母乳に関係して、初産のママが心配されることが多く しかし、心配要らないいくつかの事をまとめてお答えします。
  ゲップが出しにくい。
  よくオッパイを吐く。しゃっくりが多い。
  おなかがパンパンに張っている。
  よくいきむ。真っ赤な顔をしてうなる。
  排便回数が多い。オナラが多い。
 この5つの問題は、すべて赤ちゃんが母乳を飲む仕組みに関係が有ります。
 
 赤ちゃんは乳首をくわえっぱなしで、口で呼吸をすること無しに、スースーと鼻で呼吸をしながら、母乳をゴクゴク飲み込んでいます。離乳が始まって、オッパイ以外のものを飲み込むことができるようになるまでの最初の数ヶ月間だけの離れ業です。ママは鼻呼吸しながら口の中の物を飲み込むことは絶対できないはずです。離乳期以後は、食べ物を飲み込むときは呼吸を止め呼吸器に誤嚥することを防ぎ、呼吸する時は食べ物を飲み込むことはできません。
 
 生後間もない赤ちゃんは、首が短くて、顎のすぐ下は胸のように見えるでしょう?月齢が進むに従って、赤ちゃんの咽喉は縦に伸びてきて、4ヶ月にもなれば、呼吸と嚥下がオトナのようにきちんと分かれます。この頃には、泣き声が多彩になって、高低長短強弱さまざまな声、泣き声が出るようになります。眠い、おなかが空いた、オシリが汚れてるなどの赤ちゃんの訴えをママが聞き分けられるようになります。お話しするように、いろいろな声を出すようになります。
 
 生まれてすぐの赤ちゃんの咽喉はオッパイを飲むことだけに特化していると言っていいくらいで、泣き声の高さは産声と同じように、ドレミの「ラ」周辺の高さの泣き声一種類だけで単調、おなかが空いたとかオシリが汚れて気持ちが悪いとかを泣き声で聞き分けることはできません。前回書きましたように、生まれてすぐの赤ちゃんは頻繁に泣きますが、その泣き声に対して、何故泣くんだろうと泣く理由を考えて首をひねる必要は無く、赤ちゃんが泣いたら、余計なことを考えず、赤ちゃんを抱き上げてオッパイを飲ませてあげれさえすれば、赤ちゃんの泣き声の役割はかなえられるというわけです。

 赤ちゃんの喉頭蓋(気管を開閉する喉の蓋)は、オトナより高い位置、第3頚椎辺りにあり、口蓋垂(ノドチンコ)が気管入り口に覆いかぶさっているので、口蓋垂を開閉しないでも、空気と母乳が混ざったオッパイが、うまく気管にも消化器にも流れ込みます。

 消化器にはオッパイと一緒に大量に空気が流れ込みますから、胃にたまった空気を追い出すためにゲップを出させる必要があると考えられています。でも、ゲップを出さなくても、最初の1ヵ月間ぐらいは、赤ちゃんには胃ー直腸反射という奥の手を持っています。オッパイを飲むとそれに反応してオシリからオナラとウンチを出す反射です。この反射は1ヵ月間だけでそれ以後は消えます。

 2ヶ月目にはいると赤ちゃんの排便回数は激減することが多いのですが、これは、胃腸の消化液の分泌が増えて消化能力が高まることと、空気をたくさん呑む哺乳から、あまり空気を呑まない哺乳に変わってくるために、自然に排便回数が減り、胃ー直腸反射が必要なくなるからです。母乳が出なくなってウンチの回数が減るのではありませんから心配要りません。排便回数が減った分、水分量が少なくよく消化された白いブツブツがない軟らかいウンチがまとめて大量に出るようになります。固くて出にくいウンチになることは無いはずです。
 言い換えれば、胃ー直腸反射は、ゲップの形で口から空気を追い出さなくても、口からゲップを出さなくても、オシリからオナラを出す働きをしているのです。

