スポーツライター鈴木康浩のブログ

物書きです。サッカー全般の取材しています。J2栃木SCは濃い目に取材しています。

オフィシャルウェブサイトを開設しました。

ライター鈴木康浩はオフィシャルウェブサイトを開設しました。

http://www.office19project.com/

上記サイト内でブログも展開しています。
今後は以下のブログ内で近況を報告していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

http://www.office19project.com/#!blog/kenrb


 鈴木康浩

栃木SCを書く媒体が一つ増えた

すごい久しぶり更新。
このブログ、何年もこんな放ったらかし状態からまた書き出して、また放置して、というのを繰り返しながら残っているというのがすごいね。ブログってずっと残るんだろうか。

さて、今季もいよいよJリーグが開幕間近だが、僕は栃木SCを書く媒体が一つ増えた。エルゴラッソだ。僕は栃木SCを取材して今季で11年目を迎えるのだが、なんというか辻仁成ふうにいえば、「やっとあえたね」ということになる。別れることにならないように精進するだけだ。

僕が栃木SCについて書いている紙媒体を整理する。

・エルゴラッソ(原則、月、水、金発行紙)
・J2マガジン(毎月12日月刊誌)
・栃木スポーツ応援マガジン(毎月20日発行、フリーペーパー)
・TonTon(坂田新聞店発行、毎月1日下野新聞折り込み誌)

今季からJs'Gaolが統合されて実質なくなるから、J2サポーターは自分のクラブの情報、たとえば、試合後の選手・監督のコメントをどう収拾するのだろう。各クラブのオフィシャル系でその辺りを発信しているか、それに絡んだ番記者さんが有料メルマガなんかをやっているクラブはそれを頼りにすればいいのだろうけど、現状、栃木にはないね……。考えなきゃいかん。
情報循環は血液循環のようなもの。滞れば癌化する。

 鈴木康浩

結果だけ見れば惨敗だが日本代表のスタイルは示した。あとは手付かずの守備に着手することが第一。

 日本代表のブラジルW杯が終わった。思うことを書き残しておきたい。このブログもだいぶ放置してしまったからね(笑)。

 この大会だけで惨敗、全然世界と差があるというのは少し違うと思う。ずっとスタイルを模索してきて、ようやく形になって、今回は結果はダメダメだったけどスタイルはこれでいけるんじゃない? くらいまでのレベルには到達した。大会に入っていく準備やメンタルなどを総合的に上げていかないといけないのは間違いないが、この何年間で、ずっと追い求めてきたスタイルの方向性を確信するには十分前進したと思う。その意味でザックジャパンがやったことは大きな意味を持つ。
 そんななかで僕自身は、今の攻撃スタイルを維持したまま、一方で、守備の強度だったり、組織で守るときの方法論だったりを習得するのがベストだと考える。そういう戦い方ができれば幅が出るし、幸い、長らく栃木SCを取材していて守備の方法論を持っている指導者に出会えたので今後はその方向性の発信を増やせればいいなと。

 攻撃面については引き続き精度をあげていけばいいとして、今後、日本代表が手付かずになっている「守備力をあげる」というテーマで整理すれば……
 
 個々の課題として言えるのは、やはり、球際の部分。育成年代でも日本のチームが海外遠征したときに持ち帰る課題は「ゴールへの意識」と「球際の激しさ」。前者についてもまだ足りないが随分と改善されたとして、後者についても日頃の意識レベルから劇的に変わる必要がある。育成年代から地道に働きかけていくほかないのだと思う。道は長い……。

