ヒトの汗腺数は、一人当たり200-500万個といわれています。これだけの数の汗腺を持って赤ちゃんは生まれてくるのですが、出生後の環境によって、実際に働く汗腺(能動汗腺)の数は違ってきます。全部の汗腺が働くわけではありません。
赤ちゃんは、生まれてすぐは汗をかきません。成熟児では2週間以内に発汗が見られるようになります。未熟児ではやや遅れるようです。その後発汗能力は急速に発達して、満2歳ころには、おとなとほとんど同じ数の能動汗腺が働くようになります。日本の環境ではその数は約230万個くらいで、熱帯ではもっと多く、寒い地方ではもっと少ないと考えられています。つまり、満2-3歳までの環境で汗をかく能力が決まってしまうわけです。夏には赤ちゃん時代から、1日に2時間程度汗をかく機会がないと能動汗腺が充分に発達しません。赤ちゃんをエアコン環境の中ばかりで育てるのではなく、戸外でも室内でも、しっかり汗をかく環境と時間が必要です。1日2時間くらいは汗をかかせて、汗をかいた後は入浴や行水をさせて汗をとり、それから涼しいエアコン環境ですごさせるというやり方がよいのではないでしょうか。
数年前までは、赤ちゃんに冷房はいけないと考えているおばあちゃんやママがあって、健診の時、汗疹だらけの赤ちゃんを診ることがよくありましたが、さすがに最近では、エアコンの普及、その快適さ、熱中傷予防問題などもあって、赤ちゃんがエアコン環境で過ごすことへの抵抗は少なくなったようです。
余談ですが、人類のノマド化という言葉を聞かれたことがありませんか?ノマドとは定住せず移動する生活をしている人たちのこと、本来はモンゴルやアフリカなどの遊牧民を指す言葉です。近代社会では、交通手段や情報伝達手段の発達で、世界中自由に飛び回って仕事をする人が増えつつあります。このような人たちも、最近はノマドと呼ぶようになりました。近未来には、ノマドとして、日本の中だけでなく極寒から猛暑の地の果てまで、どこででも暮らせる適応能力が今以上に求められるようになるでしょう。気候への適応という視点に絞って考えても、零下数度から摂氏40度までの気温(現在の三重県中部の気温の範囲ですが)に楽々と適応できる身体能力、体力が必要です。基本的に、この範囲の気温適応力が身についていれば、この範囲外の場所でも適応は容易でしょう。将来のエネルギー事情によっては、文明の利器と、それを製作し働かせるエネルギーに、すべてを頼って生きることが難しくなるかもしれませんし、地球の温暖化の問題にも直面することになるでしょうから、これは大切な問題です。
今育ちつつある子どもたちを、健康で力強く未来を生き抜く人材に育てあげることは、私たちおとな皆の義務と希望です。その為には、未来に予想される環境変化に適応できる能力を子どもたちに与えなければなりません。その目的の中の小さな、しかし大切な一つが、子どもたちの能動汗腺を育てることです。
最近夏になると繰り返される熱中症騒ぎは、冷房・エアコンなどの人工環境に浸り過ぎた日本人が、すでに若者までが、日本の気象に適応できなくなってきている証拠です。赤ちゃん時代から、暑さ寒さに負けない、もっと健康なおとなに育てなきゃね。
汗の量は、おとなより子どもの方が多いといわれています。子どもは体表面積当たりの基礎代謝量がおとなの3倍にもなり、そのエネルギーを皮膚から逃がすために汗の量が多くなります。夏以外の季節では、子どもはおとなの2倍近く汗をかきます。
夏、起きているときと眠っているときの子どもの発汗量を測定したら、眠っているときの方が多かったという研究もあります。おとなは環境温度が29度C以下だと寝汗をかくことが少ないのですが、子どもはもっと低い温度でも寝汗をかきます。
子どもは四季を通じて、眠りついて1時間-1時間半くらいの間に寝汗をかくのが普通です。でも、健康で食欲があり、よく遊ぶ子の寝汗は心配はいりません。微熱の出る感染症(代表はかつて流行していた結核症ですが)ではおとなも寝汗をかくことが多く、その記憶から子どもの寝汗もたちの悪い感染症のせいではないかと心配されることが最近まで続いていました。でも、子どもは寝てしばらくの間は寝汗をかくのが当然なのだと考えてください。
