2010・J2第24節 栃木県グリーンスタジアム 3,504人
栃木SC 1−2 ロアッソ熊本
得点:1−0 リカルド・ロボ(32分)
得点:1−1 ファビオ(48分)
得点:1−2 宇留野純(63分)
ロボ 林
高木 杉本
本橋 パウ
入江 大久保 落合 赤井
武田
―SUB―
GK飯田
DF宮本(`59←入江)
MF岡田
MF米山
MF水沼(`71←パウリーニョ)
MF廣瀬(`57←杉本)
FW林
■DFラインとGK間のボール処理の不安定さ
前半、FW林祐征をターゲットに攻勢に出たのは栃木。
林はスタメン2試合目。途中出場の試合も含めて、この日はもっとも高いパフォーマンスだったように思う。高さで競り勝ち、うまく足元にボールを収めて、存在感のある前線の基準点となっていた。
両サイドもかなり高い位置で仕掛けた。
「こっちが高い位置をとれば、相手のサイドハーフも付いてくるのがわかっていたし、その狙いはうまく実行できた」(DF赤井秀行)
そして32分、高木和正のCKにロボが合わせてまず栃木が先制。
栃木はここまでは良かったが、一方の熊本もまた虎視眈々と狙いを見定めていた。
「前半は非常にアグレッシブに戦ってくれた」(高木琢也監督)
栃木の攻勢をじっとこらえ、カウンターに勝機を見出す熊本。
一方、松田監督は前半の流れをこう総括している。
「うちらしくないスペクタクルな前半だったと思う。結局そういうことに慣れていないから、何回に1回かは自分たちの攻撃に見惚れているところがあると。3人が後ろに残っているのに誰もマークしていないと。そこを起点にカウンターになった」
熊本は時折、栃木のDFラインの背後にロングボールを落として押し上げを繰り返した。このときの、栃木のDFとGKのボール処理の拙さが、後半の熊本の徹底に拍車をかけた。
48分、熊本はFKからFWファビオが決めて同点。
ファビオは第12節以来のスタメン。熊本・高木監督は「ファビオは調子が良かったし、いつ出てもおかしくはないパフォーマンスとコンディションだった」と話したが、栃木のDFラインの高さを考慮しての、FW松橋章太→ファビオだっただろう。栃木はヒョジンが出場停止。栃木のDFラインの最高は落合正幸の180。190のファビオに容赦なく頭で叩き落とされた。
そして63分、栃木はDFラインでDF宮本亨がボール処理を誤り、失点。
「前半から栃木はGKとDFにギャップがあって、ミスもあった。そこを狙って行けと言われていた」(MF宇留野純)
熊本の狙いのひとつは堅い守備からのカウンター。
さらに前半の栃木DFラインの様子を受けて、後半、前線からファビオやカレンが深い位置までプレスを強めていた。
DF宮本亨が交代出場して4分後の出来事。まだ試合の流れに入り切れていない時間帯だったかもしれない。宮本はボールを受ける位置がやや高かった。あの場面はもっと深い位置でボールをもらうべきで、GK武田博行も深い位置か、もっとワイドに、宮本が半身で受けられるように出すべきだった。また宮本がボールを受けた瞬間、栃木の選手たちはほぼ反応できていなかった。不意を突かれたような感じがあった。
反応したのは宇留野純だけだった。
栃木の最終ラインのボールポゼッションの不安定さが、熊本のチームとしての徹底に凌駕された瞬間だった。
■130キロのチェンジアップを交えられるかどうか
結局のところ、セットプレーのミスマッチを突かれ、DFラインのミスを突かれての2失点。
前節札幌戦は、徹底のない相手を支配したスコアレスドローだったが、今節は熊本の徹底に屈した形だ。
「うちらしくないスペクタクルな前半」の戦い方と、ビハインドになった後半残り時間の戦い方には再考の余地がある。2点目3点目が奪えれば越したことはないが、相手を脅かし脅かされた前半を、”攻勢”の一言で済ますわけにはいかないだろう。”主導権を握って攻める”ことと、”相手に攻撃させられている”ことは当然同義ではない。
この試合は双方ともロングボールの多い展開で、セカンドボール争奪戦の様相を呈した。中盤の選手たちはいつにも増して疲労したはずだ。