 チームとしての守備という観点でいえば、今の攻撃スタイルを維持することを前提に考えるが、崩しの精度をあげてフィニッシュで終わる回数を増やす、これでカウンターを受ける回数も減る。
 ショートパスのつなぎの部分でミスをした、奪われたときにはすぐに奪い返せるように選手たちの距離感を保って攻撃する精度を上げる。それでもすぐに奪い返せず、囲い込みをくぐり抜けられてカウンターを食らってしまったら、それこそ猛烈な勢いで帰陣する(それだけの守備意識をあらかじめ持っている文化を醸成するという意味で壮大な取り組みなのかもしれないが)。
 それでも日本人の個々の身体能力を考えれば、コロンビアみたいに相手のカウンターが鋭かったり強みを持っていたりするとやられてしまうけれど、そのリスクは覚悟の上。それが“前からいく”という攻撃スタイルが同時に持つべき考え方や心構えだろう。
 たしかにそれには勇気が必要で、その勇気が今大会の代表に足りなかったのかどうかは僕にはわからない。
 あるいは攻守のバランス感覚。イケイケドンドンではなく試合運びに緩急をつけるということだろうか。被カウンターの回数を減らすための攻守のバランス感覚の重要性といったところの話。
 それとボールキープのためのポゼッション。フィニッシュまでいくことを目指すポゼッションではなく、あくまでボールキープをするため、つまり、守備をする時間を減らすためのポゼッションをする時間帯をつくる。スペインなどはリードしたときによくやる方法だ。
 
 最後に、自分たちがボールを持てない、自分たちにリズムがないとき、守備をしながら我慢しないといけないときの方法論。まあ、これが一番言いたいことだが、それが組織的守備であり、一般にいう、ゾーンディフェンスだ。
 日本代表にはこの考え方がなかった。というか、そもそも日本サッカーには未だに組織的に守るという概念が存在しない。ゾーンディフェンスという考え方がないし、ほとんどの選手たちが実は、知らない。

「ゾーンディフェンスとはマークを受け渡して、自分のエリアに入ってきた選手に対して守備をすること」 

 これはまったくの間違い。だが、トップレベルの選手ですらそのように考えている選手が少なくない。というか、むしろ多い。J1のチームの守備はほぼマンツーマンか誤った認識のゾーンの併用。ときどきコーナーキックをゾーンで守っているチームがあるがそれはそれで、オンザプレーでのゾーンディフェンスの概念は日本サッカーにはほぼないと断言してもいい。

 僕は栃木SCの取材を長年していて松田浩というゾーンディフェンスの名手に組織的守備の方法論を学んだが、その間も栃木にレンタルでやってくるJ1の選手が「こんな守備の方法は教わったことがない」と驚愕するのが常だった。松田氏が教えていたのは基本的なゾーンディフェンスの方法論で、これは90年代にイタリアでアリゴ・サッキが提唱して欧州を席巻した守備の方法論なのだが、これが日本まで十分に到達しなかった。松田氏などがJリーグで実践しても日本では「守備的だ」と揶揄されてしまうのがオチだった。

 ザッケローニも就任早々、初戦となったアルゼンチン戦前の短期合宿で、日本代表に招集された選手たちにまず守備戦術の指導に当たっていたようだが、新聞報道では、ある選手が「こんな守備の方法は教えられたことがなかった」「守るときの身体の向きがまるで逆なんですよ」などと驚いた様子が紹介されていた。つまりはそれが日本サッカーに守備戦術が皆無だという状況を端的に示していた。ザッケローニが教え込んだのは、守備戦術のおけるポジションニングや身体の向きなど基本的なものだったようだが、それすらも日本代表クラスの選手たちには真新しかったのだ。
 その後の日本代表は、ときが進むにつれて、組織立った守備戦術というものが感じられなくなった。一方で、攻撃面ばかりがクローズアップされるようになった。ザッケローニは、基本的な守備戦術すら把握できていない日本の選手たちに、守備戦術を浸透させるのを諦めたのではないだろうかと推測したくなるほどだ。

 ではゾーンディフェンスとは何かを改めて書いておこう。
 これはボールを中心に選手たちそれぞれが守備ポジションを決めて陣形を組む組織的守備の方法論。ボールを中心に守備ポジションを決めるから、相手の動き出しに左右されにくい。相手の走りだしに釣られて、そこにスペースが生まれる、なんて考え方はしない。
 よく相手のサイドバックの駆け上がりに対して、サイドハーフが仕方なく追いかけて最終ラインで守備をしなくてはならない、などという状況が発生するがそれはマンツーマンで行っている“頑張る”守備を指している。南アW杯の日本代表の守備がそれだ。しかしこの守備方法はかなり非効率で、サイドハーフが最終ラインに吸収されてしまい、ボールを奪った瞬間に攻撃へ移行できない。体力も奪われてしまう。大久保嘉人や松井大輔がそうだったように。

