2012年03月

2012年03月31日

 「歯磨き」といえば、何を連想するだろう?いきなり妙なことを言うようだが、円町野郎は、「歯磨き」で特定の地域や都市は連想しない。
 今回も、爆発的なエネルギーはないものの、謎が謎を呼び、妙な渋みが出ている広告を紹介。





象印歯磨

※「東京朝日新聞」(明治36=1903年5月9日)より。

 まず右。「シカゴみやげ」って……。土産を転売してんの?シカゴで製造?歯磨き粉といえば、シカゴだったの?この人はシカゴっ子?謎……。
 次に左。「ダイヤモンド」、悪くないネーミング。物凄く歯垢が落ちそう。ただ、「象印歯磨」と関係があるのかないのか、そこがわからん。あと、「二十世紀」っていうのも、明治36=1903年頃の雰囲気を反映していて、グッとくる。
 あなたなら、どこに突っ込む?

yarigatake2002 at 14:43コメント(0)トラックバック(0) 
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2012年03月25日

 これも、見てもらうしかないね。何だろう、整髪料としての効果も期待されてたのかな……?
 よくわからなーい!





洗髪薬

※「東京朝日新聞」(明治36=1903年4月16日)より。

 ドイツ製の「洗髪薬」、その名も「ヤボール」。説明を引用してみよう。

(この)洗髪薬は欧州各国に於(おい)て現に賞用さるヽ無比の新剤にして当舖の輸入発売せし以来日々其(その)需要を増し一回之(これ)を使用せられし人は化粧用及衛生上欠く可(べ)からざるものとして称賛せらる
本品の特色とする所は毛髪を柔軟にし色沢を出し頭垢の発生を防ぎ毛髪を増し毛根を固め脱毛を止むるにあり


 どうやら、シャンプー+コンディショナー+育毛剤って感じらしい。成分は謎だが……。
 そして、使用前/使用後イメージが笑える。まぁ使用後に「柔軟に」なってセットがしやすいってのは分かるんだけど……。「男の髪は撫でつけるもの」という常識があったんだろうね。

yarigatake2002 at 00:56コメント(0)トラックバック(0) 

2012年03月20日

 今回は明治の鼠捕り事情。実は100年ちょっと前の日本では、ちょいちょいペストが流行ってたらしいんだよね。ある意味、今以上にネズ公にはシビアだったみたい。
 で、ここでもやっぱり、言葉たちが躍っているよ。しかしねぇ、この情報だけでは、さすがに……。





鼠捕り1903

※「東京朝日新聞」(明治36=1903年2月4日)より。

 「此一個で何疋(びき)でたやすく奇妙にとれます」っていうのが、胡散臭くていい!
 だって、この罠、何でネズ公が捕まえられるのか、全然原理が分かんないのに、物凄い自信なんだもん!!!誰か、この謎を解き明かして!!!!

yarigatake2002 at 15:48コメント(0)トラックバック(0) 
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2012年03月17日

 1988年、日本の麦酒業界で「ドライ戦争」というのが勃発した。麦酒大手各社が競って「ドライ」をその名に冠する麦酒を発売したのだ。ま、世界麦酒の多様性を知ってしまったら、コップの中の嵐どころか、試験管の中の揺れくらいなもんだったんだけどね……。
 今回は、そんな業界内戦争の早い例を紹介。炭酸水を侮ってはいけないよ。



炭酸水(1)

※「東京朝日新聞」(明治38=1905年8月15日)より。

 下の方に怪奇「クリモラ」坊やがいるけど、気にしない、気にしない。
 テキスト部分に「道化」と「紳士」のやりとりが展開されている。引用してみよう。

道化曰(いわ)く 紳士の飲料はサツポロ炭酸水に限ります

紳士曰く さうばつかりも云はれません 平野水だの布引水だの色々結構な水が沢山あります

道化曰く イケマセンイケマセン ソンナ事云(いっ)ては馬鹿です馬鹿です大馬鹿です

紳士曰く マー壹(いっ)本飲んで見やうか

道化曰く オーライト

紳士飲んで見て アー愉快愉快 なる程サツポロ炭酸水に限るワイ


 全体としては、〔これがいいよ → どれも一緒でしょ? → 試してごらんよ → もうほかのじゃ駄目だ!〕という、現在でも用いられるCMの王道パターンの一つだと言える。しかし、道化の煽りの凄いこと!客に「大馬鹿」とは!!強気だねぇ。同時に、「オーライト」なんて言っちゃうノリの良さも持ち合わせている。かなりの商売巧者と見た。
 さて、紳士が言及した「平野水」だが、これは兵庫県下川辺郡多田村(現 川西市)の平野という場所で採取された鉱泉系炭酸水のこと。広告も出していて……、





