赤ちゃん時代から始まって高齢者に至るまで、伝染病をワクチン接種で予防することが広く普及しました。種類も多く、もたもたしていると接種時期に間に合わないことも出てくるし、任意接種のワクチンは、公費負担がない地域では、高価で経済的負担もたいへんですね。

 病原体に人為的操作を加えて作るワクチンですから、副作用も無くすことはできません。百日咳ワクチンのように、ワクチン接種で病気が少なくなると、副作用のほうが問題にされ、接種を中断したら数年後再び百日咳の発生が増え、ワクチン接種が再開された例があります。ワクチン接種を中止してワクチン接種を受けられなかった世代の間では、成人後に百日咳を発症する人が出ています。おたふくかぜ生ワクチンは、麻疹、風疹の生ワクチンと三種混合でワクチン接種が始められたのですが、おたふくかぜワクチンのウイルスで無菌性髄膜炎になった人があって、おたふくかぜ生ワクチンが除かれ、任意接種としてワクチン接種が続けられています。

 免疫の持続期間もワクチンによって長短様々ですが、いずれにせよワクチンによる免疫効果は長続きしません。時間が経つにつれて抗体価は下がっていきます。
 麻疹を例に取りますと、自然感染で出来た免疫は60数年以上保存されていることが19世紀末にあきらかにされました。デンマーク領ファロー島で65年ぶりに麻疹が流行した時、65年前の流行時に罹患した老人からは患者が一人も発生しなかったことがわかりました。自然感染の免疫は強いのです。
それに比べて現行の麻疹生ワクチンは2度接種しても60年もの間免疫を維持することは出来ません。

 どの伝染病についても、罹患、予防接種で獲得した免疫は、周りにその病気が流行するたびにワクチンの追加接種のように自然感染によって発病せず、免疫だけを強くします。これをブースター効果といいます。周りに病気が無くなれば自然感染によるブースターは得られなくなりますし、ワクチンを追加接種しなければブースター効果は得られず、免疫は先細りになります。ワクチンで伝染病の感染を阻止した私たちは、伝染病がなくなったために免疫の維持が難しくなっているという皮肉な時代です。

 このようにして、百日咳も、麻疹も、たぶんポリオも、地球上から消えることは無く、、患者は発生し続けます。私が今回、「予防接種の限界」という、ブログの項立てをしたのは、この問題が、予防接種を受ける前の赤ちゃんに及ぼす影響を、読者のパパ、ママに考えていただきたかったからです。

 先日来、麻疹が外国から空路日本に侵入したことが報道されました。百日咳も、成人間の発生が問題になっています。そのため、パパ、ママが感染して、それが赤ちゃんに感染する機会があることに気付いてください。

 赤ちゃんに及ぼされる伝染病感染の機会、危険を解決する方法は簡単です。

 パパ、ママが、ご自分のワクチン接種歴、抗体の維持状況を調べ、赤ちゃん出生以前にワクチンの再接種などの方法で免疫を強化し、パパ、ママから赤ちゃんに病気を伝染させないよう考えてくださいね。生まれてくる赤ちゃんを伝染病から守るために。