今月は学校の仕事自体は連休だの試験だの行事だのであまりなかったのだが、それ以外の仕事というかやらなければならないことが多くて大変な月だった。なかでも、このブログで何度も書いている文房具屋の閉店とリフォームに費やした時間が一番多い。
これに伴って、祖母はひと月ほど家を空け、僕の実家―つまり娘(僕の母)の家―に身を寄せた。こんなことは祖母の人生では戦時中の疎開以来のことである。もっとも疎開先は自分の実家だったからかえって気が楽だったろうが、娘とはいえ僕の父もいるし、結構気を使ったのではないか。
祖母が戻ってきたのは5月の15日である。叔父が運転してきた車から降りると・・・なーんということでしょう、玄関があるではありませんか!!
玄関があるなんて当たり前じゃないか!と言わないでほしい。祖母の人生のうち60年間は家に玄関が無かったのである。裏口があるにはあったが、ここから出入りすることは滅多になかった。もっぱら玄関の代わりにしていたのは店舗である。
玄関のない暮らしはしてみないと分からないだろう。簡単に言えば、だれでもWelcomeである。
するといろんな人が来る。セールスマン、宗教の勧誘、寄付の依頼、行商人、広告屋、詐欺師、・・・。入ってきた時点では、客と見分けがつかないから、いちいち応対しなければならないのがつらいところだ。門前払いという言葉はない。
不思議と「今ムショからでてきたところだ。ゴムヒモ買え!」というような、典型的な押し売りは来たことがない。商売人相手に押し売りは無理だと思っていたのかもしれない。その代りと言っちゃなんだが地図屋が来る。
地図屋というのは、街中でよく見かける、店の名前を羅列したクソの役にも立たない案内図を作る業者である。昔はブリキの板にペンキで書いてあったが、最近はお手軽にパソコンで出力したものにビニールがかけてあるのを見かける。
地図屋は誰からも頼まれていないのに、商店街の店を回って「○○の前に案内図を作りました。この店も入っていますので○○円ください。××円なら字を赤くします(or大きくします)」という。
勝手に案内図を作って、勝手に掲示していくのだから限りなく詐欺に近い。だが、実際に見てみると、ちゃんと案内図が掲示してあるのがかえって面白い。まるで自分たちは詐欺師じゃないと言わんばかりだ。
もれなく追い返していたが、払っちゃう店主も多いのだろう。あの地図を見て、字が大きくなっていたり赤くなっていれば、マヌケな店主のいる店と思ってよい。なお、払っていなくても、店名は消されていなかった。消したら地図として成立しなくなるのだろう。道なんかがいいかげんなので、最初から成立していないが。
祖母はまだ玄関のある生活に慣れないらしい。昼間、玄関の扉を閉めておくと、世間から隔離されたような気がするそうだ。
これに伴って、祖母はひと月ほど家を空け、僕の実家―つまり娘(僕の母)の家―に身を寄せた。こんなことは祖母の人生では戦時中の疎開以来のことである。もっとも疎開先は自分の実家だったからかえって気が楽だったろうが、娘とはいえ僕の父もいるし、結構気を使ったのではないか。
祖母が戻ってきたのは5月の15日である。叔父が運転してきた車から降りると・・・なーんということでしょう、玄関があるではありませんか!!
玄関があるなんて当たり前じゃないか!と言わないでほしい。祖母の人生のうち60年間は家に玄関が無かったのである。裏口があるにはあったが、ここから出入りすることは滅多になかった。もっぱら玄関の代わりにしていたのは店舗である。
玄関のない暮らしはしてみないと分からないだろう。簡単に言えば、だれでもWelcomeである。
するといろんな人が来る。セールスマン、宗教の勧誘、寄付の依頼、行商人、広告屋、詐欺師、・・・。入ってきた時点では、客と見分けがつかないから、いちいち応対しなければならないのがつらいところだ。門前払いという言葉はない。
不思議と「今ムショからでてきたところだ。ゴムヒモ買え!」というような、典型的な押し売りは来たことがない。商売人相手に押し売りは無理だと思っていたのかもしれない。その代りと言っちゃなんだが地図屋が来る。
地図屋というのは、街中でよく見かける、店の名前を羅列したクソの役にも立たない案内図を作る業者である。昔はブリキの板にペンキで書いてあったが、最近はお手軽にパソコンで出力したものにビニールがかけてあるのを見かける。
地図屋は誰からも頼まれていないのに、商店街の店を回って「○○の前に案内図を作りました。この店も入っていますので○○円ください。××円なら字を赤くします(or大きくします)」という。
勝手に案内図を作って、勝手に掲示していくのだから限りなく詐欺に近い。だが、実際に見てみると、ちゃんと案内図が掲示してあるのがかえって面白い。まるで自分たちは詐欺師じゃないと言わんばかりだ。
もれなく追い返していたが、払っちゃう店主も多いのだろう。あの地図を見て、字が大きくなっていたり赤くなっていれば、マヌケな店主のいる店と思ってよい。なお、払っていなくても、店名は消されていなかった。消したら地図として成立しなくなるのだろう。道なんかがいいかげんなので、最初から成立していないが。
祖母はまだ玄関のある生活に慣れないらしい。昼間、玄関の扉を閉めておくと、世間から隔離されたような気がするそうだ。