2013年04月

今月は、ネタはたくさんあったのに書けない月だった。もともと4月はやたらと細かい仕事が多いのと、授業が始まって一週間で風邪でダウンしてしまったからである。

寝こんだのは授業のない土曜・日曜の二日間だけだったが、相変わらず喉と鼻の調子が悪い。時折咳が止まらなくなり、花粉症の時よりも鼻水が出る。

それにしても、ボストンマラソンのテロ事件には驚いた。なにしろ僕が行って一月も経たないうちに爆弾テロ事件が起きたのである。

2013年ボストン・マラソン爆発事件:wikipedia
2013年ボストン・マラソン爆発事件(2013ねんボストン・マラソンばくはつじけん)とは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンにて、第117回ボストンマラソンの競技中であった2013年4月15日14時45分頃(現地時間)に発生した爆弾テロ事件である。

ボストンの街は、静かで落ち着いた街だった。一部治安の悪い地域もあるようだが、僕が見た限りではそういう「ヤバい」感じはほとんどうけなかった。あの街が一瞬にして修羅場になり、戒厳令下のような状態になり、さらには銃撃戦の現場にまでなったというのはとても信じられないことだ。

しかし、この地域はイギリス人が原住民のインディアンを徹底的排除してできた土地であり、その後独立戦争につながるボストン茶会事件やボストン虐殺事件の地であったことなど、アメリカそのものの血塗られた歴史の象徴でもある。決してもともと平和な土地ではなかったのだ。

9.11事件のときに、貿易センタービルに激突した飛行機はボストン発だった。そして今回、テロの日に選ばれたボストンマラソンは、もともと独立戦争開始を記念した愛国者の日(Patriots' Day マサチューセッツ州、メーン州、ウィスコンシン州だけにある)に行われた。

事件の真相はまだ明らかになっていないし、そもそもテロリズムを肯定することはできないが、僕は歴史の因果を感じずにはいられないのである。
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池上線の五反田駅から大崎広小路駅までは約340mしか離れていない。五反田から十分歩ける距離である。誰がこんな駅使うんだという気がするが、立正大学やゆうぽうと等の最寄駅なので、乗降客は意外に多い。

大崎広小路駅の入り口は一カ所しかなく、現在工事中でやたらと狭い。朝行く用事がないので見たことはないが、通学の時間になったら大変なことになるんじゃないだろうか。

現在の大崎広小路


こんな殺風景な写真を出してもしょうがないので、かつての大崎広小路駅の入り口を載せる。こちらは2009年7月の撮影。

以前の大崎広小路


橋脚は現在、コンクリートになっている。

コンクリート橋脚


かつては五反田駅と同じトラスだった。
トラス橋脚


大崎広小路駅に入る池上線。
大崎広小路駅に入る池上線


それにしても、「広小路」というのは広いんだか、狭いんだかよく分からない名前である。地名にも通りの名前にもない。

Wikipediaによると、火事の類焼を防ぐため江戸時代以後に設置された幅の広い街路のことらしい。大崎広小路駅は山の手通りに面しているが、これが大崎広小路なのだろうか。

広小路:Wikipedia

さて来月は戸越銀座に参ります。
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今月の壁紙はニューヨーク。

沢山写真を撮ったが、天気が悪かったり、何も僕が写さんでも・・・というようなありきたりの写真が多くて、選定が難しい。それではテーマを決めて・・・ということで、音楽関連の名所を壁紙にしてみた。

まず、ニューヨークといえば、ジョンレノンが暗殺された、ダコタハウス(The Dakota)。左側の入り口の前が現場だ。
ダコタハウス(1024x768)

ダコタハウス(1024x768)
ダコタハウス(1280×1024)
ダコタハウス(1366x768)

続いて、ジャズの殿堂、ブルーノート(Blue Note)。
BlueNote(1024x768)

BlueNote(1024x768)
BlueNote(1280×1024)
BlueNote(1366x768)

最後はソウルの聖地、アポロシアター(Apollo Theater)。
アポロシアター(1024x768)

アポロシアター(1024x768)
アポロシアター(1280×1024)
アポロシアター(1366x768)

実はこの中で行こうと思って行ったのはダコタハウスだけ。ブルーノートは半日観光ツアーでたまたま、アポロシアターに至っては帰りの空港行きバスの乗り場が近くだったというだけである。
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河口慧海『チベット旅行記』を読んだ。

