一月ほど前『土佐日記』が終わり、『一言芳談抄』も残すところあと少し。ということで、『伊勢物語』を始めることにした。

嵯峨本『伊勢物語』:やたナビTEXT


実は僕がやらなくても『伊勢物語』の電子テキストはネット上にたくさんある。その点では、やたナビTEXTに収録するテキストとしては優先順位が低いのだが、同じ平安時代の歌物語である『大和物語』・『平中物語』がすでに入っているので、『伊勢物語』は入れたいと思っていた。

となると、まず底本を決めなければいけない。ところが『伊勢物語』の伝本はやたらと多い。一般的には天福本系の学習院大学蔵本が注釈書の底本とされるが、これはネット上では見られない。

同系統に宮内庁書陵部本があるのだが、同じ宮内庁書陵部蔵の『伊勢物語』の写本は山ほどあって、なんとなくこれかなというのはあるものの、イマイチ確証がもてない。論文などを探れば特定できるのだろうが、正直面倒くさい。こういうの何とかならないものだろうか。

そこで、嵯峨本を底本にすることにした。嵯峨本は江戸時代初期の古活字本だが、本文は天福本系で、後に流布する版本の祖でもある。後の絵入り版本に影響を与えたと思われる挿絵も入っている。国文学研究資料館の日本古典籍データセットで提供されている画像を用いれば、各ページに挿絵を入れることもできる。

というわけで、作ってみた。

第1段 昔男初冠して平城の京春日の里にしるよしして狩りに往にけり・・・:伊勢物語


なかなかいい感じだと思うけど、どうだろう。
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第二種電気工事士の免許が来た。これで僕も晴れて(ペーパー)電気工事士だ。
電工免許
今回の試験、うまい具合に追い風が吹いていた。試験会場が自宅の近くだったというだけではない。勤務先の副校長が、かつて工業高校で第二種電気工事士資格取得の指導をしていたのだ。PTA通信の自己紹介でそれを知り、技能試験の作品を何度も見ていただいた。あらためて感謝します。

さて、こういうブルーカラー系の資格を取ったからいうわけではないが、これからホワイトカラーの時代は終わり、ブルーカラーの時代が来るんじゃないかと考えている。

ブルーカラーの仕事は体を使う仕事である。力や技術のいる仕事だから、はるか昔は誰にでもできることではなかっただろう。

しかし、機械が発達して必要とされる力や技術は少なくなり、かぎりなく誰でもできる仕事に近づいてきた。それと同時に教育が進んで、ホワイトカラーの仕事ができる人が増えてきた。ブルーカラーが減ってホワイトカラーが増えたのが現代である。

ではこれからどうなるか。ホワイトカラーの仕事の多くは、コンピュータに乗っ取られるだろう。なにしろノーミソさえあればできるのがホワイトカラーの仕事である。コンピュータさえ発達してしまえば、よほどの天才でもない限りほとんどの人間は用無しになる。

もちろんブルーカラーの仕事を代わりにする機械も発達するだろうが、人がいらなくなるのはずっと先のことだ。ブルーカラーの仕事はノーミソ(コンピューター)と機械の両方が発達する必要があるからだ。

まして日本は少子化で人材不足である。国力も弱くなっているから、いずれ外国人労働者に頼ることもできなくなる。需要が先細るホワイトカラーに対し、ブルーカラーの需要は拡大する一方である。

これからは、今までホワイトカラーの仕事に就いていたような人も、ブルーカラーの仕事をするようになる。現在の日本では40%あまりがブルーカラーだそうだが、あと20年もすれば8割ぐらいがブルーカラーになるんじゃないだろうか。

ブルーカラーの仕事は、人の命に関わることが多いので、資格がないとできないことがとても多い。それほど取得が難しくないものも多いので、これから就職を考える若い人はいくつか取っておくとよいだろう。
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『土佐日記』の電子テキストを公開しました。


青谿書屋本『土佐日記』:やたナビTEXT

底本は青谿書屋本(せいけいしょおくぼん)です。いつもどおり、翻刻部分はパブリックドメインで、校訂本文部分はクリエイティブ・コモンズライセンス 表示 - 継承(CC BY-SA 4.0)で公開します。

『土佐日記』は本文研究が進んでおり、やたナビTEXTにまったく新味はありません。ただ、一つだけ他と違うのは、一日一ページになっていることです。

藤原定家によると、紀貫之自筆の『土佐日記』は巻子本だったそうです。読むとすれば、一日の記事の冒頭を右端になるように、紙を巻き取りつつ一日ずつ広げることになると思います。一日一ページはそれに近い読書体験になると思います。

