ライター安宿緑のブログ/기자 안숙록의 불로그

ライター安宿緑(やす やどろく)。 2000年から現在までの北朝鮮一般市民との交流記録と、最近の仕事や諸々を書いています。 ご連絡はyasgreen21(アットマーク)gmail.comまでお気軽に。





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●BSスカパー!「ダラケ!」シーズン5第一回に出演しました。(2015.1)

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「根無し草ライター・安宿緑の『平壌でムーンウォーク』」http://wk.tk/BRCEko
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●1月30日放送のテレビ東京「解禁!暴露ナイト」に出演しました。番組公式ページから出演時の動画が若干見られます【言うの遅せーよ】(2014.2.3)

●開設70日時点で、30万PV突破&総訪問者数10万人突破しました。御礼申し上げます。2013.11.23

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2013.9.21

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安宿緑プロフィール
安宿緑って誰やねん? 怪しいなぁ……


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実は安宿緑は北朝鮮関係だけをやっているわけではありません。単に経歴上、特殊な人脈や情報網を持っているだけです。そこで、ブログを分離しました。本業のことや日々の出来事などを気が向いた時に書きます。

北朝鮮/DPRK (NORTH KOREA)
旧ブログ「ライター安宿緑の北朝鮮ブログ」アーカイブです。愉快な北朝鮮の人々との交流や、それにまつわる雑多な出来事を記録。更新停止というわけではないので、興味がある方はちょくちょくチェックしてみてください。

朝鮮学校への雑感


 良くも悪くも、朝鮮学校の話題が尽きない。

  朝鮮学校生にヘイト相次ぐ ミサイル発射契機に

 アンチ朝鮮学校派は教育内容や政治的背景を問題視しているようだが、
私は朝鮮学校の存在意義はあると思っている。レイシズムも言語道断だ。

 ただし、決して聖域ではない。
 学校組織自体、主に以下の4点において問題がある(あった)と感じている。
 これまで公益性を優先し沈黙していた。が、卒業生として指摘する資格がこちらにはある。  
 関係者には耳が痛いかもしれないが自分自身のためにも、忌憚なく述べたいと思う。
(あくまで自分が体験してきたことに基づいており、現在の状況とは乖離している可能性があることは申し上げておきたい)


  • 排他性の強さ
  これはすべての外国人学校の根本にかかわる問題であるだけに猛省してほしい。自分達を日本社会からハブるな!と主張しておきながら内部の排他性は異様に強い矛盾。外界との関わりがないため風変わりな人間をすぐ排斥する。
  私も中高生時代は散々変人だのトリッキーだのと疎外されてきたが今の時代を見てほしい。度肝を抜かれる変人だらけである。
  そして今以上にオタクの人権がなかった。「漫画を描いている」「BLが好き」などといえば即時、精神障害者扱いとなった。

  今だとLGBTがそれにあたるかもしれない。これは完全に憶測だが。

  • 教師が玉石混淆
  担任から3時間、小部屋に詰められ人格否定され対人恐怖症になった。今考えるとめちゃくちゃなことを言っていたが当時は教師が絶対で、そこから長く小児うつになったし今でもトラウマである。
 大学時代の担任にそれを言ったら「朝鮮学校の教師にそんな人はいない、お前は嘘つきだ」と言われた。なおその教師は私の母校に校長として赴任したが女性問題を起こしてクビになった。当然ながら善い教師もいる。が、学校はそんな人ばかりではないのが世界共通の現実だろう。


  • 性差別
 学生も大人も、女子だけ民族衣装着用(現在、女子の制服チマチョゴリは廃止)。組織のトップになれるのは男のみ。どんなに女子のほうが優秀でも委員長や議長の座につくのは男子、女子は男子がいない場合のみ例外的になれる。その他、性差別的慣習が横行。

  • こうした一連の指摘を「お前の人格のせい」と非難される
 つまりムラに適応できなかったほうに問題があるというムラ理論。社会に多様性求める前に自浄作用はどの程度あるのかな?