河口慧海『チベット旅行記』:青空文庫


冒険というと、ふつうは自然か人間のどちらかが「険しい」のを「冒す」ものである。自然の険しい所には人がいない。人がいるところの自然はたいがい優しい。

ところが、河口慧海の冒険は自然と人の両方が険しい。世界有数の高地であるチベットの自然が厳しいことは言うまでもない。

当時(明治30年代)のチベットは後ろ盾だった清の弱体化と、イギリス(インド)、ロシアネパールとの複雑な国際関係から鎖国状態にあり、特定の国の人以外は入国ができなかった。ここで「人」の険しさがでてくる。

『チベット旅行記』の前半は、自然との戦いが主になる。地形、気候、生物、病気、食料と考えうるあらゆる困難が立ちはだかる。もちろん、自然だけでなく、強盗だの言い寄ってくる女だの困った人間も現れる。それだけで十分なのに、慧海はストイックに戒律(午後は食料を食べないとか、肉を食わないとか・・・)を守り、巡礼までする。

後半、ラサに着いて以降は、人間との戦いが中心となる。なにしろ不法入国である。日本人であることがバレないためには目立たないことが一番だが、たまたま人の脱臼を治したため(当時チベットでは脱臼を治すことができなかった)名医として有名になってしまう。

慧海の人徳によって味方になってくれるチベット人もたくさんいた。しかし、いずれ日本人であることがバレはじめ、スパイと疑われて入手した大量の仏典とともにチベットを離れる。

慧海自身は無事出国できたが、今度は慧海の味方をしてくれた人たちがスパイを匿まっていた罪を受けることになる。すると今度はその人たちを救うためにネパールへ行く・・・。

これだけでも大変な冒険譚だが、この本は単なる旅行記ではなく、チベット人の信仰、風俗、習慣から、政治、経済、外交まで詳細にまとめられている。

これが旅行記以上に面白い。「分からないとこは書かない」などと言っているが、これだけのことが書けるなら、スパイと疑われても仕方がないだろう。というか、どこからどう考えても立派なスパイである。

この本の魅力はそのような〈内容〉だけではない。文体がなんともいえずいい。

明治時代の坊さんの文章というと、なんだか小難しい感じがするが、これは全然そんなことはない。講演調の「ですます体」で、非常に読みやすい(序文だけは漢文訓読調)。この丁寧で飾りや誇張のない表現が、その内容と相まって生々しい迫力を生んでいる。

冒険小説を読むと、なにやら奮い立つものがあって、自分も冒険に出かけたくなるが、これはまったくそういう気持ちにならない。絶対に無理。でも面白い。こんな冒険譚は初めて読んだ。

というわけでストロングバイ。青空文庫ならタダ。
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今年で95歳になる祖母の家の電話が壊れた。こちらからの声は聞こえるが、向こうからの声が全く聞こえない。これでは役に立たないので、電話機を買い替えることにした。

今使っている電話は、僕が10年ほど前に電気量販店で買った物で、短縮ダイヤル、留守電、親子電話など基本的な機能が付いていて、当時一万円ぐらいだった。0円携帯の時代で、線が付いているくせに高いなあという印象だった。

ところが、祖母はそれらの機能を一つとして使わなかった。留守電なんかはそれほど留守にしないので使わないのは分かるが、二階建てだから親子電話なんか使えれば結構便利だろうに、電気がもったいないという理由で全く使っていなかった。使い方を間違えて、電話料金がとんでもないことになったら困るというのが本音だろう。

それは当時から分かっていたことで、その時もシンプルなのを捜したのだが、そんな電話機は売っていなかった。親子電話、留守電付きで1万円以上というのが、当時の固定電話の常識だったようだ。

そんなわけで「またオーバースペックのしかないんだろうな」と思いつつ、amazonを捜してみたら、Panasonicのものがあった。1954円。+350円でお急ぎ便にしたら、次の日の午後に着いた。



電源不要だから、万一停電になっても、電話線さえ生きていれば通話可能。地震の前は考えもしなかったが、これはポイント高い。

機能はほとんどなく液晶画面すら付いていないが、ワンタッチダイヤルが3件登録できる。短縮ダイヤルは設定できないが、あんな面倒くさい機能は若い人だって使わない。これで十分である。

