海外進出企業の【税務会計】虎の巻

税理士法人名南経営 安田昌泰 公式ブログ

アメリカに移住する子に、日本在住の親が、金銭等を贈与した場合、原則、贈与税は
かかります。検討すべき点は、次の通りです。

1)日本で贈与税がかかる場合

 ⇒日本在住・居住者の親から、日本国籍がある米国居住者となる子へ贈与する場合、
  110万円超なら、財産の所在国がどこにあっても、日本で贈与税が課税。
        ↓
  納税管理人の届出を出して、日本で贈与税を申告

2)日本で贈与税がかからない場合

 ⇒受贈者が米国籍保持者であり、日本国外財産の贈与ならば、日本の贈与税は対象外。

3)米国で贈与税がかかる場合

 ⇒納税義務者は贈与者。米国の贈与税の対象は、贈与された財産の所在国がどこで
  あったか、その財産の種類が何であったかによる。

 ⇒贈与税がかかるのは、財産の所在国が米国であった場合だけ。 
 ⇒日本など米国外であった場合には、納税義務者(贈与者)である日本在住の親は、
  課税対象にはならないので米国での贈与税はかからない。米国国内財産の移転であ
  っても、財産の種類が有形資産であれば課税され、無形資産なら課税されない。
  ①有形資産(課税):不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。
  ②無形資産(非課税):株式、債券、有価証券、手形、著作券等。

 海外子会社をもつ中小企業は、そろそろ、ローカルファイルの作成に着手する時期に来
ていますが、雛型が、国税庁より公表されました。ローカルファイルのサンプル文書が、
二例ありますので、この文書をもとに自社にそった内容で文書化することができます。
 難しい部分は、やはり、「独立企業間価格」の部分ですが、それ以外は、閑散期に時間
を見つけて作成するとよいと思います。ちなみに、サンプルのPDFですが、コピペ可能で
すからアレンジは容易かもしれません。
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/kakaku_guide/index.htm
移転価格ガイドブック~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~
平成29年6月国税庁
国税庁では、BEPSプロジェクトの進展や、移転価格文書化制度の整備などの移転価格を取
り巻く環境変化の下、移転価格税制に関する納税者の自発的な税務コンプライアンスを高
めることを目指し、事務運営(取組方針、具体的な施策)を見直すとともに、納税者の予
測可能性や行政の透明性を向上させるため、平成29(2017)年6月、「移転価格ガイドブック
~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」を公表しました。
「移転価格ガイドブック ~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」の概要(PDF/457KB)
「移転価格ガイドブック ~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」(一括ダウンロード)(PDF/3,984KB)
「1 移転価格に関する国税庁の取組方針 ~移転価格文書化制度の整備を踏まえた今後の方針と取組~」(PDF/1,608KB)
「2 移転価格税制の適用におけるポイント ~移転価格税制の実務において検討等を行う項目~」(PDF/2,099KB)
「3 同時文書化対応ガイド ~ローカルファイルの作成サンプル~」(PDF/1,459KB)


 海外進出の初期段階では、駐在員事務所を設立して、日本から出
張ベースで滞在する場合が一般的です。その際、短期出張者免税の
規定を受けて、出張者について、納税は日本のみで行ない、海外出
張先では免税となるように意図して、出張日数等を調整しますが、
留意点は、次の通りです。
 1)本社による出張日数コントロールは十分か?
   短期出張者免税の対象となる日数を超過していないか?
 2)短期出張者免税の対象となる日数は国により異なり、渡航先
   の租税条約で、日数を確認しているか?
 3)海外出張の目的、渡航先での過度な活動により、PE課税の
   可能性はないか?
 1について、年間の出張申請書および予定書により想定海外出張
日数を本社でコントロールする必要があります。国により免税対象
日数は、たとえば、180日、183日など様々です。出張者本人はもち
ろんのこと、本社主体でコントロールしないと、いつの間にか免税
日数を超過し、海外での納税義務が生じることもあります。
 2について、租税条約により免税となる日数、そのカウント方法
が異なりますから、一律に183日を超えなければよいという思い込み
はせずに、十分な確認が必要です。
 3について、駐在員事務所の活動は情報収集などの活動に限定さ
れ、営業活動は含みません。その認識なく、営業活動等を行なった
場合、恒久的施設が現地にあると認定されて、PE課税、すなわち、
海外での納税を求められる可能性が生じます。
 最後に、日本が締結している租税条約について、給与所得条項
「短期滞在者免税」から、次の①②③を満たせば、日本での給与課
税は免除されます。海外渡航先によって異なりますが、おおむね、
この基準に近い規定が多いと思いますので参考になります。
 ①滞在日数が183日以下
 ②給与が滞在地国の企業から支払われていない
 ③給与が滞在地国に所在する恒久的施設により負担されていない

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