 今大会の日本代表もそのままだった。初戦のコートジボワール戦。あの連続失点をくらった場面は明らかに日本の時間帯ではなかった。耐える時間帯だった。その左サイド。そもそも香川真司は守備が苦手な選手だが、長友佑都との守備の連携がとれておらず、香川は自分のマーカーに釣られて中に引っ張られ、長友は相手のサイドハーフに最終ラインまで押し込まれ、クロッサーとなった相手のサイドバックをまったくフリーな状態にしてしまった。
 あの状況のときにゾーンディフェンスで対抗できていたならば、あれだけクロッサーをフリーにすることもなかった可能性がある。相手がどれだけ高い位置をとってこようと、サイドから中に走り出されようとも、その“人”にはまったく釣られないので守備ブロックの陣形は崩れない。あくまで守備をする対象はボール。ボールホルダーに対して一番近い選手のファーストディフェンスが行われ、その味方選手に対して次の選手の守備ポジションが決まるので、守備が連動し、隊列を組んで相手のボールホルダーにプレッシャーをかけることができるのだ。つまりそれは、相手にボールを持たせながら主導権を握るということでもある。

 今大会でいえば、アルゼンチンに対峙したカルロス・ケイロス率いるイランの守備は見事だった。ボールを握ったのは終始アルゼンチンだったが、イランはペナルティエリア内にリトリートして引きこもるのではなく、選手たちの距離感を保ちつつしっかりゴール前にDFとMFの2ラインを形成して、ボールを中心に守備をしていた。なので陣形が崩れず、FWも含めた3ラインの守備がきっちり連動していたので、アルゼンチンに十分なスペースを与えていなかった。アルゼンチンの選手たちは動き直しを繰り返して、イランの選手たちを動かしてスペースを作ろうと試みていたが、ついにイランの守備体系は崩れず、まったく動じなかった。それどころか守備陣形が高い位置を保てているので鋭利なカウンターを何度も打ち込んでゴールの匂いをプンプンと漂わせていた。最後にはメッシがスーパーゴールで仕留めて勝利を手にしたが、そのメッシが「イランは難しい相手だった。スペースを埋めるのがすごくうまい相手だったからね」というニュアンスのコメントを残している。

 そう、この“スペース”という概念が守備戦術においてすごく重要なのだ。これは人に対して守備をするマンツーマンでは育ちようのない概念で、ボールを中心に仲間の動きに連動するゾーンディフェンスのような守備戦術を習得するからこそ身につくもの。守備時にちょっといびつで、気になるスペースがあれば埋めようとする守備の習性のようなものだ。日本はコートジボワール戦で相手に明らかなスペースを与えてしまったがゆえに失点を喫してしまったが、あのときに落ち着いて、選手たちが守備戦術をもとに連動して動き、気になるスペースを埋めようとする“スペース感覚”が養われていれば、マンツーマンがゆえに選手たちの距離感がぐじゃぐじゃに乱れたり、ドログバが投入されても混乱したりすることなく、違う結果を勝ち取っていたかもしれない。

 ただし、この組織的守備、ゾーンディフェンスは一つの守備の方法であって、逆に言えば、一つの攻撃的守備、つまり堅固な守備から鋭いカウンターを打ち込むための方法論でしかなく、もちろんすべてではない。イランはこの次の試合でボスニアと対戦したが、先制されて結果1対3で敗れた。イランにはゾーンディフェンスで守って戦うだけの方法論しかなかったのだ。そういうチームは先制されると弱く逆転する力を持ち得ない。つまり、ボールを握って自分たちで能動的に相手を崩すだけの方法論を持っていないチームは攻撃で手詰まりを起こしてしまう。

