2015年10月19日

RWC2015からパリへの旅

 
RWC観戦を軸にした英仏への旅から、無事戻ってきました。
数年前の渡欧のときに比べ、時差ぼけがほとんどなく、これには助かった。
友人の出海さんにそう話したら「年を食ったってことだよ」と。
小生もそんな風に思っておりました。
年を食っても海外へ、という勇気が、ふたたび少し湧いてきました。

ラグビーのことをずっと考えていて、あれはまずかったかなと思ったのは、
前回のブログでオフサイド・ルールついて
「敵陣・自陣」という言葉で説明してしまったこと。

実は、オフサイド・ラインとは不可視のラインで、楕円球の動きによって変わる。
その不可視のラインの向こう側がオフサイド、こちら側はオンサイドです。
オフサイドにいる選手はプレイしてはいけません。
石ころかゴーストのようなものです。これがオフサイド・ルールの基本になります。

もうひとつ、セット・プレイを起点としたときに攻撃側が越えることを目標とするゲイン・ラインというのもそう、不可視のラインなんです。
ラグビーという球技は、みる者に地政学的な不可視の線を読む力を養ってくれる競技でもあります。

敵陣・自陣の概念は、ラグビーのピッチに白線で描かれてある実線によるもの。
キックオフするハーフウェイ・ラインから横線で見ると10mライン、22mライン、
ゴール直前の5mライン、そしてゴール・ライン(トライ・ライン)、デッド・ゴール・ラインとありますが、これらは(破線も含め)実線です。

ハーフウェイから10mラインまではまあ、中間地帯です。
本格の敵陣(自陣)は22mラインから先。注目すべき攻防の起きる地帯ですね。
ちなみに、ゴールエリア(ゴール・ラインとデッドゴール・ラインの間)では、
オフサイド・ルールは消滅します。

南ア戦の残り時間3分でリーチ主将がスクラムの選択をしたのは、5mライン上。
あれにはホント、驚いたなあ。見事でした、リーチ・キャプテン。

ラグビーの話は今回はここまでにして、以下は備忘のために回遊メモを。
出航前日、山内久氏のご逝去を知り、慌しく葬儀社の安置所を見舞いました。

・10月1日(木) 羽田を午前10時前に離陸、時に抗して午後2時頃ロンドン・ヒースロー着。奥さんがレンタカーを高速M25からM40、A40と飛ばして明るいうちにコッツウォルズの水上バートン着。借りた一軒家は階下が3部屋にキッチンとシャワー室、階上が2部屋にバスルーム。暖炉に据付の薪ストーブがあって早速焚き火気分。ウェルカムの牛乳、ビスケットが極上のおいしさ。Wals×Fiji戦の後半、FRA×CAN戦をTV観戦して、匆々に就寝。

・2日(金) ミルトン・ケインズ(MK)へ下見。帰りにジャパンが合宿していたWarwickの高校グラウンドへ。ラグビー場が12面ほど設えられてある広大な芝生の真ん中のベンチに坐ってサンドウィッチの昼食。帰着して、バートンのスーパーで買出し。8時からTVでNZ×GER戦。

・3日(土) MKへ対サモア戦。13時過ぎ、選手たちがピッチに現れたときからジャパンの気合を感じた。これは今日は勝だと確信する。席は山田選手がトライしたのと反対側。安心してみていた。終って次男隆浩夫妻と真由子ちゃんを迎えにヒースローへ。道に迷って11時に帰着。階上を彼らの専有にあてがう。ENGがAUSに負けてKOステージに進めなくなったことをTVにて知る。

・4日(日) バートン・オン・ザ・ウォーターの町並みをみなで散歩。午後はARZ対TNG、IRL対ITAをTV観戦。

・5日(月) ラグビーの試合はない。隆浩の運転でリヴァプールへ。片道4時間、滞在3時間。寂れた町並みの中にあるアンフィールド球技場へ、S.ジェラードの背番号17番時代のサインつきユニフォームがあるスナック(アンフィールド・カフェ)で昼食、その後ストロベリィ・フィールズとペニー・レインを案内して帰着。

・6日(火) 雨。車でテムズ川の源流(テムズ・ヘッド)に向かうが、結構な降りで散策できず。Cheltenhamのオリエント食品の店に向かうはずが、カーナビがいい加減でNorthleachに導かれたのだが、この街がまた羊毛産業隆盛時代の雰囲気を今に残し素敵であった。収穫。ケバブ屋で手羽元の唐揚とフィッシュ・アンド・チップスを買って夜ご飯に。

・7日(水) ラグビー校へ。昼休みの時間が過ぎて校庭には入れてもらえず、ガイドの小父さんと話す。ウエッブ・エリス胸像の前で記念写真。その前にあるギルバートの工房跡が小さなラグビー博物館になっていて、初めてラグビーのルールブックができた1851年のそのルールブックとその年に使われた楕円球を見る。帰りにまたWarwickに寄って真由子ちゃんと遊ぶ。