久しぶりに『土佐日記』を通読しましたが、あらためてこれぞまさに文学だと思いました。日記文学の嚆矢であると同時に、紀行、和歌文学、歌論、そして私小説など、後の日本文学に繋がる要素が詰め込まれています。短い作品ですが、よく読み込む必要があります。

この作品の場合、どんなによく出来た現代語訳でも原文の半分も魅力を伝えることができないでしょう。自分で作っておいてこういうのもなんですが、テキストだけでは十分に理解するのは難しいと思うので、できれば複数の注釈書を読んだほうがいいと思います。研究が進んでいても、いまだに解釈の分かれるところが多いからです。

注釈書はいくつかトップページに紹介しておきましたが、この本もオススメしておきます。

小松英雄『古典再入門―『土左日記』を入りぐちにして』(笠間書院)
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原稿用紙に文章を書く場合、行頭に句読点や括弧の終わりを書いてはいけないというのは、小学校で習う原稿用紙の書き方の基本である。印刷物では字間を変えたり余白に入れたりして、句読点などの約物が行頭に来ないようにする。これを禁則処理という。

そうしないと読みにくいから、ルール以前の習慣だと思っていた。ところが、現在翻刻している『一言芳談抄』の版本はなぜか句点が行頭にある。現代の活字と違ってまるごと版木を彫るのだから、句点を行末に入れるのはそれほど難しいことではないはずである。
行頭に。
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/15
ここだけで三回も連続して行頭にあるのでも分かるように、この本に限っては珍しくはない。

では、行末の句点はないのかと思ってすべて確認してみたところ、わずかに二箇所だけ見つかった。そのうちの一つ。
行末に。
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/18
二箇所あるのだから行頭にこだわりがあるわけでもないようだが、数からすると圧倒的に行頭の方が多い。

句点のある版本をあまり扱ったことがないので、これがよくあることなのか、なぜこうなっているのか分からないが、確実に言えることは、

これは読みにくい

ということである。ない方がまだまし。
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先月の総括は、ただ暑いとしか書いていなかった。あのとき覚悟はしていたが、今月もまた暑かった。これを書いている21時50分で室温は27.5℃。明日から10月だというのに、上半身裸で書いている。

数日前、実家の父が入院した。母の話によると、前の日から微熱が出て食欲がなくなり、突然嘔吐したので救急車を呼んだという。病院で検査してもらった結果、なんとコロナである。

父は今年の1月にもコロナにかかっている。そのころ家族の一人が咳をしていたから、感染源の想像はつく。しかし、今回はよくわからない。

父は1月にコロナにかかって以来、一人で外に出ることはなくなった。外出するとすれば、デイサービスぐらいなものだが、感染にはかなり注意しているはずだ。あとは家族だが、1月とは違い誰も何の症状も出ていない。それでも感染してしまった。恐ろしい感染力である

一方、勤務先では、あるクラスがインフルエンザで学級閉鎖になった。この時期にインフルエンザというのも奇妙な話だが、今増えているらしい。

学級閉鎖が開けて最初の僕の授業のとき、明らかに咳をしている生徒が多くいた。幸いその日は珍しく涼しい日だったから、窓を全開にして換気しマスクを着用した。学級閉鎖の理由はインフルエンザだから、コロナとは関係ないかもしれないが、気分のいいものではない。

咳をしている生徒は以前であれば確実に休んでいただろう。実家の家族も1月のときは濃厚接触者として一週間(だったっけ?)出勤できなかったが、今回は出勤しなければならないらしい。

これ、どう考えてもおかしいだろう。コロナが5類になったというのは、単に扱いが変わったというだけでウィルスそのものの性質は変わっていない。感染力が強く、感染したらヤバいことには何も変わりないのだ。

もちろん、感染を広げないために、どこにいてもマスクをしろとか、できるだけ外出を控えろなどという気はない。だが、頻繁に咳が出るとか濃厚接触者なのに会社や学校に行かなければならないというのは、いくらなんでも気を抜きすぎである。

これまでの経験は生かすべきだ。そもそも、以前のように具合が悪いのをおして会社や学校に行くのが間違っていたのである。コロナ以前に戻ってしまったのでは、今までの苦労を無にすることになる。
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8月中にスマホが壊れたので、新しいのを買った。買ったのはRedmi Note 11 Pro 5G。