炭酸水(2)
  そう、このマーク……、現在の「三ツ矢サイダー」の前身なのである。明治前期から中期にかけてこれが当たったからだろう、色んな類似平野水がポコポコ現われて、平野水自身、「元祖」平野水を名乗らなければならなくなったようだ。
 ちなみにテキスト部分をよく読むと、「衛生上最好飲料として(略)食物の消化を補(たす)け又咽喉、気管、胃腸の諸症に奇効ありとは医学界に於(おい)て賞賛する所なり」という、この「滑稽美文集」をよくお読みの方にはお馴染みの超絶効能も、やっぱり謳われている。
 嗚呼、サイダーに歴史あり。

yarigatake2002 at 10:25コメント(2)トラックバック(0) 
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2012年03月15日

 前回の記事が余りにもショッキングだったので、ここはひとつ、軽いタッチのやつを……。
 実は、前回の記事で紹介した恐るべき赤ん坊を擁する粉ミルク「クリモラ」の広告のすぐ下に掲載された、小さな広告。
 このユルさ、個人的には好きだなぁ。





インバネス(1)

※「東京朝日新聞」(明治38=1905年5月25日)より。

 まずは、粉ミルク「クリモラ」のホラー広告との位置関係を確認。恐怖の赤ん坊と比べると、何と小さいことか。あれ?人の絵が描いてあるね。
 拡大してみると……、





インバネス(2)
 はい、シルクハットの紳士!見よ、ヒゲはピンピンだぜ!!
 「インバネス」というのは、「インバネス・コート」の略称。シャーロック・ホームズが着ている、アレ。具体的なイメージは……、





インバネス(3)

※Wikipedia「インバネスコート」の項より(絵の典拠…Men's Fashion Illustration form the Turn of the Century. Reprint by Dover Publications, 1990. ISBN 0-486-26353-3. Originally published New York : Jno Mitchell Co. 1910)

 こんな感じかな?



 さて、問題の広告だが、よくよく見てみると、シルクハットと髭ばかりが強調されて、全然コートを着ているように見えないぞ。そして、「染替廉価迅速」ということ以外、大した情報がないぞ!広告料をケチった?でも、そんな条件下でこの絵だけは譲れなかったという、「都屋」の妙なこだわりは、評価したい。

yarigatake2002 at 23:51コメント(2)トラックバック(0) 
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2012年03月11日

 昨年、虎露那のリーダー夫妻の所に、待望の坊やが誕生した。円町住人も年末年始に坊やとコミュニケーションをとり、お約束の「お髭ジョリジョリ」なんかしてみたわけで。
 可愛いね、赤ん坊って。不変・普遍を余り信じない円町野郎だが、赤ん坊の可愛さは明治も平成もあんまり変わっていないと思っている。
 が、少々不安な材料が、ないでもない。事実、あんなのや、こんなのが、あるしねぇ……。
 で、もっとインパクトのある赤ん坊を発見してしまった……。「本当は怖い」シリーズ、第2弾……。





怖い赤ん坊

※「東京朝日新聞」(明治38=1905年5月25日)より。

 ヒャーッ!!「滑稽美文集」史上最も怖い絵!!!
 これは「クリモラ」という米国産粉ミルクの広告。……なんだけど、この、えもいわれぬ不気味さは何なんだー!?陰影の付け方、おかしいよ!!!
 缶から赤ちゃんがコンニチハって、本来ならとっても愛らしい構図なのに、これではナイトメアだ……。何というか、暗闇の中で突然発見してしまった西洋人形、的な感じと言えばいいのかな?
 テキスト部分もそれなりに突っ込めるのだが、絵に完全に食われてしまってインパクトがないので、引用しない。気になる方は画像をクリック(拡大)して、各自で読んでいただきたい。

yarigatake2002 at 10:19コメント(0)トラックバック(0) 
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2012年03月09日

 ネタ集めの中で、偶然、クリスマス商戦やサンタ文化が、明治30年代末にはそれなりに人々の共通理解となっていた(ように語られていた)ことを知った。
 いやぁ、これは意外だったね。
 今回は、明治のクリスマス商戦の流れの中で、新聞に掲載された広告を紹介。ウキウキ、ワクワク、読者の購買意欲を刺激するためのメッセージが送られるはずなのだが……、何だ、この変な翳りは?