 一方で、いくつかの流説の中で反論したいこともある。そのうちの一つが、

「朝鮮学校では正しい朝鮮語が身につかない」


 
 これはダメ。学校だけのせいにするのはいささか無理がある。自業自得、恥を知るべきである。
 すべての科目の教科書、参考書が正しい朝鮮語で記述されているし、高校生になる頃には、ハングルの読み書きができないという人間はほぼいない。基礎はできているのだ。要は読む、書く、話す、聞くの4技能が連関していないのが問題なのだ。

 それに卒業生ならばTOPIK6級も普通に受かる。実際わたしも何の勉強もせずに余裕で高得点で受かった。左手で受験しても受かるレベルであった。そんな自分だってまだまだ勉強途中である。ハングル検定はさすがに丸腰じゃ無理だけど。ちなみにTOPIK6級は内容的にそれほど誇るような資格ではない気がする……。

 特に問題視されているのは発話のほうであろう。これは日本人が中高6年、そして受験でも英語を学んでおきながらあまり話せない問題と似ている。確かにコミュニケーション言語の学習において主に二点、見直すべき点はある。

  • イマージョン教育、言語機能教育の課題

 イマージョン教育とは?

イマージョン・プログラム(英: immersion program)とは、未修得の言語を身につける学習方法の一つ。没入法と言われることもある。目標とする言語の言葉だけを習うのではなく、「その言語環境で」他教科を学びその言葉に浸りきった状態(イマージョン)での言語獲得を目指す。1960年代にカナダで始まり、2006年現在は世界各地の学校で導入されている。(イマージョン・プログラムーーWikipediaより)


 だが朝鮮学校では国語教師はまだしも、朝鮮語レベルが不十分な教師が他科目を担当している。だからうまく機能しない。ネイティブの講師を連れて来ようにも、ご存じのとおり政治的問題が山ほどある。仕方ないといえば仕方ないかもしれない。

  • 「母国語運動」が言語発達理論に基づいていない

 朝鮮学校にはウリマル(母国語)運動というものが学校生活に根付いている。

 目的はもちろん母国語の習得だが、これが逆に正しい言語発達の妨げになっていると感じる。在日の子供にとって母語は日本語、朝鮮韓国語は第二言語だ。第二言語は母語の干渉を受けると正しく発達しない。だがウリマル運動はひたすら愚直に「日本語を使わないこと」のみに集中し、正誤は問われない。

 言語習得においてこの「禁止」がミソなのだ。そうなると学生は先生に怒られないよう、朝鮮語で表現できない言葉は無理やり「朝鮮風」にして定着させてしまう。イントネーションも用法も単語もおよそ本国からかけ離れていってしまう。いわゆる「在日朝鮮語」と称されるものはここが発端であると断言できる。

 それならば知らない言葉や表現は素直に日本語で話し、後に訂正するなどのほうがよほど効果がある。だが、国語教師が一人一人をつねに監視しできるわけではないため、注意もされないのだ。

 
 一方、「今日はこの朝鮮語を使いましょう」と1日1単語を提示する方法をとることもあったが、それは有用だったと思う。


 これはあくまで私の学生時代の話で現在はわからない。だが、先日偶然、朝鮮学校の生徒が電車内で話している様子を聞くとそれほど変わっているとは思えなかった。
(補足:国語教育はだいぶ刷新されコミュニケーション教育にシフトしてからはかなり改善されたという。それはおよそ20年前のことだが、その後どうなったかはわからない。上記はあくまで私の最近の体験である)

 そして「自分達より韓国語がうまい日本人がたくさんいる」という指摘。これも恥晒しである。
 考えてみてほしい。それならば、どうして基礎をばっちりやったはずの人間が韓国語をそれほどまでにできないのか。己の不勉強以外に何の原因があるというのか。


 いずれにしろアンチも支持派も己の理想を投影せず、等身大の朝鮮学校を見て(取材して)から再度議論してほしい。それができない限り永遠に平行線を辿るだろう。


 ※なお、このエントリーは追記する可能性があります。