2017年1月3日、仲間4名で「持続可能な開発(SDGs)みえ」を立ち上げた。
テーマ:「地球規模で考えて、地域から行動する」~私たちの三重の生活は、グローバル社会とつながっている~
三重は豊かな自然や産業、観光資源に恵まれている一方、少子高齢化や地域社会の弱体化、多文化共生等の課題にも直面している。私たち三重の生活はグローバル社会とつながっている。2015年国連総会にて、グローバル社会の目標として、「持続可能な開発目標」(SDGs)が合意された。この合意により、貧困を終わらせ、すべての人が平等な機会を与えられ、世界環境を壊さずに、よりよい世界を送ることができる世界を目指して努力することが約束され、2016年から2030年までの15年間、世界中の国々はこの「グローバル目標」の達成に向けて取り組んでいくことになる。
持続可能な開発とは、将来の世代のために環境や資源を壊さず、今の生活をよりよい状態にすることである。そのためには、より公正で公平な社会に向けてみんなが努力し、大きな変化をもたらしていく必要がある。持続可能な開発・みえ(SDGs-Mie)は、自分の暮らしている地域が、誰一人取り残されず、持続可能な地域となり、次世代に豊かで優しい未来を残していけるように、全ての人びとが関心を持ち、一緒に取り組んでいくことを目的としている。

「持続可能な開発のためのグローバル目標」
目標1:貧困をなくすこと;あらゆる貧困(お金がないだけでなく、教育や仕事や食料、病院、住むところなどの必要な物やサービスがない、あるいはうけられないことや、自分の意見を言えないなど、自分のもっている本当の力を十分に生かせないことも含まれます)を終わらせる
目標2:飢餓をなくすこと;生きていくために必要な食料を安定して手に入れることのできる権利を保障し、栄養状態を良くして、持続可能な農業を高める
目標3:健康であること;何歳であっても健康で、安心して満足に暮らせるようにする
目標4:質の高い教育;だれもが平等に質の高い教育を受けられるようにし、だれもが生涯にわたってあらゆる機会に学習できるようにする
目標5:ジェンダーの平等;すべての人が性を理由に差別されないようにする
目標6:清潔な水と衛生;だれもが水と衛生的な環境を得られるようにする
目標7:再可能エネルギー:価格が安くて、安定した発電ができ、持続可能なエネルギーを使えるようにする
目標8:適切な良い仕事と経済成長;自然資源が守られ、みんなが参加できる経済成長を進め、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事ができるようにする
目標9:新しい技術とインフラ;災害に強いインフラをつくり、みんなが参加できる持続可能な経済発展を進め、新しい技術を生み出しやすくする
目標10:不平等を減らすこと
目標11:持続可能なまちと地域社会;まちや人びとが住んでいるところを、だれもが受け入れられ、災害に強く、持続可能な場所にする
目標12:責任を持って生産し、消費すること;持続可能な方法で生産し、消費する
目標13:気候変動への対策
目標14:海のいのちを守ること;海や海の資源を守り、持続可能な方法で使用する
目標15:陸のいのちを守ること;陸のエコシステムを守り、再生し、持続可能な方法で利用する。森林をきちんと管理し、砂漠がこれ以上増えないようにし、土地が悪くなることを止めて再生させ、生物多様性が失われることを防ぐ
目標16:平和で公正な社会;持続可能な開発のために、平和でみんなが参加できる社会をつくり、すべての人が司法を利用でき、地域、国、世界のどのレベルにおいても、きちんと実行され、必要な説明がなされ、だれもが対象となる制度をつくる
目標17:目標のために協力すること;実施手段を強化し、持続可能な開発に向けてすべての人びとが協力する

2017年1月31日 朝日新聞にSDGsの特集、国谷裕子キャスターのインタビューが掲載された。
日常生活の中にも、SDGsにつながる動きはたくさんある。短いサイクルで大量に生産されるファストファッションのおかげで、おしゃれな服を安く手に入れることができるようになった。一方で、まだ着られるのに捨てられたり、数回着ただけでたんすの肥やしになったりする服もある。こうした服を作っている国では、、大量生産に伴う環境汚染や、働く人たちが酷使されていることも問題になっている。
そんな生活への疑問は、物にあふれた暮らしを見つめ直す「断捨離」ブームや、環境や持続可能に配慮した「エシカル(倫理的)消費」への関心の高まりにも表れている。少し高くてもお金を出す消費者が増えれば、企業も変わっていく。【つくる責任・つかう責任(目標12)】が掲げる理念だ。
すでに多くの企業が、SDGsに向けた取り組みを始めている。資源も人材も、持続可能な仕組みを作らなければ、ビジネスを続けられないということが見え始めているからだ。
今日の買い物の仕方を見直すことは、SDGsで未来を変えていくことにつながっている。

私の仲間がいる三重県答志島では、島民が立ち上がっている。平成27年11月に突然「鳥羽市小中学校統合計画」が発表され、答志中学校が廃校になる予定だと知らされた。どうしたらいいのか?と相談された。廃校反対の署名活動をしても意味がない。答志には、「寝屋子」など素晴らしい他にはない良さがたくさんある。それを住民達で話し合い、持続可能にしていくためにどうすれば良いかをみんなで考えていくことが大切だとアドバイスした。先日、答志に行ったところ、答志コミュニティスクール実行委員会がたちあがり、地域未来宣言を鳥羽市長に提出してきた、とすごい報告を受けた。

