北朝鮮の文芸などから変わったものをチョイスしているこのシリーズ。今回は「風刺詩」というジャンルを紹介します。
日頃、朝鮮中央通信の社説の言葉づかいが苛烈なことで有名ですので、ある程度予期しつつ開いたら案の定でした。李明博元大統領をモチーフにしたポエムです。
もう引退したから許してやれよ……と思うのですがまあまあ面白かったので。
割と粘着質なチョソンの伝統的ディスり芸のエッセンスがふんだんに散りばめられております。
誰が狂ったのか?
モ・ウォンドク
もともと美食家といって
甘いものばかり選んで食べいていた明博が
米国産牛肉を食べろと
上様から賜った宴の卓に
頭を下げてたいそう喜んだ
悪評高い狂牛病の肉だが
米国だといえば股の付け根の匂いすら喜ぶ明博は
両目を丸くして
クチャクチャと噛んで食べるのであるが……
隣に座った女房は
心配で静かにささやいた
ーーあなた、狂ったんじゃない?
狂った牛の肉じゃないわよね…
そういって食べてはまた食べるのね
カメラの前でも
誇らしげにクチャクチャ食べ続ける明博が
ーー米国大統領の別荘に
1日泊まれた恩恵だけでも有り余るのに
狂った牛の肉くらい……
唖然とした女房は
口が開いたままボソボソと
ーーああ、ということは
ひと晩分の宿泊費を払おうってこと?
あなた本当に狂ってるわ
その言葉に本当に狂ってしまった雄牛のごとく
両目をギョロつかせながら
明博がプルプルした唇から吐き捨てた言葉
ーーちくしょう、俺と我々の政治が
米国に狂ったんだ!
お、おう。という感じ。
もう「明博」呼ばわりですよ。親しげだな。
「ひと晩分の宿泊費を払おうってこと?」の部分、原文は「그 하루밤 숙박비를 물자는거예요?」です。
文章の流れからすると「ひと晩分の宿泊費の元を取ろうってこと?」のほうが適切なような気がして、いまいち釈然としません……。
「ひと晩分の宿泊費を払おうってこと?」の部分、原文は「그 하루밤 숙박비를 물자는거예요?」です。
文章の流れからすると「ひと晩分の宿泊費の元を取ろうってこと?」のほうが適切なような気がして、いまいち釈然としません……。