鈴木康浩のスポーツライター奮闘記

日頃感じた何かしらをガガガッと猛烈な勢いで吐き出すための日記ブログ。

【コラム】後半の堅守速攻も白楊の2連覇ならず 第88回高校サッカー選手権栃木大会決勝

第88回高校サッカー選手権栃木大会決勝 栃木県グリーンスタジアム 11月14日
白楊 0−1 矢板中央
得点:中田充樹(後38分)


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■不運な決勝ゴール

 後半38分、矢板中央に生まれたゴールは、白楊にとって不運とも事故的ともいえる失点だった。
 白楊守備陣が自陣ゴール前でクリアする瞬間、矢板中央10番・中田充樹の振り抜いた左足の軌道にボールが重なった。白楊・GK中田亮の不意を突くタイミングで、緩やかな軌道を描いたボールは、そのまま白楊ゴールの左隅に吸い込まれた。
 矢板中央の攻撃は、長身ポストプレーヤー10番・中田充樹が中心。後半頭から長身の25番・石井涼斗を投入し、前線をツインタワーに変えてボールの収まりどころを二つに増やした。それでも白楊のDFラインは主将4番・小菅佑紀を中心に落ち着いた対応を見せていた。

 堅い守備から速攻。それが今年の白楊のスタイル。
 スピードスター9番・関敏史は前半から執拗なマークと中盤とのサンドイッチに苦しめられ、思うように前線での仕事を果たせずにいた。だが後半、矢板中央が攻撃の圧力を高めたことに加え、時間の経過とともにできた中盤のスペースをうまく利用し、徐々に白楊のカウンター攻撃の中心として機能し始めていた。左サイドの8番・臼倉翔太がオーバーラップする機会が増え、10番・渡邊陽太や11番・小田切南斗が流動的に自由に動き始めたことで攻撃が活性化。フィニッシュの精度さえあれば先制ゴールを奪える展開まで試合を持ち直していた。
「決めるべきところで決めなければこうなる。失点シーンは、クリアボールが相手の10番に当たって入ったんだと思う。不運な面はあったと思うが、でも、それも含めてゲームだから」(白楊・只木章広監督)
「ポストプレーだけでなく、前線からのチェイシングも意識していた」(矢板中央10番・中田充樹)
「あいつは最後の最後に点をとってくる。目に見えない力がある選手」(矢板中央・高橋健二監督)

 白楊にとってはプラン通りのゲーム展開だった。前半30分に与えたペナルティーも「準々決勝の真岡戦のPK合戦でも止めていた。自信があったと思う」と只木監督が言うように、GK中田亮が相手キックを読み切り、冷静なセーブで最大のピンチを切り抜けていた。後半は堅い守備から速攻。本来の白楊サッカーを披露していただけに、後半38分の矢板中央の決勝ゴールは、思いもよらない不運な失点だった感が否めない。
「力は十分に出した。悔いはない。勝負は勝負」と只木監督は前を向いたが、目は少しだけ赤く、目尻にはうっすらと涙が滲んでいた。
 今年のチームは、真岡にも矢板中央にも勝っていなかった。昨季王者ではなく、挑戦者の意識が強かった。それでも、
「選手権という舞台は別物。うちの選手も去年経験しているし、勝たせてあげられなかったのは、本当に生徒に申し訳なく思う。あの舞台を踏むのか、踏まないかでは生徒の将来にとって全然違うから」
 勝てば2年連続5度目の優勝。そして再び全国の舞台へ――。その夢は、昨年の決勝と同じ相手、矢板中央に雪辱され、ついえた。
 ロッカールームから出てきた主将・小菅佑紀は、それでも、晴れ晴れとした表情で、
「失点は不運なところもあったと思うし、力は出し切ったから、悔いはありません」と話したが、「ただ……」とこう付け加えた。
「監督はすごく熱い人。練習も厳しいだけじゃない、気持ちが伝わってくるし、みんなその気持ちを受け止めていた。何を考えているか、みんながわかっていました。だから、監督をまた全国の舞台に連れて行ってあげたかった」
 小菅が1年のとき、ミスター栃木SCと呼ばれ、アマチュアトップ選手だった只木章広は、栃木SCから離れた。2007年シーズン終了後、クラブが将来のJ入りを見据えて、すべての選手のプロ化に踏み切ったからだ。白楊高校保健体育科教諭の只木や、その他のアマチュア選手はチームを去らざるを得なかった。只木は同級の堀田利明らとともに県内のクラブチーム・ヴェルフェ高原那須に選手登録をした。だが、試合出場は果たしていない。
 その時から只木は、それまで栃木SCとの兼務で全力を注げなかった白楊高校サッカー部の監督業に、そして、グラウンドを度々留守にしていたにもかかわらず、ずっと慕ってくれる教え子たちの育成に心血を注ごうと決心していたのかもしれない。小菅に今の只木監督の印象を聞くと、
「僕たちのことをすごく良く考えてくれているのがわかるし、何だか監督という感じがしないんです。もっと温かくて、近い存在というか…」
 実質的に選手を引退し、生徒たちの指導に専念している只木監督にその話を向けると「今は生徒にすべてを注いでいます」と少しだけ笑みを覗かせた。 
「僕がやれることは選手を引っ張って来ることではなく、選手を育てること。どの選手にも可能性はいくらでもあります。国体に選ばれていないとか、どこに選抜されていないとか、そんな事は関係ない。うちにはそういう選手はいないけど、今日の決勝でも十分にやれるレベルまで上げられている。いくらでもやれるんです。だからこそ、選手権の舞台を踏ませてあげたかった」
 教育者、只木章広――。
 ミスターの情熱は、形を変えて、生き続けている。

