海外進出企業の【税務会計】虎の巻

税理士法人名南経営 安田昌泰 公式ブログ


 役務提供に関する請求額の5%上乗せは、その役務提供の総原価に対して行います
が、適用上の留意点は、次の1から5のとおりです。
 1)役務提供が支援的なものであり中核的事業活動に直接関連しない。
 2)役務提供において、無形資産を使用していない。
 3)役務提供において、重要なリスクの引受け若しくは管理又は創出を行っていない。
 4)研究開発、製造、販売、原材料の購入、物流又はマーケティング、金融、保険又は
   再保険などの役務提供ではない。
5)役務提供と同種の役務提供が非関連者との間で行われていない。
 実務上、すべての役務提供について、その内容に応じて区分してから、1~5の要件を
個々に確認して要件にあえば5%を上乗せします。ただし、不備があれば5%では不十
分?という調査での指摘があるかもしれません。
 計算根拠、契約書等の一定書類の保存も求められており、「事務運営指針3-10(1)の
取扱いに係る要件等」「留意事項等」で確認可能です。2018年2月変更の新旧対比表を
国税庁HPで確かめることができます。
http://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/kaisei/180228/pdf/01.pdf
        

 2018年2月、「移転価格事務運営要領(事務運営指針)」の一部改正により「役務提供取引の取扱い」
が変更されました。  http://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/kaisei/180228/pdf/01.pdf
 税務調査での留意点は、海外子会社に対する役務提供の請求額を5%上乗せして請求する点です。
従来のように、役務提供に係る総原価だけの請求では不十分になっています。たとえば、子会社に対
して、海外で10日間、役務提供した場合、改正前は、その役務提供した従業員の年間給与賞与額に、
会社負担の社会保険料額、通勤費及び間接経費配賦額を合計した総原価を計算し、海外での役務提
供日数で按分した金額でしたが、改正後は、別途5%の上乗せです。

改正前:年間給与賞与額    400万円、
     会社負担の社会保険額100万円、
     通勤費24万円、間接経費配賦額23.5万円、計547.5万円。
     実日数10日の場合、547.5万円×10/365日=15万円。
改正後:15万円に5%を乗じた15万7500円。

 5%上乗せは、独立企業間価格の「簡易な算定方法」であり、一定要件を満たす場合に適用できます。
要件を満たさない場合は、個々に独立企業間価格を算定しますので要注意です。新旧対比表から、改
正前は、対象となる役務提供の具体例はなく、総原価を最低限請求しておけば調査では問題にならな
かったと思います。
 これに対して、この改正では、具体的に役務提供の言及がありますから、この例示以外では、5%上
乗せでは不十分となるかもしれません。その場合、5%以上の請求が必要となりますから、調査での指
摘が懸念されます。今後に備えて、改正点を一度、理解しておく必要があります。

海外進出企業は、海外のコンサルタント、通訳、翻訳などを利用する場合があります。
非居住者であるため、源泉税、消費税について、注意が必要な場合があります。まと
めると次のようになります。

1) 非居住者に支払うコンサル料に対する源泉所得税
判定:コンサル業務が国内源泉所得か国外源泉所得かを判定。
         ⇒人的役務提供は、その業務が行われた場所で内外判定を行う
            例1) 日本でコンサルティング ⇒ 支払額の20.42%の源泉徴収
                     例えば海外からコンサルタントが出張して、日本でアドバイスを行ったり
                     文書提案を行ったりする場合は国内源泉所得で源泉徴収。
            例2) 海外でコンサルティング ⇒ 国外源泉所得で源泉徴収は不要

2)非居住者に支払うコンサル料に対する消費税の取り扱い
判定:役務提供を行った場合、その取引が国内取引に該当するかどうかを判定。
            例3) 日本でコンサルティング⇒課税取引
            例4) 海外でコンサルティング⇒不課税取引
留意点⇒役務提供が国内及び国外の両方で行われる場合、または、その役務提供の
              場所をどちらかに特定できない場合
                ↓
コンサル会社の事務所が国内にあれば課税取引、国外にあれば不課税取引。
国外取引ならば不課税となり、コンサルティング料は、仕入税額控除できない。
契約締結時に、役務提供場所を明示して、対価を合理的に区分明記する。

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