MF杉本真は57分、MFパウリーニョは71分と、早々の交代を命じられた。自分たちの頭上をボールが越えていく流れの中で、効果的に流れに入りこめなかった。MF高木和正も終盤は相当疲労している様子だった。そこにスピード系MF松橋章太を投入されて先手を取られた。
MF本橋卓巳はセカンドボール争奪戦で優位に立ち、ドリブルで前線にボールを運ぶなど一定の力強さを発揮したが、本人は満足いかなかった模様。
「後半ビハインドになってから落ち着かせられなかった。うまく相手をいなせればもっと決定機をつくれたと思う。もう少しパウリーニョのフォローもしてあげたかったが、ボールが頭上を越えていく落ち着きのない展開で、なかなかうまくいかなかった」
くどいようだが、このチームはボランチ次第だ。
4−4−2のゾーンディフェンスを基調とする以上、ボランチ2枚には、中央の広大なスペースを上下左右に埋めるべく、攻守にわたって高い総合力が求められる。
この日の前半も、相手の出方を見つつ、カウンターに脅威を感じれば、チームの手綱を引いて一度落ち着かせることも必要だった。結果として、カレンの2回の決定機はただ入らなかっただけだった。試合終盤も、縦へと急がず、落ち着いて左右へ揺さぶる展開がほしかった。あるいは、ゲームをコンロトールする声がほしかった。
「パワーが一番あるのはふたり」
それが松田監督のボランチ評。前への推進力やパワーは、11戦負けなかった頃から指揮官が待望していたものだ。
本橋もパウリーニョもタッグ6試合を経て、特に守備面のバランスが改善され、安定感が増してきたように感じる。
が、攻撃に緩急の変化をもたらすまでに至っていない。
150キロの直球も、150キロだけではやがてバッターが慣れてくる。130キロのチェンジアップを交えてこそ、150キロが155キロにも見えるのだ。
それをサッカーに置き換えれば、流れを読んで、ボランチがゲームを掌握し、あるいは掌握しようと試み、90分間をうまく使い切れるかどうか。
鈴木康浩
栃木SC 1−2 ロアッソ熊本
得点:1−0 リカルド・ロボ(32分)
得点:1−1 ファビオ(48分)
得点:1−2 宇留野純(63分)
ロボ 林
高木 杉本
本橋 パウ
入江 大久保 落合 赤井
武田
―SUB―
GK飯田
DF宮本(`59←入江)
MF岡田
MF米山
MF水沼(`71←パウリーニョ)
MF廣瀬(`57←杉本)
FW林
■DFラインとGK間のボール処理の不安定さ
前半、FW林祐征をターゲットに攻勢に出たのは栃木。
林はスタメン2試合目。途中出場の試合も含めて、この日はもっとも高いパフォーマンスだったように思う。高さで競り勝ち、うまく足元にボールを収めて、存在感のある前線の基準点となっていた。
両サイドもかなり高い位置で仕掛けた。
「こっちが高い位置をとれば、相手のサイドハーフも付いてくるのがわかっていたし、その狙いはうまく実行できた」(DF赤井秀行)
そして32分、高木和正のCKにロボが合わせてまず栃木が先制。
栃木はここまでは良かったが、一方の熊本もまた虎視眈々と狙いを見定めていた。
「前半は非常にアグレッシブに戦ってくれた」(高木琢也監督)
栃木の攻勢をじっとこらえ、カウンターに勝機を見出す熊本。
一方、松田監督は前半の流れをこう総括している。
「うちらしくないスペクタクルな前半だったと思う。結局そういうことに慣れていないから、何回に1回かは自分たちの攻撃に見惚れているところがあると。3人が後ろに残っているのに誰もマークしていないと。そこを起点にカウンターになった」
熊本は時折、栃木のDFラインの背後にロングボールを落として押し上げを繰り返した。このときの、栃木のDFとGKのボール処理の拙さが、後半の熊本の徹底に拍車をかけた。
48分、熊本はFKからFWファビオが決めて同点。