 鈴木康浩

円熟味を帯びた熊本のパスサッカーに完敗・・・残り3試合は栃木のもう1ステップアップに期待! あとグリスタ改修も

J2第48節 栃木県グリーンスタジアム 11月8日
栃木SC 0−2 ロアッソ熊本 
得点:0-1 藤田俊哉(前44分)
得点:0-2 小森田友明(後34分)


■2トップは被スカウティングで推進力が減退

 完敗です。熊本にうまくいなされました。
 第3クールに入り、栃木のディシプリンや組織力は、今季の戦力下で最高のパフォーマンスを見せてきました。ここ数試合こそ単純なミスからリズムを崩し、失点という悪循環に陥っていますが(今日もですが)、第1クール時のチーム状態に比べれば、はるかに上のレベルで状態を保っているように映ります。
 しかしながら、当然相手がいるわけで、どのチームも課題に修正を重ねて、移籍期間を経て、確実に第3クールにはチーム力を底上げしてくるわけです。
 
 第1、第2クールと熊本のパスサッカーと対峙したとき、客観な印象として、パスサッカーへの強い拘りを感じる嫌いがありました。何が何でもパスで崩して打ち倒す、的な拘りです。
 でも、今日対戦した熊本にはその嫌いを感じなかった。スッと力の抜けたパスサッカー。ワンタッチで局面を打開するサッカーに変わりはありませんが、藤田を中心に肩の力の抜けた華麗なパス回しを感じました。熊本がどう変化してきたのかは分かりませんが、確かな成長を遂げたサッカーがありました。
 岐阜のそれに比べると、サイドの駆け上がりは積極的ではありませんが、その分、今日の布陣で言うと、左サイドの藤田が、サイドからボランチの位置まで流動的に動いてボールを受ける。コンダクターとしてボールがスムーズに流れていく印象。第3クールに入り、というか終盤突入して、熊本も現戦力下で円熟味を帯びた最高のパフォーマンスを引き出しつつある、のではないでしょうか。
 試合前のプレスルームでは最近よく、対戦相手のプレスの方々からこんな声が聞こえてきます。
「ようやく調子が上がってきたから、これを何とか維持してほしいんだよなあ」
 ここに来て泥沼にはまっているチームはあまりありません。課題に修正を重ねて、集大成をサポーターに披露する段階ですからね。もう、何が足りないとか、言い訳のできる時期ではありません。

 栃木はレオナルドとクンシクが加入して、前線の二人が推進力を発揮してきました。それから10試合近くは対戦相手にとって恐るべき2トップだったはずです。しかしながら、試合を重ねれば当然、スカウティングや研究のための素材は増えるわけで、その影響を鑑みれば、二人の推進力がある程度は抑え込まれ、ここ数試合は減退した感は否めません。
 いかに二列目が二人をフォローするか、いかに2トップが、それでも振り切って強引にゴールを生み出すか。松田監督が繰り返す、ゴール前の課題を乗り越える作業は、今の段階のもう1ステップ上にあると感じます。ゴール前の精度の問題は、個人能力の問題? メンタルの問題だと僕は思います。レオナルドの激しいチェック、パフォーマンスはそもそもの身体能力から生まれたもの? かつて松田監督はそれを「メンタルの強さ」と表現しています。”メンタルが強い”という能力に違いありませんが、失う物がない栃木の選手たちは何も恐れることはありません。勝てなくともサポーターはずっと歓喜の瞬間を待っている。今やらないでいつやるのか。
 残り3試合では、その片鱗でもいい。1ステップ上のゴールを期待したいし、それが来季につながるゴールになると思います。

■グリスタの評判は絶好調

 さて、グリーンスタジアムに注ぐ陽射しも紅葉色に染まり、ますますの秋の深まりを感じさせるようになりました。バックスタンドも来季は椅子席になるとのこと。貴重な専スタですから、大事に改修を重ねて、みんなで育てていきたいですね。
 これまたプレスルームからですが、
「へえーここは専スタなんですかあ」
「そうなんですよ、観戦席から近くていいですよね」
 と、アウェーメディアの方々からも評判なんです。先日の徳島戦ではサッカーマガジンの編集の方も初めていらしたのですが、ピッチを見るやいなや、
「おお、いいですね、何かちょうどいいじゃないですか」
 と、まあいい感じな反応でした。あと帰りに食べたフライ餃子も。僕も初めてでしたが…。
 今のグリーンスタジアムは、日本に誇るスタジアムの素材ですから、将来的に2万人くらいがびっしり収容できるキャパにして、お客さんがぎっしり埋まる光景をいつか、それはJ1に昇格するときでしょうか、観てたいなあと改めて思います。

 そのときの光景を思い浮かべれば、今の苦労なんて大したことではない。10年後の栃木は、チームは、スタジアムは、一体どうなっているでしょうか。一生お付き合いしていくのですから、長い目で見て、J2参入初年度の今の経験を、しっかり身体で感じていきたいと思います。

 鈴木康浩

三菱水島がJFL脱会・・・JFLは残り4試合、SAGAWA・武蔵野らの優勝争いの行方は?!

