「今月の総括」なのに来月の話を書くのも妙な話だが、来月の9日に勤務先の社長を決める選挙がある。投票権を持っているのは、社員と顧客である。
先々代の社長(以下、元社長)は社員にはあまり評判が良くなかった。なにしろ、社員には出社時間を厳守させるくせに、自分はほとんど会社に来ないような男である。座右の銘は「自分に甘く、他人に厳しい」に相違ない。言っていることだけは勇ましくて、顧客にはウケがよかったものだから、10年以上も社長の座に座っていた。
元社長は口が悪く、平気で顧客の悪口を顧客の前で言うのだが、なぜだか悪口を言われているのによろこんで応援している人がいる。会社の金で使い道のない無人島を買おうとした時なんぞはついに気が狂ったかと思ったが、寄付金を出す顧客までいた。結局、無人島は親会社が買ったが、おかげで親会社は取引先との関係が悪化した。
前社長は、元社長の懐刀だった男だ。顧客受けのよかった元社長の推薦を受けてあっさりと当選したが、金の問題でわずか一年で失脚した。会社に入る前は、他人の金の問題をあげつらって批判する立場だったのに、自分が金の問題で失脚したのは滑稽だ。たぶん、元社長の「自分に甘く、他人に厳しい」という教えを守ったものと思われる。
そこで、来月の選挙である。16人も立候補しているが、有力なのは次の4人だといわれている。
最初に名乗りを上げたのは元弁護士の男。前回の選挙にも立候補したが、次点で前社長に負けた。次点とはいうものの、前社長とは大差がついた。彼は仕事はできる男らしいが、何といっても風采が上がらないのが弱点だ。これまでの結果をみると、社長選挙は仕事ができるできない以前に風采が大事らしい。
次に立候補したのは元社長推薦の、親会社の警備員だった男である。元社長はわずか一年で失脚する人を推薦したぐらいだから、今度推薦する奴もロクなやつじゃなさそうだ。
彼は変わった男で、元警備員だから警備員を増やせとか言うのはしょうがないが、社員はおろか顧客にまで警備させようとする。さっぱり意味がわからない。たぶん、よほど肝の小さい男なのだろう。
その次は、親会社の役員をやっていた男である。元は大学の先生だったが、この会社の社長選挙に出馬し、元社長に敗北した。若い頃は精力絶倫だったそうだが、なるほど頭の形と年齢は元弁護士とあまりかわらないのに、いかにも精力的な感じがする。
最後は、別の子会社と親会社の社長だった男で、しばらく隠居して焼き物なんぞを作っていた。なんでも、会社が同族企業だった時代から、社長を務める由緒正しい家柄だったそうだ。別の子会社の社長をやっていたときは評判が良かったようだが、親会社の社長になってからはうまくいかず、あまり人望がなかった。最後は我社の前社長と同じく金の問題で辞めた。
彼を推薦しているのが、これまた親会社の元社長である。今回立候補している元親会社社長とは異なり、顧客に大変な人気があった。人望のない元親会社社長を推薦するぐらいなら、自分が立候補すればいいと思うのだが、たぶんもう飽きたのだろう。
さて、どうなることやら・・・。
先々代の社長(以下、元社長)は社員にはあまり評判が良くなかった。なにしろ、社員には出社時間を厳守させるくせに、自分はほとんど会社に来ないような男である。座右の銘は「自分に甘く、他人に厳しい」に相違ない。言っていることだけは勇ましくて、顧客にはウケがよかったものだから、10年以上も社長の座に座っていた。
元社長は口が悪く、平気で顧客の悪口を顧客の前で言うのだが、なぜだか悪口を言われているのによろこんで応援している人がいる。会社の金で使い道のない無人島を買おうとした時なんぞはついに気が狂ったかと思ったが、寄付金を出す顧客までいた。結局、無人島は親会社が買ったが、おかげで親会社は取引先との関係が悪化した。
前社長は、元社長の懐刀だった男だ。顧客受けのよかった元社長の推薦を受けてあっさりと当選したが、金の問題でわずか一年で失脚した。会社に入る前は、他人の金の問題をあげつらって批判する立場だったのに、自分が金の問題で失脚したのは滑稽だ。たぶん、元社長の「自分に甘く、他人に厳しい」という教えを守ったものと思われる。
そこで、来月の選挙である。16人も立候補しているが、有力なのは次の4人だといわれている。
最初に名乗りを上げたのは元弁護士の男。前回の選挙にも立候補したが、次点で前社長に負けた。次点とはいうものの、前社長とは大差がついた。彼は仕事はできる男らしいが、何といっても風采が上がらないのが弱点だ。これまでの結果をみると、社長選挙は仕事ができるできない以前に風采が大事らしい。
次に立候補したのは元社長推薦の、親会社の警備員だった男である。元社長はわずか一年で失脚する人を推薦したぐらいだから、今度推薦する奴もロクなやつじゃなさそうだ。
彼は変わった男で、元警備員だから警備員を増やせとか言うのはしょうがないが、社員はおろか顧客にまで警備させようとする。さっぱり意味がわからない。たぶん、よほど肝の小さい男なのだろう。
その次は、親会社の役員をやっていた男である。元は大学の先生だったが、この会社の社長選挙に出馬し、元社長に敗北した。若い頃は精力絶倫だったそうだが、なるほど頭の形と年齢は元弁護士とあまりかわらないのに、いかにも精力的な感じがする。
最後は、別の子会社と親会社の社長だった男で、しばらく隠居して焼き物なんぞを作っていた。なんでも、会社が同族企業だった時代から、社長を務める由緒正しい家柄だったそうだ。別の子会社の社長をやっていたときは評判が良かったようだが、親会社の社長になってからはうまくいかず、あまり人望がなかった。最後は我社の前社長と同じく金の問題で辞めた。
彼を推薦しているのが、これまた親会社の元社長である。今回立候補している元親会社社長とは異なり、顧客に大変な人気があった。人望のない元親会社社長を推薦するぐらいなら、自分が立候補すればいいと思うのだが、たぶんもう飽きたのだろう。
さて、どうなることやら・・・。