人間の赤ちゃんは、運動能力も大脳の働きも未熟な状態で、母体外で生きるための最小限度の能力だけを身に付けて、生まれてきます。

 人間以外の哺乳類の赤ちゃんに比べて、大脳皮質が大きいため頭囲が大きく、直立二足歩行ができる唯一の哺乳類なので、母体の骨盤の形が左右に長く前後に短く、赤ちゃんが出てくる産道のいちばん狭いところの縦径は、赤ちゃんの頭の横径くらいしかありませんから、赤ちゃんはそれに合わせて廻旋しながら、赤ちゃんの頭が産道を通過できるギリギリのタイミングで、産道を降りてこなければなりません。そのため、すべての機能を胎内で完成させることができません。生まれてすぐから必要になる、胎盤経由では無く、肺呼吸で酸素を取り入れ炭酸ガスを排出する呼吸機能、酸素や炭酸ガスを運ぶ血液とそれを体中に配送する循環器(心臓や血管)の働き、エネルギー源になるオッパイを飲んで排泄するまでの消化管の働きは胎内で完成していますが、この働きを制御するには大脳皮質は必要ではありません。

 大脳皮質には、出生するまでに胎内で140億個の神経細胞は詰め込まれますが、未だ働いていません。神経細胞は胎外の生活を始めてから、周りの刺激を取り込んで神経細胞同士のネットワークを作って働き始めます。眼球も聴覚器官も完成していますが、目で見、耳で聞いたものを大脳の神経細胞に送る回線は未完成です。
 だから、生まれてきたばかりの赤ちゃんは、大脳の判断抜きで生きています。
 
 おなかがすいた、いっぱいになったという感覚は、生後3ヶ月まで待たなければなりません。
 
 赤ちゃんにできることは、他の哺乳動物と共通の、呼吸、循環、危険の感知と言う原始的な能力以外には、泣いてママの注意を引くことと、乳房を口に含ませて貰ったら、鼻で呼吸しながら同時にオッパイを飲み込むという離れ業、それを可能にする原始反射(具体的には、唇に触れるものには、指でも、衣類でも、自分の唇でも、難易でも吸い付く反射、口の中深く吸い込んだ乳首を舌で強く押す反射)くらいなものです。空気とオッパイを同時に飲み込みますから、鼻の奥や咽喉には母乳が入り込んで、鼻づまりに似たグズグズいう音、咽喉の奥で聞こえるゼイゼイゴロゴロがいつも聞こえています。消化器は空気で充満しますから、飲み込んだオッパイが胃の中の空気に圧されてあふれ出してくること、胃直腸反射といわれる原始反射で、オッパイを飲むと、ウンチが出てオナラが出ることが満一ヶ月くらいまで続きます。1日10回授乳したら、10回ウンチをし、しょっちゅうオナラをしているのが赤ちゃんだと考えてください。

 では具体的に、前回の記事をもとに私の考えとアドバイスを。

「母乳が出ているかf\どうか心配」
 母乳がどれだけ出ているか、足りているかを数字で知ることはできません。哺乳量測定は、たまたま一回だけの授乳についての測定で、ほんとうの分泌量に近い数字を知るためには、授乳の都度、1日10回以上授乳するなら、その都度哺乳量を測定して、それを全部足して総哺乳量を出さなければなりませんが、そんなこと不可能です。ただ一回の哺乳量測定の数字に振り回されないようにしてくださいね。
 
 赤ちゃんが乳首をくわえて、舌で乳首を押して刺激すると、40秒遅れくらいでママの乳腺で、オッパイが新しく作られて赤ちゃんの口に入ります。その時、オッパイの量が急に増えるので赤ちゃんがむせると思いますが、これは、オッパイがよく出ているサインです。その時、反対側の乳首からオッパイが出るかもしれません。
 これは射乳反射という、「オッパイ出てきた」反射です。

「体重が増えているか心配」
 体重を頻繁に体重計で量って一喜一憂することはやめましょう。生後2週経って出生時体重に戻っていたら大丈夫です。1ヶ月健診頃の体重増加は1日当り20グラム以上なら心配要りません。
 1日30グラムの体重増加を目標にしないでくださいね。見た目、赤ちゃんらしい肉付きで可愛いなと感じられるようなら問題は有りません。抱いた時の赤ちゃんがだんだん重くなってきていると感じられれば、秤は不必要です。逆に、母乳だけで1日70グラム以上増える赤ちゃんもありますが、増えすぎと心配することも必要ありません。