■三菱水島JFL脱会…

 三菱水島FCのJFL脱会のニュース、これは寂しい限りです。不況下の資金難とのこと…やむを得ない状況だったのだと推測します。彼ら、アウェーにはバス遠征だったんですよね。以前、JFL時代の栃木SCがホームで5−0で勝利したあとの記者会見で、相手の監督さんが「今日はご覧のとおり、選手たちのコンディションが…」と頭をもたげている。聞けば多くの選手たちが夜勤明けのコンディションで戦っていたと。工場の交替勤務明けの選手たちが、J入りを目指す栃木とアウェーを戦ったわけで、それがJFLや地域リーグの未整備さ、不安定さの面白さといえばそうかもしれませんが、でも”JFL脱会”の現実を突き付けられると寂しくて仕方がありません。少し前に、そういったサッカー環境について横河武蔵野の選手らに聞いたことがありますが、
「水島の選手たちも与えられた環境下でサッカーを楽しんでいると思いますよ。結果が出ていないだけで今の順位にいるのかもしれないけど、僕らもいつも苦しめられますから」
 数字に現れぬとも、ピッチレベルで、選手たちが肌で感じる対戦相手の息づかいなのだなと感じました。
 水島の脱会により、北九州と鳥取のJ2昇格で、地域決勝大会から3チームがJFL昇格とのこと。

■JFLは残り4試合 横河武蔵野に優勝の芽

 さて、その横河武蔵野が再び2位に浮上。10月の3試合を2勝1分で乗り切り、昨季の終盤、J準加盟クラブに連敗、失速し、ずるずると上位戦線から離脱していった反省を生かしまくり、今季はむしろ、ここに来て一気に上昇気流に乗っています。残り4試合で首位SAGAWA次第ではありますが、十二分に優勝の可能性はあります。勝点4差。SAGAWAは最終節に難敵・ホンダロックが控えていますから、さてどうなることか。
 これはいけるんじゃないのか? と話を振ってみても、
「まあ、どうなんでしょうかね、みんな優勝とか全然意識していない感じなんですよね。一試合、一試合を戦っているだけで」
 と、横河の選手たちは揃ってマイペース。変なプレッシャーも何もないので、SAGAWA次第ですが、SAGAWAは10月の3試合を2分1敗と足踏み。これは勝ち取ってしまうかもしれません。過去2006年シーズンの6位が最高順位。昨季、一昨季は7位と、JFL中堅クラブの汚名? を返上すべく、残り4試合に挑みます。

横河武蔵野の残り4試合
後14 11/08 FC琉球 A 沖縄市陸
後15 11/14 長崎  H 武蔵野
後16 11/21 びわこ A 湖南
後17 11/29 高崎  H 武蔵野

首位SAGAWAの残り4試合
後14 11/07 佐川印刷 A 西京極
後15 11/15 町田 H 佐川守山
後16 11/22 ジェフ A 市原
後17 11/29 ロック H 佐川守山

後期第13節終了時点の順位表
1 SAGAWA SHIGA FC   57 +23
2 横河武蔵野FC      53 +11
3 ニューウェーブ北九州  51 +16
4 ガイナーレ鳥取     49 +25
5 ソニー仙台FC      49 +9

 北九州も鳥取も、最後は滑り込みで4位以内を確保しそうですが、SAGAWAの優勝に待ったをかけるほど、この時期は余裕もないですからね。SAGAWA、武蔵野の優勝争いと見れるのではないでしょうか。楽しみです。

 鈴木康浩

健在ストイコビッチの皮靴ビューティフルゴールに感動

 お久しぶりです。ガガガガガガと原稿を書き続けておりました。時間がないない言いながらも、その間にyoutubeで池袋ウェストとかアカギとか今さらながらハマってしまったり、ハゲタカを何とか動画で拾ったり、じゃあ原作はどうなってんだと書店で探してみたり、そんなにしてませんけど、少しはしてました。
 で、突き抜けた感触を持てた作品が書けました。毎月、産みの苦しみを続けていまして、頭をグルグルしているときは9割方苦しいのですが、やはり書き上げたとき、思わず感動してしまったとき、その達成感、爽快感は、何にも代え難いのだと感じます。マラソンとか山登りとか、僕はどちらもやりませんが、そういう事なのだと思います。

 さて、僕がブログをサボっていた間に栃木は3試合も消化してしまいました。今さらレポートを書くつもりもなければ、後ろを向いてもしょうがないので、前向きに残り試合を楽しみに待ちたいと思っています。熊本戦の11月8日まではかなり間があきますね。今シーズンももう終わるというのに、この天皇杯中断は何とも皮肉な休養期間です。でも、前向きに、前向きに。残りはアウェーゲームも行けそうです。ただし、今年の地域決勝は長野県松本開催。最終節とバッティングしますが、こちらも気になります。現地に行って速報レポート&コラムとか、やりたいなあと考えています。状況が許せば。
 
