海外進出企業の【税務会計】虎の巻

税理士法人名南経営 安田昌泰 公式ブログ

  親会社の決算の際に、海外子会社にかかわる輸出入等で生じる在
庫について、事前確認すべき項目等は、以下の通りです。

1)海外子会社へ無償支給した在庫計上と金額の検算
  在庫表の単価と数量のもれ、エクセルの集計算式の一部欠落など
  がないように。
2)海外子会社への積送品の在庫計上
  積送品の計上者の取り決めがあるかどうか。もれなく計上。
3)輸出免税売上の消費税等
  海外子会社へ輸出した場合、輸出許可書等の保管。
4)国外取引の把握と顛末の確認
  「海外⇔海外」では「国外仕入⇔国外売上」の課税対象外で処理。
  商流、代金決済、入出金の流れは正確に把握すべきで、海外預金
  口座にて、親会社が知らぬ間に取引等が進んでいないように。
5)輸入に伴う消費税等の処理
  輸入で保税地から貨物を引き取る際に支払う消費税等について、
  仕入税額控除。運賃等で損金となっていないように。
 決算時にこれらの確認が徹底していないと、税務調査では、特に、
1と2が問題になります。
 また、海外子会社への預け在庫については、横流し等のトラブル
が生じないように、親会社主導の管理体制等が必須です。海外出向
者または現地スタッフに任せきりの姿勢では、後々、不幸な結果を
招く場合もありますので、ご留意ください。

  

 最近の調査では、海外に関する指摘が多く、5年間遡っての指摘もあります。
  海外子会社の新設直後の事業年度は、特に要注意です。親会社からの短期海外出張で
サポートした場合、役務提供対価の請求もれが多く、国外関連者の寄付金課税の修正申
告を求められがちです。
 調査では、海外出張の日報、海外出向者の契約書、賃金台帳、出張経費精算書の提示
を求められ、海外子会社にとって商業的な価値のあるサポートに対しては、その者の総人
件費から合理的な日当を算出し、サポート日数分の金額と、航空代等の実費に対する精
算の有無を調査され、もれがあれば「寄付金」と調査官に指摘されます。
 その際、以下の点を確認し、過大に修正を求められていないかを確認すべきです。
1)国税庁HP「移転価格事務運営要領第2章調査」8)役務提供」の論点を確認して、株主
  としての立場等で請求する必要のない部分がないかどうか。
 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/010601/02.htm
2)調査官が主張する請求すべき日数について、土曜、日曜など、実際に稼働しない日数
  が入っていないかどうか。アバウトな総日数で修正を求めていないかどうか。
  例)出張期間1カ月で30日分の修正を求められたときは、実稼働の20日~22日程度が
    妥当なはずです。30日での修正は過大な修正要求では。
3)旅費規程に職制に応じての日当基準があるならば、調査官が修正を促す根拠となる総
    人件費をもとにした金額ではなく、その基準を採択できないかどうか。
  例)日当200ドルなど。200ドルを切っていると修正の可能性は高くなり、たとえば、日当
    100ドルでは見直しが必要です。総人件費からの算定でも200ドルを切る場合は少な
    いと思います。
 5年間の遡りで指摘されると、過去のことであるために、調査官が決めた数字で、詳細を
検討せずに修正に応じるかもしれません。過大修正で損かもしれませんので要注意です。


 最近の調査では、海外に関する指摘が多く、論点は次の通りです。
1)海外子会社への貸付金利の利率の妥当性
2)出向者の較差補填の損金算入額の妥当性
3)海外出張に伴う費用負担の妥当性
4)技術支援に伴う費用の請求
5)海外子会社への取引価格
6)海外子会社への預け在庫、積送品等の計上
7)出向者の赴任直後の賞与で国内勤務分の源泉税納付

 国税庁HP「移転価格事務運営要領第2章調査」によれば、「6)金銭の貸借取引、
8)役務提供、11)調査において検討すべき無形資産、14)費用分担契約、19)国外
関連者に対する寄附金」の論点を確認できます。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/010601/02.htm
 これらの主論点は、調査において、3期にわたり国外関連者に対する寄付金として
の修正を促されることが多々あります。たとえ自主的に、国外関連者寄付金として計
上していても、なんらかの指摘をしてくるのが実情です。時には、5期分まで遡って
の指摘を受けることもありますので要注意です。解釈の違いによる場合もあるので、
税務当局に対しては、指摘事項に関して、根気よく説明することが求められます。

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