着信音は甲高い音でよく聞こえる。受話器からの音声も明瞭で、6段階に変えられる。そのためのボタンが大きいのもいい。

難を言えば、ボタンのクリック感がないことだろうか。ゴムをぐにぐにと押している感じで、電話にはふさわしくない。もっともこの電話はオンフックダイヤルができないから、受話器を耳に付けてかければプッシュホンの音が聞こえてくるので、慣れてしまえばそんなに問題はないだろう。

考えてみれば、老人ならずとも高機能な固定電話は必要なくなっている。留守電にかけるほどの用なら携帯電話にかける。携帯電話には親も子もない。どんなにがんばっても、機能では携帯電話にはかなわないのだ。

今、固定電話に求められているのは信頼性の一点といってもよく、電源が必要ないというのはそれだけでもかなり安心感がある。

なお、この手の電話機には他にパイオニアのものがあるらしい。値段はパナソニックのものより少し高めだが、オンフックダイヤルと保留ができる。キーもこっちの方が押しやすそうだ。

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今回、ニューヨークへ行って、これで四大都市(東京を含む)の地下鉄に乗ることができた。地下鉄の違いはその都市の特徴を表しているようで面白い。そこで、まことに僭越ながら、各都市の地下鉄の評価をしてみよう。

評価基準は次の通り。レーダーチャートはそれぞれの項目を5段階で表してみた。
  • 列車…車両の乗り心地
  • 駅…駅の設備など
  • 乗り換え…乗り換えのしやすさなど
  • 運賃…切符の買いやすさなど(運賃の高い安いは問題にしない)
  • 案内…駅構内、列車内の案内の多さ、分かりやすさなど

ロンドン(チューブ)

列車:お猿の列車なみに狭い。狭いうえに空調なしで、夏の満員列車は暑い、臭い、狭いの三拍子。
駅:列車と同じく狭い。通路を歩いていると炭鉱夫の気分が味わえる。階段が多く足の悪い人にはきついだろう。入り口は分かりやすい。
乗り換え:通路が狭いため、一方通行になっているおり、行先を間違えることはめったにない。
運賃:オイスターカードなるプリペイドカードと切符の価格差が激しい。乗り越しをすると清算ができず罰金を取られるらしい。
案内:一度案内を見て、どの線に乗るかを決めれば、確実にホームへたどり着く。車内アナウンスも分かりやすい。
ロンドン

〈寸評〉
歴史が古いからしょうがないのだが、でかい人が多いのにこの狭さはちょっと異次元感覚。変な電車に乗りたい人はロンドンがオススメ。

パリ(メトロ)

列車:東京の地下鉄ほどではないが快適。ただし、扉が自動で開かないのには注意。
駅:やや薄暗いが、広くてきれい。入り口もわかりやすいしかっこいい。
乗り換え:ちょっと複雑だが、廊下に足跡が書いてあったりして、分かりやすく工夫されている。
運賃:運賃の支払いは日本と同じ紙の切符。ほぼ統一料金で出るときには改札がない。券売機の前にダフ屋がいる。
案内:案内は多く、分かりやすい。
パリ

〈寸評〉
一番乗りやすかった。あまりに乗りやすかったんで、記憶があいまいだったりする。
変わっているといえば、ボタンを押さないと扉が開かないことぐらいだろうか。

ニューヨーク(サブウェイ)

列車:広くゆったりしているが、いかんせん振動が多くうるさい。
駅:入り口が狭く分かりにくい。改札が回転式で荷物が多いと通りにくい。
乗り換え:乗り換えの案内が少なく、表記が微妙に違ったりするので、行先を間違えやすい。
運賃:統一料金なので分かりやすい。手続きなしで発行されるプリペイドカードと一回限定の切符があり切符の方が少し高い。
案内:構内にある路線図が少なく、駅名がわかりにくい。路線図は必需品。
ニューヨーク

〈寸評〉
初めての人に分かりやすくしようという努力が見られない。その反面、分かっちゃうとかなり利用しやすそうな感じはある。ニューヨーカーいわく「ニューヨークの地下鉄は分かりにくい。東京ほどじゃないけど」だそうだ。

東京(地下鉄)

列車:冷暖房完備でイスもふかふか。大変快適。たぶん世界一。
駅:閉塞感がなく、トイレなどの設備もきれい。これもたぶん世界一。
乗り換え:乗り換えの距離が異常に長く複雑な駅がある。都営と東京メトロを乗り継ぐときには改札を出なきゃいけないのも分かりにくい。
運賃:料金が細かすぎ。僕が外国人であんな複雑な券売機を見たら泣くと思う。購入にクレジットカードが使えないのは先進国としていかがなものか。
案内:車内、駅構内ともに分かりやすく親切。ホームに時刻表まであるのはたぶん日本だけ。だが、やはり運営会社が二つあるのが問題なのでマイナス1。
東京