 天皇杯でお邪魔させてもらったカマタマーレ讃岐も全社で敗退。羽中田監督の契約も今季までで、来季は白紙だそうで、地域リーグクラブの不安定さを感じては、これが現状の日本サッカーか、と痛感するところです。
 それにしてもストイコビッチのゴールは凄かった。確かに。今季のベストゴールでもいいねあれは。って、タイトルなのにこれだけ?(笑)

 鈴木康浩

【コラム】 味スタの天皇杯2回戦はJ1・FC東京の貫録勝ち! カマタマーレ讃岐は今週末の”全社”にすべてを懸ける

第89回天皇杯サッカー2回戦 味の素スタジアム 10月11日
FC東京 4−0 カマタマーレ讃岐
得点:1-0 梶山陽平(前10分)
得点:2-0 鈴木達也(前16分)
得点:3-0 ブルーノ・クアドロス(前35分)
得点:4-0 赤嶺真吾(前42分)


◆四国リーグ連覇ならず… ”全社”直前の天皇杯2回戦

091011_165149 バス1台32人、マイカー、飛行機、新幹線などで駆けつけたカマタマーレ讃岐サポーターは、一般ファンも含めて、総勢300人以上のゴール裏をつくりあげた






 試合後、ゴール裏まで挨拶に向かうカマタマーレ讃岐の選手たちの足取りが重い。見かねたサポーターたちが手招きしながら、温かい拍手で迎え入れた。
「よくやったんだから、上を向けー!」
 選手たちを鼓舞し、盛り立てた。続けて「エフシー! トウキョー!」とエールを送ると、味の素スタジアムの7千人から大きな拍手が沸き起こった。
 選手たちがロッカールームに消えると、リーダーらしき男性が、集まった300人以上のゴール裏の同志に呼びかける。
「応援ありがとうございました! 今週末は”全社”です! 会場は千葉です! ぜひ応援に駆けつけてください! よろしくお願いします!」
 今度は300人が自らを鼓舞するように、ゴール裏を拍手で包み込んだ。
 カマタマーレ讃岐は、10月8日に行われた四国リーグ最終節で首位ヴォルティス2ndに0対1で惜敗。”最終節に勝てば優勝=リーグ連覇=全国地域リーグ決勝大会(地域決勝)2年連続出場”のミッションに失敗。その3日後、気持ちを切り替えて挑んだ天皇杯2回戦・FC東京戦。4点を先行される苦しい展開ながら、後半は持ち前のポゼッションサッカーで、ゴールまであと一歩に迫り観衆を沸かせた。
 今季のクラブに残された唯一にして最大の目標は、10月16日から千葉県で始まる、全国社会人サッカー選手権大会(全社)での優勝。これが地域決勝の出場権を得るための絶対条件となる。一発勝負のトーナメントの初戦の相手は、こちらも関西リーグの優勝を逃し、まだ地域決勝の出場権を取れていない地域決勝の常連・ヴァンディオンセ加古川。その他、松本山雅FCや福島ユナイテッドFCら”天皇杯2回戦でJを破った”J入りを目指すクラブも出場する32チーム・トーナメントを制して初めて、カマタマーレ讃岐のJFL昇格が見えてくる。

羽中田昌監督率いる今が瀬戸際

「どこから地域決勝の切符を取っても同じですから」
 先ほどの、リーダーらしき男性が答えてくれた。
「去年は長崎にやられました。向こうは地域決勝を戦った経験があるだけに、試合の入り方に余裕を感じました。1枚も2枚も上という感じで…。うちの選手たちは、みんなプレッシャーを感じてガチガチになっていた。外から見てもそれがわかるんですよ。経験の違いを感じました」
 正門付近で帰り支度をする家族連れの男性たちに声をかけると、正直な胸の内を話してくれた。
「全社は平日にも開催されるから、なかなか応援に行くのは難しいけど…。僕らは準決勝まで勝ち進んだら、応援に行こうと思っています」
 今日の天皇杯に向けて、昨晩は7時に自家用車で香川を出発。合間に仮眠をとって今朝9時に到着した。
「羽中田監督って、すごい人じゃないですか。去年香川に来てくれたときはかなり話題になったんです。でも、羽中田さんがいつまでいてくれるか分からないし、今のうちに何とかJFLに昇格してほしいと思っています。サポーター以外の応援してくれる人たちも離れないように、香川県の地域的な機運がもっと高まって、これからもずっと存続できるクラブになってほしいです。だから、地域決勝を乗り越えようと盛り上がっている今が瀬戸際という気持ちはありますね」
091011_140445 ただ、遥々東京まで応援に駆けつけた天皇杯2回戦では、思いがけない嬉しい出来事もあった。隣の男性が笑顔で話してくれた。
「この子たちも、試合前のメインゲートで、チラシ※を配ったんです。そしたら、FC東京のサポーターが『がんばってくださいっ!』って、みんな声をかけてくれるんですよ。バックスタンド側のFC東京のサポーターも『もらっていいですか?』って、わざわざ取りに来てくれて……。嬉しかったし、温かいなあって。まあ、試合は別でしたけどね(笑)」
 天皇杯で対峙したJ1クラブとの初の真剣勝負。感じることは大だった。
「サポーターの応援も格好良かった。あんなノリで応援できたらいいなあと。香川でJリーグが開催されたら、どれだけ楽しいんだろう…今日は改めてそう感じました」

 鈴木康浩

※「プロジェクトさぬきうどん」というカマタマーレ讃岐の応援企画。一口千円〜支援できる。詳しくはチームのオフィシャルHPを参照して下さい。「カマタマーレ通信」もホチキス止めされ、選手らのプロフィールがコンパクトに知れて、天皇杯ファンのぶらり観戦には非常に助かりました。

新メンバーが長短見せる中で際立つ本田の安定感 やっぱりギラギラした奴が最後は勝つ! 岩政も勝てるぞ!

