2013年07月

今年のブログ強化月間も今日で終わり。なんとか書き終えることができた。ご苦労様でした、オレ。

さて、今月の一番のイベントは、何と言っても参院選である。

今回の選挙の投票率は52.61%で、参院選としては過去3番目の低さだったそうだ。やる前から、自民党の圧勝が伝えられたものの、天気はよかったし、暑くもなかったのにこの低さは、ますます政治への期待が下がっているとしか思えない。

投票率の低下といえば、とりわけ若い世代の投票率の低さが毎回問題になっている。この人たちの投票率が低いということは、今まで投票したのがしなくなったのではなく、最初から投票しないのだから、政治への期待が下がったということとは別の問題である。

若い人たちが選挙に行かない理由は、誰に投票していいか分からないとか、自分一人の票では何も変わらないとか、当の若い人を含め、各世代からいろいろ言われる。

だが、よく考えてみると、選挙に行かないのは「〜しない」という消極的な行動である。消極的な行動の理由を問うことなんかできるだろうか。

例えば、僕はAKB総選挙に投票したことがないし、したいとも思わないが、それに理由などない。なぜ、AKB総選挙に投票しないかと言われれば、一応「興味がないから」と答えるだろうが、それは聞かれたから答えるのであって、聞かれなければ考えもしないことだ。逆にAKB総選挙に投票する人は、投票する理由がある。

同様に、若者に選挙に行かない理由を聞いても意味がない。聞かれれば一応それらしいことをいうが、絶対にまとまらないだろう。彼らが選挙に行かないのは、今の政治に満足しているからでも、失望しているからでもない。彼らにとっての選挙は、僕にとってのAKB総選挙なのである。

投票率を上げたいならば〈なぜ選挙に行かないか〉ではなく、〈なぜ選挙に行くか〉を考えるべきだと僕は思う。

それでは選挙に行く人は、なぜ選挙に行くのだろうか。もちろん、支持する政策を主張する党や人がいるというのが大多数だろうが、単に「国民の権利だから」とか、「民主主義の基本だから」とかいう人も少なからずいる。

彼らは白票を投じるのではなく、たいがい知名度があるからとか、男前だからなどの理由で適当な人に投票する。投票する以上はその一票も力を持っている。「名前を知っている」とか「男前」だとかの理由だけで当選する可能性もあるのだ。

実際、各党に政治的な活動や発言をしていないにもかかわらず、知名度のある人を候補にする動きがあるのは、そういう人がいかに多いかを表している。例の名前を連呼するだけの選挙カーも同じことだ。政策を考えずに投票するぐらいなら、家で寝ている方がよほど良心的ではないか。

選挙に行かない人に罰金を科すとか、税金を上げるとか、バカバカしい話である。そんなことをしたらますます知名度だけの候補者が増えるだけだ。「国民の権利」、「民主主義の基本」だけを頼りにしていたら、投票率なんて上がるはずがないのである。
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今度の選挙の結果から、消費税が増税される可能性が高くなったのだが、ちょっと理解しがたいことがある。もし説明ができる人がいたら教えてほしい。

自民党は資本主義の政党だから、基本的に企業に都合のいい政治を行う党である。しかし、消費税増税は企業に都合がいいのだろうか。

企業は以前から日本の法人税は高すぎると主張し、法人税の減税を訴えてきた。法人税は個人が納める所得税と同じで、赤字なら払う必要がない。逆に所得税と違い累進課税ではないので、いくら儲けても税率は変わらない。

形式的には法人税を減税するぶん、消費税を増税するということになる。消費税はご存知の通り、商品を買いお金を払うたびに、払った人が一定の税率を支払う税金だ。

たしかに100円の物を買うと5円の消費税がかかり105円になる。しかし、本当にお金を支払った人が払っているのだろうか?