 だが、現状の日本代表はイランとは異なる。南アW杯のマンツーマンによるベタ引きの守備的な戦い方を後悔し、その大きな反動に突き動かされるように一気に攻撃サッカーにシフトし、それを本大会で実行しようとした。結果として“日本らしいサッカー”はこれまでのように称賛される機会はないままに幕を閉じてしまったが、冒頭にも書いたが、スタイルの方向性を示すという点においては成功したように思う。少なくとも、2006年ドイツW杯で同じような結果で惨敗し、焼け野原状態になって、次に進むべき道をどう模索していっていいかわからないという状況と、今とではまるで日本代表の立ち位置は異なる。

 今大会の日本代表のチャレンジは結果だけを見れば明らかに失敗に終わったが、日本サッカーが長らく追い求めてきた“自分たちのスタイル”は芽を出したのだからそのまま育てていけばいいのだ。
 それと同時に、まったく手付かずの守備について、一から学んでいくことを始めればいい。理想は、日本代表に招集される選手たちすべてが守備戦術のイロハをしっかりと抑えているレベルに到達していること。つまりは所属クラブで習得するか、育成段階から教え込まれた選手たちが巣立つ環境を作り出すこと。長い時間と根気がいる作業だろうが、その方向に必ず希望はあると思う。


 鈴木康浩

フットボールサミット第20回「ヴァンフォーレ甲府 プロヴィンチアの流儀」発売

甲府はエレベータークラブと言われるじゃないですか?
と聞いたら、いや違いますよ、うちはずっと右肩り上がりですよと、
2003年から甲府に在籍する山本英臣キャプテンが言っておりました。

瀕死状態だった甲府は2005年の昇格ですべてが回り始めたクラブ。
実力不足は関係者のほぼ全員が自覚していたとき。
それからJ2に落ちようが再昇格しようがまた落ちようが
生え抜きのベテラン石原克哉選手も言ってましたけれど
本人たちの感覚ではずっと右肩上がり。
J1の華やかな世界を知った地域の人たちがまたあの舞台でやろうぜ!
と強力に支えてくれるからですよ。そういう人たちがどんどん出てくる。

エレベータークラブというのは客観的な結果からそう呼びたい、
外部の人間の発想なんだろうなと。
周到に準備して昇格しようとするのは当然ながら健全だけど
チャンスというのはいつだって身の丈に合わないタイミングでやってくるもの。
俺にできんのかな? と思っても、えいや! でやってしまう度胸や突き進むタフさがなきゃチャンスはつかめない。
と、プロヴィンチアの星・ヴァンフォーレ甲府、その特集号が申しております。

昇格できるチャンスなんていつやってくるかわからない。
環境面だとか財政面だとかどうせ完璧な準備なんてできないんだから、心の準備くらいはしておこうぜうちも、と思います。
単なる甲府本じゃなくて、プロヴィンチアを自認するすべて人たちにおススメ。
本日発売。「はくばく」長澤重俊社長の甲府愛まで収録。

 鈴木康浩

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一回息継ぎ

書いていいのに書かないとはどういうこっちゃ!
と思っているかたもいるでしょう。

しかしながら忙しい。
一回息継ぎです。
また潜ります。

近いうちにお会いしましょう。
もうすぐが3月か。もう開幕か。

 鈴木康浩


■最近の仕事
○フットボールサミット第18回 
 アルビレックス新潟・田村貢社長インタビュー
 『ビッグスワンに集う必然性を求めて アルビレックス新潟に見る経営のリアリティ』
 アルビレックス新潟・山本英明営業部長インタビュー
 『営業マンのおもてなし 僕らがやるのはお金を集める営業ではない』
○フットボールサミット第19回
 川崎フロンターレ・パウリーニョインタビュー
 『愛される必然』

OBマッチ〜新体制発表記者会見

先日の栃木SCチャリティマッチでOB戦に出場したときの
筋肉痛がまだ残っている(笑)。土踏まずの内側が張っている(笑)。
ちなみにあれは自分で出場権を落札したのではなく
ある方のご厚意で出場させてもらったもので、
まさかの前日出場言い渡しというサプライズだったわけだが
めったにない経験をさせてもらって本当にありがたくうれしかった。