キリンチャレンジカップ2009 横浜国際 10月10日
日本 2−0 スコットランド
得点:1-0 オウンゴール(後34分)
得点:2-0 本田圭祐(後44分)


 代表戦の超雑感という感じで、お久しぶりです。
 新たに試されたメンバーが長短の特徴を見せる中、本田の安定感が際立ったと感じました。やっぱボールを受けたときにどっしりと安定感あります。受け方もボールの持ち方もいいんですよね。フリーキック時、カメラの寄りに応える、ギラギラした表情(笑)良かったです。俺がやるんだ、俺が蹴るんだ、的な。それにしても、決めますなぁ〜。

 森本はポストで入ったときに重量感を感じます。DFラインでの勝負も見応えあり。バタつかず落ち着きがある。軽さがない。1トップで入ったときの感覚はさらなる磨きが必要だと思うので、残り8ヶ月で使える試合は使ってほしい。ある程度の慣れは必要な印象を受けました。で、最後の腕に見えた”獅子丸?”って?

 セットプレー時のゴール前の岩政も迫力あります。鹿島のそのままで。CBの3人目と言わず、中澤、闘莉王に割り込むくらいの起用法で代表レギュラーCBに定着できると感じました。やっぱギラギラしてました。
 
 スコットランドは主力を欠いたとは言え、最後のDFラインはしっかり締めてくれていたので、それなりに崩し甲斐のある相手でした。こじ開けた感のある2ゴール。良かったと思います。

 岡田さん、やーまだを呼んでくれー。
 さて、明日は味スタでカマタマーレの奮闘を拝もうかと思っています。
 
 鈴木康浩

「根植のために」が3つ目の要素 数的不利を跳ね返して勝点3をゲット! 次戦の甲府戦は「3度目の正直」が見たい!

J2第44節 とりぎんバードスタジアム 10月7日
ファジアーノ岡山 0−1 栃木SC 
得点:0-1 岡田佑樹(前28分)


 逃げ切りました。ディシプリン発揮でした。前半早々の退場で10人、それでも勝った。こういう経験は大きいです。大きな勝点3です。

 前節の後半の不出来、気の緩みらしきミス増加の要因は、メンタルを向上させるべき「共有できる目標」の欠如ではなかったか、と感じました。今節の栃木が迎える状況には、「前節の悔しい失敗を生かして何としても結果を出す」「16位岡山を直接叩いて順位を入れ替える」と、二つの共有しやすい目標がありました。
 そこに前半早々の根植の退場で「数的不利」の要素が加わった。「根植のために」チームの意志はよりシンプルに強固に、それが勝点3につながった。リード時の数的不利なら”逃げ切り”ですが、0対0からの数的不利、そこでゴールを奪っての勝利。これはもう勝点6くらい価値ある勝利です。台風接近のアウェー勝利だから勝点8くらいでもいいでしょう。

 前節同様、1点リードして迎えた後半、「このままでは終われない」とばかりに岡山も素早くボールを展開して、何度も打開を試みました。栃木は、局面、局面で前節よりもミスの数は少なかったと思いますが、でも単純なミスもありました。相手のクロスボールを跳ね返したあと、セカンドを拾っても、数的不利の影響で前線に人がいないがために、ボールを繋げず、前に運べず、苦しい時間も続きました。
 それでも、選手たちは集中を切らさず、互いのフォローに走っていました。攻守の切り替えも速く、相手にとっては脅威的なハードワークぶりでした。一方で、数的不利を十分に考慮して時間を使える場面は最大限利用する。そこに前節の”緩み”はなく、3つの「共有できる目標」が選手を繋いでいたと強く感じる内容でした。
 
 やはりチームは水物だと感じます。安定はしていない、安泰もない、だからこそ、修正が重要で、選手には対応力が求められる。下を向いたチームを引き上げるのは、選手たちの強いメンタルだと感じます。それが松田監督に導かれ、共有の目標に導かれ、同一方向を向いたなら強度も増す。戦術は二の次ではないでしょうか。
 第3クールの好調さは維持しています。天皇杯を挟んで、次戦は甲府戦。仙台、セレッソに続く昇格を争うチームとの3度目の対戦。本格化した栃木の”3度目の正直”を見たい。

 さて、この原稿を書いている8日午前4時現在、NHKニュースが「台風18号、東海に上陸の恐れ」と報じています。チーム、そして、平日の夜に鳥取まで駆けつけた少数精鋭の栃木サポーターたちは、無事帰って来れたのか心配です。どこかで足止めされているのでしょうか。放送を通じてゴール裏に「Keep on Fighting」とサポーターの姿を確認したときは感動すら覚えました。当たり前の光景、じゃないです。本当にお疲れ様でした。
 うお、今、行政から「大雨洪水警報」なるエリアメールが届きました。「十分な警戒を」とのこと。これは大変だ。

 鈴木康浩

武蔵野は手痛いドロー、王者らしからぬバタつきを見せるHonda  アマチュア最高峰の試合は両者譲らぬスコアレスドロー決着!