〈寸評〉
ハードはいいのにソフトはイマイチ。諸悪の根源はいまだに都営と東京メトロの二社で運営されていることと、料金体系が細かすぎることに尽きると思う。
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吉祥寺を歩いていたら、たまたま佐々木マキの展覧会をやっているのに遭遇。入場料は100円。安い。

佐々木マキ 見本帖:武蔵野市立吉祥寺美術館
佐々木マキ 見本帖  2013年4月6日(土)−6月23日(日)
前期:4月6日(土)−5月15日(水)
後期:5月18日(土)−6月23日(日)
※前後期で展示作品が異なります。
主催 武蔵野市立吉祥寺美術館
企画協力 メディアリンクス・ジャパン
会期中の休館日:4月24日(水)、5月16日(木)、5月17日(金)、5月29日(水)

佐々木マキは佐々木マキ『うみべのまち』を読んだ?:2011年09月19日で紹介した。もともとガロ系の漫画家だが、漫画家というより絵本作家やイラストレーターとして知られている。

展覧会は絵本や漫画の原画を中心として、写真や版画、掲載された雑誌なども展示してある。それほど大規模な展覧会ではないが、今まで印刷物でしか見たことがなかったので、原画を見るのは新鮮だ。

写真は初めて見た。佐々木マキの絵は、異国情緒あふれるシュールな作風が特徴だが、異国でもない、日本のごく普通の街角を写した写真にもそれが現れているのが面白い。以前ホシナさんが紹介していて『まちにはいろんなかおがいて』も佐々木マキの写真作品である(絶版らしい)。

『まちにはいろんなかおがいて』:HOSHINA HOUSE

ついでに二冊、絵本を買ってきた。

一冊は『ムッシュムニエルをご紹介します』(絵本館)。これは僕が10歳のときに佐々木マキを知った作品である。

魔術師(だけどヤギ)のムッシュムニエルが弟子にするために、男の子をさらおうとするが・・・。シンプルに書かれる不思議な世界観と、ちょっと怖いけど、ヘンに真面目なムッシュムニエルが可笑しい。


もう一冊は、『やっぱりおおかみ』(福音館)。こちらは、『ムッシュムニエル』とは対照的に、緻密に描きこまれている。

孤独なおおかみの子供が、仲間を探して街をうろつく。そこには楽しそうに群れる草食動物たちがいて、最初は羨ましく思うが、自分に似た子は見つからず、自分はおおかみとして孤独に生きるしかないと悟る。

こう書くと、なにやら寂しげな感じがするが、この本は「そうおもうと なんだかふしぎに ゆかいな きもちに なってきました」で終わる。ここで僕は絆という言葉(なぜか「絆」がいけすかない:2011年11月18日参照)を思い出した。



子供むけの絵本を解説するとどうもヤボになっていけない。まあ、読んでくれ。
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ニューヨークで一番有名な駅はグランドセントラル駅である。数々の物語の舞台になってきたし、建造100年を迎えて建物そのものが歴史的建造物とされている。前のエントリで紹介した、メトロカードに描かれているのもグランドセントラル駅だった。
メトロカード(表)

グランドセントラル駅はマンハッタンの中心部にある。線路はすべて地中にあるので、駅なのに線路は見えないという不思議な構図になっている。

周りには有名なビルが立ち並んでいる。これはメットライフビル。というより、旧パンナムビルと言った方がなじみがあるかもしれない。
旧パンナムビル

ビルの谷間から、エンパイアステートビルが建つまで世界一高かったというクライスラービルも見える。僕はこのビルの方がエンパイアステートビルよりも美しいと思う。この足元にあるのがグランドセントラル駅。
クライスラービル

中に入ってみた。切符売り場。
グランドセントラル駅の切符売り場

人が行き交うホール。メトロカードのもとになったのはここ。今年で100周年ということで、窓ガラスに100の文字が見られる。
グランドセントラル駅

そのステンドグラスの下になんか見覚えのある「齧られたリンゴ」マークが・・・
アップルマーク

なんと、アップルのストアだった。行ってみると、iPadやMacBookがたくさんあって、みんないじり倒している。写真ブレブレですみません。
アップルストア

今回の旅行ではデトロイト、ボストン、ニューヨーク(ラガーディア)、ミネアポリスの四つの空港を利用したのだが、どこの空港の待合室でもiPadを自由に使わせる広大なスペースがあった。アップルの勢いを感じた。