このスマホはFerica(おサイフケータイ)に対応していて、モバイルSuicaになる。

これまで、スマホ決済はPayPayを使ってきた。PayPayとクレジットカードで、現金を使うことはかなり減ったのだが、これでSuicaが使えれば財布はほぼ必要なくなる。というわけで、モバイルSuicaを導入してみた。

SNSなどを見ると、モバイルSuicaの方がQRコード決済よりよほど便利だという声が多く聞かれる。一番の理由は、電源をONにしなくても使えるということで、たしかにそれは便利そうだが、慣れるとPayPayがそんなに面倒なわけでもない。大事なのはそれ以外である。

結論から言えば、僕にとってモバイルSuicaはあまりいい印象をもてないものだった。たしかに、タッチだけで決済できるのはいい。しかし、それ以外があまりにダメだ。

最初はモバイルSuicaアプリをインストールしようと思ったのだが、android版のアプリがあまりに評判が悪い。なので、モバイルSuicaアプリはやめて、プリインストールされているGoogleウォレット(旧GooglePay)にモバイルSuicaを入れることにした。

最初は試しに3000円だけクレジットカードからチャージした。チャージされ画面が更新されるまで、やや時間がかかる。これがPayPayと比較するとかなり遅い。

実際に使ってみた。たしかに、スマホだけで改札に入れるのは便利だし、自動販売機もタッチで買えるのはすごく便利だ。学校の自販機でPayPayを使っているが、QRコードを読ませるよりはタッチ決済の方がはるかに早い。

そんな感じで使っていると3000円なんてすぐに使ってしまう。「それでは、またチャージしましょう」と思って、5000円チャージしようとしたら、次の画面が出てきてチャージできない。
mobilesuica
「上限に達しました」とか言われても、何の上限だかさっぱり分からない。続く文章には「しばらくしてからスマートフォンでチャージしてください」とあるので、時間の上限なのかと思ったが、何日待っても同じ画面がでるだけ。一ヶ月ほったらかしても同じ。

エラーコードで検索しても有益な情報が出てこない。同じようにチャージできない人もいるようで、一旦カードを削除するとか、いろいろネットに対策は書いてあるが、どれを試してもダメ。もう面倒くさくなったので、残高が数十円になったところでほったらかしにした。

ところが、偶然モバイルSuicaは最初は3000円しかチャージできないという記事を見かけた。試しに2500円チャージしてみるとなんとチャージできるではないか。

どうやら初回は3000円だったので偶然チャージできたということらしい。実は、調べている過程で限度額があるらしいことはSuicaのFAQで分かっていた。
「クレジットチャージには、一定期間にご利用いただける上限額を設けております。(2320)(2321)」の旨のエラーメッセージが表示される。:モバイルSuicaよくあるご質問
モバイルSuicaではクレジットカードでのチャージについて、セキュリティ上の観点から当社独自の利用限度額を設定しており、当該エラーは利用上限を超える場合に発生します。当該エラーが表示された場合は、クレジットカードでのチャージはできませんので、現金でのチャージをご利用願います。

しかし、エラーメッセージもエラーコードも違っているし、いくらが上限なのか一定期間がどのくらいなのか、具体性を欠いていて文意がわかりにくい。今どきちょっと遠いところへ行けば、往復で3000円ぐらいすぐに越えてしまう。まさか3000円が上限とは考えもしなかった。

使い込んでいけばチャージ限度額も上がるらしいが、それならそれで初期は3000円までと書いておくべきだ。そもそも、クレジットカードでもあるまいし、限度額が上がっていくというのもおかしな話である。

過度にリスクを恐れ、言質を取られるのを恐れて具体的なことを言わないのは、お役所のよくやることである。国鉄が民営化されて30年以上。昔に比べてずいぶんサービスが良くなったなと思ったが、どうも中身はあまり変わっていないらしい。
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今メインで使っているデスクトップパソコンが、作ってからちょうど10年経っていたことに気づいた。

僕の場合、あまり負荷のかからないブラウズとテキスト入力、写真の編集などがメインの用途だが、それなりに酷使しているので、まさか10年も使えるとは思わなかった。パソコンは2・3年で買い替えが必要だった時代を知っている身としては感慨深い。

このPC自体は1997年に買ったもので10周年どころか26年前のものだが、そのころのものはケースだけである。パーツが壊れるたびに買い替えて、パソコンを構成するもっとも重要な部品、マザーボード・CPU・メインメモリを更新してからちょうど10年になったのだ。