 呼吸器(気道上部)にも、空気と母乳が混じったものが入りますから、鼻の奥がグジュグジュ音を出し、喉の辺りではゼロゼロが聴こえます。どちらも、母乳である限りは悪いことはしませんから、心配する必要はありません。この状態を鼻がつまっていると表現されるママが多いのですが、鼻呼吸しながらオッパイが飲み込めるなら、鼻づまりではありません。鼻の奥まできれいにしようと考えないでください。鼻の穴をのぞいてみて、ハナクソがあるようなら、それは取り除いてください。

 気管の中にも、かなり奥まで母乳が入るのだそうですが、母乳である限りは問題ありません。母乳は、100%ママの血液から作られるもの、赤ちゃんの体のどこに入り込んでも、アレルギーや肺炎の原因にはなりません。私は、鼻の奥や喉の母乳は、空気中の異物を気管の奥に入らないよう防ぐ役割を持っているのだろうと考えています。赤ちゃんにとってマイナスの現象ではなく、赤ちゃんを護る役割を持っていると思っています。
 人工栄養でもミルクが鼻や喉や中耳や気管にに入ると思われますが、ミルクの場合は、アレルギーや中耳炎の原因になりうると考えます。
 赤ちゃんの咽喉の構造が母乳用にできているのですから、赤ちゃんになるべく母乳を飲ませるほうが自然で安心ではありませんか?
 
 さて、ゲップの問題です。ゲップはいつも上手に出るものではありませんから、長時間抱っこしてゲップが出るまで背中をさすっている必要はありません。ゲップが出なくて胃に空気が残っていても、じきにオシリからオナラとして出て行きますから。
 ゲップが出ないままて仰向けに赤ちゃんを寝かせると、口からダラダラと、時には吹き出すように大量に、母乳が溢れてくると思いますが、ふきとっておきさえすればそれで充分です。頻繁に、みぞおち辺りが凹むくらいに嘔吐する赤ちゃんの場合は消化器の異常を考えなければなりませんが、胃の中の空気に圧されて溢れてくる溢乳は、赤ちゃんはすぐにオッパイを飲んでくれますし、体重の増加にも影響しません。吐乳と溢乳は全く別の現象で、吐乳は発育に影響が出てきますし検査も必要ですが、溢乳は心配する必要がありません。溢乳を防ぐためのゲップ出しは、母乳栄養の赤ちゃんではそれほど気を使わずに、程々にした方がいいでしょう。極端な言い方をすればゲップ出しは、どうでもいいことのひとつです。

 シャックリはオタマジャクシから始まって、水陸両棲動物には必要な反射です。急に呼吸器に液体が押し寄せてきた時、気道を瞬間的に閉鎖して肺が水浸しにならないようにする反射がシャックリです。人間の赤ちゃんも、胎内で羊水に浮いている赤ちゃんはよくシャックリをしています。胎児は未だ働いていない肺を持っていますから、水陸両棲動物状態ですからね。
 出生後も、赤ちゃんはよくっシャックリをします。オタマジャクシの名残だと考えてください。心配しないでも赤ちゃんのシャックリはそれほど長い時間続くものではありませんから。シャックリは子ども時代に多く、成長するにしたがって減り、高齢者では脳神経系の病気が無ければ、ほとんど出なくなります。

 おなかが張っている、よくいきむ、真っ赤な顔をしてうなる。これも、空気を一杯飲み込むからです。どの赤ちゃんもそうですから、心配の種にしないでください。胃ー直腸反射が消える頃には減少するはずです。「赤ちゃんが苦しそう」と表現されるママもありますが、これはママの感情移入、赤ちゃんは苦痛が有っていきむのではないと思います。赤ちゃんに聞いて見ても返事は返ってきませんから、小児科医の勝手な判断ではありますが。

 排便回数が多い、オナラが多いという心配事の答えは、もうお分かりですね。最初の1ヵ月、胃直腸反射が活発な間は、オッパイを飲ませればオナラとウンチが出るようにできているのが、赤ちゃんです。