眠りついてすぐは一時的に体温が上昇し、その後起きているときより1度C近く体温が下がいますが、寝汗がこの体温下降を演出しているのだと考えられます。
室温が高かったり、寝具の中の温度が高いと、その分汗が多くなります。
寝汗に限らないことですが、横向きに寝ていると体の下になる部分が圧迫され、反対側の上の部分に発汗します。右を下にして眠ると左側に発汗します。圧迫性半側性反射性発汗といい、世界的な「汗腺の生理学」研究者であった、名古屋大学名誉教授久野寧博士が発見された現象です。たぶん、汗が蒸発しやすい側の発汗を多くするという目的の自然力なのでしょう。
その応用で、鼻風邪で鼻が詰まっているとき、右を下にして寝ると左の鼻の通りがよくなります。横にならなくてもわきの下あたりの側胸部を強くつまむと反対側の鼻の通りがよくなります。軽い鼻つまりの時に試してみてください。
しかし、赤ちゃんの授乳後グズグズと鼻の奥が詰まったような感じに思えるときに、赤ちゃんの脇をつねってみても、赤ちゃんはつねられた痛さで泣くだけで、鼻通し効果はありません。授乳後の鼻グズグズは母乳が鼻の奥に残っているからで、鼻汁の分泌が多いわけではありませんから。赤ちゃんに応用しないでくださいね。
赤ちゃんは、生まれてすぐは汗をかきません。成熟児では2週間以内に発汗が見られるようになります。未熟児ではやや遅れるようです。その後発汗能力は急速に発達して、満2歳ころには、おとなとほとんど同じ数の能動汗腺が働くようになります。日本の環境ではその数は約230万個くらいで、熱帯ではもっと多く、寒い地方ではもっと少ないと考えられています。つまり、満2-3歳までの環境で汗をかく能力が決まってしまうわけです。夏には赤ちゃん時代から、1日に2時間程度汗をかく機会がないと能動汗腺が充分に発達しません。赤ちゃんをエアコン環境の中ばかりで育てるのではなく、戸外でも室内でも、しっかり汗をかく環境と時間が必要です。1日2時間くらいは汗をかかせて、汗をかいた後は入浴や行水をさせて汗をとり、それから涼しいエアコン環境ですごさせるというやり方がよいのではないでしょうか。
数年前までは、赤ちゃんに冷房はいけないと考えているおばあちゃんやママがあって、健診の時、汗疹だらけの赤ちゃんを診ることがよくありましたが、さすがに最近では、エアコンの普及、その快適さ、熱中傷予防問題などもあって、赤ちゃんがエアコン環境で過ごすことへの抵抗は少なくなったようです。
余談ですが、人類のノマド化という言葉を聞かれたことがありませんか?ノマドとは定住せず移動する生活をしている人たちのこと、本来はモンゴルやアフリカなどの遊牧民を指す言葉です。近代社会では、交通手段や情報伝達手段の発達で、世界中自由に飛び回って仕事をする人が増えつつあります。このような人たちも、最近はノマドと呼ぶようになりました。近未来には、ノマドとして、日本の中だけでなく極寒から猛暑の地の果てまで、どこででも暮らせる適応能力が今以上に求められるようになるでしょう。気候への適応という視点に絞って考えても、零下数度から摂氏40度までの気温(現在の三重県中部の気温の範囲ですが)に楽々と適応できる身体能力、体力が必要です。基本的に、この範囲の気温適応力が身についていれば、この範囲外の場所でも適応は容易でしょう。将来のエネルギー事情によっては、文明の利器と、それを製作し働かせるエネルギーに、すべてを頼って生きることが難しくなるかもしれませんし、地球の温暖化の問題にも直面することになるでしょうから、これは大切な問題です。
今育ちつつある子どもたちを、健康で力強く未来を生き抜く人材に育てあげることは、私たちおとな皆の義務と希望です。その為には、未来に予想される環境変化に適応できる能力を子どもたちに与えなければなりません。その目的の中の小さな、しかし大切な一つが、子どもたちの能動汗腺を育てることです。
