2012年10月09日

社運を賭ける<大船渡の理研食品>

大船渡で壊滅的な被害を受けた理研食品
多くの方には「ふえるわかめちゃん」でお馴染みの、
理研大船渡工場のグループリーダーの村上諭(さとし)さんが
先月、私にこんなことを言っていた。

「うめぇワカメがあっから、今度食べさせてやっから」

理研の大船渡にあった大きな工場は火事で全焼、
もうひとつあった工場は津波が屋根をこえる被害、
大船渡の町そのものも壊滅的な被害を受けた中で、
震災から1年が経過した今年の春、
なんとか残った工場を修理し、
ワカメを出荷している現場を見ながら、このような現状の中で、
人間とは、なんと力強い行動を起こせるのだろうと思わされた。

船から水揚げされるワカメを釜茹でし、
「いま頑張らなっきゃな」と、
顔にふりかかった塩を拭って話してくれた女性作業員の姿を、
私は強く強く覚えている。

そんな今年の春の印象がある中で、
夏に「うめぇ」ワカメと言われても、
正直に言えば、私はピンと来ない。

ワカメと言えば、収穫は3月から4月。
勿論一番美味しいものは、とれたての新鮮なもの。
それ以外の時期には、いわゆる「塩蔵ワカメ」と呼ばれるもの
或いは乾燥したものくらいしか、私は知らない。

収穫したばかりのワカメを茹でて食べた事のある私としては、
それ以上に美味しいワカメなど存在しないと思っていたのだが、
諭さんがこれだと出した「うめぇワカメ」は「冷凍ワカメ」だった。
正直「拍子抜け」をした。

ところが諭さんは私に言った。
「これは社運を賭けて作ったワカメなんだ」と。

話を聞けば、10年前から商品開発に取り組み、
やっとこれからという矢先に震災。

理研の工場は大船渡のみならず、他県の工場も全て被災。
ワカメの生産者も全て被災。
船もない、加工する工場もない、ワカメが収穫出来るかもわからない。

その中で、生産者は収穫のために惜しみない努力を重ね、
生産者が加工する場を失ったのなら、理研がそれを請け負うなど、
生産者も、それを買い入れる企業側も、互いを思いやった結果が、
「社運を賭けた」ワカメが「今年」の販売に漕ぎ着けたのだと思う。

そしてその「社運を賭けた『冷凍』」のワカメの味だが、
今まで食べたどのワカメよりも「旬」の味と食感に近いと私は感じた。

とれたての「旬」のワカメというのは、「シャキ」っとしている。
というのが私の印象だ。

このシャキシャキとしたワカメが、一番美味しいと思っても、
ワカメの地元に春に行って食べる以外に、その術はない。

ところが諭さんが食べさせてくれた
社運を賭けたワカメには「それ」があった。

「とれたてのワカメをボイルし、それをそのまま瞬間冷凍し、
とれたての味そのままの状態で保つ技術を理研が開発したんだ」

諭さんは揺るぎない目つきで、私にそう言った。

「社運を賭ける」という事は、つまりそういう事なのだろう。
現在はまだ「業務用」の販売しか出来ていないのが現状と言うことだが、
レストランなどで使用している店舗も幾つかあり、そのひとつである
焼き肉の叙々苑でなら、そのシャキシャキ感を味わえるとのこと。

状況が整い次第、一般消費者へ向けての販売を進めるとの事だが、
諭さんの思いを直接伝えたいと思った私は、
RadioNaGaにご出演いただこうと思い、先週電話でご出演いただいた。

諭さんの生の声を聞いてみたいと思う方は、
是非、こちらをお聞きいただけたらと思う。

理研がどんな状況から「社運を賭けた商品」を販売するまでに至ったか。
この動画を見ていただければ、理研の工場が、大船渡の町が、
震災当時どんな状況だったかが一目瞭然だと思う。


被災された多くの企業の復活を願い、
私は現地で聞いた一つでも多くの思いを、
この場所を通じて応援したいと思っている。





yasoohjapan at 08:33│Comments(0)TrackBack(0)clip!東日本大震災 

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