例えば、200万円の予算を立てて自動車を買うとする。予算はお金を出す額だから、税込で考えるはずだ。消費税5%なら税抜190万円の自動車が買えるが、10%なら税抜180万円の自動車しか買えない。予算が200万円だからといって、税込で220万の車を買うなんて人はまずいないだろう。

売る側からみると、消費税5%なら190万円の車が売れたはずなのに、10%になったがために180万の車しか売れなくなるということになる。買う側からすれば、自動車のランクがちょっと下がっただけだから、たいして損をしていない。損をするのは、どう考えても売る側、つまり企業の方である。

本来高い製品がうれるはずが消費税を上げた分安いものしかうれないと、物価は下がりますますデフレになるはずだ。デフレになれば、円高になり輸出企業の利益が目減りする・・・と、ちょっと風が吹けば桶屋が儲かるみたいな話だが、大まかに言えばそうなるんじゃないかと思うのである。

法人税は赤字なら納める必要がないが、消費税は赤字だろうと黒字だろうと納めなくてはいけない。現状で多くの企業が黒字なら、法人税減税を唱えるのもまだ分かるが、実際はそうでもない。大企業こそ消費税に反対しなければいけないように思うのだが、そうならないのは何故だろう。

経済に詳しい方、教えてください。
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脳残君『日本に恋した中国人オタク 脳残君ものがたり』(二見書房)を読んだ。

今日紹介するのは漫画。

脳残君は日本にあこがれ、29歳(2011年)で留学に来た。本書はネットに掲載していたものを抜粋し、編集したもの。ちなみに「脳残」とは脳袋残疾(頭に障害がある)の略で、飛び切りのバカというネットスラングらしい。

ブログに掲載していた漫画を、紙の本に編集しなおしたもの(一部描き下ろしもある)なので少々読みにくいところがあるが、実に面白かった。

この本の面白さは文化の違いを楽しむところにある。

日本にあこがれ、数々の苦難を乗り越えて日本に来た中国人が、日本のどういうところを見ているか、中国人留学生が置かれた現状や生活はどのようなものか、中国と日本を比較してどう思っているかがよく書けている。

こういう本は他にもあるかもしれないが、この作者が他とは違うのは、ちょっと引くレベルの日本びいきのオタクであることと、思ったことをあまりにも正直に書いていることだろう。

こういうことをテーマに書くなら、どうしても読者の日本人がどう思うかとか、どう書いたら喜ぶかとか(逆もあるかも)を考えて書く。仮に僕が逆の立場だったら、それが怖くて下手すれば書けなくなるかもしれない。ところが意図してかしないでか、脳残君は読者におもねらない。思ったことをありのままに書いている。

日本語そのものも含めて、脳残君は間違いを恐れていない。だから面白い。

なお、脳残君の漫画は現在も描かれており、こちらで読むことができる。
日本語版
脳残君の家(日本語版)
中国語版
日在日本:騰訊動漫平台

ところで、『脳残君の家』のコメント欄にはとんでもない臭気が漂っている。もうマジで、自分が日本人であることがイヤになってくるよ。日本びいきの中国人に日本を嫌いにさせてどうする。恥ずかしいからやめてくれ。

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何かネタはないかと、過去のエントリを読んでいたら、3月に行ったニューヨークの写真をまとめたものがないことに気付いた。

ニューヨーク写真

これだけじゃナンなので、泊まったところについて書く。僕たちがニューヨークで泊まったのは、マイケルNYというB&B。もちろんオーナーはマイケルさん。

マイケルNY(Michael NY):トリップアドバイザー

B&BとはBed and Breakfastの略で、その名の通りベッドと朝食を提供する民宿のことである。こういってしまえば簡単だが、個人経営だけになかなかバラエティに富んでいて面白い。

マイケルNYはアップタウンのシルバンテラス(Sylvan Terrace)という一画にある。なかなかフォトジェニックな一画で、1870年代の建物だそうだ。
シルバン・テラス

もちろんこれが全部マイケルNYというわけではなく、向こうから2番目の街灯が立っているところだけである。入り口が全部同じなので間違えそうだが、街灯を目印にすればいいので分かりやすい。

入り口を中からみたところ。防犯のためか、防寒のためか、二重扉になっている。右側のドアが客室で、ここに僕たちは泊まった。左の階段を昇った上にも客室がある。
入り口


客室。一階なのでブラインド越しに通りが見える。鏡に僕が写りこんじゃっているのはご愛嬌。
客室


自由に使える共同キッチン。コーヒー、牛乳、食パン、シリアル、果物などが置いてあり、朝食はここで自分で用意する。一応食べ放題らしいが、そんなにたくさん食べたいとも思わない。近くにスーパーがあるので、そこで材料を買って調理してもいい。
マイケルNYの共同キッチン


キッチンのそばに共同のリビングがある。写真は早起きして寝ぼけ眼のワシ。この時は朝が早すぎてだれもいなかったが、時間によっては他の宿泊客やマイケルさんと情報交換ができる。この時の客はなぜか日本人ばっかりだった。
寝ぼけたワシ


アメリカンジョーク発見!(監視)カメラで撮影しているから笑えと言っているらしい。videotapeが動詞として使えるとは知らなかった。
VIDEOTAPED!