・8日(木) 試合なし。ロンドンへ。Oxfordから初めて「パーク・アンド・ライド」というものを利用する。電車に乗るのかと思っていたら、バスだった。電車は高額らしい。ヴィクトリア駅が終着、地下鉄でピカデリー・サーカス下車、RoyalArtsで開催されている「アイ・ウェイウェイ展」へ。観客も多かったが、作品のスケールもでかい。四川省の地震の後、手抜き工事で倒壊した建物の鉄筋でつくった作品(死者名簿のパネル付)の存在感が抜群であった。この人、日本のネオダダの影響をすごく受けているのではないかしら。新作の自転車部位で作ったシャンデリアは凡作。

・9日(金) Swindonを越えて南のストーン・ヘンジ遺跡へ。広大な農地と空の中にある巨石群。帰路には小さな規模だが、ストーン・サークル遺跡にも出会う。夜、TVでNZ対TNG戦。

・10日(土) バートンの名店Bakery On the Waterに出かけて昼食。スコーンは自分にはちと甘すぎた。2時からラグビー3戦をTVで夜まで。

・11日(日) 帰国する隆浩一家をOxfordまで送り、Gloucesterキングズ・ホルム・スタジアムの対USA戦へ。ゲート前のパブWhite Heartで、IRLのオコンネル主将の負傷退場を知る。対フランス戦の後半は会場のモニターで見ようと思い入場するが、映し出してくれなかった。芝生の緑の向うに夕焼けが絶妙な色合いを見せ、うっとり。観客が徐々に集まり、満席に。Gポスト裏の椅子席に坐ると、前の列は8人くらいのジャパン応援ジモティ、その先にカメラマンの井田氏がいたが、声をかけられずじまい。国歌斉唱になると、ジモティたちがこちらをみつめるので、国を代表する気持ではじめて国歌なるものを真剣に歌った。モニターに真壁選手の泣き顔が映し出されるとたまらず、こちらも落涙。「お前ら、本当に此処までよく来たなあ」と、感慨無量であった。ゲームは松島選手がBK攻撃のお手本のようなパスを受けて目の前でトライ、勝利の確信はここから揺るがず。戦い終わったあとは前の席からConguratulationの嵐。真っ暗な闇の中を無事帰還。

・12日(日) ヒースローで車を返し、地下鉄でパディントンへ。ユーロスターを待つ間にレキップ紙を買うが、フランス敗戦の分析記事が10ページ、ジャパン勝利の記事は半ページにも満たない。パリ北駅に降りるとタクシーに勧誘され地下の駐車場に案内されるが、これが白タクで、ポルト・デ・モンテルイユまで80ユーロでどうかと。金持ちのおのぼりさんとでも見られたのか。高過ぎるというと、50ユーロに負けるという。お話にならない。駅舎を出てタクシー乗り場に並んで乗ると、降車時のメーターは20ユーロちょいだった。夜は、メゾン家に旧友9人が集い、深更けまで饗宴。食べ過ぎ、飲みすぎで胸やけが収まらず、深夜にホテルのトイレで戻す。赤いのは血ではなく、ワインだった。

・13日(月) 日本文化会館で開催中の高橋龍太郎コレクションを見にトロカデでメトロを降りセーヌ方向に歩むと正面にエッフェル塔。ここからの風景は映画「クロワッサンで朝食を」に映されていた。セーヌを左岸に渡り、会場でシルバンとコレットと待ち合わせ。展示は東京初台で先ごろ行われたものより規模が随分小さかったが、シルバンは「面白かった」といってくれた。その後、シルバンがかつて館長をやっていたモンパルナスのザッキン美術館へ。たいした力量の立体作品群。夜はブルノの案内で、モンマルトルからサン・ドニ教区の境をリパブリックまで散歩。

・14日(火) ポンピドーセンターへ。連れは近所のマレー地区めぐりのお買物へ。特別展はWifredo・ラム。ピカソに近いタブロー作家ではじめて見た。造形は単純化されていくが、飽きさせない。さすがです。常設はマチスあたりから始まって戦後美術まで。ブラックのコンポジションのよさに感心。日本人作家としてはポロックの近くに、具体から白髪一雄が2点と、田中敦子の例の電飾管の作品。具体が注目されているとは聞いていたが、やはり嬉しい。白髪作品はポロックに負けていない。デュシャンの初めて見る初期のタブローやアンフォルメルの作家たちの作品を堪能。ブルトンの部屋の展示は、瀧口修造のそれとちがっていわゆる「立派」で、洋の東西を感じさせる。3時間では時間がたりず、足は棒のよう。入館料は両方で14ユーロ。以前来たときより1ユーロ上っていた。

・15日(水) 10時にチェックアウト。メゾン家へ行ってipadで日本のラグビー情報を読む。五郎丸をはじめ選手たちはTVに出ずっぱりで、どうやら、大変なことになっているらしい。昼食は生牡蠣とスパゲッティ。以前フォーマージュ・フォンテーヌブローを食べた店だが、お目当てのそれは今はメニューに載っていなかった。残念。午後8時過ぎにド・ゴール空港を離陸。

・16日(木) 午後2時過ぎ、JAL便は無事、羽田着。
 






yas_terui at 13:06│ ラグビー | 美術関連