PC大改造終了(ハードウェア編):2013年09月16日

マザーボードもCPUも性能のいいものではなく、一番安いものを選んだ。というのは、僕の用途ではそれで十分で、長くても6年ぐらいでマザーボードかCPUのどちらかが壊れるだろうと思っていたからである。実際に壊れたのは、まだ発展途上だったSSDとCPUクーラーだけだった。

このときに、OSもWindowsXPからUbuntuに入れ替えた。ということはUbuntu歴10周年でもあるということだ。

PC大改造終了(ソフトウェア編):2013年09月21日

こちらは10年間で安定性が増し、現在ではOSに起因する不具合はほぼなくなった。とはいえ、Ubuntuもこのパソコンでは重くなってしまったので、去年から軽量な公式派生版のXubuntuを使っている。

Xubuntuにしたおかげで、再びストレスなく使えるようになった。PCゲーマーかYoutuberにでもならないかぎり、あと5年ぐらいはいけそうな気がする。壊れなければだけど。
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暑い。ただただ暑い。

7月の総括を書いたときも暑い暑いと書いていたが、内心「こんなに暑いのが続くわけはない。このあと涼しくなるんじゃないの〜」なんて思っていた。

ところが、淡い期待は裏切られ、毎日ひたすら暑い日が続いた。8月は暑いのが当たり前で、だから夏休みというものがあるのだが、それでもここまで続いたのはちょっと記憶にない。

8月はあれをやろうこれをやろうと、いろいろ考えていたのだが、こうクソ暑いと外に出る気がしない。おかげで8月には珍しく、ブログの記事が書けた。

明日から9月。学校もじきに始まる。たのむから、もう少し涼しくなってくれよ。
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先日、『一言芳談抄』の電子テキスト化を始めたが(『一言芳談抄』始めました:2023年08月03日参照)、これは短いのですぐに終わりそうなので、もう一つ並行して進めていこうと思う。

さて、何をするかだが、メジャーにも程がある『土佐日記』にすることにした。底本はかの有名な青谿書屋本。

青谿書屋本『土佐日記』:やたナビTEXT


理由はこれまた短いことと、青谿書屋本や定家本がネット上で容易に見られること、写本の字が美しく読んでいて楽しいことである。『醒睡笑』でやたナビTEXTの作品リストを下(新しい時代)に伸ばせたので、今度は上に伸ばしたというのもある。

ちなみに青谿書屋本はこちら。
土佐日記:国書データベース

定家本はこちらで見られる。
土佐日記 (尊経閣叢刊):国立国会図書館

これも完成までそれほどかからないと思うが、ここのところ長い作品が多かったので、しばらくは短めの作品で作品点数を増やしていこうと思っている。
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前回の記事(第二種電気工事士の資格取得までの費用:2023年08月22日参照)に電工ナイフというものが出てきたが、これがなかなかいいのでご紹介。いかにも特殊な工具っぽい名前だが、なんのことはない、ごく普通にもほどがあるただのナイフである。だが、それがいい。

最近は通販で物を買うことが多くなったから、ダンボールを切ったりビニール紐を切ったりすることが多い。こういうときに、ごく普通のナイフがほしいのだが、意外にちょうどいいものが身の回りにない。

例えば、身の回りの刃物で代表的なのはカッターナイフだが、あれは本来紙を直線的に切るためのもので、それ以外の用途には刃が薄くて頼りないし、切れすぎて余計なところまで切れてしまう。包丁は食材以外は切りたくない。十徳ナイフ(アーミーナイフ)はいい感じだが、機能が多いので使いたい刃がすぐにでてこなくてイラっとする。子供の頃使っていた切り出し小刀や肥後守が使いやすそうだが、今となってはどちらも先が尖っていて形状が物騒すぎる。

電工ナイフは適度な厚みと刃渡りがあって先が尖っていない。力を入れて使うものなので握りやすい。理想的なごく普通のナイフである。
電工ナイフ
こんなふうに電線やケーブルの被覆を剥くために使うのが主な使い方。
電工ナイフ使用中
上の写真はホーザンのもの。刃は鋼でグリップは木。いかにも「ただのナイフで候」という見た目がいいのでこれをチョイスした。

研ぐのは面倒くさいという人のために替刃式のもある。こちらは刃がステンレスなので錆びる心配もない。

他にもいろいろなメーカーが出していて形状もさまざまだ。僕が買ったのはコンパクトな折りたたみ式だが、鞘におさめるタイプのものもある。常備しておくならそっちの方が使いやすいかもしれない。
電工ナイフの検索結果:amazon.com

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