水月ホテル鴎外荘に行く前に、東京都美術館で日本画の展覧会を見た。館内で休憩していたらベンチの近くにこんな貼り紙があった。

ここに流しのマッサージ師が現れるということだろうか。場所が場所だから、よもやマッサージに名を借りたエッチなサービスではなく、本当のマッサージなのだろう。たしかに、美術館に行くと異様に疲れるから、足つぼマッサージでもしてもらったら気持ちがいいだろう。なかなかいいところに目を付けたものだ。
ここで僕は上海美術館に5時間並んだ時のこと(清明上河図の思い出:2005年08月03日)を思い出した。
博物館の前で暇をもてあます僕達(四人で行った)の前に、まず現れたのは新聞屋だ。新聞をたくさん紙袋に入れて、大きな声で値段をいいながら歩いている。待ち時間を潰すために読む新聞だろうか。いくらだったか失念したが、一元以下だったのは間違いない。新聞としてはやけに安い。
しばらく見ていると、この新聞屋から新聞を買う人がいた。その人は新聞を開きもせず、おもむろに地べたに敷いてそこに座った。
この新聞屋は読むための新聞を売っているのではなく、尻に敷くための新聞紙を売っているのである。新聞屋というより新聞紙屋といったほうが妥当だろう。長時間行列並んで疲れた人は、座りたくなる。だが、地面に腰をおろすのは抵抗がある。椅子もなければ敷物もない、さあどうしよう、そういう需要を狙って現れたのだ。
僕も買ってみた。日付をみると案の定何ヶ月も前のものだ。どうせどこかで拾ってきたのだろう。さっそく尻に敷いて座ってみた。うん、まぎれもなくただの新聞紙だ。それ以上でも以下でもない。
次に現れたのは、もう何がなんだかわからない。派手なライムグリーンのジャージを着て、紙袋を持った男が一人。この謎の男は、行列のいろんな人に声をかけているようだが、だれも相手にしない。
僕達から20メートルほど離れたところで、商談が成立したらしい。客は20代ぐらいの女性、二人連れ。ライムグリーン君、紙袋からバドミントンのラケットを客に渡している。バドミントン用具レンタル業らしい。
この日は冬で寒かったから、バドミントンで温まろう!という趣向だろうか。しかし、どうやらもう一人は渋っているようだ。そりゃ衆人環視の中バドミントンなんかやりたくない気持ちも分かる。
「ほらー、ラケット借りたよ。バドミントンやろうよ〜」
「いやよ。なんでこんなこところでやんなきゃいけないのよ!」
もちろん、声が聞こえる距離ではないし、そもそも日本語ではないのだが、こんな声が聞こえてくるようだ。しかし、一人でバドミントンはできない。ライムグリーン君、諦めたのか、ラケットを返してもらっている・・・ように見えたが違った。
なんとライムグリーン君はレンタル屋から相手屋に早変わりしたのである。なぜか両手にラケットを持って、女の子とバドミントンを始めた。断った女の子は遠巻きに見ている。視線にこの二人と仲間とは思われたくないという感じが出ている。
が、しばらくラリーを続けていたら、制服を着た博物館の係員がライムグリーン君に駆け寄ってきた。ライムグリーン君、あっけなく営業中止。はたして、売上はあったのだろうか。
こういう、いい塩梅に登場する便利な商売は、中国ではいろんな所で見かけるが、ついに東京でも現れたらしい。商売の基本は困っている人を助けることにある。結構なことじゃないか。都美館もけち臭いこと言うなよ。

※マッサージをすると声をかけ金銭を求める等の行為を見かけましたら、お近くの警備員までご連絡ください。
ここに流しのマッサージ師が現れるということだろうか。場所が場所だから、よもやマッサージに名を借りたエッチなサービスではなく、本当のマッサージなのだろう。たしかに、美術館に行くと異様に疲れるから、足つぼマッサージでもしてもらったら気持ちがいいだろう。なかなかいいところに目を付けたものだ。
ここで僕は上海美術館に5時間並んだ時のこと(清明上河図の思い出:2005年08月03日)を思い出した。
博物館の前で暇をもてあます僕達(四人で行った)の前に、まず現れたのは新聞屋だ。新聞をたくさん紙袋に入れて、大きな声で値段をいいながら歩いている。待ち時間を潰すために読む新聞だろうか。いくらだったか失念したが、一元以下だったのは間違いない。新聞としてはやけに安い。
しばらく見ていると、この新聞屋から新聞を買う人がいた。その人は新聞を開きもせず、おもむろに地べたに敷いてそこに座った。
この新聞屋は読むための新聞を売っているのではなく、尻に敷くための新聞紙を売っているのである。新聞屋というより新聞紙屋といったほうが妥当だろう。長時間行列並んで疲れた人は、座りたくなる。だが、地面に腰をおろすのは抵抗がある。椅子もなければ敷物もない、さあどうしよう、そういう需要を狙って現れたのだ。
僕も買ってみた。日付をみると案の定何ヶ月も前のものだ。どうせどこかで拾ってきたのだろう。さっそく尻に敷いて座ってみた。うん、まぎれもなくただの新聞紙だ。それ以上でも以下でもない。
次に現れたのは、もう何がなんだかわからない。派手なライムグリーンのジャージを着て、紙袋を持った男が一人。この謎の男は、行列のいろんな人に声をかけているようだが、だれも相手にしない。
僕達から20メートルほど離れたところで、商談が成立したらしい。客は20代ぐらいの女性、二人連れ。ライムグリーン君、紙袋からバドミントンのラケットを客に渡している。バドミントン用具レンタル業らしい。
この日は冬で寒かったから、バドミントンで温まろう!という趣向だろうか。しかし、どうやらもう一人は渋っているようだ。そりゃ衆人環視の中バドミントンなんかやりたくない気持ちも分かる。
「ほらー、ラケット借りたよ。バドミントンやろうよ〜」
「いやよ。なんでこんなこところでやんなきゃいけないのよ!」
もちろん、声が聞こえる距離ではないし、そもそも日本語ではないのだが、こんな声が聞こえてくるようだ。しかし、一人でバドミントンはできない。ライムグリーン君、諦めたのか、ラケットを返してもらっている・・・ように見えたが違った。
なんとライムグリーン君はレンタル屋から相手屋に早変わりしたのである。なぜか両手にラケットを持って、女の子とバドミントンを始めた。断った女の子は遠巻きに見ている。視線にこの二人と仲間とは思われたくないという感じが出ている。
が、しばらくラリーを続けていたら、制服を着た博物館の係員がライムグリーン君に駆け寄ってきた。ライムグリーン君、あっけなく営業中止。はたして、売上はあったのだろうか。
こういう、いい塩梅に登場する便利な商売は、中国ではいろんな所で見かけるが、ついに東京でも現れたらしい。商売の基本は困っている人を助けることにある。結構なことじゃないか。都美館もけち臭いこと言うなよ。