JFL後期第11節 武蔵野陸上競技場 10月4日
横河武蔵野FC 0−0 HondaFC


 愛媛戦の夜、武蔵野にとんぼ帰りした翌日、JFLの横河武蔵野vsホンダを取材。緊迫感のあるスコアレスドロー。両者譲らずに勝点1を分け合いました。アマチュア最高峰を感じる試合でした。

 今季の武蔵野は「突破」をスローガンに掲げ、テンポの良いパス回しから、要所のドリブル突破で相手を翻弄。王者ホンダ相手にも満足できる試合展開を披露してくれました。

 相手陣内深くに攻めこみ、サイドでボールを受けたFWやMFが、相手DFを背中に抱えながら反転してドリブルで抜けていく。ホンダの守備がお粗末なわけではありません。武蔵野の選手たちの、見ていてスカッとするような見事な突破力。試合後に武蔵野の依田監督に話を振ってみると、
「今季はサイドの攻防になったとき、みんな背中でDFを背負っていても、サイドに追い込まれた感じは持ってないと思うよ」
 とのこと。選手たちがストレスなくプレーしている印象なんです。
「今日だって、ホンダ相手にゲームをコントロールできているでしょ?」
 ですね、納得です。この日は、内容は完勝、あとはゴールだけ、という試合でした。武蔵野が抜け切れないのは、最後の仕事人がいないからです。

 今季のホンダは結果だけ見ればイマイチな印象が拭えませんが、いやいや、やっているサッカーは王者のそれです。2トップの鈴木弘大、新田純也の破壊力は健在。この日も、良質のクロスにピンポイントで合わせた場面に、800人を超えるメインスタンドの観衆から、ため息ともとれる歓声が沸き起こりました。個人的にはこの2トップ、J2でもベスト5に入るのではと思っています。
 
 ただ、”王者”らしからぬ光景もありました。
 71分に入った、ユース所属のままトップに引き上げられたのでしょう、若手選手が、交代出場直後のファーストプレーでミス。ボールを奪われてバタつくと、その14分後、相手がキックしたボールを至近距離で顔面に受けてしまい、そのまま担架でピッチ外へ。うずくまるその若手選手に監督が近寄り、わずか14分のプレーで見切ったのでしょう、何やら腕時計を指して、納得させている。その若手選手がうなずくと、ベンチの選手がユニホームに着替え、そのままピッチ内へ。
 しばらく下を向いてうずくまっていたその若手選手は、冷静になったのか、むくっと起き上がると、その場にあった給水ボトルを蹴り上げて、鬼の形相でロッカールームに消えていきました。監督はテクニカルエリアで指示を出していたので気付いていないようでしたが、ベンチのコーチ陣がその若手選手が消えていく背中を気にする様子も。
 今季のホンダの順位を象徴している、とは言いませんが、王者らしからぬバタつきを感じました。 

 今節は、首位SAGAWAも2位北九州(※新名称の「ギラヴァンツ」ってすごい思い切った感がありますけど、そう感じるのは私だけ?)も足踏みしただけに、武蔵野にとっては手痛いドロー。
 ロスタイムの決定機もねぇ…関野ぉ決めろよぉ…。

 試合後は、子どもたちにピッチを開放してのミニサッカー交流会。なななんと! さっき試合に出ていた疲労困憊の選手たちが、子どもたちのお相手をしてしまう大サービスぶり。
「選手たちにはかなりハードですけどね」
 とクラブ関係者。でも、これはいい企画だ。
 横河武蔵野はJ入りを宣言してませんけど、地域密着には必要な取り組みだと感じます。

第11回JFL順位表 (後期第11節終了時点)残り6試合
1 SAGAWA SHIGA FC 55 +23
2 ソニー仙台FC 48 +10
3 ニューウェーブ北九州 47 +15
4 横河武蔵野FC 47 +9
5 ガイナーレ鳥取 45 +22
6 町田ゼルビア 45 +6
7 佐川印刷SC 41 +9
8 V・ファーレン長崎 40 +3
9 ジェフリザーブズ 40 0
10 Honda FC 38 +7
11 MIOびわこ草津 38 +5
12 アルテ高崎 36 -6
13 ホンダロック 35 0
14 TDK SC 34 -18
15 流通経済大学 32 -16
16 FC琉球 31 -10
17 FC刈谷 22 -27
18 三菱水島FC 15 -32

 鈴木康浩

愛媛のゆるゆる作戦に付き合ってしまった? 共有できる目標を持って、ディシプリンを発揮しましょう。

J2第43節 足利陸上競技場 10月3日
栃木SC 1−1 愛媛FC 
得点:1-0 岡田 佑樹(前43分)
得点:1-1 横谷 繁(後44分)