この一画はかなり落ち着いた雰囲気で、自動車も入らないためとても静かだ。だが、一歩裏手はハーレムのはずれに位置するため、黒人の多い地域になる。
シルバンテラスの裏手


ここには地下鉄の駅があり、店もたくさんあって便利なのだが、夜の10時に一人でハンバーガーを買いに行ったら(ヨメに一緒に行くのをを断られた)、うつむいてムシャムシャチキンを食べてるオッサンとか、ものすごい勢いでチキンを買って出ていく素行の良くなさそうなジェロとかがいて、マジでびびった。

買ってきたハンバーガーは、持って帰って食べた。クォーターパウンダーよりでかくて、めちゃくちゃうまかった。写真がなくってすみません。
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インターネット20周年(その1)のつづき

さて、かくして僕は「Mosaic in a box」製造元のSPRY社のサイトを閲覧することに成功したわけだが、この時の感動は忘れられない。

なにしろ、そのころは英語で書かれた文書自体、英語の教科書か英字新聞ぐらいなもので、なかなか見られなかったのである。それもアメリカにつないでいるはずなのに、市外に電話をかける程度しかお金がかかっていない。当時、もしアメリカにFAXを送ろうとすると、国際電話を使いA4一枚で数百円は取られる時代だったのだ。

とはいえ、SPRY社のサイトなんて面白くもなんともない。ここは「日本の法律では許されていない画像」を探さなければならない。今だったら、Google先生に聞けばすぐに教えてくれるが、そのころまだ生まれていない。

当時、エロサイトなんか一つもなかった(たぶん)。しかし「日本の法律では許されていない画像」を見る定番として知られるサイトがあった。

それが蝶ネクタイをしたウサギマークでおなじみ、アメリカの男性雑誌のサイトである。ここには確実に「日本の法律では許されていない画像」があると、ラーメン屋で読んだ週刊ポストに書いてあった。

僕はラーメン屋でメモした「http://・・・」というナゾの文字列を入力し、タッターンとEnterを打鍵した。あの時ほどエンターキーをタッターンと押したことはない。

ブラウザの地球儀アイコンがくるくると回って(当時はそういう仕様だった)、すぐに金髪美女が・・・・出ない。ゆ〜っくりと、地球儀アイコンが一周するたびに一行ぐらい、僕が今入力するスピードよりもさらに遅く、つらつらと英文が出る。

当たり前だが、TOPから「日本の法律では許されていない画像」なんか出てくるはずがない。なにしろゆっくりなので、英文といえども読む余裕があった。といっても大した内容ではないのだが、金髪美女が出てくるであろうリンクにマウスカーソルを合わせて、ぽちっとな!

また地球儀アイコンが回る。しかし、今度は何も出てこない。地球儀は空しく回るだけ。

しばらく見ていると、だんだん白い線が出てきた。これが「日本の法律では許されていない画像」の一部らしい。上から順番に、ゆっくりと画像が出てくる。その間も地球儀はぐるぐる回る。

金髪だと分かったのは、3分後。顔が出てきたのが6分後。どことなくジョーン・シェパードに似ている。ちょっと違和感を感じたが、ここで止めたら6分がムダになる。

さらに3分以上経ち胸の上部が出てきて、どうやらブラジャーをしているらしいことが分かった。

ノーミソの中で「もうだめだ、ここでやめとけ」という自分と、「ここで止めたら、いままでの時間は無駄になるぞ。まだ下がある」という自分がせめぎ合う。

そうこうするうちにヘソが出てきて、しばらくして僕は回線を切った。繋いでから30分は経っていたと思う。その30分が1時間にも2時間にも感じられた。もう何も言うまい。察してくれ。

