前々回前回の記事では、射精とオーガズムは別物であること、男女のオーガズムに生理的な差は存在しないことを述べました。今回はいよいよ、「男性の射精を伴わないオーガズム」の実践方法について考察していきたいと思います。

①始まりは「性的興奮」
 少なくとも高等生物においては、性交(繁殖行動・交尾)の前にパートナーに対する性的興奮を催します。これは、パートナーからの視覚情報(姿や行動)、音、匂い、フェロモンによって誘引されます。ヒトも哺乳類の一種である以上、その呪縛からは逃れられません。
 ところが、大脳が著しく発達したヒトを含む霊長類は、パートナーが不在であっても、それら性的興奮を示唆する記号(写真、絵画、記録された音や映像、果ては文字情報や、間接的に示唆するような物に対しても)、さらにはそれらを想像するだけで、性的興奮を催します。そして、その性的興奮を誘引する対象は、ヒトの大脳進化と、人類文明の発達の結果、極限まで多様化しています。それがあまりにニッチである場合、しばしば「変態」と呼ばれますが、それもその特定文化圏における相対的なものにすぎません。
 ただし言えることは、性的行為(性交でも自慰でも)の前に、かならず性的興奮を催している、このことだけは、ヒトが動物である以上抗えないことです。

②”オカズ”のない自慰は可能か
 先日Twitteでアンケートを取らせて頂いた結果を再掲します。800件を超えているため相当有意なデータかと思っています。
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 上記の通り、76%の方はオカズ、すなわち性的興奮を促す何かが必要と回答しています。ただ、この質問はちょっと悪くて、残りの24%の中にも、例えば自慰行為そのものに興奮するような方も含まれると思いますので、最低でも76%以上の方は「興奮を誘引する何か」が必要、と捉えるべきかと思います。

③性的興奮による生理的反応
 Wikipediaによると、性的興奮を催すと、性ホルモンの分泌増進と、生殖器の充血が起こると書かれています。すなわち、男性の場合ペニスの勃起(場合により乳首も)、女性の場合、陰唇の充血とクリトリスや乳首の勃起が起こります。充血した箇所を摩擦することで、興奮が快感へと転化していきますから、動物は自然と、性交という行為に導かれるわけです。
 ところが、自慰の場合はパートナーがいないわけですから、手もしくは物による摩擦により、快感を得るしかなくなります。そして、男性の場合、前々回に述べた通り、ペニスの摩擦は射精を促しますから、ドライオーガズムとはなり得ません。困った!

④快感へと至るルート
 ここまでの内容を整理し、前々回の図に重ね合わせると以下のようになります。
orgasm6
 この図における真ん中の「性感帯刺激」の部分で、ペニスを摩擦してしまうために絶頂の反射によって射精が促されることは前々回にご説明した通りです。
 これを解決するに最も先に思いつくのが、ペニス以外の性感帯でイくことですが、これが極めて困難であることは、ドライオーガズムが成功しない方々は既にご承知の通りかと思います。理由は簡単で、勃起したペニスへの摩擦と比較して、他の性感帯への刺激が著しく弱いからです。乳首しかり、アナルや前立腺しかりです。考えてほしいのですが、もし男性の体に、勃起したペニス以上に感じる器官があったとするなら、性交時に誰もペニスを刺激しなくなり、子孫を残せる確率は確実に低下します。逆に、人類が地球上に70億もの個体にまで増えているということは、ペニスの刺激快感がそれだけ強力なものであるという証左です(あくまでも性的快感のことであり、絶頂快感とは異なることに注意してください)。

⑤ドライオーガズムは出来る
 ですが、もう一つ思い出してほしいのですが、オーガズムに男性女性の差がないことは前回ご説明しました。そして、女性のオーガズムが全てナカイキ、クリイキ(すなわち生殖器の摩擦)に寄らないことも経験則上明らかです。ですので、男性が射精しないオーガズムを迎えることは不可能ではありません。そろそろ核心に近づいてきましたが、次回その点を論証したいと思います。ヒントは、以下の図式です。
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続き;「ドライオーガズムの仕組み④実践編」