怖いサンタ

※「東京朝日新聞」(明治39=1906年12月15日)より。

 東京新橋の輸入品のお店の広告だろうか?「種々沢山輸入着致在候」という手紙的な候(そうろう)文の文体が面白い。
 が、ひとたび視線をテキスト上方に写すと……、ダーク・サンタ出たー!!えーっ?サンタって、もっと好々爺(こうこうや)然としてなきゃ駄目なんじゃないの?全体的に翳りを帯び過ぎだよー!「さぁ、好きな物をキミにあげよう。」じゃなくって、「フハハハハ、洋菓子でおびき寄せて……。」って感じだよ……。
 あと、細かいけど、「自働車」のポイントが少し大きくなっているところに、亀屋さんの自信のようなものを感じるな。

yarigatake2002 at 15:11コメント(0)トラックバック(0) 
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2012年03月06日

 昔の新聞広告を見ていると、何に使うのか、どうやって使うのか、なぜいいのか、という「なぜ・なに・いかに」等をすっ飛ばして、パッションだけが物凄いメッセージに出会うことがしばしばある。まぁ、今でも健康食品とかの広告で抽象的な言葉を連ねたり、含有物質の量だけ強調したりするやつがチラホラあるけど……。
 今回紹介するのも、その系等に連なると思われる広告。





一分間湯わかし

※「東京朝日新聞」(明治39=1906年12月7日)より。

 囲みの中を引用してみよう。

◎実際一分間以内に湯が沸くので二分も三分もかかるのではない
◎無限の熱泉 器の水が湯となるだけではない何程でも差すだけの水が湯となつて出る
◎燃料 何でもよし頗(すこぶ)る経済通常の五分の一
◎用途 湯を用ゆるあらゆる方面
◎構造 銅製其他金属製各種実用装飾兼備


 「二分も三分も」って、どうも一分にこだわってるみたい。絵を見ると蛇口から水が注がれ、マシンを通過して、バケツにえらい勢いで湯が流れ込んで、勢い余って床に溢れ出している。見守る紳士の格好も、燕尾服ってのはちょっとヤリ過ぎのような……。
 パッと見は今でいうガスor電気湯沸かし器(ボイラー?)状のもの。でも、燃料「何でもよし」ってのが、とっても引っかかる……。
 どこかに残ってないかな?

yarigatake2002 at 10:07コメント(0)トラックバック(0) 
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2012年03月04日

 以前、明治の舶来葡萄酒幻想を紹介したことがある(こちらの記事参照)。今回もその延長線上にある広告。
 うたい文句は、いたって普通(明治時代においては)。
 が……、ブランドのシンボルとその呼び名が、ちょっと引っかかる……。否、シンボル自体はそれでいいや。呼称は、それでいいのか?





地球握印

※「東京朝日新聞」(明治39=1906年10月27日)より。

 ち、「地球握印」だと!?なるほど確かに地球を握っている……。掌握ってこと?おい、斬新かつ野心的、否、帝国主義的だぞ!!そもそも、読み方は何なんだ?「ちきゅうにぎりじるし」?「ちきゅうあくじるし」?いずれにせよ、読みづらいぞ!
 そして……、肝心の商品名、波線部の下の「滋養興奮葡萄酒」って……!!
 突っ込み所がタイトにまとまった広告である。

yarigatake2002 at 21:43コメント(0)トラックバック(0) 
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 前後を忘れて書くよ。
 スウィーツにも、政治的な諸々の力が働くんだね。時期的には、引き続き日露戦争「終結」前夜。ポーツマス条約が締結され、国際的に戦争が終わったのが明治38=1905年の9月。メディアには戦勝ムード充満(それだけに日比谷のバーニングが反動的に起こったのだけど)。「国民」は、自信満々。
 で、お洒落カフェのメニューにこんなモノが載っていた時、あなたなら、どうする?





砲弾形マシマロー

※「東京朝日新聞」(明治38=1905年7月5日)より。



 いいねぇ、「マシマロー」っていう響き!ただ、「フレンチメキスト」の何たるかは不明。
 で、問題は、左端の、「バルチツク艦隊全滅紀念 砲弾形マシマロー」!!「東郷大将肖像石版画付」って、附録も怖ろしい!!!どれくらいの大きさだったのかな?さらにいうと、「夏期中元 御進物用」になってたってのが、また凄い!子供の口に入る物にも、なにがしかのイデオロギーが働いていることよ……。

yarigatake2002 at 00:01コメント(0)トラックバック(0) 
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