試合前、円陣を組んだときにみんなが「これ、どれくらい本気でやんの?」
って顔を見合わせていたところに只木さんがコイントスから戻ってきて、
「只木、本気やんの?」という問いかけに対して「もちろん本気で」と即答。
それでみんなのスイッチが入りました。さすがミスターだった。
というか、僕はマジかーと思っていたのだけれど(笑)。
でも非常によい経験で、米さんから試合中、「スズごめん、いっこ遅かった」などと
元日本代表に謝ってもらったり、20分間を終えてベンチに戻ると高橋さんに
「何本外してんだ!」と笑いながらもまあまあ当時の雰囲気そのままに一喝
されたりとそんな経験はできませんよふつう。
来年もしまた開催するとしたら、OB戦の出場権はオークションで跳ね上がる?
かもしれないなあ。

さて、OB戦も終わったところで栃木SCは新シーズンに突入。
僕もなんだかんだ前夜祭トークショーで言ったりしたけれど
結局、前に進むしかないのだよ。

2014シーズン新体制発表記者会見に顔を出してきた。
広報に確認したところ試合以外の情報ならこのブログにも書いてよいらしい。
なのでちょっとだけ。
昨シーズンまで中心だったブラジルカラーは一掃されて
今季は誰かを中心にチームが形成されることはなく「チームで闘う」にシフト。
出場機会が少なかった選手が多いからまだシーズンが始まって
みないとわからない部分はあるけどハングリーさを持った選手は多い印象。
阪倉さんの下、ぜひよい方向へ進んでもらいたいなと思う。
初日顔合わせとして印象に残ったのは瀬沼君かなあ。
俺はやってやる感が半端なかった。発言の力強さというか。
きっと彼の強いメンタルは魅力的な何かをチームにもたらすでしょう。
あと、杉本のマコっちゃんが背番号10番。
周りは本人が志願したというが本人に確認するまではわからん。
マコちゃんが志願するなんて……何があったのよ。

ちなみに今季は25人体制。
フィジカルコーチも不在となってケガ人管理は何とかするらしいが
ケガ人が多発した、困った、という状況になったときに
引退後即トップチームコーチに就任した本橋卓巳が効いてくるのだと
上野強化部長が言っていた。ああ、確かに。
紅白戦で一緒にプレーすることがメインになるようだけど、
もしかすると状況次第では現役復帰なんてことも……。
まあモツさんはケガさえなければ引退することもなかったし、
てゆうか引退は早いでしょうが、モツさん。
そんなわけで今日は今シーズンの初練習です。

そういやこのブログで栃木SCの話題を書くのも久しぶりか…。
今までは書けなかったけれど書いていいとのこと。
クラブも変わりつつある証拠かもしれない。
大手メディアが来ない地方クラブにとって日々の情報は血液循環そのもの。
何でもいいから情報が流れるようにすることは死活問題だし良いことです。


 鈴木康浩

今年最後の重い原稿校了

またもや更新が伸びてしまった。
今年最後の重い原稿を書き上げて
今日の昼頃に編集部に送信した。
重い原稿でかなり苦戦したがそれなりの反応だったのでほっとしている。
担当編集者はライターにとって最初の読者なのでいつも少なからず緊張する。
自分で自分の原稿は客観的に見ることができない。
第三者が評価してくれて、それが積もって積もったときに
ようやく、ああいい原稿を書いたんだな、という自信が持てるわけだが
なかなかそういう原稿は書けない。
できるだけ、というか毎回連発したいと思ってはいるのだが
これがなかなか実現していない。
それでも今年も何回かヒット原稿を書けたのでよしとしたい。
来年は何本ヒット原稿が書けるだろうか。
ヒット原稿と書いたがもちろんホームラン原稿を狙っていないわけではない。
と書いたところでいつも野球を例に挙げてしまうのはなぜだろうと考える。
さておき、ヒット原稿もホームラン原稿も書きたい。
というか、息の長いライターでありたい。
アベレージの高いライターでありたい。
いやアベレージと書くと語弊があるだろう。
質の高さを維持しながら走り続けるライターでありたい。
なんだ今年の仕事はもう終わりのようなことを書いているが
たしかに、僕にとって今年の大きな仕事は本日をもって終了した。
年末年始、サッカー畑のライターやカメラマンは
「○日から年明け○日まで無休です……」なんて悲鳴を挙げているのだけれど
僕には一切関係がない。
高校選手権もJユース関連も天皇杯も例年一切仕事にしてこなかった。
今後もそうすることはないように思う。
自分にとって1年でゆっくりできるのはこの時期だったりする。
まあ、ちょこちょこ仕事は進めるけどね。