 東武伊勢崎線の足利市駅に到着して、プシューっと音がしたのでさあ出ようと思ったら、閉まる方のプシュー、でした。ええ、はい、乗り過ごしました。いや、加部究さんのコラムを読んでたんですけど、そしたら、1回目のプシューに気付かなかったんです。すげえな加部さん、どんだけ読者を惹きつけんだよ、羨ましー俺もそんなんなりてー! と思いました。
 まあ、取材当日は2時間前行動しているんで、何も問題なかったですよ。ゆったりとした渡良瀬川も堪能しながら、駅から25分くらいかけて、とおーくに黄色の背中を発見してね、ああやっと競技場か、と思ったら嬉し……てゆうか、早く本題入れってか。

 何ともいえないドローですね。
 予兆はあったと監督も選手たちも言っているように、後半のミスが誘引したFK、そして失点。GK柴崎のミスがクローズアップされてしまうには可愛そうな、後半の不出来が引き起こした終盤の悲劇。
 なぜ、失点を招く流れにしたのか、ミスを重ねて、みすみす流れを明け渡したのか、ですよね、今日の試合は。
 
 今日は相手の愛媛が相当走れていませんでした。セレッソ戦に比べれば天地の差がある中盤の圧力。ゆるゆるでした。特に後半の立ち上がりはもう、これは楽勝だなと、眠くなるようなゆったりとしたゲームの流れ。ああこの感じは、まるで渡良瀬川のようだ、なるほど、駅から歩いてきた風景が、こんなふうにコラムに生かされるのか、なるほどね、と早くもひとり勝利ムードでパソコン打ってたんです、『栃木がホーム連勝記録を3に伸ばした』的な締めでね。
 
 なのに、うーん、あれ、流れが、だんだん、悪くなっていくよ。もしや付き合ってしまったんじゃないでしょうか。愛媛のゆるゆる作戦に。いや意図的ではないですよね。バルバリッチ監督は苦悶の表情を隠せない様子で、テクニカルエリアぎりぎりで指示を出しまくり、選手らも通訳を介して何とか理解しようとしていましたが、それがピッチ上にすぐさま反映されるほど、5連敗中のチーム状態は良くないように映りました。

 緊張感のある相手には緊張感のある試合を、そうでない展開ではその展開の流れに乗っかってしまう。それは経験の浅いチームのやってしまう致命的なゲーム運びのミスだったり、しますよね。
 ゲームの流れをコンダクトする選手がいれば、もっとディシプリンされた後半が展開できたかもしれません。鴨志田でも本橋でも宮本でも落合でも。彼らにはできますよ。できなかったのは、勝点3に対する執念の問題でしょうか。そんな事ないと思うんですけど、万が一それが薄まっているとしたら、ギア入れ直していきましょか。今日の感じだとアウェー岡山戦も危ういので、天皇杯で岐阜に勝って浦和とやる、というモチベーションであげましょうか。
 クリアすべき目標、それを決めて取り掛かる。”連続勝星なし”から抜け出した、連勝もした、これから最終盤の目標はどこに置きましょか。今のピッチ上は、元気のある選手と、そうでないムラのある選手とが、混在しています。選手らが共有できる目標は? 今までと同じ試合展開の繰り返しでは、90分間の間が持たない? でも、選手たちには来季に生き残れるか否かが、現実問題としてあります。

 鈴木康浩

JFLや天皇杯や監督続投や永井健太や、最後は讃岐の話

 JFLもいよいよ優勝争いが佳境に入ります。
 SAGAWAの逃げ切りは硬い、ようです。
 北九州が2位に浮上。前節、ガイナーレ鳥取横河武蔵野とホームでドロー。現在5位。J2昇格圏外と苦しい戦況です。来季のJ2昇格を狙うこの2チームの動向は目が離せないですね。

 鳥取は昨季、最終節で敗れて5位。勝点3差でJ昇格を逃す悲劇を味わいました。ヴィタヤ・ラオハクル監督は今季で4季目。昨季の悲劇を受けて残留したとのこと。「昇格せねばタイには帰れない」と言ったかどうかは不明ですが、今季もギリギリの戦いを強いられ、タイの英雄も苦しい状況です。
 先日、武蔵野陸上競技場で鳥取出身のある三鷹メディアの方から、
「今度の横河武蔵野戦、新宿のスポーツバーで中継やりますから、良かったら観に来てください」とのお誘いを受けました。鳥取サポーターの熱い声援の只中に潜入できると胸躍らせたのですが、栃木SCのセレッソ大阪戦とバッティング。栃木戦は録画でもいいかな、と思ったのですが、生中継の誘惑には勝てませんでした。

 町田長崎が今季のJ2は断念とのニュース。来年までに条件を整えて再度J昇格に臨むとのこと。競技場確保と入場者数に苦しんでいるようですね。ある程度のお金さえあれば、質の高い選手はかき集められますが、行政の協力や巨額が必要な競技場の確保、それと地域的な機運を盛り上げ、それを入場者数に結び付けるのは、一朝一夕には行かないようです。