こうして僕のインターネットライフは始まったのである。
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カテゴリの「インターネットとパソコン」カテゴリが後二つのエントリで100になる。そして、今年は僕が初めてインターネットに繋いでから20年目に当たる。記念に少々昔話をしよう。ただし、20年前なので記憶があいまいなところがあるのはご勘弁を。

僕が初めてインターネットに繋いだ(このいい方は正しくないが)のは、1994年の終わりごろのことである。パソコン通信のNifty-serveがPPPによるインターネット接続を始めたときのことだ。

インターネットに繋げば、「海彼の日本の法律では許されていない画像」が合法的にかつ簡単に手に入るという噂だった。だが、そのためにはプロバイダと新たに契約しなければならない。さすがに「海彼の日本の法律では許されていない画像」を見るためだけにプロバイダと契約する根性はない。

ところが、このサービスを開始したおかげで、Nifty-serveの会員であれば、特別な手続きなしで繋ぐことができるようになったのだ。一分間の接続料金(当時、定額のサービスはなかった)は専業のプロバイダよりもちょっと高めだったように記憶しているが、そんなに毎日「日本の法律では許されていない画像」を見るわけでもあるまい。毎月の基本料金がかかることを考えれば、こちらの方がいい。

そのころのOSはWindows3.1で、当然インターネットに接続する機能は付いていなかった。そこで、まず接続するためのソフトウェア(Winsockという)を導入しなければならない。

Niftyのマニュアルを見ると、Nifty内のアーカイブにtrumpet winsockというソフトがあり、それをダウンロードしてインストールせよとある。

ちなみにtrumpet winsockは有料のシェアウエアだったが、お金を払わなければ使えないというものではなかった。最近になって、この作者はtrumpetでまったく儲けることができなかったことが判明した。
「Trumpet Winsock」の作者、実は全然稼げていなかった:スラッシュドット

もちろん、僕も払わなかった。といっても僕がTrumpet Winsockを使ったのは数日間だけなので、試用期間内である。

さて、マニュアルにあるようにTrumpet Winsockをダウンロードしてインストールし、マニュアル通り設定して、電話線をモデムにつなぎ、電話をかけた。ところが・・・。

「接続しました(的な英語)」が出るだけで、何も出ない。このころ、すでにインターネットのことはテレビで紹介され始めていたのだが、テレビで見たような画面は出てこない。そうこうするうちに時間が経ってしまう。一端切って、もう一度マニュアルを読んでみると・・・。

・・・これで接続されました。
ホームページを見るには、ブラウザを購入するか、インターネットからダウンロードしてください。

僕は困惑した。どうやら接続できただけでは、何もできないらしい。しかし、インターネットからダウンロードといわれても、閲覧すらできない状態では、どうすればダウンロードできるのか皆目わからない。

このころのパソコン通信は、一つのソフトウェアで接続と表示(テキストのみ)がなされていた。同じようにインターネットも一つのソフトウェアをインストールすればすむと思っていたのである。

ところが、接続するソフトと閲覧するソフトは別で、この場合Trumpet Winsockが接続で、閲覧はMosaicかNetscapeというソフトをインストールしなければならない。現在はそんなことを意識しなくても閲覧できるから、知らない人もいるかもしれないが、この構造は今でも変わっていない。

さて、ここまで来たら後には退けない。次の日、秋葉原のソフマップで箱入りの「Mosaic In a Box」インターネット接続ソフトウェアを買ってきた。トランスコスモスという会社が出しているもので、Trampetではない接続ソフトと、日本語化されたSPRYMosaic(ブラウザ)、メールソフト(名前は忘れた)がセットになっていて、4000円ぐらいだったと記憶している。

家に帰ってさっそくこのソフトをインストールして、マニュアル通り繋げてみた。いとも簡単につながりSPRY社のホームページを表示した。あとは「海彼の日本の法律では許されていない画像」を探すだけである。
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twitterやfacebookなどSNSの台頭で、以前よりもデマを目にすることが多くなった。地震のときにさまざまなデマが飛び交っていたのはご承知の通り。

