日本国内に大量の機甲兵装が持ち込まれた形跡が発見され、色めき立つ特捜部。調査を進めていくうちに、北アイルランドのテロ組織であるIRFによる、イギリスの高官暗殺の計画が浮かび上がってくる。

操作を進めたい特捜部に対し、外務省や首相官邸からのストップがかかり、また中国の黒社会とのかかわりもあって、事態は複雑さを増していく。

そんな中、元IRFの処刑人だったライザの元に、かつての仲間であるキリアン・クインが現れ宣戦布告をしていく。ライザの過去が明かされるシリーズ第2作。



現在の東京で起こる不穏な事件と、相変わらず警視庁のなかで仲間はずれにされ続ける特捜部。外務省やら首相官邸やらの外交問題も、テロリズムも、やたら大きくて詳細を知る人がごくごく限られていて、という点では同じなのではないかと思わせるような、パワーゲームが描かれる。

一方、現場は現場で、かつての警察の同僚仲間に非難されるという、個人レベルでの嫌がらせもあり、実際働く人間の辛さも描かれる。

大きな視野と、末端の人間の細部。

その辺りに、否応無しに惹きつけられて、組織や兵器に興味がなくてもぐいぐい読み進められてしまう話だった。


今回は機龍兵の搭乗者の1人、ライザの過去が間間に挿入され、物語として一層読み応えのあるものとなっている。

裏切り者の血筋と言われ、卑屈で愚痴っぽい家族と暮らしていたライザ。その彼女が可愛がっていた妹。そこに起こった歴史的なテロリズム。

そこからなぜライザがIRFに身を投じたのかというのも、簡単に語れるようなことではない。

名を成すような人間じゃない、小さな人間の存在が、いろんな人たちの人生の進路に少しずつ影響を与える。書かれた書物、偶然の類似が、ことさらドラマティックに取り上げられるわけではないが、じんわりと効いてくる。

しかし、ちょっとした運命を感じるような出来事、報われたと感じられる達成感も、またすぐに容赦なく破壊され尽くしてしまう。

そういう重苦しい虚しさや恐怖と、日常の小さな幸せ。

やはり、どちらにも完全には寄りきれない気持ちになった。


機龍兵装に搭乗する人間に課せられた自爆条項から、傭兵を雇わなければならなかった特捜部の事情が明らかになる。

これだけ費用や時間をかけてまで、法整備やパワーゲームを繰り広げてまででないと、平穏に暮らせない時代というのは本当に平穏なんだろうかという気がする。