 町田の戸塚哲也監督は、医師免許を持たない凄腕「ブラック・ジャック」に喩え、また「流しのブルペンキャッチャー」のごとく、Jクラブで監督ができるS級資格を持たずして、地域リーグのクラブを3季連続でJFLに昇格させた昇格請負人として、サッカー界の「ブラック・ジャック」と呼ばれているようですが、この度、S級資格の取得に動いているようです。あのグラサンの向こう側にしっかりと将来のJクラブ監督像を描いているようです。町田で長く指揮するつもりなんでしょう。2011年のJ参入に向けて、着々と準備を進めています。
 小嶺王国・長崎は、まさに元国見高総監督・小嶺忠敏氏がクラブの代表取締役、そして長崎県サッカー協会会長を兼ねる態勢で、2011年のJ参入を目指すようです。
 町田も長崎も今季のJ昇格を断念しましたが、来年以降、地域リーグから参入してくるクラブよりも、チーム強化という観点以外の、ハード面、運営面、財務面、経営面など様々な観点から、十分なリードを保って来季の準備を整えられるといった感じでしょうか。

 それにしても、首位鹿島が3連敗したり、ヴェルディがホールディングス化で生き延びたり、何となく落ち着きのない今季終盤のJリーグですが、清水・長谷川健太監督の続投が早々に決まったニュースにも驚きました。
 2005年から指揮を執り、来季が6年目とのこと。2006年から昨季までJ1ですべて5位以上だったんですね。今季も首位鹿島に勝点1差の2位と優勝も狙える位置につけています。
 長谷川監督と言えば、2006年の天皇杯。清水と栃木SCがファイナルスコア6−4の打ち合いを演じた試合。戦った栃木の選手らに話を聞くと、横山選手とか西川選手とかが「0−4からの打ち合いにあまり意味はない」とコメントしてくれました。にしても、これからJ昇格を目指す当時の栃木のサポーター・ファンらにどれだけ勇気を与えた試合内容と結果だったことか。あの試合の栃木SCのマン・オブ・ザ・マッチは永井健太君だったと思います。反撃の口火を切る只木のゴールを生んだ豪快なミドルシュート、茅島からの左クロスを豪快なインサイドボレーで叩き込んだとき、長谷川健太監督が何とも言えない苦い表情で、日本平スタジアムの天を仰いだ姿が、今でも忘れられません。
 懐かしいなあと思って調べてみたら、永井健太選手、今は栃木県リーグ1部の足利御厨UNITEDでプレーしているようです。ああ、2年前だったら栃木県リーグでプレーしていた、ゴッツぁんゴール型ストライカーの僕とも、対戦の機会があったのかもしれないのですね。くやしーですっ!
 
 さて、その天皇杯2回戦がいよいよ10月11日に迫ってきました。栃木SCは岐阜のリベンジを絶対に許してはなりません。ヴェルフェたかはら那須は京都と西京極で。高秀のゴールを期待。
 その他のカードで注目しているのは、我が第二の街・武蔵野の雄、横河武蔵野FCが大分トリニータと対戦。大分が「せめて天皇杯だけは」と躍起になるのだけは避けたい。
 僕の友人の故郷、山口からJを目指す、多々良学園OBがほぼ母体の「レノファ山口」が川崎フロンターレと。等々力競技場13時キックオフ。川崎はACL制覇が消えましたからね、天皇杯は気合いれてくるんじゃないかと思うと、地域のクラブには厳しい戦いが予想されます。
 もうひとつの注目カードは、FC東京対カマタマーレ讃岐。浦和狂だった僕の大学時代の友人が香川に転勤し、今夏に茨木の土浦にまた転勤、関東復帰を果たしたわけですが、この間「浦和どうなのよ」的な電話をしてみたら天皇杯の話になって「カマタマーレ讃岐はFC東京と味スタでやるぞ」と思いがけない言葉が。携帯の友人に向かって、思わず目を細めてしまいました。友人が眩しく見えた。環境は人を変えるとは、この事かと思いました。
 それはさておき。
 その羽中田昌監督率いるカマタマーレ讃岐がFC東京と味スタ15時キックオフ。とは言え、カマタマーレは現在、四国リーグでヴォルティス2ndと熾烈な首位争いをしている最中なわけで(12試合を終えて、11勝1敗で勝点1差の2位。ヴォルティスは11勝1分。10月8日に直接対決の最終節)。万が一、四国リーグでの優勝を逃した場合を考えると、10月17日から控える「全社」こと全国社会人サッカー選手権大会を勝ち抜き、全国地域リーグ決勝大会出場の道も残さねばならない、という相変わらずJ参入を目指すチームに容赦ない、日本サッカー界の仕打ちが待ち受けているのです。天皇杯どころじゃない、という状況なのです。
 がんばれ、鳥取、北九州、横河武蔵野、栃木、ヴェルフェ、レノファ、讃岐!

 鈴木康浩
Profile
関東大学サッカー2部開幕戦 成蹊対順天堂
■鈴木康浩 suzukiyasuhiro
スポーツの原稿書いて生きてます。小2からサッカー歴20年。スポーツよりも人を書くのが好き。というか得意。と思って様々なスポーツ人を書いてきたけど、やっぱりサッカー人を書きたいと現在に至る。78年、宇都宮生まれ。J2栃木SCは心の支え。現在、東京都武蔵野市在住ながら、週刊サッカーマガジン栃木SCの担当。編集者さん巻き込んで栃木SCを盛り上げたいと思っています。「何事にも腰を据えて。一歩一歩確実に、着実に。根を張って、辛抱、実力はそれから伸びる。そして仕事は丁寧に」が信条。
E-mail:
yas-s.19@hotmail.co.jp
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