 鈴木康浩


最近の主な仕事
○フットボールサミット15回 G大阪野呂輝久社長インタビュー 
○フットボールサミット第17回 C大阪キム・ジンヒョン選手インタビュー
○サッカー批評isuue57 中西大介Jリーグ事業統括本部長インタビュー

ブログ更新、久々。

まったく、ブログ更新が途絶えてあっという間に4カ月だ。
油断も隙もあったもんじゃない。

この間僕は何をしていたかというと、
いつもどおりだった。

毎日原稿を書いていた。
毎日本を読みたかったが読めなかった。
忙しくて。
でも、本を読むのをやめてしまって原稿を書こうとすると
だんだんと枯渇してくる。原稿を書く油が。
そんな感覚にとらわれながらも書かなきゃいけないノルマを
こなすのに必死な毎日だった。

大きな出来事といえば、東京に引越しを済ませたことだ。
9月下旬に東京に引越しをした。

その月の上旬に日本が東京五輪の招致に成功した未明の朝、
仮眠をとってむくりと這い上がると、僕は猛烈に物件を探しまくっていた。
賃貸物件サイトで。くまなく探した。
そして決めた。
何かに突き動かされるように、というか、東京五輪招致決定が
引き金だったことは間違いないのだけれど、なぜ招致成功が自分に
とっての引き金になったのかは自分でもわからない。

ただ、突然、身体が動き出し、そして行動に移していた。

引越しを済ませてからもうすぐ二ケ月が経過するが
仕事上で特に変わったことはない。
そんな簡単に変わるものではないとも思っているので想定内だ。

ただ、駅のすぐ近くに住家というか事務所というか、を構えたので、楽だ。
すぐに電車に飛び乗れる。
すぐに取材にでかけることができる。

まあ、そんなにフットワーク軽く取材に出かけるタイプではないのだけれど。
変わってはいないけれど、確実に変わっていく予感と手応えだけはある。

たぶん、ブログの更新が途絶えてしまっていたのは、
環境の変化の只中に突入したことで余裕がなかったのかもしれない。
と、いい訳をしてみる。

また、少しずつ更新を再開したいと思っている。という願望。

 
 鈴木康浩

【松田浩の超分析】コンフェデ・日本代表の守備はなぜ崩壊したのか?

【松田浩の超分析】コンフェデ・日本代表の守備はなぜ崩壊したのか?
1.必死さの欠如が生んだブラジル先制点
http://www.footballchannel.jp/2013/07/09/post6230/
2.基礎から疎かだった守備構築
http://www.footballchannel.jp/2013/07/10/post6241/
3.チームを変えられる可能性を秘めた本田のボランチ起用
http://www.footballchannel.jp/2013/07/11/post6268/
4.あまりにもお粗末な長谷部のコーナーキック対応
http://www.footballchannel.jp/2013/07/13/post6344/
5.上っ面だけが良かったザックジャパン
http://www.footballchannel.jp/2013/07/14/post6358/
6.希薄だった守り切る意識
http://www.footballchannel.jp/2013/07/15/post6403/
7.失点を減らすためにセットプレーはゾーンで守るべし
http://www.footballchannel.jp/2013/07/16/post6417/