地域未来宣言:学校が地域に果たす役割は大きく、神祭等、祭りや伝統行事には中学生は欠かせない存在です。また、子ども達が地域活動を通じて、自己肯定感を高め、地域愛を育み、沢山の愛に包まれながら、自立した大人へと育つように私たちは努めています。もしも、学校が無くなれば、若者の流出にも歯止めがかからず、地域の存続にも影響を及ぼす恐れがあります。しかしながら、今回の統合計画により地域の現状を把握し、地域の抱える課題に向き合い、皆が共有し、克服していかなければならない責務も感じています。そのために、私たち答志コミュニティスクール実行委員会は、自らの使命に誇りをもち、地域のあらゆる団体の力を結集、その力を十分に発揮し、地域の明るい未来に向けた活動を展開していく覚悟です。ここに、答志コミュニティスクール実行協議会の意向に基づき、私たち実行委員会は「地域未来宣言」を表明し、その実現に向けて取り組んでいきます。
「寝屋子の島」みんなの学校宣言:私たちは、答志島の豊かな自然と伝統文化、島に暮らす人々の経験を生かし、未来ある子ども達の為に島育ちを応援していきます。子育ての島を宣言し、全国から子ども達を受け入れ、分け隔てなく愛情を注ぎ、世界に誇れる人材に育てあげる事を誓います。

答志島の課題は、SDGsの目標とどのようにつながるのだろうか?そして、その課題をどのように克服していっているのだろう?
目標4:質の高い教育をみんなに;答志中学校が廃校になれば、船での通学になる。住んでいる地域差のない平等な教育が受けられるのだろうか?地元の中学校だったからこそ、地域活動による学びがあった。その伝統を受け継ぐことはできるのだろうか?→答志中学校存続に向けての活動、「寝屋子留学」を行い島外からの生徒数確保、小規模特認校制度を導入し、広く全国から生徒を受け入れる体制、小中連携を強固にした学校運営など
目標8:働きがいも経済成長も;地元に働く場所がないため、若者の流出がとまらない。働く場所をどのように作っていけばいいのか?→働く場所を作っていくための動き
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう:海苔養殖が主要な産業→若者達が主になり新しい技術の獲得、販売路の獲得、海苔養殖に携わる者達の異年齢での交流などを行っている
目標10:人や国の不平等をなくそう;離島に住んでいるための不便さがたくさんある。それが、若者の流出につながる→島暮らしだからこその良さを推奨し、移住定住促進につとめる
目標11:住み続けられるまちづくりを;住民の減少、少子高齢化は、離島だけでなく過疎化が進んだ地域の共通の課題である→地域発展のために行政と連携しながら課題を共有し、問題解決に取り組んでいく。シングルペアレントの移住を促進し、子育ての島を宣言する。
目標13:気候変動への対策;海での養殖産業では、海水の温度は致命的となる。→世界規模での地球温暖化に対する対策が必要
目標14:海の豊かさを守ろう:漁業が主要産業である。→海の資源を守り、持続可能にしていくことは、最大の課題である

答志島という小さな島の課題は、グローバル社会とつながっている。一つ一つの課題への取り組みは、グローバル目標につながっている。小さな島民の問題と考えず、つながりながら、様々な知恵や技術を駆使すれば、困難な壁も乗り越えられる。
SDGs・みえからの呼びかけ
「自分の周りの問題に目を向けよう。グローバル目標を達成するためには何が必要なのか、何ができるのかを考えてみよう」
「自分ができることを一歩ふみだしてみよう。仲間を作ろう、つながっていこう。県外の人、世界の人とつながろう」
「実現するための知識をつけよう、学び合おう、意見を交換しよう、人を育てよう」
「相手のことを思い合える世界にしていこう。相手の利益、幸福を考えていこう」
「未来に向けて何ができたか検証しよう。自分達の幸せや未来に繋がったかを考えてみよう」
持続可能な開発目標は、私たち一人一人が取り組んだり、考えたり、生活を変えていくことで達成できていきます。

国連総会で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」我々の世界を変える行動の呼びかけでは、次ぎのような文章がある。
これは、人々の、人々による、人々のためのアジェンダであり、そのことこそが、このアジェンダを成功に導くと信じる。人類と地球の未来は我々の手の中にある。そしてまた、それは未来の世代にたいまつを受け渡す今日の若い世代の中にある。持続可能な開発への道を我々は記した。その道のりが成功し、その収穫が後戻りしないことを確かなものにすることは、我々すべてのためになるのである。

SDGsを成功させるためには、若者達がキーワードになるように思う。SDGsは、「誰も置き去りにしない(leaving no one left behind)」が共通理念である。発言権が少ない若者達や子供達が置き去りにならないよう、発言権が少ない社会的弱者が置き去りにならないようにしていくことが必要だと思う。若者達を議論のテーブルにつけ、若者達の意見を注意深く聞き、どうすれば、未来の世代にたいまつを受け渡すことができるのかを考え、実行していくことが必要だ。未来の子供達に、美しく住みやすい地球が残せるように、今、動きださなければと思う。