鎌倉時代の説話集『宇治拾遺物語』には、デマの本質をとらえた秀逸な説話がある。

 奈良に恵印という坊さんがいた。恵印が若いころ、猿沢の池のほとりに「○月×日、この池から竜が昇るだろう」という立札を立てたところ、往来の人々が「是非見たいものだ」とささやきあった。恵印は「自分がやったとは知らずバカなことだ」と思っていたが、知らん顔をしていた。
 竜が登るという噂は、大和、河内、和泉、摂津まで広がり、その日が近づくにつれて、人が集まり始め、当日になったら道も通れないほどになった。
 その時になって恵印は、本当に竜が登るんじゃないかと思うようになった。人がいっぱいで池には近づけないので、興福寺南大門に登って今か今かと竜が昇るのを待っていたが、何も昇らず日は落ちた。(第130話「蔵人得業、猿沢池の竜の事」要約。後半は省略した。)

恵印は、当初「おかしき事かな。我したる事を人々騒ぎあひたり。おこの事かな」と言い、自分の流したデマを信じた大衆をバカにしている。しかし、話があまりに流布し民衆が信じるようになると「ただ事にもあらじ。我したることなれども、やうのあるにこそ」といい、自分が流したデマであることを認識したまま信じてしまう。

デマを流す人と、流布する人は相互依存の関係にあって、デマを信じる人が増えれば増えるほど、作った人もそのデマを信じるようになるらしい。愚かな大衆をバカにしていた人が、大衆によって愚かになっていく。この説話はその過程を見事に描いている。

『宇治拾遺物語』は口承性の強い作品で、序文には「宇治大納言隆国が往来の人から説話を収集した」という伝説を記している。マスメディアのない時代、人々の口にのぼる噂話は、数少ない有力なメディアとして力を持っていたのである。

ところが、この説話では口承の持つ負の側面を描いているのが面白い。この時代の人たちは、口伝えの力を信じながらも、火のないところに煙が立つこともあるという、危険な側面も敏感に感じていたのだろう。

なお、芥川龍之介はこの説話を題材にし「竜」という短編小説を書いている。
芥川龍之介『竜』:青空文庫


こちらでは竜は猿沢の池から昇ったことになっている。芥川がなぜこの改変をしたか、すでに諸説あるが、読み比べて考えてみるのも一興。
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もはや、知っている人には恒例、銀座鳩居堂画廊で絶賛公開中の第五回伊藤忠綱個展に行ってきた。前回の記事はこちら。

伊藤忠綱展:2009年07月22日

伊藤忠綱氏はこのブログでは最多の登場回数を誇る人(葛的先生で検索!)である。高校やら大学やらで、書道やら中国語やらを教えているが、作品の幅はもっと広い。

伊藤忠綱展

展示物は書と絵と篆刻と〈何か〉である。上の写真の中央に屹立しているものと、ブラリぶら下がっている名状しがたい物もその一つ。

この〈何か〉は毎回変わったり、変わらなかったりするのだが、今回は前回には全くなかったものがある。それが根付だ。

妖怪のようなもの根付

この名状しがたい妖怪のようなものには、舌が出入りするという、ギミックが仕掛けてある。後から舌を入れたのではなく、彫り込んで作ったものだそうだ。

ケースに入っているので、基本的に舌が動くところは見られないが、作者本人か奥さんがいたら「この舌、どうなってるんですか?」とか言えばたぶん見せてくれるだろう。

根付をもう一つ紹介する。

テッドのようなもの根付

これとよく似た名状しがたいクマのようなものを、ニューヨーク帰りの飛行機のモニターで見たような気がするが、たぶん気のせいだ。

〈何か〉ばかり紹介しているのもナンなので、最後に軸作品を。

鯉と蜘蛛


というわけで、興味があったら是非行ってほしい。

場所は銀座鳩居堂画廊3F。会期は7月28日(日)まで。
例によって自作の詩箋までくれるよ!(オレもらわなかったけど・・・)

あ、そういえば陶芸はどうしたんだろう・・・。
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ブログネタ
参院選の結果、どう思いましたか? に参加中!
安倍晋三床屋政談は床屋政談。

今度の参院選挙で自民党は衆参両院で過半数を取り、安倍政権が長期政権になるのは確定的になった。

自民党の勝利はアベノミクスが今のところうまく行っており、今後が期待されるからに他ならない。それでは、自民党に投票した人が期待する通り景気はよくなるのだろうか。

前にも書いたように、安倍首相ができることはバブルの泡を膨らませることだけだ。これはアベノミクスが悪いというのではなく、経済というものはそういうもので、先に泡が膨らんで中身が入る。必要以上に泡が膨らんだり、中身が入らなかったら破裂するのである。