ファビオは第12節以来のスタメン。熊本・高木監督は「ファビオは調子が良かったし、いつ出てもおかしくはないパフォーマンスとコンディションだった」と話したが、栃木のDFラインの高さを考慮しての、FW松橋章太→ファビオだっただろう。栃木はヒョジンが出場停止。栃木のDFラインの最高は落合正幸の180。190のファビオに容赦なく頭で叩き落とされた。
そして63分、栃木はDFラインでDF宮本亨がボール処理を誤り、失点。
「前半から栃木はGKとDFにギャップがあって、ミスもあった。そこを狙って行けと言われていた」(MF宇留野純)
熊本の狙いのひとつは堅い守備からのカウンター。
さらに前半の栃木DFラインの様子を受けて、後半、前線からファビオやカレンが深い位置までプレスを強めていた。
DF宮本亨が交代出場して4分後の出来事。まだ試合の流れに入り切れていない時間帯だったかもしれない。宮本はボールを受ける位置がやや高かった。あの場面はもっと深い位置でボールをもらうべきで、GK武田博行も深い位置か、もっとワイドに、宮本が半身で受けられるように出すべきだった。また宮本がボールを受けた瞬間、栃木の選手たちはほぼ反応できていなかった。不意を突かれたような感じがあった。
反応したのは宇留野純だけだった。
栃木の最終ラインのボールポゼッションの不安定さが、熊本のチームとしての徹底に凌駕された瞬間だった。
■130キロのチェンジアップを交えられるかどうか
結局のところ、セットプレーのミスマッチを突かれ、DFラインのミスを突かれての2失点。
前節札幌戦は、徹底のない相手を支配したスコアレスドローだったが、今節は熊本の徹底に屈した形だ。
「うちらしくないスペクタクルな前半」の戦い方と、ビハインドになった後半残り時間の戦い方には再考の余地がある。2点目3点目が奪えれば越したことはないが、相手を脅かし脅かされた前半を、”攻勢”の一言で済ますわけにはいかないだろう。”主導権を握って攻める”ことと、”相手に攻撃させられている”ことは当然同義ではない。
この試合は双方ともロングボールの多い展開で、セカンドボール争奪戦の様相を呈した。中盤の選手たちはいつにも増して疲労したはずだ。
MF杉本真は57分、MFパウリーニョは71分と、早々の交代を命じられた。自分たちの頭上をボールが越えていく流れの中で、効果的に流れに入りこめなかった。MF高木和正も終盤は相当疲労している様子だった。そこにスピード系MF松橋章太を投入されて先手を取られた。
MF本橋卓巳はセカンドボール争奪戦で優位に立ち、ドリブルで前線にボールを運ぶなど一定の力強さを発揮したが、本人は満足いかなかった模様。
「後半ビハインドになってから落ち着かせられなかった。うまく相手をいなせればもっと決定機をつくれたと思う。もう少しパウリーニョのフォローもしてあげたかったが、ボールが頭上を越えていく落ち着きのない展開で、なかなかうまくいかなかった」
くどいようだが、このチームはボランチ次第だ。
4−4−2のゾーンディフェンスを基調とする以上、ボランチ2枚には、中央の広大なスペースを上下左右に埋めるべく、攻守にわたって高い総合力が求められる。
この日の前半も、相手の出方を見つつ、カウンターに脅威を感じれば、チームの手綱を引いて一度落ち着かせることも必要だった。結果として、カレンの2回の決定機はただ入らなかっただけだった。試合終盤も、縦へと急がず、落ち着いて左右へ揺さぶる展開がほしかった。あるいは、ゲームをコンロトールする声がほしかった。
「パワーが一番あるのはふたり」
それが松田監督のボランチ評。前への推進力やパワーは、11戦負けなかった頃から指揮官が待望していたものだ。
本橋もパウリーニョもタッグ6試合を経て、特に守備面のバランスが改善され、安定感が増してきたように感じる。
が、攻撃に緩急の変化をもたらすまでに至っていない。
150キロの直球も、150キロだけではやがてバッターが慣れてくる。130キロのチェンジアップを交えてこそ、150キロが155キロにも見えるのだ。
それをサッカーに置き換えれば、流れを読んで、ボランチがゲームを掌握し、あるいは掌握しようと試み、90分間をうまく使い切れるかどうか。
鈴木康浩