの固いウンチになることはなく、よく消化された色の濃い粘っこいウンチが大量に出ます。ウンチの回数が減ったから母乳が足りなくなってきてるんだとは決して考えないでください。母乳の出と赤ちゃんの排便回数は関係ありません。

 ウンチの回数が減るまでは、オシリ周囲が赤くなり、そのままにしておくと皮が赤剝けになってしまいますから、オシリが赤いなと思ったらぬるま湯で洗ってください。

 台所で使う食器洗い洗剤のボトルをよく洗って、ぬるま湯を入れ、おむつ替えの時、ボトルのぬるま湯で赤いオシリや鼠蹊部などをよく洗ってください。下に古いバスタオルでも敷いておけば、洗面器もたらいも持ち出さずに済むでしょう。洗った後は乾いた布などで濡れた皮膚の水分を吸い取ってください。決して、こすらないようにしてください。

 ただれて赤剝けになったおむつかぶれは外用薬で治療しなければなりませんが、そうなる前に洗っていれば、ただれて痛々しい感じにならずに済みます。

 ママから「ミルクはどれくらい補足したらいいの?」と質問されることがよくあります。
 
 育児用粉乳は改良が進んで、現在では、赤ちゃんの発育を妨げず、安全に使えるようになりました。母乳がどうしても与えられない場合は、ミルクを与えれば、赤ちゃんはちゃんと育ちます。
 しかし、育児用粉乳が母乳と肩を並べるようには絶対にならないでしょう。
 人間の赤ちゃんには、できる限り母乳が第一選択です。母乳は百%ママの血液成分から作られます。胎内で臍帯を通ってママの血液成分が胎児を成長させていることには、だれも疑問を感じないでしょう?育児用粉乳は百%人間の血液成分とは無縁のものから作られています。臍帯血同様、母乳はママの血液成分を原料にして乳腺で分泌されるものだから、母乳が赤ちゃんにとって最高の栄養なんです。
 それと同じように、牛乳で牛の赤ちゃんは問題なく育ちますが、人間の赤ちゃんは牛乳にいろいろ手を加えないと牛乳では育ちません。
 
 生後2-3か月までの赤ちゃんは、空腹感・満腹感を感じる能力(脳力?)がありませんから、母乳の場合は、赤ちゃんは満腹して飲み止めるのではなく、飲み疲れて飲むのを止めます。だから、単純に、赤ちゃんが泣いたら抱き上げて母乳を飲ませ、飲み止めたら寝かせ、泣いたら、寝かせた直後であっても3時間後であっても、また抱き上げて母乳を飲ませればいいのです。ミルクは、哺乳瓶、人工乳首で哺乳することには努力は必要なく、疲れることなく作っただけ飲んでしまいますから必要以上に大量にミルクを飲んで、むやみに体重ばかり増えて、成人後のメタボの種を蒔くことになってしまいます。
  
 出産直後の産院では、赤ちゃんの脱水症、低血糖、体重増加不良、ママの疲労などを防ぐ目的でミルクが補足される場合が多いようです。特に初産の場合は、母乳がよく出るようになるのが遅く、乳首や乳腺のトラブルも起こりやすいので、ミルクに頼る必要がでてくるようです。
 
 このような背景を考えて、ミルク補足の必要の有無は、慎重に考えてくださいね。どのくらいミルクを補足するかも、母乳の出方を考慮して、体重1kg当たりのミルク量を細かく計算する必要があります。ミルク缶に書かれた大雑把な数字で考えず、母乳の価値をよく理解している産科医、小児科医、助産師に相談されることをお勧めします。
 
 赤ちゃんの体重の数字を気にされる方が多いのですが、1日当たりの体重増加量を30gと考えては多すぎます。母乳の場合は、最低1日20gの体重増加なら問題ありません。
 
 母乳は、単に体を大きくする栄養物だけではなく、ママに抱かれて声を聴いて、目で見て、匂いを感じて、抱きしめられて、ゆっくり揺すられて、授乳に伴うママの動作のすべてが赤ちゃんの脳を発達させます。
 
 ミルクを補足する必要があったとしても、必要とする条件がなくなったら、なるべく早く母乳だけで育児するように考えてください。

 ハイドロロコイドは最近創傷処置に使われる、傷口を湿った状態に保って治癒を促すための、傷口を被覆密閉する物質です。かつては、傷口は乾燥させ、抗生物質軟膏で無菌状態を維持して治癒を待つと考えられていましたが、最近では、傷口部分に分泌される体液を利用して傷を治すという考え方に変わりつつあります。余計なことをせず、自然まかせ、人に備わった自然治癒能力で傷を治すという考えです。

 市販のハイドロロコイドパッドは何種類か発売されていますが、代表的なものはバンドエイドのジョンソン&ジョンソン社から市販されている、「キズパワーパッド」です。用途、範囲に応じて、大小様々なタイプがあります。

 最初の赤ちゃんを母乳で育てる場合に、案外てこずるのは、乳頭部のこすれ、切れの痛みです。バーユとか羊の油とかを塗り、細菌感染があれば抗生剤軟膏を塗るくらいしか対処法がなく、頻回に母乳を与える必要上、乳頭のキズはとても長引き,治りにくい厄介もののようです。痛みも強く、ママはその痛みに耐えるしかありません。

 ネット記事では、乳頭のキズに「キズパワーパッド」を使用してうまくいった経験記事がたくさんアップされています。
 
 先日、8ヶ月の赤ちゃんに授乳中のママから、赤ちゃんの歯が生えてきて、乳首を噛まれ傷ができ、その痛みで授乳がつらいという相談があり、「キズパワーパッド」の使用をお勧めしました。昼過ぎに「キズパワーパッド」で乳頭部を覆い、夜には痛みがなくなり、翌翌日には傷口がふさがっていたと知らせていただきました。効果抜群だったようです。
 乳頭のトラブルでお困りのママは、試してみられたらいかがですか。他の軟膏と併用しないこと、まず流水で傷ついた部分をきれいに洗うことなど、いくつか注意事項がありますから、添付文書をよく読んでから使ってくださいね。

 やけど、床ずれ、擦り傷、引っかき傷にも有効です、

↑このページのトップヘ