これではGoogleがかわいそうなんで、たまたま見つけたGoogleニューヨーク支社。ぜんぜん場所は違う(チェルシーマーケットの近く)けど。
GoogleNY

グランドセントラル駅の地下には列車を模したフードコートがある。世界の料理があるが、僕たちはなぜか中華料理を食べた。

中国いう「快餐」(一つのプレートに複数の出来合い料理を乗せる)で、適当に注文したら見た目がゴミみたいになってしまったが、なかなかうまかった。
グランドセントラル駅の地下

お箸をもらったら、箸袋に使い方の説明が書いてあった。さすがアメリカ。
IMGP1444
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昨日、『モヤモヤさまぁ〜ず2』見てたら「大江アナ卒業記念スペシャル」でニューヨークを歩いていた。どうもちょうど同じ時期に歩いていたらしい。実はすでにエントリを書いていたのだが、行った場所が『モヤさま』とかぶりまくりなんで、地下鉄話に変更する。なお、ボストンの地下鉄話はこちら。

ボストンの地下鉄:2013年04月03日

ニューヨークの地下鉄というと、僕たちの世代にとっては危険極まりないヤバい場所というイメージがある。落書きだらけの車両とホーム、女性が一人の乗るとほのぼのレ○プ、指輪をしていたら指ごと盗まれるとか、入り口だけで出口はないとか、とんでもない話がまことしやかに伝えられていた。

昔はどうかしらんが現在はそんなことはない。ホームにも車両にも落書きはなかったし、降りたら指が無かったなんてこともなかった。

乗車券はプリペイドカード(切符もある)で、今までで一番購入しやすかった。チャージも難しくない。ボストンと同じく2.5ドルの統一料金(切符だと確か2.75ドル)でどこまでもいけるらしい。

メトロカード(表)メトロカード(裏)


どことなく不気味なデザインだが、これはマンハッタンの中心部にあるグランド・セントラル駅を描いたもの(タテにして見て下さい)。この駅については次のエントリで書く。

しかし、分かりやすいのはここまで。まず、駅名がとにかく分かりにくい。

ニューヨーク地下鉄マップ地図(ニューヨークの地図):あっとニューヨーク

上の路線図を見てもらえば分かるが、数字の駅名がやたらと多い。例えば僕たちが宿泊した場所は163st AmsterdumAveというところで、表記すると短いが言葉にすると「ワンハンドレッドシックスティサードストリート、アムステルダムアヴェニュー」となってやたらと長い。それでもAmsterdumAveが付いているからまだいいが、ほとんどは数字+ストリートだけでよく分からなくなってくる。

マンハッタンの道はセントラルパークを縦長に見て、横をストリートといい、縦をアヴェニューという。そのうち横はすべて数字になっていて、ダウンタウンからアップタウンにかけて数字が上がっていく。ちょうど京都の一条・二条と言うのと同じだが、全部数字にしちまうもんだから、とんでもない数字になってしまう。

駅名表示はタイルのモザイクでできていてなかなかカッコいい。駅によってデザインや書体が違ったり、絵が書かれていたりして見ていて飽きない。僕が見た中でオススメは81st Museum of Natural History駅。壁に恐竜やら動物のモザイクがあった(けど降りていないんで写真撮ってない)。
地下鉄の駅名表示
51thstreet


入り口も狭くて分かりにくいところにある。僕は地下鉄の入り口を撮るのが好きなのだが、あまりにフォトジェニックじゃない(狭くて汚い)ので、写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。

ホームはこんな感じ。地盤が強いので柱が細い。
地下鉄ホーム

なぜだかしらんが、小銭が大量に捨てられていた。
なぜかコインが

車両は昔の東急線みたいな銀色のステンレス車で、路線図には色分けがあるが、ボディには一切色がない。ちなみにこれはC列車だが、分かるだろうか。
地下鉄車両

中は今まで乗った地下鉄では一番広い。つり革がないので、背の低い人はきついかもしれない。乗客は意外と―と言っては失礼だが―お行儀がよかった。
車両の中

ホームの案内。色が同じ線は同じ方面に行くが、ボストンのようにブルーラインとかオレンジラインとは言わず、Aトレイン、Bトレインと言えばいいらしい。
案内

この案内にExpressとあるようにAとDは急行で駅をとばす。東京の地下鉄と違い、急行の走る線路と各駅の走る線路は別になっているので、急行と各駅の差は大きい。

このAとあるのが、デューク・エリントンの「A列車で行こう(Take the 'A' Train)」でおなじみA列車である。「ハーレムに行くなら速いA列車で行きましょう」という意味だそうだ。

