1ヶ月健診前の赤ちゃんは、それほど目だった成長が無いようですが、大脳の発達は急速に進んでいます。
例として、視聴覚の発達を考えてみましょう。

 生まれてすぐの赤ちゃんの眼球はほぼ完成しています。光や色や物の形はちゃんと網膜に投影されています。レンズの焦点はまだ調節ができず、ほぼ40cm弱、ママに抱かれた時ママと赤ちゃんの眼のきょりとほぼ同じです。 だから生まれてすぐの赤ちゃんは、ママに抱かれると、ママの眼をじっと見つめます。光は感じますから、明るい光源をジッと見る事もできます。
 しかし、眼球と大脳の視覚中枢の神経細胞との間はまだ繋がっていませんし、視覚神経の神経線維の髄鞘化(配電工事で言えば、被覆電線で電気の通る道を繋ぐこと)もできていません。左右の眼球は共同して動くことは無く、ばらばらに勝手なほうを見ていますから、寄り目になったり、どこを見ているのか分からないぼんやりした目の表情を見せたりしています。

 1ヶ月過ぎると、左右の眼が共同してひとつのものを見、形や色を脳の視覚中枢で感じるようになり、遠近のものを区別できるようになります。具体的にいうと、1ヵ月過ぎると寄り目はなくなります。授乳中にジッとママの顔を見つめるようになります。
 
 2ヶ月過ぎると、眼球のレンズ焦点距離の幅が広がり、見える範囲が遠近左右とも広がってきます。2ヶ月頃の赤ちゃんは、目の前にいる人の顔を認識するようになり、人の顔を見るとなぜかむやみに笑いかけるようになります。何故、人の顔を見ると泣かずに笑うのか、理由は分かりません。いろいろ調べてみましたが、答えは見つかりませんでした。しかし、4ヶ月になると見慣れた顔と見慣れない顔の区別ができるようになり、見慣れない人の顔を見ると、笑わずに表情がこわばる様になります。人見知りの始まりと考えられます。

 耳も胎内で音を感知できるのですが、胎内でママの腹壁を越えて赤ちゃんに届く音は、出生後胎外で赤ちゃんの耳に届く音のように多彩ではありません。音やリズムを感じることも、出生直後から始まると考えていいでしょう。胎内でママの心音を聴いているから心臓のリズムを聴かせると赤ちゃんが静まるとか、胎内の赤ちゃんは、おママのおなかの外で聴かせた音楽を出生後も覚えているようだとかいわれていますが、どちらも疑問です。記憶力が未発達で、胎児・新生児の記憶は数分単位で消えるともいわれていますしね。

 しかし出生後は急速に大脳の神経細胞が活性化されますから、授乳の度にママの顔や目を見て、ママの声を聞いて、ママの匂いや抱かれる感じを繰り返し経験しながら赤ちゃんは成長し続け、生後2ヶ月になるとママの顔を見て笑うようになります。出生後数週間の無意識なエンジェルスマイルとは違います。エンジェルスマイルは赤ちゃんは何も考えずに自然にママの心に灯を点すのですが、2ヶ月児の笑いは母と子が分かち合う笑いといってよいでしょう。