最近夏になると繰り返される熱中症騒ぎは、冷房・エアコンなどの人工環境に浸り過ぎた日本人が、すでに若者までが、日本の気象に適応できなくなってきている証拠です。赤ちゃん時代から、暑さ寒さに負けない、もっと健康なおとなに育てなきゃね。
汗の量は、おとなより子どもの方が多いといわれています。子どもは体表面積当たりの基礎代謝量がおとなの3倍にもなり、そのエネルギーを皮膚から逃がすために汗の量が多くなります。夏以外の季節では、子どもはおとなの2倍近く汗をかきます。
夏、起きているときと眠っているときの子どもの発汗量を測定したら、眠っているときの方が多かったという研究もあります。おとなは環境温度が29度C以下だと寝汗をかくことが少ないのですが、子どもはもっと低い温度でも寝汗をかきます。
子どもは四季を通じて、眠りついて1時間-1時間半くらいの間に寝汗をかくのが普通です。でも、健康で食欲があり、よく遊ぶ子の寝汗は心配はいりません。微熱の出る感染症(代表はかつて流行していた結核症ですが)ではおとなも寝汗をかくことが多く、その記憶から子どもの寝汗もたちの悪い感染症のせいではないかと心配されることが最近まで続いていました。でも、子どもは寝てしばらくの間は寝汗をかくのが当然なのだと考えてください。
眠りついてすぐは一時的に体温が上昇し、その後起きているときより1度C近く体温が下がいますが、寝汗がこの体温下降を演出しているのだと考えられます。
室温が高かったり、寝具の中の温度が高いと、その分汗が多くなります。
寝汗に限らないことですが、横向きに寝ていると体の下になる部分が圧迫され、反対側の上の部分に発汗します。右を下にして眠ると左側に発汗します。圧迫性半側性反射性発汗といい、世界的な「汗腺の生理学」研究者であった、名古屋大学名誉教授久野寧博士が発見された現象です。たぶん、汗が蒸発しやすい側の発汗を多くするという目的の自然力なのでしょう。
その応用で、鼻風邪で鼻が詰まっているとき、右を下にして寝ると左の鼻の通りがよくなります。横にならなくてもわきの下あたりの側胸部を強くつまむと反対側の鼻の通りがよくなります。軽い鼻つまりの時に試してみてください。
しかし、赤ちゃんの授乳後グズグズと鼻の奥が詰まったような感じに思えるときに、赤ちゃんの脇をつねってみても、赤ちゃんはつねられた痛さで泣くだけで、鼻通し効果はありません。授乳後の鼻グズグズは母乳が鼻の奥に残っているからで、鼻汁の分泌が多いわけではありませんから。赤ちゃんに応用しないでくださいね。
コメント
コメント一覧 (3)
東京都練馬区にある認証保育所で園長として働いています。
乳幼児期の汗とエアコンの使用について検索していて、このページにたどり着きました。
現場で慌しく動いている保育士たちと、事務仕事が多い私とでは温度差が大きいようで、ときどき保育室(特に0歳児室)に入ると、夏場にスーパーに入ったときと同じくらい冷っとしておどろきます。
そして、子どもの肌に触れてみると冷たくなっていることが多いです。
その都度、冷えすぎているからと伝えエアコンを切るのですが、夏場はその繰り返しです。
私は東北の田舎育ちで、エアコンのない環境で育っているので、都会育ちの20代の保育士たちとは考えが違うのかなぁ・・・などと、いつも悩んでしまいます。
ある程度汗をかかせてあげたいと話しても、その場ではわかったそぶりをするのですが、また同じようにエアコンをガンガン使います。
私の話し方では説得力がないのかと反省し、検索したしだいです。
保育士たちや保護者にむけて、夏の生活についてお便りを書こうと思うのですが、先生のこちらのページなどを参考にさせていただき、抜粋させていただいてもよろしいでしょうか。
まだこのページしか読ませていただいていないので、後ほどゆっくり拝読させていただきたいと思っています。
さつき保育園石神井公園ルーム
すとうあゆこ