海外子会社の業績がかんばしくなく、運転資金が不足した場合、親会社への救済要望がある
とき、増資か親子ローンかの選択を迫られることがあります。日本親会社側の視点を中心に
メリットとデメリットを簡単に列挙すると次の通りです。

増資・メリット  :日本親会社側:配当で資金還元可能。海外子会社が不採算になれば将来
                         子会社株式の損失で損を計上。

           :海外子会社側:資本充実。返済義務がなく、利息支払が不要。

増資・デメリット:日本親会社側:海外現地の法令で、海外子会社への出資に関する資本金
                    上限規制がある場合、出資は不可。

貸付・メリット :日本親会社側:貸付金として将来資金回収し易い。金利収入が見込める。

貸付:デメリット:日本親会社側:貸付金が海外子会社の業績次第で回収不能になる場合、
                    貸倒処理しにくい。税務上の厳格な損金算入要件に留意。
                   :金利水準が過少だと移転価格税制の問題、国外関連者寄
                    附金の損金不算入の指摘を受ける可能性が高まる。

          海外子会社側:支払利息の支払義務。

一般的には、海外子会社の必要資金を、海外現地での法令を確認し、出資上限をふまえて、
増資と貸付の両方を実行する場合が大半ですが、海外進出前はもちろんのこと、進出後5年程
度のスパンで中期計画を策定することが重要です。海外現地で収益をあげ。事業の採算性を
毎期厳密に検証すれば、このような事態には陥らないはずです。

実際に散見されるのは、勢いでとりあえず海外にでて、海外出向者の海外活動をまかせっき
りにし、悪く言えば放置したままで、採算性を日本の親会社が毎期厳格に管理していない場
合です。撤退も視野に入れたうえで、将来メリットがあるならば、海外事業は継続となり、
増資と貸付の実行となります。そのまま実行していいかどうか判断のしどころです。