ママから「ミルクはどれくらい補足したらいいの?」と質問されることがよくあります。
 
 育児用粉乳は改良が進んで、現在では、赤ちゃんの発育を妨げず、安全に使えるようになりました。母乳がどうしても与えられない場合は、ミルクを与えれば、赤ちゃんはちゃんと育ちます。
 しかし、育児用粉乳が母乳と肩を並べるようには絶対にならないでしょう。
 人間の赤ちゃんには、できる限り母乳が第一選択です。母乳は百%ママの血液成分から作られます。胎内で臍帯を通ってママの血液成分が胎児を成長させていることには、だれも疑問を感じないでしょう?育児用粉乳は百%人間の血液成分とは無縁のものから作られています。臍帯血同様、母乳はママの血液成分を原料にして乳腺で分泌されるものだから、母乳が赤ちゃんにとって最高の栄養なんです。
 それと同じように、牛乳で牛の赤ちゃんは問題なく育ちますが、人間の赤ちゃんは牛乳にいろいろ手を加えないと牛乳では育ちません。
 
 生後2-3か月までの赤ちゃんは、空腹感・満腹感を感じる能力(脳力?)がありませんから、母乳の場合は、赤ちゃんは満腹して飲み止めるのではなく、飲み疲れて飲むのを止めます。だから、単純に、赤ちゃんが泣いたら抱き上げて母乳を飲ませ、飲み止めたら寝かせ、泣いたら、寝かせた直後であっても3時間後であっても、また抱き上げて母乳を飲ませればいいのです。ミルクは、哺乳瓶、人工乳首で哺乳することには努力は必要なく、疲れることなく作っただけ飲んでしまいますから必要以上に大量にミルクを飲んで、むやみに体重ばかり増えて、成人後のメタボの種を蒔くことになってしまいます。
  
 出産直後の産院では、赤ちゃんの脱水症、低血糖、体重増加不良、ママの疲労などを防ぐ目的でミルクが補足される場合が多いようです。特に初産の場合は、母乳がよく出るようになるのが遅く、乳首や乳腺のトラブルも起こりやすいので、ミルクに頼る必要がでてくるようです。
 
 このような背景を考えて、ミルク補足の必要の有無は、慎重に考えてくださいね。どのくらいミルクを補足するかも、母乳の出方を考慮して、体重1kg当たりのミルク量を細かく計算する必要があります。ミルク缶に書かれた大雑把な数字で考えず、母乳の価値をよく理解している産科医、小児科医、助産師に相談されることをお勧めします。
 
 赤ちゃんの体重の数字を気にされる方が多いのですが、1日当たりの体重増加量を30gと考えては多すぎます。母乳の場合は、最低1日20gの体重増加なら問題ありません。
 
 母乳は、単に体を大きくする栄養物だけではなく、ママに抱かれて声を聴いて、目で見て、匂いを感じて、抱きしめられて、ゆっくり揺すられて、授乳に伴うママの動作のすべてが赤ちゃんの脳を発達させます。
 
 ミルクを補足する必要があったとしても、必要とする条件がなくなったら、なるべく早く母乳だけで育児するように考えてください。