今、泡が膨らみつつあるのは間違いない。それが自民党の得票につながったわけだが、中身が入るかどうかは安倍首相と自民党だけではどうにもならない。

しかし、今回の選挙結果から中身が入るか入らないかにかかわらず、安倍政権は続いていくことが確定した。これは安倍首相の野望「美しい国」が実現しやすくなったということである。

安倍首相の野望はどれも喫緊の課題ではない。憲法改正なんか、大方の人にはどうでもいいことである。賛成している人の大半も、尖閣諸島問題で中国が攻めてくるとか脅されて不安になっているだけで、それがなければ話題にもならないレベルのことだろう。

喫緊の課題でないどころか、どれも手間ばかりかかって経済にはプラスにならないことばかりである。だから、僕は安倍首相はしばらくはこれらのことは手を付けないだろうと思っていた。ところが選挙前から憲法改正草案なんかを出してきたところを見ると、そうではないらしい。

これは国民の支持をとりつけて我慢ができなくなったか、アベノミクスの限界が見えてきたかのどちらかである。いずれにしても、経済対策はおざなりになり、自らの考える「美しい国」づくりに邁進することだろう。

残念ながら、このまま日本の景気がよくなる可能性は低いと思う。あくまで床屋政談だけどね。
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ブログネタ
参院選の結果、どう思いましたか? に参加中!
選挙の直後なので、政治の話。まあ、僕の話なんて床屋政談以上のものではない。

今回の参院選では予想外のことが二つあった。

まず一つは、5議席ある東京選挙区で、山本太郎氏が4位に当選したことである。当選するかもしれないという雰囲気はあったが、せいぜい当落線上ぎりぎりだと思っていた。

山本氏は無所属で支持基盤がない。知名度はそれなりに高いが、知名度だけなら他にも候補はいる。かれらは当選には遠く及ばなかったのだから、結局、山本氏が主張してきた脱原発だけが票になったということになる。そして、伝統的に原発に反対してきた、共産党の吉良佳子氏も3位で当選している。

投票行動というのは、単に政策だけではなく、さまざまなしがらみに基づいて行われる。だから、そういうしがらみのない無所属の人が当選するのはかなり難しい。いかに都民が原発再稼働に関心を持っていたかがうかがえる。

自民党は他の問題はほっかむりをして、景気回復を争点にしてくるのは目に見えていた。景気回復は何よりも国民の生活に直結するし、すでにある程度の実績があるのだから、この点を争点にする限り他党に勝ち目はない。

しかし、自民党は原発再稼働に前向きだ。これはほとんどの国民が不安に思っている。どうせ勝てない試合なのだから、明確な原発再稼働反対を打ち出せば、他の政党(とりわけ民主党)ももっと支持を得られたはずだ。それをしなかったのはなぜだろう。単に各党がマヌケだからとは思えない。

それにしても海パンでヘンな踊りを踊っていたメロリンQが政治家になるなんて、あのころ誰が予想しただろうか。


もう一つは、自民党比例代表で出馬した、ワタミの創業者、渡辺美樹氏が苦戦したことだ。

ワタミはブラック企業との批判があり、渡辺氏自身がそれを証明するようなことを公言してはばからないが、何と言っても知名度があり、カリスマ経営者として信奉する人も多い。渡辺氏に投票しないことはできるが、引きずり落とすことはできないから、もっと上位で当選すると思っていた。

しかし、結果は18人中の16位だった。これはブラック企業批判のためだろうか。

僕はそうではないと思う。ネットを見ていると、ワタミの悪行がよく目に入る。教育業界にいればさらに目につく。だから否応なく渡辺氏の存在は目立つのだが、世間一般的にはそれほどではなかった、ということだろう。

考えてみると、今回投票した有権者の大半は、すでに就職しているか、定年退職して引退している人である。この人たちにとっては、一居酒屋チェーンがブラックだろうがホワイトだろうが、知ったこっちゃない。それ以前に「誰?こいつ」という感じだろう。

今回の選挙はネット選挙などと言われたが、まだまだネットの世界と現実の世界には乖離があると思っている。
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