栃木SC松田浩監督のコンフェデレーションズ杯の守備分析を
先週から今週にかけてフットボールチャンネルさんでやらせてもらっていました。
3試合9失点について、7本分の原稿にまとめています。

以前サッカー批評でも、
昨年ポーランドで行われたブラジル戦についての
松田監督の守備分析を掲載させてもらったのですが好評で、
今回はその続編といった感じでしょうか。
今回はWEBだったので文字数を気にせずにできたこと。
前回はサッカー批評本誌上だったので泣く泣く削った箇所が
結構あったので、そこはありがたかったですね。

インタビュー時点で2時間超。
当初は1時間程度を予定していたのですが、
インタビューを開始したときふと松田監督が「時間は大丈夫ですから」
というフレーズに僕が反応し、ほとんど時間を気にせずにできたこと。
そして、映像を見ながらお互いにどんどん熱が入っていったこと。

松田監督も僕も、日本サッカーのために、との想いがそこにあったことは
間違いなく、そして今後日本サッカーがさらに発展していくためには
守備のコレクティブさ、そして守備構築に対する哲学が深まっていなかいと
世界と互角にわたり合うのは難しいのではないかという
共通の危機意識がありました。

こういう感じでまたやらせてもらえると嬉しいなあと思っております。


 鈴木康浩

『ボールピープル』を読んだ

近藤篤さんのボールピープル、
ようやっと読む時間ができて読んだ。素晴らしい。
以前、某雑誌編集のカメラマンで長く南米で仕事をしていた方が
「近藤篤は化け物だ」と言っていたが、その意味がよくわかる。
写真もいいし、文章もいい。
と僕なんかが書いてしまうと非常に陳腐な響きになってしまうのだけど、
これはもう手に取ってみてもらわなければわからないものなのでぜひ。
ちなみに僕は近藤さんと面識はありません。

ボールピープルは、
世界中を飛び回る近藤篤さんが撮影された写真に、
そのときどきに出会った人々とのエッセイやレポートが記されている。
ひたすら心地よい。
写真も相まってイメージしやすく、
現地の空気感まで伝わるのでその場所に行けた気分になる。

一つ気付いたのは、それぞれのエッセイやレポートの
タイトルに、文頭の一行目を使用されていること。
タイトルを決めずに本文だけが写真の上に乗っている。
目次を見てみると、それぞれの文章の文頭だけが
何行にもわたって記されているのだ。
たとえば、
「カルロスはフラメンゴ地区の」
「大学2年生の秋、」
「遠藤保仁の写真集の」
「そりゃあね、ぶっちぇけいろいろありますよ、」
てな具合に。

以前北野たけしさんが、
「たとえば、とんこつラーメンといった時点で、とんこつ嫌いな
人は興味を示さない。だったらこっちから何かを言って
わざわざ限定するようなことはしないほうがいい。
説明したがる人が多いけど、説明しないほうがいいんだよ」
正確ではないけど、そのようなニュアンスのことを言っていた。

カチッとタイトルを決めることで良いことも悪いこともある。
今はWEB記事でアクセスを稼ぐためにタイトルの重要性を言われる。
それで目を引けば読まれるし、逆は読まれない。
情報がどんどんどんどん圧倒的なスピードでぐるぐる回っている、
といった印象を受けるのだが、
近藤篤さんのボールピープルにはそれがない。
時間がぴたりと止まったような、スローな印象がありつつ、
とても印象的なエピソードが凝縮していて、
繰り返すが、とても心地よいのだ。
それは写真や本文からにじみ出ていることは間違いないのだが、
「タイトルを付していないこと」がちょっといい影響を与えているような気もした。
近藤さんや文藝春秋さんの意図はわからないし、
WEBじゃなくて書籍だから違うのは当たり前なんだけど。
ただこの本が、僕らの日常のせわしなさとは真逆をいくものを
提供してくださっていることは間違いない。

難しい前提知識は一切不要だ。
サッカーファンのみならず多くの人にぜひ読んでほしい。


 鈴木康浩

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