現在は出るときも自動改札を通るが、これは昔使っていた出口だろう。映画で見た記憶がある。現在ここから出る人はいない。
昔の出口


改札の内と外は、鉄のオリみたいなので仕切られている。これが「なんかヤバい感」を醸し出している。
コンコース

総じていうと、ニューヨークの地下鉄は初めての人にはとても分かりにくいものだった。乗り換えの案内も少なく、電車の行先も分かりにくい。慣れちゃえばなんてことないのだろうが、やはりニューヨーカーのための電車だと思った。
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ボストンでまともに行動できたのは一日だけだったので、あくまで第一印象だが、ボストンはとても落ち着いた街だと思った。大学の街だから若い学生が多いのと、道幅が広くゆったりしているのがそう感じた理由だろう。どことなく北海道の函館に似ていると思った。

考えてみると函館との共通点は多い。緯度も近いし、気候も似ている(たぶん)。どちらも昔は国際的な貿易港として栄え、海産物が名物。似ているのも道理である。

住民の平均所得は高そうな感じだが、ところどころに物乞いがいた。ただし、これがホンモノかどうかは分からない。

物乞いの基本として、前に何か書いた紙と空き缶を置いて、ひたすら待つというのがある。紙には物乞いになるに至った理由が書いてある。大抵は「失業してお金がない」とか「泥棒に盗まれた」とか「苦学生で学費がない」である。

今まで見た中で一番秀逸だったのは、中国で見つけたハングリーブラザーズである。「貧乏で兄は飢え死にしました」と書かれた紙の前に死んだ兄貴が寝ていて、その後ろで弟はひたすら頭を下げている。どちらも小学校低学年ぐらいに見える。

こう書くとずいぶん凄惨な光景に思われるかもしれないが、死んだはずの兄貴は血色がよく、ときどきぴくぴく動いている。結構人だかりができていたが、誰も兄貴の足をくすぐったりしない。物乞いは一種の大道芸なのだろう。

ボストンの物乞いもほとんどが失業者だったが、一人面白い奴を見かけた。「飲み代がなくなったので恵んでくれ」というものだ。その紙の前には体格のいい白人の若者が、壁にもたれかかってだらしなく座っている。どう考えてもアルバイトでもした方がいい。こんな図々しい物乞いは初めて見た。

下の写真は、地下鉄の入り口で見つけたもの。「ネイティブアメリカンが助けを求めている」とか書いてある。札の主はすでにいなかった。
物乞い札

こう書くからには、インディアンの恰好で物乞いをしたのだろうか。そういえば、ボストン茶会事件はインディアンのコスプレをして茶箱を海に投げ捨てたそうだ。ボストン市民はインディアンが好きなのかもしれない。

さて、ボストンに着いて二泊した後、僕たちはローガン国際空港からデルタ航空の国内便を使い、ニューヨークラガーディア空港に向かった。

ボストンからニューヨークまでは、飛行機で一時間かからない。本数もひっきりなしにでているらしい。エンブラエルというブラジル製の小さな飛行機で、座席指定は無しでどこに座ってもいい。アメリカ人はバスを乗るように飛行機に乗るというが、安っぽい座席もふくめて本当にバスみたいだった。

帰ってから気付いたのだが、アメリカ同時多発テロ事件(9.11事件)のハイジャックされた4機のうち、ニューヨークの貿易センタービルに激突した二機は、いずれも今回ば僕たちが乗ったボストンのローガン国際空港から出発していた。

アメリカ同時多発テロ事件:wikipedia

どちらの飛行機も、出発して数十分でハイジャックされ進路を変え、40分程度でニューヨークの貿易センタービルに激突している。ルートがほとんど同じなので当たり前だが、僕が飛行機に乗っていた時間とほぼ同じである。これはあまりにも短い。この短い時間に乗客たちは何を思ったのだろう。

ニューヨークでは、いわゆるグラウンドゼロにも行った。そこには、新しい世界貿易センタービルが姿を現しつつあった。
グラウンドゼロ
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